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第12章 冬の嵐
55 襲撃
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貨物船は翌朝、港から出ていった。
でも奈津希さんに言わせると、まだまだ警戒は必要なんだそうだ。
「例によって某国漁船が大量に近海に来ているみたいだし。漁船に偽装した工作船が混じっている可能性も高いからさ。注意しておいた方がいい」
本土にいた頃の俺なら陰謀論と鼻で笑っていたろうが、何せこの前マンションが襲われたばかりなのだ。
だから油断はできない。
◇◇◇
今日は久しぶりに工房に来ている。
理由は簡単。香緒里ちゃんのバネ加工のノルマが溜まってしまったからだ。
なので香緒里ちゃんが魔法をかけ、俺が処理済みのバネを整理し梱包しという作業を延々と続けている。
他にはジェニーが梱包を解いて処理前のバネを香緒里ちゃんに渡す係。
そして護衛担当として鈴懸台先輩が来ている。
他の学生会の面子は学生会室で書類整理中だ。
実情は脳筋の鈴懸台先輩が戦力外としてこっちに来たという感じ。
無論本人はそのことに気づいていない。
「それにしても暇だな。このパソコン、何か他にゲームが入っていないのかい」
「ネットに繋がっているから適当にWebで探して下さい」
俺の方は結構忙しいので口先対応させてもらう。
「そろそろ休憩しないれすか」
「そうですね。魔力が均一にかからなくなったら商品価値がないですしね」
香緒里ちゃんは手を止める。
ちなみに受注方式は11月にまた変更になり、規格品のバネ数種を予め用意して注文に応じて魔法をかける方式に変わった。
何でも大型のバネが通常動力潜水艦のエネルギー革新になるとの事で、ワッセナー・アレンジメントとやらに引っかかったからだそうだ。
それに同じ規格のバネに魔法をかける方が均一な商品としやすい事もある。
結果、今は月におおよそ300個、大体600万円の売上げというノルマ。
ちなみに常に完売し品薄状態、利益率も9割を超える。
香緒里ちゃんがマンション代を親に全額返還する日も遠くない。
全員が休憩場所である俺の工房の作業台近くに集合した時。
不意にジェニーの魔法が発動した。
「20人、車両の他にヘリ確認れす」
「学生会室へ逃げられるか」
「無理すね。間に合わないれす」
「他の役員には」
「伝達済れす」
俺はとっさに倉庫の電動シャッターのボタンを押す。
応援が来るまで籠城戦、というのが一番固い案だろう。
「いよいよ私の出番かな。腕がなるぜ」
鈴懸台先輩が愛剣クラウ・ソラスを抜き放つ。
俺も香緒里ちゃんのバックを借りて護身用改造エアガンを取り出した。
「香緒里ちゃんとジェニーは念のため下がって」
そう言った次の瞬間、激しい振動と爆風が俺達を襲った。
倒れた俺の視界に映ったのは、爆破か砲撃で破壊されたシャッターと侵入してくる男達だった。
服装こそ普通の服で偽装している。
でもカービン銃らしき物を構え突入してくる姿はまんま軍隊だ。
幸いこちらは現在のところ全員無事。
ジェニーの魔法はまだ生きているし改造エアガンも間近にある。
俺は香緒里ちゃんとジェニーに一番近い侵入者をフルオートで撃つ。
脚に当たり倒れたのを確認すると同時に次の目標へ。
反対側の敵は鈴懸台先輩が対応しているのがジェニーの魔法でわかる。
だから俺がやるべきはこちら側から香緒里ちゃん達に近づく敵の排除。
エアガンを連射しながら侵入者の銃に俺の魔法をかける。
修理の逆、動作不良の魔法。
予定通り銃撃音が一切途絶える。
よし、と安心したのもつかの間。
侵入者らは銃を手放し巨大なナイフを取り出す。
そして、俺と香緒里ちゃん達に2人ずつ同時に飛びかかった。
俺のエアガンは香緒里ちゃん達の方を向いている。
だからどちらを優先するかは迷わなかった。
横からの掃射で香緒里ちゃん達を狙った2人は倒れる。
だが次の瞬間、衝撃が俺を襲った。
◇◇◇
一瞬気を失っていたようだ。
俺の視界に見えるのは工房の床。
ジェニーの魔法で工房内の全ての人の動きが止まっているのがわかる。
風の音すら聞える静けさの中、知っている声が響いた。
「今貴方達を始末するのは簡単ですが、それでは同じ事の繰り返しになるでしょう。だから私は私の大切な人を傷つけた怒りをもって、貴方達に呪縛をかけます。黙って帰り命令系統に従って淡々と作戦失敗を報告するがよいでしょう。命令権者の元に作戦失敗の報告が届いた時、貴方方は私の怒りを後悔とともに知ることになります」
急に騒音が戻る。
おそらく侵入者が撤退する音。
俺は起き上がろうとして違和感を感じる。
違和感を確認するため俺は手を前に出そうとして気づいた。
手が、無い。
右腕の肘から先と左手首から先。
あたりをよく見る。
俺の手が両方ついた改造エアガンが俺の視線の先に転がっていた。
成程、襲撃者に切られた訳か。
随分と鮮やかな手口だな、と俺は他人事のように思う。
痛みもあまり感じていない。
出血は結構激しいけれど。
今の様子だと俺以外には怪我人はなさそうだ。
ジェニーの魔法の効果でそれもわかる。
ならばまあ、一安心だ。
まだ痛みは感じない。
脳内麻薬ががっぽがっぽ出て痛みを打ち消しているのだろう。
あ、でもちょっと意識が薄くなってきたかな。
そして、回りは全て白になる。
でも奈津希さんに言わせると、まだまだ警戒は必要なんだそうだ。
「例によって某国漁船が大量に近海に来ているみたいだし。漁船に偽装した工作船が混じっている可能性も高いからさ。注意しておいた方がいい」
本土にいた頃の俺なら陰謀論と鼻で笑っていたろうが、何せこの前マンションが襲われたばかりなのだ。
だから油断はできない。
◇◇◇
今日は久しぶりに工房に来ている。
理由は簡単。香緒里ちゃんのバネ加工のノルマが溜まってしまったからだ。
なので香緒里ちゃんが魔法をかけ、俺が処理済みのバネを整理し梱包しという作業を延々と続けている。
他にはジェニーが梱包を解いて処理前のバネを香緒里ちゃんに渡す係。
そして護衛担当として鈴懸台先輩が来ている。
他の学生会の面子は学生会室で書類整理中だ。
実情は脳筋の鈴懸台先輩が戦力外としてこっちに来たという感じ。
無論本人はそのことに気づいていない。
「それにしても暇だな。このパソコン、何か他にゲームが入っていないのかい」
「ネットに繋がっているから適当にWebで探して下さい」
俺の方は結構忙しいので口先対応させてもらう。
「そろそろ休憩しないれすか」
「そうですね。魔力が均一にかからなくなったら商品価値がないですしね」
香緒里ちゃんは手を止める。
ちなみに受注方式は11月にまた変更になり、規格品のバネ数種を予め用意して注文に応じて魔法をかける方式に変わった。
何でも大型のバネが通常動力潜水艦のエネルギー革新になるとの事で、ワッセナー・アレンジメントとやらに引っかかったからだそうだ。
それに同じ規格のバネに魔法をかける方が均一な商品としやすい事もある。
結果、今は月におおよそ300個、大体600万円の売上げというノルマ。
ちなみに常に完売し品薄状態、利益率も9割を超える。
香緒里ちゃんがマンション代を親に全額返還する日も遠くない。
全員が休憩場所である俺の工房の作業台近くに集合した時。
不意にジェニーの魔法が発動した。
「20人、車両の他にヘリ確認れす」
「学生会室へ逃げられるか」
「無理すね。間に合わないれす」
「他の役員には」
「伝達済れす」
俺はとっさに倉庫の電動シャッターのボタンを押す。
応援が来るまで籠城戦、というのが一番固い案だろう。
「いよいよ私の出番かな。腕がなるぜ」
鈴懸台先輩が愛剣クラウ・ソラスを抜き放つ。
俺も香緒里ちゃんのバックを借りて護身用改造エアガンを取り出した。
「香緒里ちゃんとジェニーは念のため下がって」
そう言った次の瞬間、激しい振動と爆風が俺達を襲った。
倒れた俺の視界に映ったのは、爆破か砲撃で破壊されたシャッターと侵入してくる男達だった。
服装こそ普通の服で偽装している。
でもカービン銃らしき物を構え突入してくる姿はまんま軍隊だ。
幸いこちらは現在のところ全員無事。
ジェニーの魔法はまだ生きているし改造エアガンも間近にある。
俺は香緒里ちゃんとジェニーに一番近い侵入者をフルオートで撃つ。
脚に当たり倒れたのを確認すると同時に次の目標へ。
反対側の敵は鈴懸台先輩が対応しているのがジェニーの魔法でわかる。
だから俺がやるべきはこちら側から香緒里ちゃん達に近づく敵の排除。
エアガンを連射しながら侵入者の銃に俺の魔法をかける。
修理の逆、動作不良の魔法。
予定通り銃撃音が一切途絶える。
よし、と安心したのもつかの間。
侵入者らは銃を手放し巨大なナイフを取り出す。
そして、俺と香緒里ちゃん達に2人ずつ同時に飛びかかった。
俺のエアガンは香緒里ちゃん達の方を向いている。
だからどちらを優先するかは迷わなかった。
横からの掃射で香緒里ちゃん達を狙った2人は倒れる。
だが次の瞬間、衝撃が俺を襲った。
◇◇◇
一瞬気を失っていたようだ。
俺の視界に見えるのは工房の床。
ジェニーの魔法で工房内の全ての人の動きが止まっているのがわかる。
風の音すら聞える静けさの中、知っている声が響いた。
「今貴方達を始末するのは簡単ですが、それでは同じ事の繰り返しになるでしょう。だから私は私の大切な人を傷つけた怒りをもって、貴方達に呪縛をかけます。黙って帰り命令系統に従って淡々と作戦失敗を報告するがよいでしょう。命令権者の元に作戦失敗の報告が届いた時、貴方方は私の怒りを後悔とともに知ることになります」
急に騒音が戻る。
おそらく侵入者が撤退する音。
俺は起き上がろうとして違和感を感じる。
違和感を確認するため俺は手を前に出そうとして気づいた。
手が、無い。
右腕の肘から先と左手首から先。
あたりをよく見る。
俺の手が両方ついた改造エアガンが俺の視線の先に転がっていた。
成程、襲撃者に切られた訳か。
随分と鮮やかな手口だな、と俺は他人事のように思う。
痛みもあまり感じていない。
出血は結構激しいけれど。
今の様子だと俺以外には怪我人はなさそうだ。
ジェニーの魔法の効果でそれもわかる。
ならばまあ、一安心だ。
まだ痛みは感じない。
脳内麻薬ががっぽがっぽ出て痛みを打ち消しているのだろう。
あ、でもちょっと意識が薄くなってきたかな。
そして、回りは全て白になる。
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