機械オタクと魔女五人~魔法特区・婿島にて

於田縫紀

文字の大きさ
112 / 202
第22章 臭い缶詰とチョコレートケーキ~冬の章・後編~

111 ヤバいブツは誰の手に

しおりを挟む
 ケーキの上で、かなり大きな飾りが自己主張している。

「そう言えばこのルイス像はどうする。9分割するか」

 そう、ダビデ像のポーズを取ったルイス像だ。
 高さ16cmは結構大きい。

「9人らから、脚を膝で2分割して胴を2分割すれば9個になるれす」

 確かにそうすればちょうど9個だ。
 バラバラ死体のようになるけれど、形状的に仕方ない。

「よく出来ているのに勿体無いな。何ならコーティングして残しておくか」

 確かにそれも方法論のひとつだろうとは思う。しかし……

「頼むから止めてくれ」

 予想通り、モデルから苦情が入った。

「なら9分割でしょうか。それも残酷な感じですけれど」

「諦めましょう。所詮はチョコレートです」

 話が進まなそうなので、俺は魔法でジェニーの提案通りの9分割をかける。

「ギャー」

 詩織ちゃんが悲鳴の効果音ををあげる。
 まあその辺はお約束という奴で、無視。

 ただし分割した結果を見た俺は、少しばかり後悔した。
 頭というか、首から上部分が妙にリアルに残っている。
 あと胴体の下部分、イチモツがにょっきり生えている。

 他に分割方法が無かったから仕方ないのだ。
 かくなる上は。

「9分割しました。1人1個です」

 少しでもましな部分をキープさせて貰おう。
 そう思った俺は宣言した後、真っ先に一番無難な足の先部分を確保させてもらった。

 俺と同じ事を思ったのだろう。皆さっさと無難な部分を取っていく。
 そして残ったのは、頭部分とイチモツ付き胴体下部分。
 やはりこの2個、皆様から避けられたらしい。

 そして取っていないのは、1年生女子2名。

「ソフィー、どっちがいいですか」

「私はチョコが多いほうがいいから、胴部分かな」

「なら私は頭部分を頂くです」

 特に問題無さそうな雰囲気で、危険な部分もケーキ上を去った。。
 残りの飾り類、他にハートや薔薇やキノコやタケノコは分量的に均等になるよう、皆で取って。

「それでは改めて、頂きます」

 俺はまずはケーキ本体からいただく。
 うん、文句なく美味しい。

 中に甘酸っぱいジャムが仕組まれている。
 そしてチョコ部分のちょっとシャリシャリした感じも含めて美味しい。

 付け合せで甘くない生クリームが付いているのは、このジャムとチョコの甘さ故だろう。
 セットでとても美味しい味だ。

 キノコタケノコやハートは、普通にチョコレートとしてとても美味しい。
 何故かハートがややにが目で、キノコが甘いのは、キャラクター的には逆という気がするけれど。

 薔薇はまさに正しいクリームの味だ。まあクリームだから当然か。

 ほぼ満足して食べきった中、最後に残るのは問題の球体。
 そう、どれか1個当たりがついているという奴だ。
 見るとまだ、誰も手を付けていない。

 俺は魔法を使えばどれが当たりかわかる。
 しかしさっきも言ったように、そういう事をするのは無粋だろう。
 だから意を決して、球体を口の中に放り込む。

 あ、これはなかなか美味しい。
 ただのチョコの球ではなく、色々中に仕組んである。
 ケーキと同系統の味で、なかなか美味しい。

「美味しいな、これ」

「中はチョコムースと杏ジャムなのです。ケーキに使った材料を分けてもらったです。ハズレの方は、ですけれど」

 俺のチャレンジ成功を見て、徐々に皆試していく。

 そして、ついに。
 詩織ちゃんが突如口を押さえ姿を消した。
 キッチンに出現し水を流しながら、無茶な姿勢で口を濯いでいる。

「自業自得だな」

 俺の台詞に全員が頷いた。

「ふふぇーん、ひろいれす。これしたおかひくなるれす」

「どういう状態で仕込んだんだよ」

「チョコムーふにきっちり1㎖まへたたけれす。これきひしひれふ」

 言葉がまともに喋れていない。
 水だけでなくキッチンペーパーまで使い、更に某清涼飲料水で口の中を拭いた後、やっと詩織ちゃんは戻ってきた。

「思った以上だったです。流石1万スコヴィルです。ルイスで口直しするです」

 詩織ちゃんは残していたルイスの頭部分を口の中に放り込み、噛みしめる。

「やっぱりルイスはいい奴です。生き返ったです」

 詩織ちゃんは同学年男子の頭部部分(10分の1)を食べて復活したようだ。

「これに懲りて少しは反省するように!」

 一応同じ科の先輩としてしめておこう。

「今度は4分の1で混ぜるです」

 やっぱり懲りていない。

「あんまり懲りないようだと、ホワイトデーのお返しにリアル詩織型ションベン小僧のチョコを作るぞ」

「それだとしゃがんだ像になるので格好悪いです。ビーナスの誕生バージョンでお願いするのです」

「諦めろ、体型的に無理だ」

「セクハラなのです。胸パットの使用を認めて欲しいです」

 セクハラと言いつつ自分で胸がない事を認めていやがる。

「何なら某国産平和の少女像で妥協してやる」

「あんな由来もいい加減なパチもんは嫌なのです」

「ここは日本れすから、邪神モッコス像なんてどうれすか」

「あんな目が怖い変態ポーズ可能な像は嫌なのです」

 ジェニーも詩織ちゃんも下らないもの知っているな。
 俺もわかるけれど。

 そんなこんなで賑やかに時間は過ぎていく。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~

紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。 そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。 大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。 しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。 フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。 しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。 「あのときからずっと……お慕いしています」 かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。 ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。 「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、 シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」 あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

現世にダンジョンができたので冒険者になった。

盾乃あに
ファンタジー
忠野健人は帰り道に狼を倒してしまう。『レベルアップ』なにそれ?そして周りはモンスターだらけでなんとか倒して行く。

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

才能は流星魔法

神無月 紅
ファンタジー
東北の田舎に住んでいる遠藤井尾は、事故によって気が付けばどこまでも広がる空間の中にいた。 そこには巨大な水晶があり、その水晶に触れると井尾の持つ流星魔法の才能が目覚めることになる。 流星魔法の才能が目覚めると、井尾は即座に異世界に転移させられてしまう。 ただし、そこは街中ではなく誰も人のいない山の中。 井尾はそこで生き延びるべく奮闘する。 山から降りるため、まずはゴブリンから逃げ回りながら人の住む街や道を探すべく頂上付近まで到達したとき、そこで見たのは地上を移動するゴブリンの軍勢。 井尾はそんなゴブリンの軍勢に向かって流星魔法を使うのだった。 二日に一度、18時に更新します。 カクヨムにも同時投稿しています。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~

みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった! 無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。 追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。

処理中です...