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第19章 好きという単語の定義域 ~夏に思った考えた~
89 南国リゾート奴隷労働
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今日は無人島ビーチリゾートの予定。そういう訳で、学生会役員一同は北之島に来ていた。
去年海水浴をやったり某国軍と戦ったりしたあの砂浜だ。
ちなみに去年はここにサメが出る事を知らずに遊んでいた。なかなか危ない状態だったわけだ。
だが今年はジェニー様という探知魔法の使い手がいる。
既に魔法は発動中で全員が海中のサメ接近を感知可能だ。
奈津希さんはルイス君と銛を持って魚捕り。
風遊美さんはごく浅いところで半身浴とか寝湯状態で海を満喫中。
香緒里ちゃんとジェニーとソフィーちゃんはビーチバレーもどきをやっている。
そして俺は、詩織ちゃんの砂鉄採取に付き合わされていた。
採取自体は詩織ちゃんが作った、みかん箱2個程の大きさの装置がやってくれる。
設置すると海水と砂を吸い上げ、砂鉄だけ回収して海水と砂を吐き出す装置。
ただ10分毎に移動させる必要があって、それがなかなか面倒くさい。
その上、なかなか砂鉄が溜まってくれない。30分稼働して、ようやく300g程度。
つまり10分100gということか。
「なかなか気が遠くなるような作業だな」
「でも本日中に刀2本分は採りたいのですよ。第一弾が好評だったので、追加注文が来ているのです」
追加注文?
「なんだ、追加注文って」
「第一弾で作った三日月宗近が評判良くて、鶴丸国永と山姥切国広を作ってくれという注文が来ているのです。攻撃魔法科学生からの注文なのです。2学期からは使いたいという話なので夏休み中には完成させるです」
うーむ、魔法剣に日本刀というのは俺も考えつかなかった。
ただ刀のセレクトに多少の疑問も感じるが。
どこぞのゲームの影響、まさか無いよな。
「でもいい加減な砂鉄原料で大丈夫なのか」
「製鉄用に香緒里先輩に新しい炉を作ってもらったのです」
そう言えば夏休み前、倉庫の隣に登窯の出来損ないみたいなのが出来ていた。
あれは詩織ちゃんの仕業だったか。
「既に南浜の砂鉄で作った鬼丸国綱は強度チェックもパスしているです。ただ南浜の砂鉄は一通り採り終えたので、砂が入れ替わるまで他の場所で採らないといけないのです」
「そのうち木炭を採るために自然破壊なんて事は無いよな」
「木炭は仕方ないので通販で注文したです。特区の僅かな緑など、科学の前にはひとたまりもないのです」
いや違うだろう、それは。
「この砂鉄採集機、移動させるの面倒だな。自律移動式にはしないのか」
「南浜のは自律移動式なのですが、大きくて重くて島外持ち出し無理なのです。島内程度なら私の魔法で移動出来るのですが」
成程。つまりこの労働は仕方ないという事か。
時折海に浸かったりしながら、俺達は砂鉄採取を続ける。
南国の太陽にじりじり焼かれながら重い砂鉄採集機を動かすのは、まるで奴隷労働のようだ。
無人島リゾートのつもりで来たのに、何をやっているんだろう、俺は。
◇◇◇
お昼の食事も、北之島だ。
それなりに豪華で、刺盛りが大皿2枚分、煮付けが2皿4匹分、それに海藻サラダとご飯という内容だ。
米と調味料以外は攻撃魔法科2人が現地調達したものだ。
いつもの巨大魚と違い、小型で白身のさっぱりした魚メイン。でもなかなか美味しい。
やっぱり奈津希さんがいると色々便利だよな。
そんな事を思いながら、満腹中枢が刺激されるまで食べまくる。
その結果、午後の活動は皆さんトドの昼寝状態。
ただ島の反対側に移動したので日陰が多く、海風の影響もあってなかなか快適。
例の奴隷作業さえなければ、だけれども。
「浜も変わったし、どんどん採るですよ」
詩織ちゃんは鼻息が荒い。
そして海水と砂を吸い込んだ砂鉄採集機はとっても重い。
これを何日か繰り返せば、俺も筋肉もりもりになれるかもしれない。
まあ明日は筋肉痛が確定だな。
「しかしそうやって刀用の鉄を採っているとは意外だったな。てっきり材料の鉄はメーカーから買っているのかと思った」
寝転んだ状態のまま奈津希さんが言う。
「普通は買っています。これは単なる詩織ちゃんの趣味です」
香緒里ちゃんは普通に購入している模様だ。
「どうせなら成分調整まで含めて完全なものを作りたいのです」
いや別にそれは買ってきても出来るだろう。
それにその方が簡単だと思うのだけれども。
「4年の大井町の刀を作ったのも詩織かい」
「あれは私の日本刀の第2号、三日月宗近です。魔法対策もしていないし売るつもりは無かったのですが、ついつい押し切られてしまったのです」
「本人はいたく気に入っていたな。接近戦で圧倒的に使いやすいって。奴は元々身体強化と高速移動重点の魔法剣士だから、刀に魔法を使うことも無いし」
成程、そういう需要もある訳か。
俺は今まで自分が開発・製造してきた魔法杖や魔法剣について、思い返す。
あの辺りは使用側の意見等を聞いた上で、理論と実用性から作った物だ。
市場調査という程でもないが使う側の意見から考えたもので、今でもそれなりに需要も多いしちょこちょこ稼がせても貰っている。
ただ詩織ちゃんのパワードスーツや日本刀のように、使用者の事を考えずに完全に自分の作りたい物を納得行く形で造るという形でも、ちゃんと需要は出来るらしい。
無論詩織ちゃんにそれなりの選球眼というか、センスがあるからなのだろうけれど。
俺でも出来るかなと考えてふと気づく。
そう言えば最近俺は、詩織ちゃんのように作りたいものを作りたいように作る、って事をやっていない。
それこそが俺の物作りの原点だった筈なのだ。
実際、一年の頃はあの第1工作室で好き勝手に色々な物を作っていた筈なのに。
よく考えたら最近は課題とか頼まれ物以外は作っていない。
今作りたい物と言っても急には思いつかない。
これではセンスが鈍るのも当然だ。
我ながらちょっと反省。
去年海水浴をやったり某国軍と戦ったりしたあの砂浜だ。
ちなみに去年はここにサメが出る事を知らずに遊んでいた。なかなか危ない状態だったわけだ。
だが今年はジェニー様という探知魔法の使い手がいる。
既に魔法は発動中で全員が海中のサメ接近を感知可能だ。
奈津希さんはルイス君と銛を持って魚捕り。
風遊美さんはごく浅いところで半身浴とか寝湯状態で海を満喫中。
香緒里ちゃんとジェニーとソフィーちゃんはビーチバレーもどきをやっている。
そして俺は、詩織ちゃんの砂鉄採取に付き合わされていた。
採取自体は詩織ちゃんが作った、みかん箱2個程の大きさの装置がやってくれる。
設置すると海水と砂を吸い上げ、砂鉄だけ回収して海水と砂を吐き出す装置。
ただ10分毎に移動させる必要があって、それがなかなか面倒くさい。
その上、なかなか砂鉄が溜まってくれない。30分稼働して、ようやく300g程度。
つまり10分100gということか。
「なかなか気が遠くなるような作業だな」
「でも本日中に刀2本分は採りたいのですよ。第一弾が好評だったので、追加注文が来ているのです」
追加注文?
「なんだ、追加注文って」
「第一弾で作った三日月宗近が評判良くて、鶴丸国永と山姥切国広を作ってくれという注文が来ているのです。攻撃魔法科学生からの注文なのです。2学期からは使いたいという話なので夏休み中には完成させるです」
うーむ、魔法剣に日本刀というのは俺も考えつかなかった。
ただ刀のセレクトに多少の疑問も感じるが。
どこぞのゲームの影響、まさか無いよな。
「でもいい加減な砂鉄原料で大丈夫なのか」
「製鉄用に香緒里先輩に新しい炉を作ってもらったのです」
そう言えば夏休み前、倉庫の隣に登窯の出来損ないみたいなのが出来ていた。
あれは詩織ちゃんの仕業だったか。
「既に南浜の砂鉄で作った鬼丸国綱は強度チェックもパスしているです。ただ南浜の砂鉄は一通り採り終えたので、砂が入れ替わるまで他の場所で採らないといけないのです」
「そのうち木炭を採るために自然破壊なんて事は無いよな」
「木炭は仕方ないので通販で注文したです。特区の僅かな緑など、科学の前にはひとたまりもないのです」
いや違うだろう、それは。
「この砂鉄採集機、移動させるの面倒だな。自律移動式にはしないのか」
「南浜のは自律移動式なのですが、大きくて重くて島外持ち出し無理なのです。島内程度なら私の魔法で移動出来るのですが」
成程。つまりこの労働は仕方ないという事か。
時折海に浸かったりしながら、俺達は砂鉄採取を続ける。
南国の太陽にじりじり焼かれながら重い砂鉄採集機を動かすのは、まるで奴隷労働のようだ。
無人島リゾートのつもりで来たのに、何をやっているんだろう、俺は。
◇◇◇
お昼の食事も、北之島だ。
それなりに豪華で、刺盛りが大皿2枚分、煮付けが2皿4匹分、それに海藻サラダとご飯という内容だ。
米と調味料以外は攻撃魔法科2人が現地調達したものだ。
いつもの巨大魚と違い、小型で白身のさっぱりした魚メイン。でもなかなか美味しい。
やっぱり奈津希さんがいると色々便利だよな。
そんな事を思いながら、満腹中枢が刺激されるまで食べまくる。
その結果、午後の活動は皆さんトドの昼寝状態。
ただ島の反対側に移動したので日陰が多く、海風の影響もあってなかなか快適。
例の奴隷作業さえなければ、だけれども。
「浜も変わったし、どんどん採るですよ」
詩織ちゃんは鼻息が荒い。
そして海水と砂を吸い込んだ砂鉄採集機はとっても重い。
これを何日か繰り返せば、俺も筋肉もりもりになれるかもしれない。
まあ明日は筋肉痛が確定だな。
「しかしそうやって刀用の鉄を採っているとは意外だったな。てっきり材料の鉄はメーカーから買っているのかと思った」
寝転んだ状態のまま奈津希さんが言う。
「普通は買っています。これは単なる詩織ちゃんの趣味です」
香緒里ちゃんは普通に購入している模様だ。
「どうせなら成分調整まで含めて完全なものを作りたいのです」
いや別にそれは買ってきても出来るだろう。
それにその方が簡単だと思うのだけれども。
「4年の大井町の刀を作ったのも詩織かい」
「あれは私の日本刀の第2号、三日月宗近です。魔法対策もしていないし売るつもりは無かったのですが、ついつい押し切られてしまったのです」
「本人はいたく気に入っていたな。接近戦で圧倒的に使いやすいって。奴は元々身体強化と高速移動重点の魔法剣士だから、刀に魔法を使うことも無いし」
成程、そういう需要もある訳か。
俺は今まで自分が開発・製造してきた魔法杖や魔法剣について、思い返す。
あの辺りは使用側の意見等を聞いた上で、理論と実用性から作った物だ。
市場調査という程でもないが使う側の意見から考えたもので、今でもそれなりに需要も多いしちょこちょこ稼がせても貰っている。
ただ詩織ちゃんのパワードスーツや日本刀のように、使用者の事を考えずに完全に自分の作りたい物を納得行く形で造るという形でも、ちゃんと需要は出来るらしい。
無論詩織ちゃんにそれなりの選球眼というか、センスがあるからなのだろうけれど。
俺でも出来るかなと考えてふと気づく。
そう言えば最近俺は、詩織ちゃんのように作りたいものを作りたいように作る、って事をやっていない。
それこそが俺の物作りの原点だった筈なのだ。
実際、一年の頃はあの第1工作室で好き勝手に色々な物を作っていた筈なのに。
よく考えたら最近は課題とか頼まれ物以外は作っていない。
今作りたい物と言っても急には思いつかない。
これではセンスが鈍るのも当然だ。
我ながらちょっと反省。
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