すべて『反射』してしまうようです

夜桜

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言葉も反射する

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 これでもうエヴァと会う事はないと――そう思っていた。

 けれど。


「ちょっと待ってよ、ブルース先生!」
「なんだい、エヴァ」

「そんな女より、わたくしを選ぶべきよ! わたくしは何だってしてあげられるし、絶対に幸せになれるんだから」

「そうかもね。それでも僕はエイラを取る」
「……なんで。そんな価値のない女なんて――!!」

 声を荒げるエヴァ。
 その瞬間には“言葉”が反射して、エヴァへ跳ね返った。

 エヴァは、自分を“価値のない女”とつぶやき落ち込んでいた。……え、反射ってこんな事も可能なの?

「ブルース、これは……」
「ああ、反射の効果だ。エヴァは今、自分の口にした言葉によって自滅した。まさに自業自得」

 つまり、そういう事だった。
 エヴァの放った暴言が自分へ返ったんだ。
 結果、彼女は自分の言葉によって傷つけられた。

 それも、物理的にも精神的にも。

 よく見ると、エヴァの腕には『価値のない女』と裂傷で刻まれていた。……うわ、なにあの傷。

「……痛い。痛いです。腕も心も」
「エヴァ、言葉は武器だ。相手を傷つけたり、時には殺す場合もある。特にエイラ相手には控えた方がいい。彼女は“すべてを反射”する能力を持つのだから」


 ついにエヴァは虚無になった。
 背を向けトボトボと帰っていく。

 まるで廃人みたい。


 * * *


 お屋敷に戻り、ブルースを迎えた。
 ちょうどお父様とお母様が出迎えてくれて、ブルースの顔を見て驚く。

「おぉ、ブルースくん! 久しぶりだな」

 お父様もお母さまもブルースを好意的に歓迎する。昔から、彼を気に入ってくれていた。

「お二人ともお元気そうで良かったです」
「腰が悪い以外は普通だよ。ところで、ブルースくん、君は隣国オルドビスの教授だそうだね」

「ええ、もう一年以上になります。エイラの特異体質を治療する為に尽力していました」
「そうだったのか。娘の為に! ありがとう。エイラは昔から不運に見舞われていた。誰かに呪いを掛けられているんじゃないかとも疑ったが……原因不明。
 だけど、ブルースくんなら期待してもよさそうだな」

「お任せください。エイラの不運は必ず取り除いてみせます」


 そう断言してくれて、わたしは嬉しかった。
 でも、反射が発動してからは一度も不幸にはなっていなかった。なんでだろう?

 ふとブルースを見る。

 もしかして……ブルースが傍にいるから?


 だとすれば、ブルースを離すわけにはいかない。誰にも渡さない。
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