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第16章 新人歓迎! 新学期
69 新入生様ご案内
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3人は旗台詩織、ルイス・ヴィンセント・ロング、ソフィー・サラ・グリンヒルと名乗った。
それぞれ補助魔法科、攻撃魔法科、補助魔法科だそうだ。
まずは詩織ちゃんが質問する。
「実はですね、魔技高専に無事入学出来たのですけれど、どうも実際にやることのイメージが湧かないのです。勿論学校だから勉強するのは当然なのですけれど、魔法については身近でないせいか、どうしてもイメージとしてわからないのです。カリキュラムとか取得単位とかの資料は見たのですけれど」
「他には学校生活等もですね。私もルイスも日本は初めてなので、生活環境等も含めて若干不安がありまして。ジェニーさんに相談したら、月曜なら暇だから遊びに来るつもりでおいでよ、と誘われまして」
成程、学生会執行部希望という訳ではないのか。
でもまあ、後輩に頼られたなら相談にのってやらないとな。
「まずは同じ学科の先輩に聞いて、何なら専門教室や資料庫等も見て説明してもらえばいいかな。幸い補助魔法科も攻撃魔法科もいるし」
「あ、出来れば私は魔法工学科の方にお話を聞きたいのです。実は第一志望が魔法工学科だったのですが不合格で、第二志望の補助魔法科に救って貰った状態なのです。出来れば今後、転科を狙っているのです」
転科はこの学校では珍しいことではない。
魔法の適性は思春期に大きく変わることが珍しくないからだ。
ただ大抵は魔法工学科から攻撃魔法科か、補助魔法科から攻撃魔法科への転科で、それ以外はあまりないけれど。
「なら、それぞれの科に分かれて説明会といこうぜ。いいかい風遊美」
「そうですね」
という事で、それぞれに別れる事にする。
俺と香緒里ちゃんがまず詩織ちゃんを連れて行ったのは、いつもの俺達の工房だ。
「ここは学生会の工房だけど、設備は授業で使う工作室と同等以上にはなっている。まあ実際に魔法工学科で何をするかってのは、作ったものを見た方が早い」
シャッターを開けると、詩織ちゃんが小さく悲鳴をあげた。
しまった。
例の悪ノリ工作の品々もそのままだった。
「ミサイルだの変な神像だの蝋人形だのは冗談だから気にしないで」
「あ、そう言えばネットで見たのです」
ネットにはそんな事まで掲載しているようだ。
「という訳でまずはわかりやすいものから。ネットでも見たかな、空飛ぶ漁船」
「一応知ってはいましたけれど、見れば見るほど漁船そのものですね」
と言いつつ、詩織ちゃんは下だの横だの、色々な角度から船を観察している。
這いつくばったり隙間から覗き込んだり。
格好だけではない、いかにも好きモノの観察の仕方だ。
「外観からは違いは見えにくいよな。香緒里ちゃん、ちょっと俺の感覚を中継してもらっていいか」
俺は審査魔法を使った状態で香緒里ちゃんに頼み、審査魔法で認識した船の構造を詩織ちゃんに中継してもらう。
「こういう魔法素材はどうやって入手するんですか」
詩織ちゃんが目をキラキラ状態で尋ねた。
「この船の場合は香緒里ちゃんの魔法で作ってもらった。ただ一般的な魔法素材はネットにデータベース化されている。例えば」
俺はパソコン前まで歩いて、魔技大のデータベースを呼び出す。
「大体のものはここで調べられるし注文もできる」
詩織ちゃんはパソコン画面を覗き込む。
「成程、検索も割と親切なのです。でも結構いいお値段がするですね」
「だから、逆に面白い物を開発したら良い収入になる、例えばあのバネの山」
俺は香緒里ちゃんのバネ工場の方を指す。
「このデータベースで注文するとこんなにいい値段」
性能諸元と金額、あと予約状況が表示される。
「うわあ、暴利ですね。でも品切れで予約も先まで埋まっているです」
最初、俺も暴利だと思った。
なので、田奈先生に言われた言葉を返してやる。
「これ位の値段にしないとさ。他の市販素材やモーター類との値段の兼ね合いで駄目なんだと」
「あ、確かにそうなのです。応用範囲を考えたらこの素材で市場が混乱しそうです」
詩織ちゃん、思った以上に飲み込みが早い。
確かに魔法工学科向きかもしれないなと俺は思う。
「何か工作の経験は」
「お金が無いのでVRのロボプロ位なのです」
ロボプロとは、互いにロボットを作って対戦させるネットワークゲームだ。
普通のゲームと違うのは、ロボットを作る材料がほぼ市販されているもので構成されていること。
制御もアルデュイーノ等実在するマイコン基板をシミュレートしたものを使い、自分でプログラムを組む必要がある。
つまり、実際にロボットを組み立てるのと同等の知識を必要とするゲームだ。
「なら後は実際に素材を加工する訓練をすれば、知識的には充分かな」
「入校した頃の私より上ですね」
香緒里ちゃんも同意する。
「あとはこのパソコン内に今まで俺が作った物が一通り入っている。見てみるか」
俺はCADを呼び出す。
「あ、出来ればジェニーさんの義足の構造を見たいのです。あれだけ自由に動く構造はどうなっているのか知りたいです」
もちろん情報はサーバに入れてある。
dから俺はあの義足のデータを呼び出した。
「このCADの操作方法は分かるか」
「多分。VRロボプロのコンストラクションとほぼ同じなのです」
その言葉を証明するかのように、詩織ちゃんは慣れたマウス操作でスムーズに画面を動かし関節やら疑似筋肉やらの機構を確認する。
「膝関節の構造が凝っていますね。球体関節ではなくジャイロ構造なのですか」
「ベアリング組み合わせたら、その方が摩擦低いし。軸の太さと構造で強度はカバーして、動きは例のバネ任せだな」
「確かにここを太くして動きが阻害されても、もともと膝は反対方向には曲がらない。それに単純球体関節と違って力を与えても滑りが出ないです。動力源のバネの固定もし易いです」
詩織ちゃん面白い。
理解力があるし、指摘が的確だ。
俺の製作意図をあっさりと理解してくれる。
これは確かに工学的センスがあるのだろう。
それぞれ補助魔法科、攻撃魔法科、補助魔法科だそうだ。
まずは詩織ちゃんが質問する。
「実はですね、魔技高専に無事入学出来たのですけれど、どうも実際にやることのイメージが湧かないのです。勿論学校だから勉強するのは当然なのですけれど、魔法については身近でないせいか、どうしてもイメージとしてわからないのです。カリキュラムとか取得単位とかの資料は見たのですけれど」
「他には学校生活等もですね。私もルイスも日本は初めてなので、生活環境等も含めて若干不安がありまして。ジェニーさんに相談したら、月曜なら暇だから遊びに来るつもりでおいでよ、と誘われまして」
成程、学生会執行部希望という訳ではないのか。
でもまあ、後輩に頼られたなら相談にのってやらないとな。
「まずは同じ学科の先輩に聞いて、何なら専門教室や資料庫等も見て説明してもらえばいいかな。幸い補助魔法科も攻撃魔法科もいるし」
「あ、出来れば私は魔法工学科の方にお話を聞きたいのです。実は第一志望が魔法工学科だったのですが不合格で、第二志望の補助魔法科に救って貰った状態なのです。出来れば今後、転科を狙っているのです」
転科はこの学校では珍しいことではない。
魔法の適性は思春期に大きく変わることが珍しくないからだ。
ただ大抵は魔法工学科から攻撃魔法科か、補助魔法科から攻撃魔法科への転科で、それ以外はあまりないけれど。
「なら、それぞれの科に分かれて説明会といこうぜ。いいかい風遊美」
「そうですね」
という事で、それぞれに別れる事にする。
俺と香緒里ちゃんがまず詩織ちゃんを連れて行ったのは、いつもの俺達の工房だ。
「ここは学生会の工房だけど、設備は授業で使う工作室と同等以上にはなっている。まあ実際に魔法工学科で何をするかってのは、作ったものを見た方が早い」
シャッターを開けると、詩織ちゃんが小さく悲鳴をあげた。
しまった。
例の悪ノリ工作の品々もそのままだった。
「ミサイルだの変な神像だの蝋人形だのは冗談だから気にしないで」
「あ、そう言えばネットで見たのです」
ネットにはそんな事まで掲載しているようだ。
「という訳でまずはわかりやすいものから。ネットでも見たかな、空飛ぶ漁船」
「一応知ってはいましたけれど、見れば見るほど漁船そのものですね」
と言いつつ、詩織ちゃんは下だの横だの、色々な角度から船を観察している。
這いつくばったり隙間から覗き込んだり。
格好だけではない、いかにも好きモノの観察の仕方だ。
「外観からは違いは見えにくいよな。香緒里ちゃん、ちょっと俺の感覚を中継してもらっていいか」
俺は審査魔法を使った状態で香緒里ちゃんに頼み、審査魔法で認識した船の構造を詩織ちゃんに中継してもらう。
「こういう魔法素材はどうやって入手するんですか」
詩織ちゃんが目をキラキラ状態で尋ねた。
「この船の場合は香緒里ちゃんの魔法で作ってもらった。ただ一般的な魔法素材はネットにデータベース化されている。例えば」
俺はパソコン前まで歩いて、魔技大のデータベースを呼び出す。
「大体のものはここで調べられるし注文もできる」
詩織ちゃんはパソコン画面を覗き込む。
「成程、検索も割と親切なのです。でも結構いいお値段がするですね」
「だから、逆に面白い物を開発したら良い収入になる、例えばあのバネの山」
俺は香緒里ちゃんのバネ工場の方を指す。
「このデータベースで注文するとこんなにいい値段」
性能諸元と金額、あと予約状況が表示される。
「うわあ、暴利ですね。でも品切れで予約も先まで埋まっているです」
最初、俺も暴利だと思った。
なので、田奈先生に言われた言葉を返してやる。
「これ位の値段にしないとさ。他の市販素材やモーター類との値段の兼ね合いで駄目なんだと」
「あ、確かにそうなのです。応用範囲を考えたらこの素材で市場が混乱しそうです」
詩織ちゃん、思った以上に飲み込みが早い。
確かに魔法工学科向きかもしれないなと俺は思う。
「何か工作の経験は」
「お金が無いのでVRのロボプロ位なのです」
ロボプロとは、互いにロボットを作って対戦させるネットワークゲームだ。
普通のゲームと違うのは、ロボットを作る材料がほぼ市販されているもので構成されていること。
制御もアルデュイーノ等実在するマイコン基板をシミュレートしたものを使い、自分でプログラムを組む必要がある。
つまり、実際にロボットを組み立てるのと同等の知識を必要とするゲームだ。
「なら後は実際に素材を加工する訓練をすれば、知識的には充分かな」
「入校した頃の私より上ですね」
香緒里ちゃんも同意する。
「あとはこのパソコン内に今まで俺が作った物が一通り入っている。見てみるか」
俺はCADを呼び出す。
「あ、出来ればジェニーさんの義足の構造を見たいのです。あれだけ自由に動く構造はどうなっているのか知りたいです」
もちろん情報はサーバに入れてある。
dから俺はあの義足のデータを呼び出した。
「このCADの操作方法は分かるか」
「多分。VRロボプロのコンストラクションとほぼ同じなのです」
その言葉を証明するかのように、詩織ちゃんは慣れたマウス操作でスムーズに画面を動かし関節やら疑似筋肉やらの機構を確認する。
「膝関節の構造が凝っていますね。球体関節ではなくジャイロ構造なのですか」
「ベアリング組み合わせたら、その方が摩擦低いし。軸の太さと構造で強度はカバーして、動きは例のバネ任せだな」
「確かにここを太くして動きが阻害されても、もともと膝は反対方向には曲がらない。それに単純球体関節と違って力を与えても滑りが出ないです。動力源のバネの固定もし易いです」
詩織ちゃん面白い。
理解力があるし、指摘が的確だ。
俺の製作意図をあっさりと理解してくれる。
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