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休日は、実はまったり過ごしていることが多い。
買い物などに行くこともあるが、そういう用事は午後からと言うルーティーンが出来ていた。
そうしてゆっくりしていると、インターホンが鳴った。
俺たちは、お互いに顔を見合わせて今日の予定を思い出す。
荷物が届くなど聞いていない。それに、誰かが来る予定も。
とりあえず、インターホンを覗く。
『よお、兄貴。なぁ、入れてくれよ?』
「っ、そ、空……」
驚きが過ぎる。
俺は思わず、インターホンから距離をとってしまった。
それに気が付いた緑が近寄って来る。
「陸さん?」
「あ、いや……」
どうしよう?と言う目で緑を見れば、インターホンから、なぁ兄貴~、と言うやる気のない声が聞こえてきた。
それに、緑は少し考えた後。
「えっと、陸さんの弟さんですね?」
『そーだけど、あんた何?なんで兄貴の部屋に居んの?』
「察しが悪いですね?あ、見ます?僕の項」
そこにはばっちり、俺が噛んだ噛み跡が残っているだろう。
『っ!オメガかよ!!ふざけんな!!』
「ふざけて何か居ませんよ?僕と陸さんは運命の番なんです。他の方に迷惑なので、もう切りますね?今日は、僕と用事があるので帰ってください」
それでは、と緑はインターホンを切った。
つ、強い……と内心感心する。
振り向いた緑はにこりと笑った。
「あ、今日だけじゃありませんでしたね。今日も、でしたね」
ふふふっ、と笑う緑が少し怖い。
「陸さんの未来はぜーんぶ、僕のですもんね」
「そ、そうだね……」
は、ははは、と笑い返すことしかできなかった。
いや、何か強い……。
後日聞いた話だと、あの後暴れた空は警備会社の人につかまって、今は……秘書の野口さんのところに居るらしい。
何で?と聞いたけど、にっこりと笑い返されてしまった。いや、怖いよ。
「休日は大変だったみたいだね。私の知り合いでよければ、警備を強化しようか?」
「あのマンションに?必要ないだろ……それより、コレ、ハンコくれ」
そうして、書類を差し出す。
その他にもサインが必要なものも山ほど。
まぁ、一週間ため込んである仕事の処理をする日が月曜であるこの日なので仕方がないことだ。
はぁ、と目の前の紺野はため息を吐くが、今日はどこか調子がよさそうだ。
「あぁ、そうだ。陸君には言っておこう。実は、雪が妊娠してね?」
「……おめでとう、ございます?」
「ありがとう。で、私はこれから定時には必ず帰るから」
「そうですか。じゃあ、書類全て倍速で終わらせてくださいね」
俺が笑えば、は、はは、と笑った紺野がため息を吐いた。
野口さんもなぜか調子がよさそうで、にこにこしてる。
まぁ、平和で良い日だとは思うが……。
「あぁ、そうでした」
そう、思い出したかのように野口さんが話し出す。
「君の元家族に監視が付くことになりました」
「……監視?」
「えぇ。君の弟の件もありましてね?」
そ、そうですか、と返すことしかできない。
「密かに、ご近所では噂になるようなご家族みたいでしたし……ね?」
「そう、なんですか……」
ここ近年、人がいる時間帯に帰ることが稀だったためか、そういう噂話も知らない。
野口さんの方が、実家のご近所に詳しいのではないか?と思えるほど。
「特に弟さんと妹さんは、酷いみたいですね。必死にご両親が隠そうとなさっていますけど。まぁ、あなたが家を出た影響もあるのでしょうが」
「俺が、家を出た影響?」
「これ以上は、私が話す内容としては不適切ですので、控えさせていただきますね」
どういう事?と思わなくはないが、極力実家とは関わりたくないので、それ以上聞かない事にする。
定時ぎりぎりに仕事が終わり、俺たちはそれぞれの帰路へとついた。
家に帰れば、おかえりなさい、と緑が出迎えてくれる。
あぁ、新婚とはすばらしい。
「ただいま!うん、ただいま!」
「え?いや、陸さんどうしたんですか?」
泣きそうな声で言った俺に、緑はわかりやすく引いていた。
いや、それでもいいんだ、いいんだ……。
「緑がいてよかった……」
「???俺も、陸さんでよかったですよ?」
ぎゅっと抱きしめれば、抱きしめ返してくれる。
温かい家と食事があって、一日の話を聞いてくれて、風呂に入って一緒に眠る。
そんな、なんてことない一日が過ぎる中、なんてことない日などなかったのだと気が付く。
緑にだって、やることはあるし、やりたいこともあるだろう。
それでも、家事・炊事をしてくれている。実家じゃ、考えられない事だ。
「俺……愛されてるな」
「どうしたんですか?今日の陸さん」
小首をかしげる緑に、ははっ、と俺は笑った。
「ちょっと、センチになってたのかも」
「んー、じゃあいっぱい甘やかしてあげないとだめですね」
そうして、緑の腕が開かれ、胸元へと頭が吸い寄せられた。
抱き込まれ、頭を撫でられいいこいいこ、と年甲斐もなくされる。
が、嫌ではない。
あぁ、緑と結婚してよかったと思える、そういう瞬間が今でも、問題はないだろう……。
俺はそっと、目を閉じた……。
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買い物などに行くこともあるが、そういう用事は午後からと言うルーティーンが出来ていた。
そうしてゆっくりしていると、インターホンが鳴った。
俺たちは、お互いに顔を見合わせて今日の予定を思い出す。
荷物が届くなど聞いていない。それに、誰かが来る予定も。
とりあえず、インターホンを覗く。
『よお、兄貴。なぁ、入れてくれよ?』
「っ、そ、空……」
驚きが過ぎる。
俺は思わず、インターホンから距離をとってしまった。
それに気が付いた緑が近寄って来る。
「陸さん?」
「あ、いや……」
どうしよう?と言う目で緑を見れば、インターホンから、なぁ兄貴~、と言うやる気のない声が聞こえてきた。
それに、緑は少し考えた後。
「えっと、陸さんの弟さんですね?」
『そーだけど、あんた何?なんで兄貴の部屋に居んの?』
「察しが悪いですね?あ、見ます?僕の項」
そこにはばっちり、俺が噛んだ噛み跡が残っているだろう。
『っ!オメガかよ!!ふざけんな!!』
「ふざけて何か居ませんよ?僕と陸さんは運命の番なんです。他の方に迷惑なので、もう切りますね?今日は、僕と用事があるので帰ってください」
それでは、と緑はインターホンを切った。
つ、強い……と内心感心する。
振り向いた緑はにこりと笑った。
「あ、今日だけじゃありませんでしたね。今日も、でしたね」
ふふふっ、と笑う緑が少し怖い。
「陸さんの未来はぜーんぶ、僕のですもんね」
「そ、そうだね……」
は、ははは、と笑い返すことしかできなかった。
いや、何か強い……。
後日聞いた話だと、あの後暴れた空は警備会社の人につかまって、今は……秘書の野口さんのところに居るらしい。
何で?と聞いたけど、にっこりと笑い返されてしまった。いや、怖いよ。
「休日は大変だったみたいだね。私の知り合いでよければ、警備を強化しようか?」
「あのマンションに?必要ないだろ……それより、コレ、ハンコくれ」
そうして、書類を差し出す。
その他にもサインが必要なものも山ほど。
まぁ、一週間ため込んである仕事の処理をする日が月曜であるこの日なので仕方がないことだ。
はぁ、と目の前の紺野はため息を吐くが、今日はどこか調子がよさそうだ。
「あぁ、そうだ。陸君には言っておこう。実は、雪が妊娠してね?」
「……おめでとう、ございます?」
「ありがとう。で、私はこれから定時には必ず帰るから」
「そうですか。じゃあ、書類全て倍速で終わらせてくださいね」
俺が笑えば、は、はは、と笑った紺野がため息を吐いた。
野口さんもなぜか調子がよさそうで、にこにこしてる。
まぁ、平和で良い日だとは思うが……。
「あぁ、そうでした」
そう、思い出したかのように野口さんが話し出す。
「君の元家族に監視が付くことになりました」
「……監視?」
「えぇ。君の弟の件もありましてね?」
そ、そうですか、と返すことしかできない。
「密かに、ご近所では噂になるようなご家族みたいでしたし……ね?」
「そう、なんですか……」
ここ近年、人がいる時間帯に帰ることが稀だったためか、そういう噂話も知らない。
野口さんの方が、実家のご近所に詳しいのではないか?と思えるほど。
「特に弟さんと妹さんは、酷いみたいですね。必死にご両親が隠そうとなさっていますけど。まぁ、あなたが家を出た影響もあるのでしょうが」
「俺が、家を出た影響?」
「これ以上は、私が話す内容としては不適切ですので、控えさせていただきますね」
どういう事?と思わなくはないが、極力実家とは関わりたくないので、それ以上聞かない事にする。
定時ぎりぎりに仕事が終わり、俺たちはそれぞれの帰路へとついた。
家に帰れば、おかえりなさい、と緑が出迎えてくれる。
あぁ、新婚とはすばらしい。
「ただいま!うん、ただいま!」
「え?いや、陸さんどうしたんですか?」
泣きそうな声で言った俺に、緑はわかりやすく引いていた。
いや、それでもいいんだ、いいんだ……。
「緑がいてよかった……」
「???俺も、陸さんでよかったですよ?」
ぎゅっと抱きしめれば、抱きしめ返してくれる。
温かい家と食事があって、一日の話を聞いてくれて、風呂に入って一緒に眠る。
そんな、なんてことない一日が過ぎる中、なんてことない日などなかったのだと気が付く。
緑にだって、やることはあるし、やりたいこともあるだろう。
それでも、家事・炊事をしてくれている。実家じゃ、考えられない事だ。
「俺……愛されてるな」
「どうしたんですか?今日の陸さん」
小首をかしげる緑に、ははっ、と俺は笑った。
「ちょっと、センチになってたのかも」
「んー、じゃあいっぱい甘やかしてあげないとだめですね」
そうして、緑の腕が開かれ、胸元へと頭が吸い寄せられた。
抱き込まれ、頭を撫でられいいこいいこ、と年甲斐もなくされる。
が、嫌ではない。
あぁ、緑と結婚してよかったと思える、そういう瞬間が今でも、問題はないだろう……。
俺はそっと、目を閉じた……。
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