2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~

青ムギ

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19話

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「はぁ……」店の外に出て深くため息をつく。肌寒さを感じる寒空に白い息が混ざる。

伊崎に病気の事を打ち明けてから、テンションが落ちた。俺は、悲しそうな顔をする伊崎を見ていたら居たたまれなくなり店の外へ逃げ出した。

「申し訳ない事をしたなぁ…」飲みの席で病気を打ち明けて楽しい雰囲気を壊した事、体調を崩す度に迷惑を掛けていた事全てに罪悪感が込み上げてきてその場に座り込み頭を抱える。伊崎にあんな顔をさせたかった訳じゃないんだけどな…。


下を俯いた瞬間、地面が赤くなっていることに気づき思わず鼻に手を当てる。いつから出ていたのだろうか、少しづつ量を増やしながら出てくる鼻血にうんざりした。人通りが多い居酒屋街で鼻血を出していれば人目にもつく。俺は慌てて店の中へ戻り伊崎の元に行った。

「伊崎、ごめん。……先に帰るな」帰り支度をし申し訳なさそうに謝ると、伊崎は慌てた様子で「俺も一緒に出るよ」と鞄とコートを持ち靴を履きだす。

「ごめん…」また俺の所為で迷惑をかけたと思い、伊崎に届かない声で謝る。











━━━━━━━カシュッ

「気分はどうだ?」温かい缶コーヒーを差し出しながら隣に座る伊崎。

「大分マシになったよ、ありがとう。」缶コーヒーを貰いながら感謝を伝え1口飲む。

居酒屋を出た後、近くの公園のベンチに座り、ハンカチで鼻血が止まるのをずっと待っていた。その間、体調や気分の有無を確認し自分のコートを俺に掛けてくれた。

「伊崎…」

「何だ?」コーヒーを飲みながら視線をこちらに向ける。

「今日は……その、…」改めて感謝を伝えようとすると恥ずかしくなってしまい、下を俯きながら話を続ける。

「色々と…ありがとう。」

「………。」

の事、本当は誰にも言わないでおこうとしてたんだ…。周りに気を使われるのが嫌で……それに、…」

「なぁ、蓮見。」突然会話を遮られて名前を呼ばれたので、驚いて顔を上げる。

「俺は、蓮見が病気で死ぬかもしれないって言った時最初は何の冗談だろうて思ってた。でも、日に日に体調が悪化しているのを見て現実なんだって思った。」

「…。」

「蓮見が居なくなる事を想像すると、悲しすぎて泣きそうになった。でも、それ以上に病気と闘ってる蓮見がいちばん辛いんだなって思ったんだ。俺は話を聞く事しか出来ないけど、蓮見は弱音や愚痴をどんどん声に出して俺にぶつけてほしい。」

伊崎の声色から伝わる優しさが心に染みる。思わず泣きそうになってしまい、下を俯く。
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