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第6話「氷の玉座、獣の末路」
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玉座の前に立つレオン殿下。
かつてわたくしを侮辱した男。
今はその瞳が焦燥に濁り、手は震えている。
「陛下、どうか……我が国をお救いください。疫病が――!」
「王国が追放した令嬢に、救済を求める?」
ユリウス陛下の声は冷たかった。
レオン殿下が苦しげに眉を寄せ、わたくしに向き直る。
「セレナ! 頼む! お前なら我が呪いを――」
「もう“婚約者”ではございませんわ。
そして“わたくし”は、恩を返せと言われても何一つございません」
広間がざわつく。
わたくしは静かに一歩、彼に近づいた。
その瞬間――
レオン殿下の体が痙攣し、口から呻き声が漏れた。
「ぐ……あっ……!」
「殿下!?」
彼の肌が黄金に染まり、爪が伸び、牙が覗き――
「う……がお……ッ!!」
――獣の咆哮。
貴族たちが悲鳴を上げ、後ずさる。
床に散った魔力の残滓が、黒く蠢いた。
「……呪い、ですのね」
「み、見るな……セレナ……!!」
かつて高貴だった少年は、四つ足の獣へと姿を変えていく。
それは――
「ライオン……?」
ざわめきが広がる。
誰かが囁く。
「王国の“レオン”が……ライオンに……?」
「まさか、神罰……?」
レオン殿下は苦しげに地をかく。
もう人の声は出せない。
「お前は……自ら選んだのです」
わたくしは静かに告げた。
「弱き者を嘲り、守るべき者を捨て、
虚栄と欲に飲まれた結末ですわ」
「ぐる……ッッ……!!」
苦しみ、吠えるしかない元婚約者。
その姿は憐れで、醜くて、恐ろしくて。
それでも――少しも哀れには思えなかった。
わたくしの掌が、淡く光った。
それは癒しの光ではない。真実を照らす光。
黒い影がレオンを包み、呪いの文字が浮かぶ。
《傲慢 / 虚飾 / 裏切り》
「見てごらんなさい。
これは神が告げた“あなたの罪”です」
「がおおおおお!!」
「――獣らしく生きなさい。
あなたが“わたくしを人扱いしなかった”ように」
ライオンと化したレオンは、兵に囲まれ、
哀れな咆哮を残して引きずられていった。
◇
静寂。
「セレナ」
ユリウス陛下がわたくしの手を取る。
冷たい掌が、やさしい熱を帯びる。
「その目を曇らせる者は、二度と現れさせぬ」
「……恐ろしいお方ですわ、陛下」
「必要とあらば、世界すら凍らせよう」
彼は囁き、わたくしを見つめた。
「――お前を守るためなら」
その瞳の熱に、心臓が焼けそうになる。
けれど逃げない。
わたくしは、もう“弱い令嬢”ではないから。
「ならば、わたくしも誓います」
ユリウスの手を握り返す。
「あなたの敵を、光で裁くと」
氷と光が、誓いを立てた。
かつてわたくしを侮辱した男。
今はその瞳が焦燥に濁り、手は震えている。
「陛下、どうか……我が国をお救いください。疫病が――!」
「王国が追放した令嬢に、救済を求める?」
ユリウス陛下の声は冷たかった。
レオン殿下が苦しげに眉を寄せ、わたくしに向き直る。
「セレナ! 頼む! お前なら我が呪いを――」
「もう“婚約者”ではございませんわ。
そして“わたくし”は、恩を返せと言われても何一つございません」
広間がざわつく。
わたくしは静かに一歩、彼に近づいた。
その瞬間――
レオン殿下の体が痙攣し、口から呻き声が漏れた。
「ぐ……あっ……!」
「殿下!?」
彼の肌が黄金に染まり、爪が伸び、牙が覗き――
「う……がお……ッ!!」
――獣の咆哮。
貴族たちが悲鳴を上げ、後ずさる。
床に散った魔力の残滓が、黒く蠢いた。
「……呪い、ですのね」
「み、見るな……セレナ……!!」
かつて高貴だった少年は、四つ足の獣へと姿を変えていく。
それは――
「ライオン……?」
ざわめきが広がる。
誰かが囁く。
「王国の“レオン”が……ライオンに……?」
「まさか、神罰……?」
レオン殿下は苦しげに地をかく。
もう人の声は出せない。
「お前は……自ら選んだのです」
わたくしは静かに告げた。
「弱き者を嘲り、守るべき者を捨て、
虚栄と欲に飲まれた結末ですわ」
「ぐる……ッッ……!!」
苦しみ、吠えるしかない元婚約者。
その姿は憐れで、醜くて、恐ろしくて。
それでも――少しも哀れには思えなかった。
わたくしの掌が、淡く光った。
それは癒しの光ではない。真実を照らす光。
黒い影がレオンを包み、呪いの文字が浮かぶ。
《傲慢 / 虚飾 / 裏切り》
「見てごらんなさい。
これは神が告げた“あなたの罪”です」
「がおおおおお!!」
「――獣らしく生きなさい。
あなたが“わたくしを人扱いしなかった”ように」
ライオンと化したレオンは、兵に囲まれ、
哀れな咆哮を残して引きずられていった。
◇
静寂。
「セレナ」
ユリウス陛下がわたくしの手を取る。
冷たい掌が、やさしい熱を帯びる。
「その目を曇らせる者は、二度と現れさせぬ」
「……恐ろしいお方ですわ、陛下」
「必要とあらば、世界すら凍らせよう」
彼は囁き、わたくしを見つめた。
「――お前を守るためなら」
その瞳の熱に、心臓が焼けそうになる。
けれど逃げない。
わたくしは、もう“弱い令嬢”ではないから。
「ならば、わたくしも誓います」
ユリウスの手を握り返す。
「あなたの敵を、光で裁くと」
氷と光が、誓いを立てた。
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