【完結】お義父さんが、だいすきです

  *  ゆるゆ

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うさちゃんとリルとトェルとももちゃんのしあわせ暮らし

うさちゃんと一緒

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 魔界の空は、今日もにぎやかだ。

 大きくなった桃の樹のしたで、うさちゃんの毛づくろいをお手伝いしていた僕は、真っ暗な空を見あげる。

 真っ暗な雷がバリバリ鳴って、びっくりするような巨大な真っ暗な鳥が、大空を滑空する。

「ぎぃイイイぃい──!」

 断末魔みたいな叫びをあげた。

「しんじゃいそうなの!? 助けに行かないと──!」

 あわてて立ちあがった僕に、うさちゃんは首をふった。

「きゅ」

 赤い瞳が、きらきらしてる。

 うさちゃんとずっと一緒に暮らしているからか『きゅ』だけなのに、うさちゃんが何を言いたいのか、なんとなくわかる気がする。

 桃の樹のちいさな光に、僕のなかのおかあさんの光に、心を重ねることに似ている。

 言葉じゃなくて、思いが伝わってくる。


「……あれが、いつもの鳴き声なの……?」

「きゅ」

 うさちゃんが、首をふる。

「……あれは、ごきげんな、鳴き声なの……?」

「きゅ!」

 こっくり、うなずく、うさちゃんの後ろで、リィフェルが鈴の声で笑ってる。


「あ、あの、リルは、魔界の生き物、怖くないの?」

 そうと聞いたら、リィフェルは微笑んだ。

「精霊界とあまりにも違って、びっくりすることはあるけれど、怖いとか気持ちわるいとか、思いたくないんだ。
 精霊の私がトェルと暮らすことを、ゆるしてくれる世界だから」

 やさしく微笑むリィフェルから月のひかりがきらめいた。

 あなたから精霊の力がこぼれるたびに、僕はうっとり見とれてしまう。


 あまりにも輝いて。

 あまりにも尊くて。

 吐息さえ奪われて。

 鼓動が跳ねる。


「リルさま」

 うっとり、ささやいたら

「さまは、だめ」

 とがるくちびるが、降ってくる。


 ちゅ


 あまい、あまい音をたてて、くちびるが重なるたび、だいすきがあふれて、あいしてるが舞いあがる。


「リル、だいすき」

 ささやいたら

「あいしてる、トェル」

 とろけるささやきを返してくれる。


 ぎゅう

 抱きしめたら

 ぎゅうう

 抱きしめ返してくれる。


 それ以上のしあわせを、知らない。



「きゅー」

 うさちゃんの声に振りかえったら、大きな耳を揺らして、もじもじしてた。

「うさちゃん、かわいー!」

 ぎゅむぎゅむ抱っこしたら、ふあふあの毛がちっちゃくなって、とってもかわい──!


「……私も、かわいいと思う」

 すねたみたいに腕を広げて、抱っこを待ってるリィフェルが、今日も最高に可愛いおとうさんです。




 うさちゃんも、おとうさんも抱っこしたら、今日は魔界を探検です!

「うさちゃんのお友達のところまで、行けたらいいね!」

「きゅ!」

「がんばる」

 きゅ、と両の手をにぎる、おとうさんが可愛すぎて、めまいがします。











────────────────


 ずっと読んでくださって、ほんとうにありがとうございます!

 完結してから、あわあわ作った動画を、昨日の夜中にあげたので、もしよかったらお話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです!

 インスタ @siro0088 うさちゃんもいます(笑)
 Youtube @BL小説動画 アカウントなしでも、どなたでもご覧になれます
 プロフのWebサイトから、どちらにも飛べるので、もしよかったら!


 気軽でほのぼのな感じの(笑)トェルとリィフェルとうさちゃんと桃の樹の、しあわせ暮らし、はじまりました!(笑)

 その後の精霊界のお話もちょこっとできたらいいなと思って、ちまちま更新できたらと思います。

 ずっとつらかった分、すこしでも楽しんでくださったら、とてもとてもうれしいです!





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