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第17章 来週の予定
95 特別科目と、選抜試験と
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アキトの進度は、数学と表計算、独自魔法作成以外はだいたい私と同じ程度。
つまりは予想通りだ。
そして話によると、今の段階では表計算が鍵というか、山場らしい。
「独自魔法作成Ⅳも少しやってみたけれど、表計算が終わってから使うことを前提にしている気がする。表計算用のプラグインを使るなんて例題があるしさ。もちろんそれ以外の内容もあるけれど。だから独自魔法Ⅳに進む前に、表計算を終わらせる方がいいと思う。あと表計算で使う数学が理解しにくいと感じたら、数学Ⅲを一気に進めるのも手かもしれない。数学Ⅲの12単位時間目から、確率統計に入るから」
なるほど。
「つまり私の場合、今の段階では数学Ⅲと表計算に重点を置いたほうがいいのかな」
「僕はそう思う。ただ僕は他の人より数学を重視しているかもしれない。元々試験でも数学が得点源だったからさ。暗記することが少ないし、理屈で何とかなる教科だから」
その理屈は理解出来る。
私もそうだったから。
他人に言うと引かれるから言わなくなったけれど。
「あとは科目じゃないけれどさ。ヒラリアの特Aの選抜試験過去問、もう見た?」
やはりアキトも見ていたか。
もちろん私も見ている。
「見た。なかなか強烈だよね、あれ。知識魔法で生産高や輸入額、更には消費者物価の推移まで情報をとって統計かけて、とるべき政策を書けって奴」
今私が言ったのは、ヒラリア共和国特別A基準コースの選抜試験で、一番よくあるパターンの問題だ。
ちなみに昨年というか前回の問題は、小麦が材料だった。
ここ十年ほどの間、小麦の価格が上昇していることを踏まえて、幾つかの設問が設けられていて、それぞれ記述するという内容だ。
いきなり『政策を書け』ではなく、ある程度の誘導はされている。
小問で価格が上昇した理由を記載させるとか、ここ十数年の平均気温の変化を調べて記入させるとか、貿易額の推移をグラフとして描かせるとか。
ただそうだとしてもだ。
小学生に毛の生えたような年齢の子供にやらせるレベルの問題ではない気がする。
「やっぱり見たか。あの前回の小麦の問題、なかなか面白いと思うけれど、チアキさんならどういう結論にする? 僕は『南西部とシルベルザ島の開拓政策を今まで通り続ける等、現状維持でいい』あたりが落としどころだと思ったんだけれどさ」
なるほど。
実は私も解いてみたし、同じ結論になった。
「物価は賃金水準の上昇とともに緩やかに上がっているから、対策する必要はない。消費者物価と出荷量を確認すれば、国内で特に品薄ということにもなっていないことがわかる。確かに人口は増えているけれど、生産高も上がっている。国外でも急激に生産高が上がっているところはない。だから現状の政策を変える必要はない。そんな結論と思っていい?」
「その通り。強いて言えば、小麦以外の穀物の品種改良や栽培促進をして多様性を高め、万が一の小麦不作に備えるのを追加するかどうか」
なるほど、小麦以外という方向性にも頭を向けるのか。
「そこまでは考えなかったな」
言われてみれば、確かにそういった多様性の促進は必要だ。
地球では過去にジャガイモ飢饉なんてのもあったことだし。
「今の科目ももっと進めると、そういった演習問題が多くなるらしいけれどさ。ただその前に、教科書がそろそろ日本語ではなくオーフ標準語になりそうな気がする。どこで変わるかはわからないけれど」
それは私も思っていた。
「そうそう。ただ標準語への切り替えは全生徒必要だよね。なら科目の進度じゃなくて時期、たとえば7月からって可能性の方が高いかなって思ってる」
「確かにその可能性も高いよな。まあこっちで考えても状況が変わるわけじゃないから、言語のテキスト以外にも出来るだけ標準語に慣れるよう努力するしか無いけれど。まあそういう理由をこじつけて、さっき演劇を見て来たんだけれどさ」
そういえば言葉が、以前と大分変わっている。
こちらの方が自然というか違和感を覚えなかったので、気づかなかったけれど。
「言葉がだいぶ自然になっている気がするけれど、もう知識魔法の翻訳なしで話せるの?」
「まだ魔法無しでは日常会話まで。でもそっちもだいぶ慣れた感じに聞こえる」
「同じく日常会話だけは何とか。ただ普段話す中にもっと出来る人が2人いるから、ちょっと自信喪失気味」
具体的にはカタリナとケイトだ。
カタリナは言葉に限らず、全ての面で先を行ってそうだけれど。
まさかダンスまで出来るとは……
ただ言葉の面で洒落にならないのは、多分ケイトの方。
どうすれば単語が少なく発音も平板なオーフ標準語で、あそこまで独自の話し方が出来るのかわからない。
「こっちも出来るのは何人かいる。試験順位が張り出されたりしないし、普段話す相手は限られているから、自分がどれくらいの位置にいるかわからないけれどさ。第一施設から来た中にも結構な強者がいるし、
あ、第一施設と言えば、この前の試験でエトが戻ってきていたな」
えっ!?
あのエトが、第一施設に戻って来た。
何というか……
つまりは予想通りだ。
そして話によると、今の段階では表計算が鍵というか、山場らしい。
「独自魔法作成Ⅳも少しやってみたけれど、表計算が終わってから使うことを前提にしている気がする。表計算用のプラグインを使るなんて例題があるしさ。もちろんそれ以外の内容もあるけれど。だから独自魔法Ⅳに進む前に、表計算を終わらせる方がいいと思う。あと表計算で使う数学が理解しにくいと感じたら、数学Ⅲを一気に進めるのも手かもしれない。数学Ⅲの12単位時間目から、確率統計に入るから」
なるほど。
「つまり私の場合、今の段階では数学Ⅲと表計算に重点を置いたほうがいいのかな」
「僕はそう思う。ただ僕は他の人より数学を重視しているかもしれない。元々試験でも数学が得点源だったからさ。暗記することが少ないし、理屈で何とかなる教科だから」
その理屈は理解出来る。
私もそうだったから。
他人に言うと引かれるから言わなくなったけれど。
「あとは科目じゃないけれどさ。ヒラリアの特Aの選抜試験過去問、もう見た?」
やはりアキトも見ていたか。
もちろん私も見ている。
「見た。なかなか強烈だよね、あれ。知識魔法で生産高や輸入額、更には消費者物価の推移まで情報をとって統計かけて、とるべき政策を書けって奴」
今私が言ったのは、ヒラリア共和国特別A基準コースの選抜試験で、一番よくあるパターンの問題だ。
ちなみに昨年というか前回の問題は、小麦が材料だった。
ここ十年ほどの間、小麦の価格が上昇していることを踏まえて、幾つかの設問が設けられていて、それぞれ記述するという内容だ。
いきなり『政策を書け』ではなく、ある程度の誘導はされている。
小問で価格が上昇した理由を記載させるとか、ここ十数年の平均気温の変化を調べて記入させるとか、貿易額の推移をグラフとして描かせるとか。
ただそうだとしてもだ。
小学生に毛の生えたような年齢の子供にやらせるレベルの問題ではない気がする。
「やっぱり見たか。あの前回の小麦の問題、なかなか面白いと思うけれど、チアキさんならどういう結論にする? 僕は『南西部とシルベルザ島の開拓政策を今まで通り続ける等、現状維持でいい』あたりが落としどころだと思ったんだけれどさ」
なるほど。
実は私も解いてみたし、同じ結論になった。
「物価は賃金水準の上昇とともに緩やかに上がっているから、対策する必要はない。消費者物価と出荷量を確認すれば、国内で特に品薄ということにもなっていないことがわかる。確かに人口は増えているけれど、生産高も上がっている。国外でも急激に生産高が上がっているところはない。だから現状の政策を変える必要はない。そんな結論と思っていい?」
「その通り。強いて言えば、小麦以外の穀物の品種改良や栽培促進をして多様性を高め、万が一の小麦不作に備えるのを追加するかどうか」
なるほど、小麦以外という方向性にも頭を向けるのか。
「そこまでは考えなかったな」
言われてみれば、確かにそういった多様性の促進は必要だ。
地球では過去にジャガイモ飢饉なんてのもあったことだし。
「今の科目ももっと進めると、そういった演習問題が多くなるらしいけれどさ。ただその前に、教科書がそろそろ日本語ではなくオーフ標準語になりそうな気がする。どこで変わるかはわからないけれど」
それは私も思っていた。
「そうそう。ただ標準語への切り替えは全生徒必要だよね。なら科目の進度じゃなくて時期、たとえば7月からって可能性の方が高いかなって思ってる」
「確かにその可能性も高いよな。まあこっちで考えても状況が変わるわけじゃないから、言語のテキスト以外にも出来るだけ標準語に慣れるよう努力するしか無いけれど。まあそういう理由をこじつけて、さっき演劇を見て来たんだけれどさ」
そういえば言葉が、以前と大分変わっている。
こちらの方が自然というか違和感を覚えなかったので、気づかなかったけれど。
「言葉がだいぶ自然になっている気がするけれど、もう知識魔法の翻訳なしで話せるの?」
「まだ魔法無しでは日常会話まで。でもそっちもだいぶ慣れた感じに聞こえる」
「同じく日常会話だけは何とか。ただ普段話す中にもっと出来る人が2人いるから、ちょっと自信喪失気味」
具体的にはカタリナとケイトだ。
カタリナは言葉に限らず、全ての面で先を行ってそうだけれど。
まさかダンスまで出来るとは……
ただ言葉の面で洒落にならないのは、多分ケイトの方。
どうすれば単語が少なく発音も平板なオーフ標準語で、あそこまで独自の話し方が出来るのかわからない。
「こっちも出来るのは何人かいる。試験順位が張り出されたりしないし、普段話す相手は限られているから、自分がどれくらいの位置にいるかわからないけれどさ。第一施設から来た中にも結構な強者がいるし、
あ、第一施設と言えば、この前の試験でエトが戻ってきていたな」
えっ!?
あのエトが、第一施設に戻って来た。
何というか……
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