特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし

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憧れるものと嫉妬するもの1

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 夕方

 白と灰色を基調としたズボンとシャツに、バーガンディー色のベスト、そしてそれらを覆うやたら襟のでかいコート。貴族男性の服ってググったら真っ先に出てきそうなスタイルである。

 履き慣れないロングブーツで木の板でできた床をカツカツと鳴らせて、庭にある馬車に向かった。

 庭にはエリゼさんとリンゼさんが礼儀正しく立って待機している。

「ハルト様、その服、とてもお似合いでございます」
「ありがとうございます」
 
 大人しいリンゼさんが口を開いて俺の姿を褒める。それに続く形で子供っぽいエリゼさんがほくそ笑んで話す。

「アリスお嬢様の旦那様にふさわしい外見です!あっ!まだ結婚はされてませんでしたね……あはは、ごめんなさい」
「い、いいえ」

 普通ここは大人しいリンゼさんが突っ込むところだが、何も言ってこいないあたり、無言の圧力をかけていることがわかる。

 アニエスさんもメイドさんたちも表面上はあまり口には出さないが、結婚という言葉が出たら、俺の顔に穴が開くほど見つめるのだ。食事中にアニエスさんが綺麗な婚約指輪を発見したとか言って俺をチラチラ見たりと、うん……ちょっと露骨すぎません?

 まあ、もちろんそのつもりでお付き合いさせていただいているわけだが、まだ俺は認められていない。

 この世の人たちから

 だから、今回のパーティーは謎だらけのメディチ家の絶世の美女であるアリスの男の存在を世に知らしめるきっかけになると、シエスタメイド長が教えてくれた。

 馬車でしばし待っていると、ドアから青いドレス姿のアリスが現れた。前回のパーティーで着ていたドレスとは違う類のもので、花を基調とした宝石や模様が散りばめられている。だけど、その煌びやかな装飾は、彼女の美貌に勝ることはない。メイド二人を引き連れてここにやってきたアリスは、頬を桜色に染めて俺の顔を捉える。

「アリス、綺麗だ」
「……ハルトも素敵……もう、ハイクラスの冒険者じゃなくて立派な貴族ね」
「……俺は爵位をまだ持ってないけどな」
「まだ……ね、ふふ」
「っ!と、とりあえず、馬車に乗ろう!」
「ええ」

 と言って、俺はアリスの手を握り、背中を抑えて馬車に入れて俺も中に入ってドアを閉める。
 
 因みにカロルとアニエスさんは別の用事があるとのことだ。

 その様子を満足げに見つめたエリゼさんとリンゼさんが踏むと頷き、運転席に座った。

「いってらっしゃいませ!」
「いってらっしゃいませ!」

 アリスと一緒にきた二人のメイドに見送られながらエリゼさんの隣にいるリンゼさんが手綱を引く。

X X X

 俺たちは特に話を交わすことなく、お互いの息遣いと、視線だけを感じ取り、目があったら笑うだけだった。

 やがて王宮に到着した俺たちは、馬車から降り立って、パーティー会場へと足を運ぶ。

X X X

 パーティー会場につながる廊下

 周りには貴族と思しき男女が煌びやかな服装を身にまとい、談話している。だけど、俺たちの存在に気がつくや否やピタッと声が止む。そして、ヒソヒソとつぶやき始めた。

「ね、見て見て!アリス様が殿方と一緒に歩いているわ!」
「え、本当だ!なんだか異国風の顔立ちなんだけど、ラオデキヤ王国出身の人じゃないのかな?」
「ラオデキヤの貴族男性だとアリス様のお眼鏡にかなわないからね~」
「ね~」

 女性たちは羨望の眼差しを向けながらキャッキャワイワイ大はしゃぎである。

 それに対して、男性陣は

「な、なんだあの男は!?」
「あ、アリスお嬢様が男と!?」
「クッソ!うらやまけしからん!」
「あの顔は、見たことがないね」

 嫉妬の視線を出し惜しみぜず送り続けている。

 まあ、考えてみれば当たり前だ。アリスはリンスタ公爵の爵位を持つもので、この国の中で最も美しいとされる女の子だ。

 もし、俺とアリスが日本の街中を歩いていても同じ視線を浴びることだろう。だから問題ないのだ。

 一つを除けば。

 俺に殺意を向けてくる金髪の男。
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