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9.新しい出会い(2)
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城に帰ると執事に見つからないようこっそりと部屋に戻り、食料をベッドの下に隠してから買った石を月光に曝す。
ゆらゆらと水面を見上げながらサラサの顔を思い出す。
あの子の母親はいったいどこへ何のために連れていかれたのか。
本当に借金由来の身売りだったら買い戻すのに大層なお金が必要だろう。
小袋の中には一セシルも入っていない。
明日から初労働か…前途多難だな。
「こんにちは!魔境にようこそ!」
今日も今日とてアイゼア領に赴き、魔界への入り口となっている店、通称魔境に来てみた。
普通魔界と人間界は完全に別れており、魔界に行くためには各所にある切れ目からしか入れないようになっている。
さて、なぜ僕がここに来たか。それは大金稼ぎのためである。
魔界の物は人間界で高く売れる。石や薬草はもちろん、魔獣の一部は研究が進んでいないこともあり様々な方面に飛ぶように売れるらしい。
実際、魔界に関する研究書は学園に通っているときに読んでいたが曖昧な記述が多かった。
「超初心者なんですけど…どうしたらいいですか?」
カウンターのお姉さんは元気よく装備が置かれたブースを指差し言う。
「基本は皆さん初めはあちらの安い軽装備をレンタルして、スライム討伐や資源を回収されて帰ってこられます。お金がたまったら自分に合った物を購入してより強い魔獣を倒していくという流れです!」
「じゃあ今日はレンタルでお願いします。」
貸してもらった装備は剣一式と肘膝当て、皮の胴守り、ズボン。
更衣室で長く伸びた髪を結び団子にする。
久々に鏡で自分の顔を見た。
元の自分も醜いが、この姿も醜い。
すぐに目を逸らし、更衣室から出て切れ目に向かう。
「それではいってらっしゃいませ!」
黒々と蠢く境を前に立ちすくんでいると、半ば強引にお姉さんは僕の背中を押したのだった。
魔界は本の挿絵よりも美しい場所だ。
人間界では見たこともないような草木が生い茂り、でもどこかで人間界の豊富な自然の景色と似ている。
まず探すのはスライム(膝下くらいの飴玉魔獣らしい)だ。
色によって効能が違うらしくまだ発見されていない種もいるから実に奥深い魔獣だそうだ。
攻撃は…してくるのか?
そう思いながら歩いていると青いスライムが飛び跳ねている。
剣を構えるとスライムはこちらを認識したようで口のような穴から水を出してくる。
なるほど流石に初心者向けの魔獣と言われるだけある。
水の威力は人間が口から水を吹き出すのと同じくらいだ。
僕は慎重に近づき、剣を思いっきり振り回してスライムを討伐した。
魔獣には人間でいう心臓、コアと呼ばれる部分がある。
入手困難な魔獣は各部位に価値が付けられるが、比較的誰でも討伐できるものは一般的にコアにしか価値が付かない。
少し罪悪感を感じながらもスライムを半分に切り、コアを取り出す。
「よし、これで…!」
サブバックに入れた刹那、背後から嫌な気配を感じる。
「なんとも悍ましいな…。」
後ろを振り返ってみると、とんでもない大きさの狼のような魔獣が涎を垂らしている。
コアを取り出すのに夢中でそんなに近接しているとは思わなかった。
「ガルルル……」
僕は一応、剣を構え、立ち向かってみる。
もしかしたら、何かの拍子に勝てるかもしれない…だろ!?
「グゥェ!」
魔獣は容赦なく僕に飛び掛かってくる。
「装備とのレベル差がありすぎる‼︎」
この状況、一目散に逃げるしかない!!
逃げ続けるも相手は僕の10倍はある。一歩一歩が早い!
どこかに隠れないと…だが、絶対に匂いでバレる…!
「えっ?」
気づいた時には足元に地面はなかった。
僕はあれよあれよと落ちていく。
ここまでひたすらに走って息切れしていたので叫び声すら出なかった。
突然視界が明るくなった瞬間、お尻にとんでもない鈍痛を感じた。
「痛ったぁ!」
思わず悲鳴に近い声をあげてしまう。
だが、目の前に広がる光景を見てすぐに気を持ち直した。僕は単純な人間なのだ。
「あれは…!」
深い木々が生い茂り、地上からの光が朝日のように各所にできた泉を照らしている。
上を見ると金銀に輝く鳥が自由に飛び回り、下を見ると獣の顔をした小人たちがいそいそと走っている。
まるで人間の干渉など受けたことがないように魔獣たちが自由に暮らしている。
「すごい…本で見た魔物たちが…」
そう感心しながら泉の方に降りてみる。
澄んだ水を掬ってみるとじんわり温かく体によさそうなことが分かる。
きっとここは魔獣たちの憩いの場なんだろう。そっとしておかなくては。
ユーリス様にバレる前に帰りたいし、早く地上への出口を見つけないと。
ゆらゆらと水面を見上げながらサラサの顔を思い出す。
あの子の母親はいったいどこへ何のために連れていかれたのか。
本当に借金由来の身売りだったら買い戻すのに大層なお金が必要だろう。
小袋の中には一セシルも入っていない。
明日から初労働か…前途多難だな。
「こんにちは!魔境にようこそ!」
今日も今日とてアイゼア領に赴き、魔界への入り口となっている店、通称魔境に来てみた。
普通魔界と人間界は完全に別れており、魔界に行くためには各所にある切れ目からしか入れないようになっている。
さて、なぜ僕がここに来たか。それは大金稼ぎのためである。
魔界の物は人間界で高く売れる。石や薬草はもちろん、魔獣の一部は研究が進んでいないこともあり様々な方面に飛ぶように売れるらしい。
実際、魔界に関する研究書は学園に通っているときに読んでいたが曖昧な記述が多かった。
「超初心者なんですけど…どうしたらいいですか?」
カウンターのお姉さんは元気よく装備が置かれたブースを指差し言う。
「基本は皆さん初めはあちらの安い軽装備をレンタルして、スライム討伐や資源を回収されて帰ってこられます。お金がたまったら自分に合った物を購入してより強い魔獣を倒していくという流れです!」
「じゃあ今日はレンタルでお願いします。」
貸してもらった装備は剣一式と肘膝当て、皮の胴守り、ズボン。
更衣室で長く伸びた髪を結び団子にする。
久々に鏡で自分の顔を見た。
元の自分も醜いが、この姿も醜い。
すぐに目を逸らし、更衣室から出て切れ目に向かう。
「それではいってらっしゃいませ!」
黒々と蠢く境を前に立ちすくんでいると、半ば強引にお姉さんは僕の背中を押したのだった。
魔界は本の挿絵よりも美しい場所だ。
人間界では見たこともないような草木が生い茂り、でもどこかで人間界の豊富な自然の景色と似ている。
まず探すのはスライム(膝下くらいの飴玉魔獣らしい)だ。
色によって効能が違うらしくまだ発見されていない種もいるから実に奥深い魔獣だそうだ。
攻撃は…してくるのか?
そう思いながら歩いていると青いスライムが飛び跳ねている。
剣を構えるとスライムはこちらを認識したようで口のような穴から水を出してくる。
なるほど流石に初心者向けの魔獣と言われるだけある。
水の威力は人間が口から水を吹き出すのと同じくらいだ。
僕は慎重に近づき、剣を思いっきり振り回してスライムを討伐した。
魔獣には人間でいう心臓、コアと呼ばれる部分がある。
入手困難な魔獣は各部位に価値が付けられるが、比較的誰でも討伐できるものは一般的にコアにしか価値が付かない。
少し罪悪感を感じながらもスライムを半分に切り、コアを取り出す。
「よし、これで…!」
サブバックに入れた刹那、背後から嫌な気配を感じる。
「なんとも悍ましいな…。」
後ろを振り返ってみると、とんでもない大きさの狼のような魔獣が涎を垂らしている。
コアを取り出すのに夢中でそんなに近接しているとは思わなかった。
「ガルルル……」
僕は一応、剣を構え、立ち向かってみる。
もしかしたら、何かの拍子に勝てるかもしれない…だろ!?
「グゥェ!」
魔獣は容赦なく僕に飛び掛かってくる。
「装備とのレベル差がありすぎる‼︎」
この状況、一目散に逃げるしかない!!
逃げ続けるも相手は僕の10倍はある。一歩一歩が早い!
どこかに隠れないと…だが、絶対に匂いでバレる…!
「えっ?」
気づいた時には足元に地面はなかった。
僕はあれよあれよと落ちていく。
ここまでひたすらに走って息切れしていたので叫び声すら出なかった。
突然視界が明るくなった瞬間、お尻にとんでもない鈍痛を感じた。
「痛ったぁ!」
思わず悲鳴に近い声をあげてしまう。
だが、目の前に広がる光景を見てすぐに気を持ち直した。僕は単純な人間なのだ。
「あれは…!」
深い木々が生い茂り、地上からの光が朝日のように各所にできた泉を照らしている。
上を見ると金銀に輝く鳥が自由に飛び回り、下を見ると獣の顔をした小人たちがいそいそと走っている。
まるで人間の干渉など受けたことがないように魔獣たちが自由に暮らしている。
「すごい…本で見た魔物たちが…」
そう感心しながら泉の方に降りてみる。
澄んだ水を掬ってみるとじんわり温かく体によさそうなことが分かる。
きっとここは魔獣たちの憩いの場なんだろう。そっとしておかなくては。
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