僕の、しあわせ辺境暮らし

  *  ゆるゆ

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ゴトゴト!

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 重たくて、おっきい、やすい麦の粉のふくろを、ふたつ買って、ちっちゃい、やすい麦の粉をひとつ、もらいました。

「ぉとく!」

 踊ってしまう僕を、ムニャが、なでなでしてくれる。

「ありがとう、ニコ。じゃあ……」

「いや、あの、持てないよな? 台車を貸そうか?」

 心配してくれるニコに、ムニャが微笑んだ。

「向こうに台車を置いてあるんだ。ありがとう」

「いや、おっきいの1個を運ぶのも、無理だろ!」

 ムニャの細腕に叫ぶニコに、おっきな麦の粉の袋を見つめたムニャは、考えるように首をかしげた。

「じゃあ、ええと、台車のところまで、台車を貸してくれる?」

「おうよ!」

 お店の裏から台車を持ってきてくれたニコが、大きな麦の袋をひとつ、載せてくれる。

「2こ載せると落ちるからな。1こずつ行くといい」

「ありがとう」

 微笑んだムニャが、おっきな麦の袋のうえに、僕をのせる。

「わぁ!」

「行こう、ぽて。しっかり、つかまっててね!」

「あい!」

 目をまるくしたニコが笑って、手をふってくれる。

「またな、ぽて!」

「またにぇ、ニコ!」

 ぶんぶん大きく手をふったら、傾いた身体をムニャが支えてくれた。

「あんまり動くと危ないよ、ぽて」

「あい! くるま! ゴトゴト、しゅごぃ!」

 麦の粉のうえで、ぴょんぴょん跳ねてしまいそうな僕に、ムニャが笑う。

「落ちないようにね」

「あい!」

 にぎやかな広場を、ゴトゴトの台車が、ムニャに押されて駆けてゆく。

 ひと気のない方へ、ない方へと台車を進めて、こわーいお兄さんやおじちゃんが出てこないのを確認してから、ムニャが麦の粉と僕をおろした。

 建物のうえと、道のあちこちを確認した僕が、手をあげる。
 ○をつくったら、しゃっとムニャが麦の粉を影に落とした。

 重たい、重たい麦の粉が、真っ暗な影に吸いこまれて消えてゆく。

「むーちゃん、しゅごぃ!」

 ささやいて、拍手したら、ほんのり朱い頬で笑ってくれた。

 ムニャがまた、僕を台車に乗せてくれる。


「わー! ゴトゴト!」

「しっかり、つかまっててね、ぽて」

「あい!」

 にぎやかな街の広場を台車でゴトゴト戻ってきた僕とムニャに、ニコの目がまるくなる。

「ぽても、帰ってきた!」

「あい! またにぇ、したの。また、あったの!」

「はやいよ!」

 ニコの目が、まんまるだ。

「ひとりにすると、危ないから」

 真剣なムニャの顔に、ニコがうなずく。

「もっともなんだけどさ、麦の粉を台車のうえに置いていくと、戻ったときには、ないぞ?」

 ………………。

 そうでした!

 あわあわしたムニャをかばうように、僕が手をあげる。

「おにーさんに、ぉかね、わたして、みててねって、おねがぃ、したの!」

「おお! さすが、ぽて!」

 拍手してくれたニコは、微笑んだ。

「おにーさんが、いい人だといいな」

「もちにげ……! きゃ──!」

 びっくりしてから、僕がうそつきだったことを思いだして、ニコに申しわけなくて、しょぼんとする。
 ぜんぶ分かったみたいに、ムニャが僕の頭をなでなでしてくれた。

「急いで戻るよ! 麦の袋、おっきいのと、ちっちゃいの、お願いできるかな」

「あいよ!」

 ニコが麦の粉を載せてくれる。

「こっちは、ぽてが持つか?」

「あい!」

 ちいさい麦の袋を、持ちました!

 ムニャが大きな麦の粉のうえに、ちいさい袋を持った僕をのせてくれる。

「台車を返してくれるときに、また来てくれそうだけど、いちおう、またな、ぽて!」

 ニコが笑って、手をあげる。

「またにぇ、ニコ!」

 僕も笑って、手をふった。


「きゃ──!」

 ゴトゴト台車を押してくれるムニャに手をふったら、ムニャが笑ってくれる。


「なんか、かわいーのがいる……!」

 街のひとが、ざわざわしてる!





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