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第18章 まもりたいもの
84 全裸の侵入者
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夜中、ふと違和感を憶えて目が覚めた。
隣に明らかに人の気配を感じる。
今日マンションに泊まっているのはいつもの面子プラス風遊美さんと奈津希さん。
2人は客間を使っているので俺のベッドは俺1人だけ。
ではこの気配は。掛布団の動きからして、俺の掛布団の上に誰かが寝ているようだ。
俺は横を見て、ぎょっとした。詩織ちゃんだ。
詩織ちゃんは時々俺のベッドに勝手に出現する。
大体2日か3日に一度位の頻度だろうか。
普段は無視して、そのまま俺も寝ている。
でも今日はちょっとまずいというか、やばい状態だ。
俺の掛け布団の上に、裸で寝てやがる。
こんな処見られたら、何を言われるかわかったものじゃない。
というかこんな状態で寝れる程、俺は聖人じゃない。
俺は布団を出て、念のため状況を再確認。
せめてパンツくらい穿いているかと思ったが、完全に全裸だ。
高校1年相当にしては発達遅めの身体。
うっすら生えている下の毛まで見えてしまった。
だめだ、これは。部屋を出てリビングへ。
誰か起きていたら詩織ちゃんの排除を頼もうと思ったのだが、誰もいない。
今日のイベントで皆様疲れてお眠りのようだ。
仕方が無いからソファーで寝るかと思った時、反対側の手前のドアが開いた。
香緒里ちゃんだ。
「どうしたの、香緒里ちゃん」
「修兄、何か困っていますか。そんな気がしたので起きてきたのですけれど」
勘、じゃなくて俺の思考をキャッチしてしまったのかな。
だとすれば申し訳ない。
「ごめん。起こしてしまって」
「それはいいです。どうしたんですか」
俺は自分の部屋の方を視線で示す。
「侵入者が出て眠れない状況になった。適当に措置してくれると助かる」
「侵入者?」
「見ればわかる」
香緒里ちゃんは俺の部屋の扉をそーっと開け、中を確認した。
そしてため息をつく。
「随分好かれているんですね」
「俺というより、ベッドのマットが好かれているんだろ」
「取り敢えず状況は分かりました。ちょっと用意してきます」
香緒里ちゃんは自分の部屋に一度戻り、1分ちょいで色々持って戻ってきた。
そのまま俺の部屋に入り、何やら作業をしている様子。
「いいですよ」
香緒里ちゃんがそう言ったので、俺は自分の部屋に入る。
詩織ちゃんは香緒里ちゃんの短パンとTシャツを着せられ、ベッドに伸びていた。
「サイズがやや大きめですけれど。それにしても、これだけやっても起きないのは大したものだと思います」
俺もそう思う。
とその時、服を着せられても起きなかった詩織ちゃんがまぶたをひくひくさせた。
「うー」
何か唸った後。
詩織ちゃんはまぶたをぱちぱちさせ、眠そうに目を半目だけ開いた。
「んー、あれ、修先輩、おばんです。おやすみなさい」
また寝ようとする。
「こら起きろ。寝るなら自分のベッドに帰れ」
「うー、こっちのベッドのほうがマットが上質で寝心地が……」
本当にマット目当てだったようだ。
「そこで寝られたら俺が寝れないだろ」
「私の横が空いていますですよ」
「詩織ちゃんの寝相が酷すぎて横に寝れないんだよ」
「ううー、わがままですねええ」
ずるずる、ごろごろという感じでベッド上を移動して。
詩織ちゃんはようやく起きた。
「あれ、これ、私の服じゃないのです」
「お前が全裸で寝ていたから、香緒里ちゃんの服を着せてもらった。後でちゃんと洗って返せよ」
「そうでした。食べ過ぎでお腹圧迫するもの付けたくなくて、マリリン・モンローの気分で寝ていたのでした。あれシャネルの何番だったでしょうかね」
よいしょ、という感じで立ち上がる。
「という訳で、香緒里先輩おばんです。胸周りのサイズが違いすぎて悲しい気分の旗台詩織です」
こら、いきなり笑わせるな。そう俺が思った時だった。
「違う!修兄逃げて」
「遅いです!」
詩織ちゃんがいきなり俺と香緒里ちゃんに飛びかかってきて、腕を掴んだ。
その瞬間、ふっと平衡感覚が壊れる。
あたりの風景がぼやける。コマ送りのように様々な夜の風景が映し出されて、消えていく。
平衡感覚が働かず、いろいろな方向へとただ落ちていく感覚。
「詩織ちゃん」
返事はない。
『いま出ているのは仮人格の方です。人格というよりサブルーチンでしょうか。条件を満たした時点で起動、本人の意思に無関係に命令を遂行するだけの仮人格です』
香緒里ちゃんが、空いている方の手を繋いで連絡してくる。
そうか、俺は気づいた。
これが奈津希さん以前言っていた起点、別人格かと。
『迂闊でした。修兄から魔法がかかっていることを聞いていたのに』
いや、違う。
『迂闊だったのは俺の方だ。ついいつもの事として油断していた。ところで本人を目覚めさせる方法は無いか。あれば聞きたい』
『この仮人格の場所と形は掴んだので、本人の人格が戻ればこの魔法も消去できます。でもこの仮人格を止める手段を思いつきません』
『香緒里ちゃんとみたいに接触で話せるようには出来ないか』
『一応やってみます。うーん、これで普通なら会話できる筈です』
俺は詩織ちゃんの腕を引っ張って、俺と同じ目線にする。
『詩織ちゃん。旗台詩織』
応答の気配はない。
『これ詩織ちゃん、ちょっとは応えろ』
当然応えない。
『詩織ちゃん、島へ帰ろう。新学期には魔法工学科に転科するんだろ』
少し動きがあった気がする。気のせいかもしれないが。
『まだ製作したい色々があるんだろ。それに包丁で慣れたから今度は刀剣レプリカ作るんだろ』
明らかに反応があった。
詩織ちゃんは俺を掴んでいた右手を離す。
そして着ていたTシャツをまくり上げて……
隣に明らかに人の気配を感じる。
今日マンションに泊まっているのはいつもの面子プラス風遊美さんと奈津希さん。
2人は客間を使っているので俺のベッドは俺1人だけ。
ではこの気配は。掛布団の動きからして、俺の掛布団の上に誰かが寝ているようだ。
俺は横を見て、ぎょっとした。詩織ちゃんだ。
詩織ちゃんは時々俺のベッドに勝手に出現する。
大体2日か3日に一度位の頻度だろうか。
普段は無視して、そのまま俺も寝ている。
でも今日はちょっとまずいというか、やばい状態だ。
俺の掛け布団の上に、裸で寝てやがる。
こんな処見られたら、何を言われるかわかったものじゃない。
というかこんな状態で寝れる程、俺は聖人じゃない。
俺は布団を出て、念のため状況を再確認。
せめてパンツくらい穿いているかと思ったが、完全に全裸だ。
高校1年相当にしては発達遅めの身体。
うっすら生えている下の毛まで見えてしまった。
だめだ、これは。部屋を出てリビングへ。
誰か起きていたら詩織ちゃんの排除を頼もうと思ったのだが、誰もいない。
今日のイベントで皆様疲れてお眠りのようだ。
仕方が無いからソファーで寝るかと思った時、反対側の手前のドアが開いた。
香緒里ちゃんだ。
「どうしたの、香緒里ちゃん」
「修兄、何か困っていますか。そんな気がしたので起きてきたのですけれど」
勘、じゃなくて俺の思考をキャッチしてしまったのかな。
だとすれば申し訳ない。
「ごめん。起こしてしまって」
「それはいいです。どうしたんですか」
俺は自分の部屋の方を視線で示す。
「侵入者が出て眠れない状況になった。適当に措置してくれると助かる」
「侵入者?」
「見ればわかる」
香緒里ちゃんは俺の部屋の扉をそーっと開け、中を確認した。
そしてため息をつく。
「随分好かれているんですね」
「俺というより、ベッドのマットが好かれているんだろ」
「取り敢えず状況は分かりました。ちょっと用意してきます」
香緒里ちゃんは自分の部屋に一度戻り、1分ちょいで色々持って戻ってきた。
そのまま俺の部屋に入り、何やら作業をしている様子。
「いいですよ」
香緒里ちゃんがそう言ったので、俺は自分の部屋に入る。
詩織ちゃんは香緒里ちゃんの短パンとTシャツを着せられ、ベッドに伸びていた。
「サイズがやや大きめですけれど。それにしても、これだけやっても起きないのは大したものだと思います」
俺もそう思う。
とその時、服を着せられても起きなかった詩織ちゃんがまぶたをひくひくさせた。
「うー」
何か唸った後。
詩織ちゃんはまぶたをぱちぱちさせ、眠そうに目を半目だけ開いた。
「んー、あれ、修先輩、おばんです。おやすみなさい」
また寝ようとする。
「こら起きろ。寝るなら自分のベッドに帰れ」
「うー、こっちのベッドのほうがマットが上質で寝心地が……」
本当にマット目当てだったようだ。
「そこで寝られたら俺が寝れないだろ」
「私の横が空いていますですよ」
「詩織ちゃんの寝相が酷すぎて横に寝れないんだよ」
「ううー、わがままですねええ」
ずるずる、ごろごろという感じでベッド上を移動して。
詩織ちゃんはようやく起きた。
「あれ、これ、私の服じゃないのです」
「お前が全裸で寝ていたから、香緒里ちゃんの服を着せてもらった。後でちゃんと洗って返せよ」
「そうでした。食べ過ぎでお腹圧迫するもの付けたくなくて、マリリン・モンローの気分で寝ていたのでした。あれシャネルの何番だったでしょうかね」
よいしょ、という感じで立ち上がる。
「という訳で、香緒里先輩おばんです。胸周りのサイズが違いすぎて悲しい気分の旗台詩織です」
こら、いきなり笑わせるな。そう俺が思った時だった。
「違う!修兄逃げて」
「遅いです!」
詩織ちゃんがいきなり俺と香緒里ちゃんに飛びかかってきて、腕を掴んだ。
その瞬間、ふっと平衡感覚が壊れる。
あたりの風景がぼやける。コマ送りのように様々な夜の風景が映し出されて、消えていく。
平衡感覚が働かず、いろいろな方向へとただ落ちていく感覚。
「詩織ちゃん」
返事はない。
『いま出ているのは仮人格の方です。人格というよりサブルーチンでしょうか。条件を満たした時点で起動、本人の意思に無関係に命令を遂行するだけの仮人格です』
香緒里ちゃんが、空いている方の手を繋いで連絡してくる。
そうか、俺は気づいた。
これが奈津希さん以前言っていた起点、別人格かと。
『迂闊でした。修兄から魔法がかかっていることを聞いていたのに』
いや、違う。
『迂闊だったのは俺の方だ。ついいつもの事として油断していた。ところで本人を目覚めさせる方法は無いか。あれば聞きたい』
『この仮人格の場所と形は掴んだので、本人の人格が戻ればこの魔法も消去できます。でもこの仮人格を止める手段を思いつきません』
『香緒里ちゃんとみたいに接触で話せるようには出来ないか』
『一応やってみます。うーん、これで普通なら会話できる筈です』
俺は詩織ちゃんの腕を引っ張って、俺と同じ目線にする。
『詩織ちゃん。旗台詩織』
応答の気配はない。
『これ詩織ちゃん、ちょっとは応えろ』
当然応えない。
『詩織ちゃん、島へ帰ろう。新学期には魔法工学科に転科するんだろ』
少し動きがあった気がする。気のせいかもしれないが。
『まだ製作したい色々があるんだろ。それに包丁で慣れたから今度は刀剣レプリカ作るんだろ』
明らかに反応があった。
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そして着ていたTシャツをまくり上げて……
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