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第18章 まもりたいもの
85 まもりたいもの
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急に景色が鮮明になった瞬間、俺は砂の上に叩きつけられた。
衝撃はそれ程でもない。
とっさに周りを見る。
香緒里ちゃんは足から無事着地、怪我は無さそうだ。
そして詩織ちゃんは、胸から血を流して倒れていた。
とっさに駆け寄る。
出血の量はそれ程多くはない。
ならまだ大丈夫なはず。
俺は詩織ちゃんのTシャツをまくり上げ、出血元を確認する。
血に塗れた右手と、まだ血が流れている胸の穴。
俺はとっさに詩織ちゃんを抱きかかえ、修復魔法を発動する。
『治療しちゃ、駄目、です、よ。悪い詩織、目覚めちゃいます』
詩織ちゃんの右手が傷の方へ動く。傷口を広げ、自分自身にとどめを刺そうと。
とっさに出した俺の右手が詩織ちゃんの右手を捕まえた。
『怪我人はおとなしくしてろ!』
『駄目です……私が死にかけ……魔法が解けた……治したら、また……』
「その魔法は香緒里ちゃんが何とかする」
ここは声に出して言う。
ちょっと視線をずらす。香緒里ちゃんが頷いたのが見えた。
俺は安心して、修復魔法に専念する。
傷は右手で肋骨の隙間を強引に突いたもの。
胸膜腔は当然肺まで損傷していて、このままだと呼吸も出来ない。
しかし構造そのものは難しくはない。俺の魔法で胸郭内全部を、内圧含めて急いで修復。
呼吸が安定的に出来るようになったのを確認した後、今度は傷口が残らないよう外側を丁寧に修復していく。
『修先輩も香緒里先輩もお人好しです。私は誘拐犯ですよ』
『意識してやった訳じゃない。だから悪いのは詩織ちゃんじゃない』
『しょうがないですね。うっ!』
詩織ちゃんは苦しそうに咳をする。
慌てて気管を確認。さっきの怪我の影響で血が少し詰まっていただけ。
今はもう問題無さそうだ。
『言いたいことは色々あるですが、急ぎを先に言っておくです。ここは北之島の中央部南側の浜辺です。本来はもう少し先の船上が回収地点です。でもこの場所も何かあった場合の予備回収地点になっているです。
ジェニーさんのような魔法使いが向こうにもいるです。だからこの場所に私達がいることはもうばれているです。10分もしない間に回収班が来る筈です。気をつけて下さいです』
『詩織ちゃんの魔法で逃げるのは』
『今の体力と魔力では無理なのです』
という事は、ここで回収班を迎え撃つ必要がある訳だ。
「香緒里ちゃん、魔法は解けそう?」
「痕跡を完全に消去しないと再発するので、少し時間がかかります」
「わかった。じゃあその間は任せろ、俺が迎撃する」
正直、俺自身が大分好戦的になっている。
我ながら自分がここまで戦闘的な気分になれるとは知らなかった位に。
船のエンジン音がする。こっちに向かっている数隻の漁船風の船が見えている。
明らかに本業が漁船で無いのは銃の搭載で確認。
奴らもある意味では被害者なのだろう。単なる下っ端の実行部隊。
でも、彼らには悪いけれど。
女の子に自分の手で胸を突いて自殺させかけるような組織を俺は擁護できない。
なので好戦的な気分のまま、俺は魔法を発動した。舵とスロットルを強引に操作。
轟音がした。2隻は岩礁に乗り上げたようだ。
こちらへ向かってくるのは残り3隻。エンジンのオルタネーターをいじってやる。
響いていたエンジン音が静まり速度が一気に落ちた。
その隙に感知した銃器全部のバレル内に異物を固定。これで戦闘力は大幅に落ちる筈だ。
何人かが海中装備らしきものを着装している様子。
面倒なので、動きを感知出来た人間はその場で麻痺させる。
15人程気絶させた時点で、流石に疲れを感じた。
しかし、まだまだだ。
奥のやや大型の船から飛行物体が2機、空中へ。
魔法動力の飛行機械を装備した兵だ。
とすると、ひょっとして。
俺は後ろ側で稼働している機械を探す。案の定崖の上側に同様の飛行兵。
だが何かでマスクされていて大脳部分が見えない。
それでも取り敢えず、銃器と飛行制御用らしいチップは壊しておく。
前方の飛行兵も倒したいが、魔力がかなりやばい。くらくらする。
由香里姉達はもう気づいているだろうか。既に向かっている最中だろうか。
「そっちは」
「もう少し」
「わかった」
香緒里ちゃんがそう言うなら、それまでは俺一人でなんとかしないと。
俺の魔力は残り僅か。
なら、こっちへ向かってくる人と機械を中心に対処しよう。
不意に背後の崖上の兵が動いた。
こっちではなく、島の反対側の方へ。
代わりに前方から、小型船3隻が近づいてくるのがわかる。
だがまだ魔力を使い切るわけにはいかない。
俺は付近を警戒しつつ敵の動向を探る。
新たな小型船は、動かなくなった小型船の付近でエンジン音を落とした。
先程前方を飛んでいた飛行兵が、付近の船舶に着船する。
新たな音が近づいてくるのが聞こえた。
聟島方向から飛行機のものと思われるちょっと低い音。
敵かと一瞬思ったが違った。
見慣れた自衛隊のP-3Cだ。
とすると。俺は左を振り向く。
予想通り聟島方向の崖上ぎりぎりの空中に見慣れた漁船が現れた。
空中ドリフトとしか言えないような無茶な機動で急旋回、俺達のところへ降りてくる。
「香緒里!修!大丈夫!」
由香里姉の声。
それが聞こえた途端、ふっと力が抜けた。
安心した瞬間、俺は気づいてしまったのだ。
実は俺、なけなしの魔力をほぼ使い果たしてしまっている事を。
そしてそのまま、俺の意識は薄れていく……
衝撃はそれ程でもない。
とっさに周りを見る。
香緒里ちゃんは足から無事着地、怪我は無さそうだ。
そして詩織ちゃんは、胸から血を流して倒れていた。
とっさに駆け寄る。
出血の量はそれ程多くはない。
ならまだ大丈夫なはず。
俺は詩織ちゃんのTシャツをまくり上げ、出血元を確認する。
血に塗れた右手と、まだ血が流れている胸の穴。
俺はとっさに詩織ちゃんを抱きかかえ、修復魔法を発動する。
『治療しちゃ、駄目、です、よ。悪い詩織、目覚めちゃいます』
詩織ちゃんの右手が傷の方へ動く。傷口を広げ、自分自身にとどめを刺そうと。
とっさに出した俺の右手が詩織ちゃんの右手を捕まえた。
『怪我人はおとなしくしてろ!』
『駄目です……私が死にかけ……魔法が解けた……治したら、また……』
「その魔法は香緒里ちゃんが何とかする」
ここは声に出して言う。
ちょっと視線をずらす。香緒里ちゃんが頷いたのが見えた。
俺は安心して、修復魔法に専念する。
傷は右手で肋骨の隙間を強引に突いたもの。
胸膜腔は当然肺まで損傷していて、このままだと呼吸も出来ない。
しかし構造そのものは難しくはない。俺の魔法で胸郭内全部を、内圧含めて急いで修復。
呼吸が安定的に出来るようになったのを確認した後、今度は傷口が残らないよう外側を丁寧に修復していく。
『修先輩も香緒里先輩もお人好しです。私は誘拐犯ですよ』
『意識してやった訳じゃない。だから悪いのは詩織ちゃんじゃない』
『しょうがないですね。うっ!』
詩織ちゃんは苦しそうに咳をする。
慌てて気管を確認。さっきの怪我の影響で血が少し詰まっていただけ。
今はもう問題無さそうだ。
『言いたいことは色々あるですが、急ぎを先に言っておくです。ここは北之島の中央部南側の浜辺です。本来はもう少し先の船上が回収地点です。でもこの場所も何かあった場合の予備回収地点になっているです。
ジェニーさんのような魔法使いが向こうにもいるです。だからこの場所に私達がいることはもうばれているです。10分もしない間に回収班が来る筈です。気をつけて下さいです』
『詩織ちゃんの魔法で逃げるのは』
『今の体力と魔力では無理なのです』
という事は、ここで回収班を迎え撃つ必要がある訳だ。
「香緒里ちゃん、魔法は解けそう?」
「痕跡を完全に消去しないと再発するので、少し時間がかかります」
「わかった。じゃあその間は任せろ、俺が迎撃する」
正直、俺自身が大分好戦的になっている。
我ながら自分がここまで戦闘的な気分になれるとは知らなかった位に。
船のエンジン音がする。こっちに向かっている数隻の漁船風の船が見えている。
明らかに本業が漁船で無いのは銃の搭載で確認。
奴らもある意味では被害者なのだろう。単なる下っ端の実行部隊。
でも、彼らには悪いけれど。
女の子に自分の手で胸を突いて自殺させかけるような組織を俺は擁護できない。
なので好戦的な気分のまま、俺は魔法を発動した。舵とスロットルを強引に操作。
轟音がした。2隻は岩礁に乗り上げたようだ。
こちらへ向かってくるのは残り3隻。エンジンのオルタネーターをいじってやる。
響いていたエンジン音が静まり速度が一気に落ちた。
その隙に感知した銃器全部のバレル内に異物を固定。これで戦闘力は大幅に落ちる筈だ。
何人かが海中装備らしきものを着装している様子。
面倒なので、動きを感知出来た人間はその場で麻痺させる。
15人程気絶させた時点で、流石に疲れを感じた。
しかし、まだまだだ。
奥のやや大型の船から飛行物体が2機、空中へ。
魔法動力の飛行機械を装備した兵だ。
とすると、ひょっとして。
俺は後ろ側で稼働している機械を探す。案の定崖の上側に同様の飛行兵。
だが何かでマスクされていて大脳部分が見えない。
それでも取り敢えず、銃器と飛行制御用らしいチップは壊しておく。
前方の飛行兵も倒したいが、魔力がかなりやばい。くらくらする。
由香里姉達はもう気づいているだろうか。既に向かっている最中だろうか。
「そっちは」
「もう少し」
「わかった」
香緒里ちゃんがそう言うなら、それまでは俺一人でなんとかしないと。
俺の魔力は残り僅か。
なら、こっちへ向かってくる人と機械を中心に対処しよう。
不意に背後の崖上の兵が動いた。
こっちではなく、島の反対側の方へ。
代わりに前方から、小型船3隻が近づいてくるのがわかる。
だがまだ魔力を使い切るわけにはいかない。
俺は付近を警戒しつつ敵の動向を探る。
新たな小型船は、動かなくなった小型船の付近でエンジン音を落とした。
先程前方を飛んでいた飛行兵が、付近の船舶に着船する。
新たな音が近づいてくるのが聞こえた。
聟島方向から飛行機のものと思われるちょっと低い音。
敵かと一瞬思ったが違った。
見慣れた自衛隊のP-3Cだ。
とすると。俺は左を振り向く。
予想通り聟島方向の崖上ぎりぎりの空中に見慣れた漁船が現れた。
空中ドリフトとしか言えないような無茶な機動で急旋回、俺達のところへ降りてくる。
「香緒里!修!大丈夫!」
由香里姉の声。
それが聞こえた途端、ふっと力が抜けた。
安心した瞬間、俺は気づいてしまったのだ。
実は俺、なけなしの魔力をほぼ使い果たしてしまっている事を。
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