機械オタクと魔女五人~魔法特区・婿島にて

於田縫紀

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第16章 新人歓迎! 新学期

70 強襲の詩織ちゃん

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 ついでだから他にも製作関係の、魔法工学科らしい部分を見て貰おう。
 という事で他にもサイバネ研の人造人間アンドロイドプロジェクトとか、3人であれこれ回って1時間。
 学生会室に戻ってみると、補助魔法科組はもう戻っていた。

「どうでした、補助魔法科は」

「なかなか有意義な話を聞けました。思った以上に私の目指したい方向を向いているようです」

「こっちも楽しかったのですよ。次の機会にはなんとしても転科してみせるです」

 詩織ちゃんとソフィーちゃんが情報交換。
 と、ドアが開いて攻撃魔法組2人が戻ってきた。
 何をやったのかルイス君は汗をびっしょりかいている。
 奈津希さんはいつもと変わらないが。

「奈津希、何をやったの」

「単なる攻撃魔法科的スキンシップさ。なあ」

 その言葉で全員、何をやったかを察した。

「奈津希!」

 風遊美さんの一喝。

「違うんだ。僕が頼んだんだ」

 慌ててルイス君が奈津希さんを庇う。

 模擬戦、それもかなり本格的なのをやったのだろう。
 色々言ってはいるが、奈津希さんは現攻撃魔法科4年筆頭だ。
 校内で真っ向勝負できる相手はほとんどいない。
 それこそ攻撃科5年筆頭と次席の前学生会コンビとか、空間魔法の他にまだまだ魔法を隠し持っている風遊美さんとか位だ。
 いかに才能があっても、入学したての一年生では荷が重過ぎる。

「確かにこの学校のレベルもカリキュラムの意味も理解した。僕は今納得している」

 まあルイス君も本心で納得しているようなので、いいだろう。

「これからどうします。そろそろ下校時間ですけれど」

 校舎内の部屋を学生が使えるのは午後6時まで。

「でも皆さん、寮に帰られるんですよね」

 詩織ちゃんの言葉。
 まあほとんどの学生はそうなのだけれど、学生会は例外が多い。

「残念ながら寮住まいは私だけです」

 これは風遊美さん。

「僕らは外からの通いさ。まあ歩いて5分位だけど」

 奈津希さんがそう説明する。

「ひょっとして、皆さん入校前からこの島に住んでいらっしゃったのですか」

 詩織ちゃんが更に質問。

「僕はそうだけど、他の3人は違う。こっちへ来てからマンションを買って、共同で住んでいるんだよ。香緒里の姉の由香里さんを含めて4人で共同生活中だな」

「えっ」

 ルイス君とソフィーちゃんが驚いている中、詩織ちゃんは何故か納得している。

「成程、あれくらいの収入があればマンションも買えますね」

 ソフィーちゃんが英語で何か詩織ちゃんに言って。
 そして詩織ちゃんが何か英語で答えている。
 更にジェニーと奈津希さんが英語で何か説明。
 どれも早口すぎて俺には微妙に理解できない。

 それにしても奈津希さんや詩織ちゃんも英語を喋れるんだな。
 というか詩織ちゃんもだけど、奈津希さんはいくつ特技があるんだ。
 本当に器用な人だ。

「あ、英語の他にもポルトガル語とスペイン語も喋れるよ」

 あ、奈津希さんにこっちの考えを読まれたか。

「魔法を含めて器用貧乏さ。まあぶっちゃけおふくろがスペイン語系なだけだが」

 成程。
 という訳で新入生3人は風遊美さんが引率。
 そして俺達マンション組は4人で家へと帰る。

 ◇◇◇

 例によって奈津希さんが夕食を作ってくれている。
 最近は香緒里ちゃんも、少しずつ手伝うようになった。
 もちろん奈津希さんの料理は魔法使用で異常に手早いのだけれど、それでも下ごしらえをしたり皿に盛り付けたりを頑張って手伝っている。

 そしてジェニーは自室でサイトの更新作業。
 俺と由香里姉はぼーっとニュース番組を見ている。
 するとジェニーが部屋から出てきた。

「夕食1名追加。詩織ちゃんが来たいって言っているれす」

「詩織ちゃんって、今日来た新入生?」

 由香里姉が尋ねる。

「そうだけど、何だろう」

「家に魔法を使った家電が色々ある話を聞いて、見てみたいそうれす」

「何だ随分なつかれたな、修」

 奈津希さんがからかうように言う。

「いや、あれは本当に魔法的な品物に興味があるだけだと思う。香緒里ちゃんもそう思うだろ」

 香緒里ちゃんは頷く。

「案内中にちょっと思考が漏れたので見えたんですけれど、本当に魔法を使った物や機械に興味があるようです。というか、それにしか興味がない位の感じです」

「なら問題ないんじゃない」

 由香里姉はそうアバウトに言うが。

「露天風呂とか不味いんじゃないですか」

 俺は一応言っておく。

「特に問題はないと思うれすよ」

 これはジェニー。

「私は普通なら不味いかもと思うのです。けれども、詩織ちゃんに限っては問題ないと思います」

 香緒里ちゃんは妙なことを言う。

「どういう意味だ」

「多分詩織ちゃんに露天風呂を見せても、その構造だの装置の概要だの作り方だのに興味が集中して、風紀的に問題があるかないかなんて気にしないと思います」

「部屋に入る方法はメールしてある?」

 由香里姉が尋ねる。

「大丈夫れす。インタホンで1001を押すように書いておいたれす。ちなみに今寮の部屋を出たところれす」
 最後のはジェニーの魔法による感知結果だろう。

 そして。
 ふとジェニーが訝しげな顔をした。

「変です」

 何が変か聞く前に例のジェニーの魔法の感覚。
 このマンションと学校が入った見取図に、黄色い光点が表示されている。

「この光点が詩織さんれすけれど」

 何を言いたいのか、すぐ俺達にもわかった。

 普通なら寮からこのマンションまで、道路に添ってゆっくり動いてくる筈の光点が、妙な動きをしている。
 ふっと消えたかと思うと近くに現れたり、また同時に複数箇所に現れたかと思うと一気に離れた場所に現れたり。

「これは空間系の魔法ね。きっと本人的には最短距離を歩いているんだと思うわ」

 確かに光点は全体としてマンションに近づいてきている。
 普通に歩くよりずっと速く。

「もう着くぞ、これ」

 奈津希さんの言葉と同時にインターホンのチャイムが鳴った。

「はい、薊野です」

 香緒里ちゃんがインターホンを取る。

「すみません、旗台です。つい楽しみで早くついちゃったのです」

「あ、じゃあ鍵開けます」

「大丈夫です。直接玄関に行くので、玄関の鍵だけ開けてくださいです」
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