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おあそび
しおりを挟む僕は大福フェイスを、ちょっと凛々しく引き締めてみました。
きもちね。
実際は、ふにふに、ぷよぷよしてるかもしれないけど、きもち!
ちょっと声も、いかめしく!
「カイも、サザおにーちゃんも、ロドおにーちゃんも、僕をあまやかしすぎです!」
おこですよ!
表してみたら、衝撃を受けたみたいにカイもお兄ちゃんたちも固まってる。
「ゆりちゃんが……!」
「おこになってる……!」
ちょっと泣きそうな感じで硬直しちゃったよ!
……あれ?
どしたの?
もしかして前世を思いだしちゃった?
心配になってきた僕の隣で、おじいちゃん魔導士が、うむうむうなずいている。
「これでは全く修練になりませんのう。
ご家族には、愛息を谷底に落として強さを鍛えあげる、獅子の心を持っていただかねば」
おじいちゃんの、いかめしい顔に、固まっていたカイが再起動した。
「獅子は子どもを、とても可愛がるそうです」
カイの突っこみが冴え渡ってる。
おじいちゃんのお顔が、うめぼし食べたみたいになってる。
「今までユィリおぼっちゃまが怠けてるんだとばかり思っておりましたがのう、いやはや、これで修練はむずかしいですの、納得ですじゃ」
おじいちゃん魔導士を、うむうむさせてしまう家族の愛──!
とってもうれしいけど、これが悪役令息をつくってしまうんだな……
……着実に、カイに餌づけされている僕……
10分がんばると『おぉお、今日は、めちゃくちゃがんばった! さあおやつ!』となってしまう僕!
こ、このままでは、せっかく前世の記憶をよみがえらせたのに、また……!
ふたたび悪役令息の道に戻ってしまうよ……!
断罪と極刑のフルコンボが、せまりくるよ──!
きゃ──!
「ユィリ、休憩!」
「お菓子食べよう!」
「ゆりさま、おつかれでしょう、すこしお昼寝いたしましょう」
邪魔してくる、かっこいーおにーちゃんたちや、凛々しくてかわいいカイの猛攻を、振りきるのです!
「ユィリ、根を詰めすぎじゃないか?」
「無理をしてまで、がんばらなくていいんだよ」
ちょっと暇ができると、あまやかしに来てくれる両親も、振りきるのです!
僕は、がんばった!
世界に満ちる魔素を体内に取りこみ、体内で魔素を凝集させ、高出力で魔素を解き放つ練習を繰りかえす。
ぼーっとしてるときも、カイが与えてくれるお菓子を、うまうま、むしゃむしゃしてるときも、サザおにーちゃんと、ちゃんばらごっこをしているときも、ロドおにーちゃんがお馬さんになってくれるので、ロドおにーちゃんに乗って遊んでいるときも、それを見たカイの目が遠くなっているときも、魔素を意識してみたよ!
振りきってないじゃん、お菓子食べて遊んでるじゃんとか、聞こえない。
そのお遊びは、だいじょうぶなの……? という視線がカイから降りそそいでくるけど、たぶん、だいじょうぶ!
健全なお遊びなのです!
たまには、そう1時間に10分くらいは休憩もいるんだよ!
………………。
1時間がんばって、3時間遊んでるじゃんとか、聞こえないんだからぁあ──!
前の僕の100万倍くらい、がんばってる!
たぶん。
きっと!
ちょこっとした僕のがんばりは、実を結んでくれたみたいです。
「ほうほう、魔素が扱えるようになってきましたのう、上々ですのう」
おじいちゃん魔導士がほめてくれました!
すごい!
ふわふわ熱い頬で、おどってしまいそうだった僕は、あわあわ大福フェイスを引き締める。
きもちね。
きもち大事!
「厳しめでお願いします!」
キリっと言ってみました。
悪役令息じゃなくなりたいよー!
おごそかに、おじいちゃんはうなずいた。
おじいちゃんのお顔も、キリっとしてる。
「もう10倍くらい、がんばりましょうのう」
…………じゅうばい…………!
「……ちょっと、きびしいです」
涙目になっちゃった。
────────────────
ずっと読んでくださって、ありがとうございます!
夜中に目が覚めて、ついアプリを起動したら(笑)だいふくユィリとおじいちゃんがいました……!(笑)
ほんとのほんとに瞬間芸だと思いますが(笑)HOTランキング3位、ありがとうございます……!
こ、これは今日はスーパーでケーキを買ってお祝い……(笑)
『悪役令息の伴侶(予定)に転生しました』のきーちゃんのときは、いっぱい字数を書いて更新したら、ランキングがちょこっと上がったりして、見ていただけるかも! きゃ──! と思って(笑)あんぽんたんみたいに思いきり書いて更新して、よれよれになったので(笑)青春BLカップも、あわあわ更新していたので(笑)今回はそこまで無理せず、できる範囲でがんばろうと思っていたのですが、だいふくユィリが……!(笑)
ひとえに、読んでくださる、あなたさまのおかげです。
いいねや、エールや、ご感想で応援してくださる方に、感謝の気もちでいっぱいです。
ほんとうにありがとうございます……!
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