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拾遺録1 カイル君の冒険者な日々
俺達の決意⑷ 拠点設置
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階段周辺の藪を切り拓いて平らな場所を作る。
雑木や草を俺の熱魔法で分解し、サリアの土壌改質魔法で土や小石を砂に。
一部は砂では無く平らな岩盤状にする。
これはゴーレム車の駐車位置だ。
ここに停めればばゴーレム車も安定しているし、いざ移動という時にすぐに動かせる。
更にサリアの土移動魔法で防風と目隠しを兼ねた土壁を形成。
ただの土の壁でもレズンの魔法で乾燥させ、俺の熱魔法で焼けばそれなりに頑丈になる。
「何というか……随分と気軽にと言うか、簡単そうに魔法を使われますよね。学校か何処かで魔法使いを選抜してパーティを組まれたのでしょうか?」
グレアム氏がサリアにそう話しかけたのを聞いてしまった、と思う。
このグレアム氏の質問に誰がどう答えるべきか。
渉外担当のヒューマは迷宮だ。
それ以外の誰かが返答した場合、余分な事を話してしまうかもしれない。
俺達が故郷のあの村を出てからまだ1年経っていない。
それでも行く先々で気づかされるのだ。
俺達が通っていたあの勉強会がいかに特殊でとんでもないものだったのかを。
豊かじゃない農家の子供が通えるような教育機関なんて、この国にはほとんど無い。
一般的な学校は基本的に全寮制で、1年に正金貨5枚位はかかると聞いた。
当然ながらそんな場所、貴族や裕福な商人でないと無理だ。
大きい街の教会の中には近所の子供相手に勉強会をやっているところがある。
しかしそういった勉強会で教えているのは概ね文字の読み書き程度。
それ以上やっているごく一部の教会でも、最高で2桁の足し算引き算程度だ。
中小の商人の子弟が通う私塾というものも大きな街にはあるらしい。
しかしそこで教わることが出来るのは読み書きと算術まで。
俺達が通っていた勉強会はそれらとレベルが違う。
3年通えば読み書きだけでなく、商人に近いレベルの計算が出来るようになる。
更に全属性の基本的な魔法と、得意な属性の攻撃魔法も使えるようになるのが普通。
おまけに無料で食べられる昼食付き。
そんな勉強会は俺達の知る範囲では他に無い。
だから一般庶民は読み書きが出来る方が少数派。
魔法を教わるなんて事はほぼ無理。
結果、魔法は難しくて使える人が少ない高等かつ貴重な能力という認識となる。
日常生活で普通に使うなんてとんでもない。
それが一般的な感覚のようだ。
考えてみれば俺も昔はそう思っていたと思う。
ただあの村で勉強会に通ったおかげで、そのことをすっかり忘れていた。
だから普通に会話すると、そういった一般では非常識な事がついつい口から出てしまいそうになる。
今、グレアム氏が聞いたような質問は、答え方によってはそういった俺達の非常識に直結する。
どう誤魔化して返事するのが正しいのか。
とっさに答が思い浮かばない。
「学校では無く、冒険者が近くの子供を集めてやっている私塾みたいなものです。小さい頃から通っていたのでそれぞれ得意な魔法は割と簡単に使えます」
あっさりサリアがそう答えてくれた。
助かった、そう俺は思う。
サリアとレウスは勉強会が始まる前から先生達と一緒に暮らしていた。
その分俺達よりも先生達から色々な話を聞いているし、村の外に行く機会も多かったようだ。
結果、俺よりもそういった常識をよく知っている。
常識だけでなく魔法や勉強的な知識も上だけれども。
「そうなんですか。私も一応ギルドの講習会で魔法を習ったのですが、それでもレベル2までの魔法しか使えません。羨ましい限りです」
サリアの回答で問題無かったようだ。
ほっとしつつ、俺は次の作業へ。
自在袋から大型天幕と小型天幕を出して、杭でしっかり地面に固定する。
中に居住性抜群の分厚いマットを敷けば設置完了だ。
他の連中もそれぞれ小型天幕を出して設置した。
なおヒューマとレウスの場所は空けておく。
サリアが端の方で何やら土魔法で囲まれた場所を作っている。
「今作っている場所は何ですか?」
「風呂とトイレです。ある程度長期滞在するならしっかりしたものが必要ですから」
「風呂も作るんですか」
「ええ。長期滞在するなら必要です」
風呂に入るというのは俺の知っている限り一般的ではない。
しかしサリアやレウスは街で宿に泊まった時以外、必ず毎日風呂に入る。
自分の小型天幕内に簡易浴槽を出し、魔法でお湯を貯めて。
その為だけにサリアもレウスも自分用の簡易浴槽を持っていたりする。
レウスのは俺達も時々使わせてもらうけれど。
こういった衛生関係についてはサリアとレウス、細かいというか煩い。
このあたりはきっと先生達と一緒に生活していた影響だろう。
サリアの作業が終われば拠点はほぼ完成だ。
ゴーレム車用の場所を作ったり、トイレや風呂を作ったりしたのでいつもの倍くらいは時間が掛かった。
倍と言ってもせいぜい6半時間くらいだけれども。
拠点の施設は、
〇 大型天幕1
〇 小型天幕6(ただしヒューマとレウスの分はまだ)
〇 ゴーレム車とゴーレム車駐車場所
〇 風呂区画、トイレ区画、排水可能区画
これである程度長期滞在してもそれなりに快適だ。
食事や話し合いは基本的にゴーレム車内。
ゴーレム車の中にはテーブルと椅子があるから。
料理を作ったりするのも基本的にはゴーレム車内。
大型天幕はリビング代わり。
ゴロゴロしたり会話したりする為の場所だ。
サリアがゴーレムの整備に使ったりもする。
小型天幕は寝室を兼ねた個室。
分厚い毛皮のマットを敷いて特製寝袋で寝れば、並みの宿屋のベッド以上に快適。
ヒューマによればこのマットも寝袋も、とんでもない素材を使った超高級品とのこと。
こんな感じなので宿に泊まるより野宿する方が多い。
その辺の宿より快適だから。
サリアやヒューマがいれば魔物や魔獣に襲われる心配も無い。
寝ていても偵察魔法と空即斬魔法で無意識のうちに近づく敵を倒してしまう。
そのかわり異臭で目が覚めたら周囲にゴブリンの死骸が十匹分以上あった、なんて事もあるのだけれども。
宿に泊まるのは天気が悪くて野宿準備が面倒な時か、野宿出来そうな林や森が近くに無い時くらい。
設置も撤収も天気さえ良ければ10半時間かからない。
今回は風呂、トイレを作ったからもう少しかかったけれども。
ただグレアム氏にとってはこの作業や天幕等の装備もかなり珍しいものに見えたようだ。
「この天幕は初めて見る形です。何処で売っているのでしょうか?」
「中部東海岸地域で使われている日よけをヒントに、私達を教えてくれていた冒険者が作ったものです。こんな形ですが中はそこそこ広いですし、軽量なので自在袋に入れても容量をあまり必要としません」
もう説明を含めたグレアム氏対応はサリアに任せよう。
俺が下手に喋ってボロを出すよりいいだろう。
レズンが自分用の小型天幕から出てゴーレム車へ。
きっと昼食を作るつもりだろう。
勿論簡単に食べられるものも自在袋に入れてある。
しかし時間と場所に余裕がある時はしっかり食事を作るのがレズン流。
「今日の昼食は何にするんだ?」
「ミートソースパスタとサラダ予定なんだな」
挽肉をたっぷり入れたトマトソースをかけて食べるパスタのようだ。
更にチーズを上に載せて熱を加えて溶かすと、もうとんでもなく美味しい代物になる。
今日も昼食が楽しみだ。
新規の迷宮が出来たという非常事態ではあるのだけれども。
雑木や草を俺の熱魔法で分解し、サリアの土壌改質魔法で土や小石を砂に。
一部は砂では無く平らな岩盤状にする。
これはゴーレム車の駐車位置だ。
ここに停めればばゴーレム車も安定しているし、いざ移動という時にすぐに動かせる。
更にサリアの土移動魔法で防風と目隠しを兼ねた土壁を形成。
ただの土の壁でもレズンの魔法で乾燥させ、俺の熱魔法で焼けばそれなりに頑丈になる。
「何というか……随分と気軽にと言うか、簡単そうに魔法を使われますよね。学校か何処かで魔法使いを選抜してパーティを組まれたのでしょうか?」
グレアム氏がサリアにそう話しかけたのを聞いてしまった、と思う。
このグレアム氏の質問に誰がどう答えるべきか。
渉外担当のヒューマは迷宮だ。
それ以外の誰かが返答した場合、余分な事を話してしまうかもしれない。
俺達が故郷のあの村を出てからまだ1年経っていない。
それでも行く先々で気づかされるのだ。
俺達が通っていたあの勉強会がいかに特殊でとんでもないものだったのかを。
豊かじゃない農家の子供が通えるような教育機関なんて、この国にはほとんど無い。
一般的な学校は基本的に全寮制で、1年に正金貨5枚位はかかると聞いた。
当然ながらそんな場所、貴族や裕福な商人でないと無理だ。
大きい街の教会の中には近所の子供相手に勉強会をやっているところがある。
しかしそういった勉強会で教えているのは概ね文字の読み書き程度。
それ以上やっているごく一部の教会でも、最高で2桁の足し算引き算程度だ。
中小の商人の子弟が通う私塾というものも大きな街にはあるらしい。
しかしそこで教わることが出来るのは読み書きと算術まで。
俺達が通っていた勉強会はそれらとレベルが違う。
3年通えば読み書きだけでなく、商人に近いレベルの計算が出来るようになる。
更に全属性の基本的な魔法と、得意な属性の攻撃魔法も使えるようになるのが普通。
おまけに無料で食べられる昼食付き。
そんな勉強会は俺達の知る範囲では他に無い。
だから一般庶民は読み書きが出来る方が少数派。
魔法を教わるなんて事はほぼ無理。
結果、魔法は難しくて使える人が少ない高等かつ貴重な能力という認識となる。
日常生活で普通に使うなんてとんでもない。
それが一般的な感覚のようだ。
考えてみれば俺も昔はそう思っていたと思う。
ただあの村で勉強会に通ったおかげで、そのことをすっかり忘れていた。
だから普通に会話すると、そういった一般では非常識な事がついつい口から出てしまいそうになる。
今、グレアム氏が聞いたような質問は、答え方によってはそういった俺達の非常識に直結する。
どう誤魔化して返事するのが正しいのか。
とっさに答が思い浮かばない。
「学校では無く、冒険者が近くの子供を集めてやっている私塾みたいなものです。小さい頃から通っていたのでそれぞれ得意な魔法は割と簡単に使えます」
あっさりサリアがそう答えてくれた。
助かった、そう俺は思う。
サリアとレウスは勉強会が始まる前から先生達と一緒に暮らしていた。
その分俺達よりも先生達から色々な話を聞いているし、村の外に行く機会も多かったようだ。
結果、俺よりもそういった常識をよく知っている。
常識だけでなく魔法や勉強的な知識も上だけれども。
「そうなんですか。私も一応ギルドの講習会で魔法を習ったのですが、それでもレベル2までの魔法しか使えません。羨ましい限りです」
サリアの回答で問題無かったようだ。
ほっとしつつ、俺は次の作業へ。
自在袋から大型天幕と小型天幕を出して、杭でしっかり地面に固定する。
中に居住性抜群の分厚いマットを敷けば設置完了だ。
他の連中もそれぞれ小型天幕を出して設置した。
なおヒューマとレウスの場所は空けておく。
サリアが端の方で何やら土魔法で囲まれた場所を作っている。
「今作っている場所は何ですか?」
「風呂とトイレです。ある程度長期滞在するならしっかりしたものが必要ですから」
「風呂も作るんですか」
「ええ。長期滞在するなら必要です」
風呂に入るというのは俺の知っている限り一般的ではない。
しかしサリアやレウスは街で宿に泊まった時以外、必ず毎日風呂に入る。
自分の小型天幕内に簡易浴槽を出し、魔法でお湯を貯めて。
その為だけにサリアもレウスも自分用の簡易浴槽を持っていたりする。
レウスのは俺達も時々使わせてもらうけれど。
こういった衛生関係についてはサリアとレウス、細かいというか煩い。
このあたりはきっと先生達と一緒に生活していた影響だろう。
サリアの作業が終われば拠点はほぼ完成だ。
ゴーレム車用の場所を作ったり、トイレや風呂を作ったりしたのでいつもの倍くらいは時間が掛かった。
倍と言ってもせいぜい6半時間くらいだけれども。
拠点の施設は、
〇 大型天幕1
〇 小型天幕6(ただしヒューマとレウスの分はまだ)
〇 ゴーレム車とゴーレム車駐車場所
〇 風呂区画、トイレ区画、排水可能区画
これである程度長期滞在してもそれなりに快適だ。
食事や話し合いは基本的にゴーレム車内。
ゴーレム車の中にはテーブルと椅子があるから。
料理を作ったりするのも基本的にはゴーレム車内。
大型天幕はリビング代わり。
ゴロゴロしたり会話したりする為の場所だ。
サリアがゴーレムの整備に使ったりもする。
小型天幕は寝室を兼ねた個室。
分厚い毛皮のマットを敷いて特製寝袋で寝れば、並みの宿屋のベッド以上に快適。
ヒューマによればこのマットも寝袋も、とんでもない素材を使った超高級品とのこと。
こんな感じなので宿に泊まるより野宿する方が多い。
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サリアやヒューマがいれば魔物や魔獣に襲われる心配も無い。
寝ていても偵察魔法と空即斬魔法で無意識のうちに近づく敵を倒してしまう。
そのかわり異臭で目が覚めたら周囲にゴブリンの死骸が十匹分以上あった、なんて事もあるのだけれども。
宿に泊まるのは天気が悪くて野宿準備が面倒な時か、野宿出来そうな林や森が近くに無い時くらい。
設置も撤収も天気さえ良ければ10半時間かからない。
今回は風呂、トイレを作ったからもう少しかかったけれども。
ただグレアム氏にとってはこの作業や天幕等の装備もかなり珍しいものに見えたようだ。
「この天幕は初めて見る形です。何処で売っているのでしょうか?」
「中部東海岸地域で使われている日よけをヒントに、私達を教えてくれていた冒険者が作ったものです。こんな形ですが中はそこそこ広いですし、軽量なので自在袋に入れても容量をあまり必要としません」
もう説明を含めたグレアム氏対応はサリアに任せよう。
俺が下手に喋ってボロを出すよりいいだろう。
レズンが自分用の小型天幕から出てゴーレム車へ。
きっと昼食を作るつもりだろう。
勿論簡単に食べられるものも自在袋に入れてある。
しかし時間と場所に余裕がある時はしっかり食事を作るのがレズン流。
「今日の昼食は何にするんだ?」
「ミートソースパスタとサラダ予定なんだな」
挽肉をたっぷり入れたトマトソースをかけて食べるパスタのようだ。
更にチーズを上に載せて熱を加えて溶かすと、もうとんでもなく美味しい代物になる。
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