悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ

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ますこっと?

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「また逢おうね、ユィリくん!」

 泣きだしそうな瞳で、それでも笑ってくれるトトラに、ぶんぶん僕は手をふった。

「アーシェくんも、またね!」

「ユィリくん、気をつけてね! 3秒ルールとか、だめだから。地面に落ちたどーなつは食べたらだめだから!」

 アーシェくんの注意が、切実です。

「わ、わかった」

 ちょっと泣きそうな僕の頭を、セゥスさまとカイとのーすちゃんがなでなでしてくれる。やさしい。

 のーすちゃんも、僕たちと一緒に市中で駅馬車を見つけて帰るんだよ。僕の家族は、ロベナ王国の王族とは何にも関係ございませんなお顔で、別のルートで別の馬車で帰ります。

「ゆりちゃん、何かあったらすぐに帰ってくるんだよ!」

「気をつけてね!」

「うわぁあん! ゆりちゃん……!」

 泣いて抱っこしてくれました。
 僕も、泣いて抱っこしました。

「元気で、がんばるね!」


 つよつよの治癒士になれたら。

 僕が、僕を誇りに思えるようになれたら。

 あなたに、ふさわしい人になれたら。


『あなたの伴侶になりたい』

 胸を張って、言う日のために。


 今日を、はじめるんだ。









 城下街に降りたら、ラゼン王国はお祭りみたいな、にぎやかさだった。

「ラディ殿下が目覚めたって!」
「よかったなあ!」
「ちょっと鍛錬しすぎで、ちょっと寝すぎちゃったんじゃねえの?」
「ラゼン王国の未来が明るくなったよ!」

 きんにくひめの目覚めをお祝いしてくれているみたいです。

 愛され、きんにくひめ!


 にぎやかな街はとっても活気があってよいのですが。

「……僕たち、目立ってる……?」

 なんか視線が、刺さってくるよ?

 そうっと聞いた僕に、しっかりカイがうなずいた。

「目立っています。そこのふたりが、きらきらしてるので」

 お服がね。ちょっと王族だったね!


「ゆーりが、可愛い小動物みたいになってるからだろ」

 真っ白な魔法使いのローブを着て、フードをかぶった僕が、マスコットみたいになっているみたいです?

 握手できるよ!

 ぴょこぴょこ跳ねる僕に、セゥスさまも、のーすちゃんも、カイも、胸を押さえてる。



 城下街の古着屋さんで、平民ぽい服を買ってみたよ!

 白いシャツにベージュのボトムスとか、どこにでもいそうな服のセゥスさまと、黒シャツに黒いボトムスの、のーすちゃん!

「きらきら具合、あんまり変わらない……?」

 首をかしげる僕に、しっかりカイがうなずいた。

「……どう見ても王族の、お忍びですね……」

 セゥスとノゥスが、しょんぼりしてる!

 意味がなかったみたいです??


 トトラが着せてくれた真っ白な魔法使いのローブは、可愛いので! とっておきとしてカイが持ってくれて、僕は目立たないベージュのローブになりました。マスコット感ダウンだよ。

「ユィリ、かわいー♡」

 抱っこしてくれるセゥスさまに、のーすちゃんも、カイも、うむうむしてる。


 のーすちゃんとは、ここでお別れだ。

「たくさんお世話になりました。
 ありがとう、のーすちゃん!
 これからも、よろしくね!」

 ぎゅ

 ごつごつの手をにぎったら、かすかに顔をゆがめたのーすちゃんが、ちっちゃな僕の手をにぎり返してくれた。

「ゆーり、無茶しないで。
 ぜったい無事で」

 のーすちゃんの、陽のひかりの瞳が揺れる。

 僕の目も、うるうるだ。

 だいすきな、幼なじみの、のーすちゃん。
 久しぶりに逢えてから、ずっと僕を心配してくれた。


『のーすちゃん、だいすき』

 言ってしまったら、セゥスさまも、のーすちゃんも、傷つけてしまうかもしれないから。

 幼なじみの『だいすき』伝えるように手をにぎる。



「クゥスと、ノクさまに、よろしく」

 何もかもをわかったようにセゥスが微笑んだ。


「兄貴、ゆーりを頼む。カイも」

 ノゥスの手が、ふたりの手をにぎる。


「ぜったい無事で」

 ささやくノゥスに、セゥスもカイも真摯な瞳でうなずいた。


 ロベナ王国ゆきの馬車に乗りこむ、のーすちゃんに手をふる。


「またね、のーすちゃん!」

 微笑んで手をあげてくれるのーすちゃんは、今日も最高にかっこいい幼なじみです。






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