悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ

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だめ……!

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 ちょっと、ぼろっとした駅馬車に乗りこんだ、地味な服を着てるのに王子に見えるカイ、地味な服を着ても、きらきらなセゥスさまのおひざのうえに乗ってる、地味な僕は、とっても目立っているみたいです……?

「わー! すごいね、揺れるね!」

 きゃわきゃわ、はしゃぐ僕を、セゥスさまが、なでなでなでなでしてくれる。

「おしり、だいじょうぶですか」

 心配そうに聞くカイに、セゥスさまは何でもないように微笑んだ。

「最初から割れてるから平気でしょう」

「……は! もしかして、お尻、いたかった? ごめんなさい! 僕、セゥスさまの、おひざの上だったから……」

 あったかくて、しっかりみっしりしてて、抱っこして揺れまで吸収してくれて、座り心地が大変よかったのですよ……! きゃ──!

「だいじょうぶ。心配しないで、ユィリ。かわいい」

 ぎゅむぎゅむ抱っこしてくれました。

 うっとりしちゃう僕なのですが!
 これでは、よわよわだよ。

 めざせ、つよつよ!


「僕のおひざに乗ってください!」

 ぽんと、ちっちゃなおひざを叩いてみた。


「わあ、ありがとう、ユィリ!」

「では、ぜひ」

 セゥスさまとカイが、一緒に僕のおひざに乗ろうとするのは、つぶれちゃうのです──!





 僕がセゥスさまをおひざに乗っけたり、カイをおひざに乗っけたり、僕がセゥスさまのおひざに乗っかったり、僕がカイのおひざに乗っかったりしながら、宿場町にたどり着きました!

 ……お尻は最初から割れてるけど、い、痛かった……! 皆で痛み分けだよ。
 セゥスさまとカイが、とってもうれしそうな顔をしてた。よかったのかな?

 宿場町で探して空きがあった宿屋は、質素でした。
 ベッドと窓しかない感じだよ。お布団が、せんべいさんだよ。

 つつましい前世の記憶がある僕でも、お風呂は桶のお湯1杯と言われちゃうと、ちょっと涙目になっちゃうけど、セゥスさまは、びっくりだよね。

「セゥスさま、僕のお湯も使ってください!」

「ユィリに僕のお湯をあげる」

「だ、だめです……!」

 お湯をゆずりあっているうちに、冷めちゃうあれだね!

「皆で自分のお湯を使いましょう。こういうことにも慣れていただかないと」

 いかめしく告げるカイに、僕もセゥスもうなずいた。

「僕はもう王太子じゃないし、さま付けは目立つから。セゥスでいい。カイも」

 視線を送られたカイが、胸に手をあてる。

「かしこまりました」

「丁寧な口調も改めて」

「御意」

「ちがうな」

 セゥスが笑って、カイも笑う。

「わかった。でもゆりさまには、今までどおりで」

 ひざを折ってくれるカイに、僕は首をふる。

「ふつーでいいよ、カイ!」

「だめ」

 首をふるカイが、かっこよすぎて、困る。

「ユィリだからね。仕方ないね」

 笑ったセゥスが、カイと僕の頭をなでてくれた。




 部屋は3人部屋がなかったので、2人部屋で、僕とセゥスさまが一緒の寝台です。

「だめでしょおおお!」

 カイが、激おこです。

「いやだって、僕とカイとか、無理でしょう。空間的に」

 ぎちぎちだね。

「重なれば──」

 カイの言葉に、跳びあがる。

「か、重なる気なの!? うわき、だめ……!」


 ぎゅう!

 セゥスに抱きついてしまいました。


「ユィリ、かわいー♡」

 なでなでしてくれるセゥスが、やさしい。


 一緒の寝台で眠るとか、どきどきしすぎて、破裂しちゃう……!


「……いや、ゆりさまが寝てる間、俺の隙をつくようにセゥスがよく抱っこしていて、追い払ってました……」

 カイの目が、遠くなってる!


「そ、そそそそうでした……?」

 あわあわな僕に、こっくりセゥスがうなずく。


「そうでした。
 ユィリ、いや……?」

 しょんぼりしてるセゥスに、ぶんぶん首をふる。


「う、うれしい、です……」

 セゥスの胸にうずめる頬が、あちあちです。





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