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舞踏会編
しゅっぱつ!
やさしくて可愛くて最愛の伴侶が抱っこしてくれたら、ノィユの目が♡になっちゃうのは、仕方のないことなのです。
「ヴィル、だいすき♡」
「ノィユ、だいすき」
ぎゅむぎゅむ抱きあっていたら、目の前の王陛下ザイアから、長い長いため息がこぼれた。
「そういうのは、お家でするように」
「ご、ごめんなさい。……あの、その敵国からのご招待って、断ったりは……」
ザイアの空の瞳が、ノィユの瞳を覗きこむ。
「ドディア帝国に敵国認定される、ということは、この大陸からそう遠くなくネメド王国が消失する、ということだ。今は目こぼしして貰っているに過ぎないからな。関係改善できるなら、是非ともしたいのがうちの本音だ」
「……なるほど。先祖のお尻を、ザイアさまが、ぬぐってさしあげるわけですね」
「そうなんだよー! さいあくだよ、ドディア帝国の敵国って何だよ、無理だよ──!」
泣いてる!
「というわけで、ノィユとヴィルには、ネメド王国の親善大使として、是非ともドディア帝国に行ってもらいたい!」
両手で、手を握られました。
「……俺、最終、兵器とか、呼ばれる、ことある、けど……国境、越えられ、る、のか、な……? 来ないで、くれって、泣いて、止められる、けど……」
ヴィルの目が泳いでる。
「なんてこと! ヴィル、かわいそうに……!」
あわあわヴィルを抱っこするノィユと、しょんぼりなヴィルを見つめた王は胸を叩く。
「向こうからのご招待だから、入れてくれるはずだ! ご招待だから、ツーとホーで行って構わんだろう。……たぶん」
「おお! じゃあ早く行けますね!」
すんごい山脈も、ひとっとび!
拍手するノィユの隣で、ヴィルも頷く。
「ツーとホー、一緒、なら、心、強い」
「ツーもホーも闘えるもんね。僕もがんばるよ、ヴィルを守るために!」
ぷにっとした3歳の拳を掲げてみました。
王とヴィルが、ちいさきものを見る目になってる。
「じゃあせっかくドディア帝国に行くんだし、舞踏会の日より早めに行って、観光しようよ! しあわせ伴侶の、しあわせ旅行だよ、ヴィル!」
きゅう
抱きついたら
ぎゅう
抱きしめてくれる。
「ロダ、一緒に、来て、くれるか」
ヴィルの願いに、おじいちゃん執事だけど、めちゃくちゃ強いロダが微笑んでくれた。
「勿論でございます、ヴィルおぼっちゃま」
「ヴィルお兄さま、僕も一緒に!」
手を挙げるヴィルの弟エヴィを止めたのは、エヴィの伴侶トートだ。
「敵国だよ、エヴィ! 敵視されてる場所に行くんだから、お義兄さまが守るのは伴侶のノィユだけで精一杯のはずだ、ご負担になってしまうし、エヴィに危険が……!」
「僕だってヴァデルザだ、闘える!」
「いや、僕が戦えないから! エヴィをひとりで行かせるなんて、無理だから──!」
トートが号泣してる。
泣いてすがりつかれたエヴィが仕方ないなって、ぽんぽんしてあげてる。やさしい!
というわけで、敵国ドディア帝国には、ノィユとヴィル、ロダとツーとホーで行くことになりました!
「色々やらかしても、失敗してもいいから、無事に帰っておいで」
にこやかに手を振った王陛下は思いだしたように声をあげる。
「ちょっと待った!」
ヴィルの肩を掴んで、真剣な顔で告げる。
「すんごいむかちゅくことがあっても、ドディア帝国を滅ぼさないように、気をつけて」
「がんばる」
こっくりヴィルが、頷いてる!
気をつけないと、亡んじゃうみたいだよ! すごい!
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