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14 ~天Side~
しおりを挟む「秋弥!!」
どうやら場所はビンゴだったらしく、床に倒れている彼の姿が目に入る。
「なんで来やがった!? まだ準備できてねぇのに!」
「隠れて連絡取りやがったのか!? くそっ」
「相手するのは会長だけじゃなかったのかよ! なんでこんな人数!」
突然の事態にあわあわしている男たちを、居合わせた仲間とともに制圧する。こちらは倍以上の人数が居たため、すぐに決着がついた。
「首謀者は、誰?」
伸びている男達に向かって、そう問いかける。身体的にも社会的にも再起不能にしてやりたいくらいには腸が煮えくり返っていた。
男たちは、答えない。意外にも義理堅いメンバーが集められているようだった。
「答えないなら、全員に重い罰を与えるけど」
この学園では俺がルールなのだから、学園内では何でもすることができる。たとえばここで後遺症が残るくらいのケガを負わせたって、もみ消すことだってできるのだ。あることないことでっちあげて素行不良な生徒と通知表に書いてもらえば、まともな大学や就職先に進めなくすることだってできる。
この学園で会長にケンカを売るということは、そういうことだった。
「こいつです! こいつに言われてやりました!」
数秒の沈黙のあと、耐えきれなかったとように1人が叫び出す。
「はぁ? お前裏切るのかよ!」
「計画通りにいかなかったのが悪いんだろ! 責任とれ!」
「そうだそうだ、杜撰な計画立てやがって」
「てめぇらだって能無しみたいについてきただけだろ!」
床に押さえつけられながらも怒鳴り合う彼らが滑稽に見える。もちろん罰は首謀者だろうと実行犯だろうと同等のものにしてやるつもりだが、こう言うことで仲間割れを誘うことができる。次の攻撃が俺たちではなく、仲間同士に向くための布石だった。
「まぁそれはそれとして。彼を傷つけた分くらいは全員苦しんでもらおうかな」
痛みにか、あるいは恐怖にか。以前として気絶している彼をちらと見る。こんな姿を見せられて、書類上の処分だけで穏便に済ませられるはずがなかった。
「悪いけど、押さえててね」
「はいっ……!」
生徒会長が暴力行為をするなんて。そう言って止める者は、ここに1人もいなかった。心酔している連中は、きっとこの行為も「『サポーター』のために自ら悪い奴らを成敗するなんてカッコイイ」と置き換えるんだろう。ただの俺の、憂さ晴らしに過ぎないとしても。
ドゴッ、ドカッ、バキッ。
手は汚さない主義だったけれど、実際に自分で手を下してみると気持ちがいい。
まだまだ足りないけれど、少しだけ溜飲が下がる心地がした。
「ん……?」
派手な音に目を覚ましたのか、はたまた悪者が伸びたことに本能的に安堵を感じたのか。秋弥が身じろぎ、薄く目を開ける。
「何の音……え、会長……何してんですか!」
咎める人がいるとしたら、彼くらいのものだと思っていた。予想通り非難めいた声が聞こえたことに、少しだけ笑みがこぼれる。
「もう少し眠っててくれればよかったのに」
「こんな大勢の前でこんな……! 変な噂たったらどうするんですか!」
「大丈夫だよ。この子たちが俺が不利になる情報出すわけない」
「でもっ! 暴力なんてダメですよ」
「なんで? 君がされたから代わりに俺がしてるだけなのに」
縛られながらもそもそと動く彼。拘束を解いてあげると、両手を掴まれた。
「会長には、完璧なままで居てほしい」
「はぁ……。わかったよ」
確かに暴力沙汰が変な風に拡散されて俺の立場が危うくなれば、彼が頑張って媚びを売ってきた意味もなくなってしまう。
一通り蹴り終えて気持ち的にもすっきりしたし、ここは彼の言うことに従ってあげようと思った。
「ありがとうみんな、おかげで助かったよ。ここはあと任せていいかい? 要に連絡を取ったら、きっとうまく処理してくれるだろうから」
分かりました、お疲れ様です、かっこよかったです、なんて声が溢れる。彼らに感謝しつつもそれらを聞き流して、彼の手を引いた。
「帰るよ」
「っ、はい」
握った手は酷く冷えていて、やるせない気持ちになった。
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