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6.偽装婚約(1)
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到着が夕方だったこともあり、寒さが深くなってくる。
町はそれほど明るくなく足元がおぼつかない。
それでもどうにか一本道を辿って城前につくことができた時には足元は凍傷寸前、睫毛は凍っていた。
城は何だかとても厳かな雰囲気を醸し出していた。
傭兵らしき人が門番をしており声をかけてみる。
「すみません、ぼっ私今日からここでお世話になるリリアです。」
「うん?あぁ、どうぞ。」
傭兵は疲れていたに違いない。だってこんなにもみすぼらしい女が公爵の娘に見えるだろうか。
城のドアの前にいざ立つと、急に恐怖が僕を襲う。
バルト様は酒池肉林の限りを尽くしている方だと聞いた。一時的とはいえ耐えられるだろうか。
今、逃げ出せば誰も僕のことを知らずにいられる。
でも、逃亡先は?この極寒の中、こんな軽装備でいけるのか?
踏み出すのも逃げ出すのも最悪の展開しか見えないのは僕だけ?
すると、ドアが少し開き、隙間から男は困惑した眼差しを向けてくる。
「よくぞ、おいでなさいました…リリア様、ですよね?」
向こうから来るなら意を決するしかなかった。
僕はできるだけ丁寧な挨拶をする。
「はい。バルト様の妻としてこちらに来ました。不束者ですがよろしくお願いします。」
「その件でしたら取り消しとなりました。」
「え?」
どういうことだ…?まさか、未亡人として幽閉される!?
「バルト様の意思でリリア様はユーリス様の妻となることになっています。」
ユーリス…誰だ。初めて聞く名前だが。(何度も言うように社交界には疎いからな)
「バルト様は今どちらに…?」
すると、執事らしき男は顔を曇らせる。
「どこか、お体が悪いのですか?」
「昨日の夜…お亡くなりになりました。」
亡くなった…?じゃあ、婚約は白紙に…なるのか?
でもユーリスっていう奴の妻になるとか何とか言っていたし…。
とにかくこれは逃げ出すチャンスかもしれない。
この人たちの目の届かない場所で計画を練るしかない。
「そうでしたか…では私は別の場所でしばらくは生活したほうがいいでしょうか?」
「なぜですか?」
「そうしたほうがユーリス様のためだと思うからです。」
どうだ、傷心中の未来の旦那を気遣える女に見えるだろう?
実際家族を亡くして、次の日に悪女と名高い女が家に来るなんて狂っている。
経験者は語る…あの日からの絶望を語りたくもないが。
「いいえ、お部屋も用意しておりますので今日からそちらでお願いします。」
執事は眉間を押さえてそう言う。
こういう待遇は慣れてきたが、将来は僕を歓迎してくれる家が欲しいなぁ。
実家にしろ、元婚約者の家にしろ、ここにしろ、気分が悪い。
まぁそうさせたのも僕がリリアを演じているからに過ぎないが。
「あと1つ、くれぐれもこの家に汚名を着せるような真似は慎んでください。」
「分かりました。」
勿論、もう僕はリリアを演じなくてもいいのだから迷惑をかけない範疇で好き勝手やらせてもらいます。
独立の準備をね。
町はそれほど明るくなく足元がおぼつかない。
それでもどうにか一本道を辿って城前につくことができた時には足元は凍傷寸前、睫毛は凍っていた。
城は何だかとても厳かな雰囲気を醸し出していた。
傭兵らしき人が門番をしており声をかけてみる。
「すみません、ぼっ私今日からここでお世話になるリリアです。」
「うん?あぁ、どうぞ。」
傭兵は疲れていたに違いない。だってこんなにもみすぼらしい女が公爵の娘に見えるだろうか。
城のドアの前にいざ立つと、急に恐怖が僕を襲う。
バルト様は酒池肉林の限りを尽くしている方だと聞いた。一時的とはいえ耐えられるだろうか。
今、逃げ出せば誰も僕のことを知らずにいられる。
でも、逃亡先は?この極寒の中、こんな軽装備でいけるのか?
踏み出すのも逃げ出すのも最悪の展開しか見えないのは僕だけ?
すると、ドアが少し開き、隙間から男は困惑した眼差しを向けてくる。
「よくぞ、おいでなさいました…リリア様、ですよね?」
向こうから来るなら意を決するしかなかった。
僕はできるだけ丁寧な挨拶をする。
「はい。バルト様の妻としてこちらに来ました。不束者ですがよろしくお願いします。」
「その件でしたら取り消しとなりました。」
「え?」
どういうことだ…?まさか、未亡人として幽閉される!?
「バルト様の意思でリリア様はユーリス様の妻となることになっています。」
ユーリス…誰だ。初めて聞く名前だが。(何度も言うように社交界には疎いからな)
「バルト様は今どちらに…?」
すると、執事らしき男は顔を曇らせる。
「どこか、お体が悪いのですか?」
「昨日の夜…お亡くなりになりました。」
亡くなった…?じゃあ、婚約は白紙に…なるのか?
でもユーリスっていう奴の妻になるとか何とか言っていたし…。
とにかくこれは逃げ出すチャンスかもしれない。
この人たちの目の届かない場所で計画を練るしかない。
「そうでしたか…では私は別の場所でしばらくは生活したほうがいいでしょうか?」
「なぜですか?」
「そうしたほうがユーリス様のためだと思うからです。」
どうだ、傷心中の未来の旦那を気遣える女に見えるだろう?
実際家族を亡くして、次の日に悪女と名高い女が家に来るなんて狂っている。
経験者は語る…あの日からの絶望を語りたくもないが。
「いいえ、お部屋も用意しておりますので今日からそちらでお願いします。」
執事は眉間を押さえてそう言う。
こういう待遇は慣れてきたが、将来は僕を歓迎してくれる家が欲しいなぁ。
実家にしろ、元婚約者の家にしろ、ここにしろ、気分が悪い。
まぁそうさせたのも僕がリリアを演じているからに過ぎないが。
「あと1つ、くれぐれもこの家に汚名を着せるような真似は慎んでください。」
「分かりました。」
勿論、もう僕はリリアを演じなくてもいいのだから迷惑をかけない範疇で好き勝手やらせてもらいます。
独立の準備をね。
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