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うまうま
しおりを挟む「ありがとう」
ふたつ、お肉の串を受けとったムニャが、ひとつを僕に渡してくれる。
あまいお肉とタレの香りが立ちのぼり
「ぐぅううう」
僕とムニャのお腹が、いっしょに鳴った。
ふたりで顔を見あわせて、ふたりで笑う。
「食べよう、ぽて」
「あい!」
「……どこで、座って食べたらいいのかな?」
首をかしげるムニャに、あちあちの串にどきどきしながら、胸を張る。
「たった、まま!」
「立ったまま、た、食べるの……? こ、ここで?」
目をまるくするムニャに、うなずく。
「おみせの、まえ、からは、ちょと、よけゆの。おじゃま、しなぃ、よぅに!
やたぃ、たちぐぃ、なの! おぃしーよ!」
「そ、そうなんだね……!」
びっくりしたように瞬いたムニャの手を繋いで、お店の脇へと避けた。
前にいると、次のお客さんが買いにくいからね。
期待の目で、僕はムニャを見あげる。
「むーちゃん、たべて!」
「ぽては?」
「ひとくちめ、むーちゃん!」
ふうわり笑ったムニャが、立ったまま、見たことのない食べ物を口にするように、おそるおそる口を開けた。
白い歯が、焼きたてのお肉をかじる。
「あち……!」
びっくりしたように夜空の瞳が、まるくなる。
「おいしい……!」
こぼれた言葉といっしょに、もっと見開かれる瞳に、僕も、見守っていたおじちゃんも、ほっとしたように唇をほころばせた。
「ぼくも!」
そうっと、あまい香りのお肉に、口を開く。
「はむ! あちち……!」
熱かった!
でもでも、濃厚なタレが、じゅわじゅわ溶けるお肉の脂と、赤身から、したたり落ちる肉汁とからまって──
「うま──!」
ぴょこぴょこ跳ねる僕に、おじちゃんが笑う。
「失礼をしちまったから、一個おまけだ」
ムニャにもう1本、お肉の串を持たせてくれた。
「ありがとう。また来ます」
おじちゃんの目が、まるくなる。
瞳が、左に右にさまよって
「……ありがとう」
つぶやいて、おひげの向こうで、ほんのり笑ってくれた。
「ぽて、はんぶんこ」
「はんぶんこ! 2かいめね」
とろけて笑って、いっしょの串を、ふたりでかじる。
「あちち……!」
「おぃひー!」
あちあち、じゅわじゅわの、ごちそうに、笑顔があふれてゆくのです。
「お腹もふくれたから、ぽての服を買いに行こう!」
ホーおじいちゃんが描いてくれた、ちいさな木の板の地図を、ムニャが掲げる。
「ぼ、ぼくの、ふく……!?」
跳びあがる僕に、こっくりムニャが、うなずいた。
「寒いでしょう。僕の服は大きすぎるし、僕もこれしか持っていなくて。なるべく抱っこしたんだけれど」
僕が寒くないように、抱っこしてくれてた!
……僕を、抱っこしたいからじゃ、なかった……?
それは、ちょっと、しょんぼりかもしれない……
しゅんと、しょげてしまいそうな僕は、首をふる。
でもでも、むーちゃんの気もちは、とっても、うれしいのです!
「むーちゃん、あったかぃ。ありがとぅなの」
微笑んだムニャが、僕の手を引いてくれる。
「これは、大切なことだから。ぜいたくじゃなくて、生活するのに大事なものだから。ちゃんと買おう。ね?」
おかねを使うたびに『だめ!』『しぇつやく!』叫んでしまう僕を納得させるように、真剣に伝えてくれる。
「……むーちゃん、ありがとぅ。ぼく、ぼく、いっしょぅけんめー、かしぇぐ!」
「僕も一緒にがんばるね」
僕と手をつないで笑ってくれる。
ホーおじいちゃんの地図には、とても入り組んだ道が書かれていて、ふたりで首をかしげながら、くるくる地図を回して、鐘の塔で位置を確認しながら、わくわく進んだ。
「どきどきするね!」
「すりゅ!」
ふたりで手をつないで、笑ったら、街の路地も探検みたいだ。
とくとく音をたてる胸で、むーちゃんと歩く。
昨日までは想像さえしなかった、しあわせが、降りてくる。
────────────────
ずっと読んでくださって、ほんとうにありがとうございます!
すぐ減っちゃうかもですが、今は、ひさしぶりに!(笑)連載中にお気に入り1000、ありがとうございます……!
ぽて と むーちゃんといっしょに、とても、とてもうれしいです。
感謝の気もちをこめて、動画をつくってみました!
インスタグラム @yuruyu0
YouTube @BL小説動画
プロフのwebサイトからどちらにも飛べるので、もしよかったら!
お気に入りや、いいねや、エールや、ご感想で応援してくださる皆さまに、感謝のきもちでいっぱいです。
ここまで、ずっと読んでくださった、あなたさまに、心から、ありがとうございます!
1,125
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