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うさちゃんとリルとトェルとももちゃんのしあわせ暮らし
あいしてる
しおりを挟む魔界の空は、今日もにぎやかだ。
僕は、うさちゃんと、ももちゃんと、リィフェルと暮らしてる。
ちょこっとずつ大きくなってきた僕に、おとーたが笑ってくれる。
「大きくなったな、トェル」
微笑んで、抱きしめてくれる。
月のひかりが、ちらちら揺れる。
とくとく跳ねる鼓動で、僕はリィフェルを見あげる。
「おとーた、僕のこと、恋人にしてくれる?」
「もちろん」
月のひかりを揺らして、笑ってくれる。
燃える頬で、ささやいた。
「僕の伴侶になってくれる?」
「よろこんで」
とろけるように笑ってくれる。
「でも、おとーたなの」
大きなリィフェルの手をにぎって、そうっと見あげたら、笑ってくれる。
「ずっと、トェルの父だ」
はじめて逢ったときより、ずっとやさしい微笑みを浮かべてくれる。
「えへへ。おとーた、だいすき」
抱きついたら、抱きしめてくれる。
恋人で、伴侶で、おとーたで、最愛。
ぜんぶをくれるリィフェルを想う気もちが、あふれてく。
「きゅ!」
ふあふあのうさちゃんが、隣でちっちゃな角をきらめかせた。
ももちゃんの緑の葉が、きらきら揺れる。
「瘴気、少なくなったね。
ミーレも、苦しくなく暮らせるかも!
ももちゃん、すごい!」
幹をなでなでしたら、緑の葉が輝いた。
お隣さんには、水の精霊ミーレと魔族のヅァフィがいて、ときどき水のきみウェザが遊びにくる。
「……今度、地のきみも来たいって。……緑のきみ、フォスァルトも謝りたいって言ってた。……来ても、いいかな」
ちいさなウェザの声に、リィフェルは心配そうに眉をさげる。
「トェルを虐げ、殺そうとした精霊たちだ。トェルがくるしいなら──」
守ってくれる、やさしいおとうさんを、見あげる。
「僕を殺そうとしたのは、精霊界を守ろうとしたから。
……僕は、ほんとうは、しんでいる身で。おとーたに救われたから。
ほんとうは、いらない存在──」
「そんなわけない──!」
リィフェルが、抱きしめてくれる。
「トェルが生きてくれるから、息をしてる」
ささやきが、胸に降る。
「あいしてる」
かさなるくちびるが、とけてゆく。
「……う、うん、じゃあ、断っておくよ」
ぱちぱち水のひかりをふりまいて、照れくさそうに目を伏せるウェザを振りかえった僕は、胸をたたく。
「逢う!」
「……え……」
「トェル!」
心配してくれるウェザとリィフェルに、微笑んだ。
「誰も憎みあわない、やさしい世界のために。
僕のことを、きらいな精霊のさいわいを祈ってみたら、自分が楽になったの」
リィフェルの手をにぎる。
「おとーたの、おともだちの、ノォナも、アライアも。
僕のことを殺そうとした精霊たちも。
ゆるすとか、愛するとか、むつかしくても、さいわいなら、祈れるから」
そう、最愛のたいせつな精霊たちを、憎まないために。
「誰かを、きらうんじゃなくて、憎むんじゃなくて、さいわいを祈れたら。
自分が、救われる」
最愛を、抱きしめる。
「おとーたが、僕を、やさしくしてくれるんだよ」
せのびして、口づける。
「ずっと、ずっと、あいしてる」
月のひかりが、揺れる。
涙のように輝いて、抱きしめてくれた。
「あいしてる、トェル」
かさなるくちびるが、とけてゆく。
ちゅうを教えてくれたのは、あなたでした。
僕のはじまりは、あなたでした。
僕を救ってくれたのも
僕を生かしてくれたのも
僕を守ってくれたのも
僕を追いかけてくれたのも
僕のために命をかけてくれたのも、あなたで
どきどきするのも
頬が熱いのも
傍にいたいのも
抱きしめたいのも
ちゅうしたいのも、あなたで
僕のすべてを捧げたいのは、あなたなのです。
はじめて、あなたに逢った、あの日から
どんなことがあろうとも
あなたが僕の、あいしてる。
────────────────
ずっと読んでくださって、ありがとうございます!
はっぴーはろうぃんで、表紙を変えてみました!(笑)
トェルの羽、こうもりさんも可愛いですね(笑)
明日の朝になったらまじめな表紙(笑)に戻ります!
うさちゃんとリルとトェルとももちゃんのしあわせ暮らし 、完結です!
ずっと読んでくださって、ほんとうにありがとうございました!
また何か思いついたりしたら、お書きできたらいいなと思います。
切なくて大変なふたりをずっと見守ってくださって、最後まで読んでくださって、おまけまで!
読んでくださったあなたさまに、感謝の気もちでいっぱいです。
お気に入りや、いいねや、エールに、とても、とても励まされました。
心から、ありがとうございます!
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