悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ

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ないちゃう?

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「……おかあさん……」

 泣いちゃう僕を、うるうるのおかあさんが、抱きしめてくれる。

「ゆりちゃん、なんてえらいんだ!」

 おかあさんを押しのけたサザお兄ちゃんも、抱っこしてくれる。

「よくやった、ゆりちゃん! ロドア家の誇りだ!」

 サザお兄ちゃんを押しのけたおとうさんも、ぎゅむぎゅむ抱っこしてくれる。

「心配したんだよ、ゆりちゃん……!」

 号泣するロドお兄ちゃんの背に、手をまわす。

「心配かけて、ごめんなさい……!」

「俺にも」

 のーすちゃんが、照れた頬で笑って、抱っこしてくれる。

「……ユィリが無事で、ほんとうに、よかった……!」

 セゥスさまの瞳に、にじむ涙を抱きしめる。

「ほんとうに申しわけ──」

 謝ろうとする海を、止める。

「遊びに行っただけだよ。ね?」

 くしゃりと歪む海の瞳を、抱きしめた。





 皆の涙と、抱っこと、なでなでが終わらないなか、まだ涙のにじむ瞳で真剣な面持ちになったセゥスが唇を開く。

「遠いところから帰ってきたユィリには負担だろうけれど、すぐに、ここを発ったほうがいい」

 きょとんとする僕に、ロドお兄ちゃんも顔を引き締めた。

「ラゼン王国の元王太子を治した治癒士がいると、噂が広がりはじめたんだ。魔脈瘤を治したということまでは流布していないが、ひと月も寝ていたラディが起きたことは、伝わっている」

 サザお兄ちゃんも、うなずいた。

「すぐにアーシェくんと、ここを離れよう。
 第二のウミくんが来る。ウミくんみたいに、やさしくない輩が」


 カイの瞳が切れあがる。

「今度こそ、ゆりさまを、お守り申しあげます」

 僕の手を、ごつごつのカイの手がにぎってくれる。


「逃げるなら、俺は役に立つぞ。
 気配完全隠蔽。連れてる、ゆりの気配を追えるのは、化け物の透夜くらいだ」

 胸をたたいてくれる海に、セゥスが首を振る。


「これからずっとユィリは、よからぬ輩に狙われることになる。
 僕たちだけで対処できるようにならなくては」

 決意をこめて響くセゥスの言葉に、ノゥスもうなずく。


「俺たちが、ゆーりを守る」

 ぴょこんと跳びあがった僕は、ちっちゃい手をかかげた。


「僕、つよつよになるから!
 皆が守ってくれなくても、平気だよ!」

 むんと、ちっちゃな胸を張る僕に、皆の顔が、へにゃりとくずれる。


「まあ、うん、がんばれ、ゆーり」

 のーすちゃんが頭をなでなでしてくれる。


「なんて勇敢なんだ、ゆりちゃん!」

 ロドお兄ちゃんとサザお兄ちゃんが、抱っこしてくれる。


「つよつよなユィリは、とってもかっこいいけれど。それでも僕は、ユィリを守りたいよ」

 セゥスが笑ってくれる。


「僕が、つよつよなセゥスさまを守りたいみたいに……?」

 見あげたら、とろける若葉の瞳で抱きしめてくれた。



「タキくんとおじいちゃんが心配してくれてるよ。ウミくんは、帰ってあげて。
 僕を送ってくれて、ちゃんとお話してくれて、ありがとう」

 笑って手をふる僕に、海がうつむく。


「……俺のこと、いらない……?」


 びっくりして、ぴょこんと跳びあがった僕は、ぶんぶん首をふった。

「タキくんが心配してると思うから!
 まだタキくんの状態も万全じゃない。急変したときは、またウミくんに活躍してもらわないと。
 そのためにも、今は帰って。タキくんを、はげましてあげて」

 ごつごつの手をにぎったら、海はちいさく、うなずいた。


「……わかった。
 もし、また多紀の具合がわるくなったら……ゆりに頼っても、いい……?」

「もちろんだよ!」

 背のびして、海のちいさな頭をなでなでしたら、ふうわり紅いまなじりで笑ってくれた。


「……ユィリ、浮気はだめだからね……!」

 セゥスさまが泣きそうになってる──!


「全然違うよ!
 心配だよ──!」

 あわあわする僕に


「…………ぜんぜん……?」

 海くんが、泣きそうになってる──!













────────────────


 ずっと読んでくださって、ありがとうございます!

 毎日動画あげますーと申しあげていたのですが、再生回数が楽しいことになったので(笑)YoutubeさんやInstagramさんに面白くない人と思われたら大変なので!(笑)もうちょっと力を籠めた動画をあげることにしますね!(笑)
 また通常運転に戻ります(笑)
 お話は、いつもと変わらず続きますので(笑)楽しんでくださったら、とてもうれしいです!




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