機械オタクと魔女五人~魔法特区・婿島にて

於田縫紀

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第24章 新人さんを確保しよう!

120 第1入会者、確保成功

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「ソフィー、ここは何の研究会デスか。入学したら早速加入するデス」

 ソフィーが、呆れた表情でロビーを見る。

「何度もメールで言ったです。私がいるのは学生会だって」

「ハハハ、ナイスジョーク。こんな使える作業場を学生会が管理できる訳ないデス」

「本当です。その彼が学生会長の修さんです」

「悪い冗談デス……えっ」

 ロビーはどうやら、周りの沈黙の意味を理解したようだ。

「まさか、本当に、あなたが学生会長なのデスか」

「成り行きでな。好きでなった訳じゃない」

 しばしの沈黙。

「やっぱりここは日本ジャパンなのデス。これじゃ物作りで勝てない訳デス」

「成り行きでこうなっただけさ。俺自身は学生会長以前に物作り屋だ。ここは先々代の会長が使っていなかった車両整備場を接収したもので、今は学生会付属の趣味の工房さ。俺を含め、学生会の魔法工学科3人で使っている」

「なら俺も学生会に入るデス。この工房を使っていいなら雑用くらいするデス」

 俺は勿論OKだが、ここは第1関係者含む全員にお伺いをたてておこう。

「ソフィー、いいか」

「この状態のロビーは制御不能です」

「香織ちゃんとジェニーは」

「修兄がいいと思うなら」

「審査魔法持ちは大歓迎れすよ」

「他に異議ある人は」

「審査魔法持ちがいれば助かるだろう」

「ルイスと違うタイプのマッチョも大歓迎なのですよ」

 おい詩織、何かお前だけ変な本音こと言っているぞ。
 ルイスが急に心配そうな目になったじゃないか。
 でも、まあ。

「なら今からここはロビーの作業場だ。でもいいのか。他にも工作系の研究会はいくつかあるぞ」

「ソフィーもいて、この作業場が使えるならそれ以上は無いデス」

 きっぱり言い切った。

「何か私よりここの工房のほうが重要な感じがするけれど」

 あ、急にロビーが沈黙した。

「……本来はこんな感じで静かなんですけどね」

「気をつけた方がいいれす。修のように女の子よりも機械というタイプれす」

 何かまずい話になる前にちょっと席を立って、資材ストック場所へ。
 例によって適当な厚さのステンレス板の欠片を拾い上げ、俺のポケットから出したこの工房の鍵と同じものを工作魔法で作り上げる。
 席に戻る途中、新しい方の鍵をロビーに渡す。

「これがここの鍵だ。これからは自由に使ってくれ」

「いいのデスか、こんなにすぐに」

「さっきの手つきを見れば腕はわかる。ソフィーの知り合いでもあるしな」

「ありがとう」

 こういうおとこに使って貰えればこの工房も本意だろう。
 ただ、俺とロビーへの周りの視線が妙に生温かい気がするのは気のせいだろうか。
 気のせいだよな、きっと。

 ◇◇◇

 そして食事後は、楽しい楽しい工作の時間だ。
  

「なら吸気を魔法で強制冷却して」

「MJ管で圧縮吸気デスか。パワー伸びるデス」

「キャブの一部だけはあえて30度位に保温して気化促進させるか」

「なら別パイプで冷たいフレッシュエア導入して混ぜるデス」

「とりあえず理論空燃比よりやや濃い目にしておこう。焼き付くとまずい」

「あと排気系も負圧かけて一気に抜くデスか」

「あとエンジン本体の強制冷却な」

 ロビーのバイク改造計画が進んでいる。
 エンジンはトルクを稼ぐため、魔法仕様インタークーラー付スーパーチャージドエンジンにする予定。
 駆動系は元々もっと大きいバイクからの流用なので余裕はある。

 しかしこうやって弄ると、やはり内燃機関はいい。
 パワーの出方が電気や魔法動力と比べて官能的なのだ。

 今はロビーと会った当日の、会食1時間後である。
 会ったばかりだし学年も違うが、既に俺とロビーはマブダチ状態。
 まあソフィーはじめ学生会の他の面々には、生温かい目で見られているが。

「何なら課題で使えそうな汎用エンジンでも調達しておくか。俺はモーター派だったから汎用エンジンの在庫は無いしな」

「いいデスね。ホンダかヤマハかあたりの400ccクラス、2~3基あれば何でも作れるデス」

「なら早く注文しておいたほうがいい。汎用内燃エンジンはここでは買えないからな。発注して1月待ちなんてザラだし」

「そうデス。なら後でカタログ見て代理店注文しておくデス」

「絶対早いほうがいい。他にも自分で使いそうな材料があったらさっさと注文かけておいた方がいい。100万位なら気にせず言ってくれ。個人発注ができない店も会社発注できる」

「いいデスか」

「色々あって会社を作ってさ。それ位なら研究開発費という事で……」

 会社の定款には
 ○ 魔法を使用した機械及び器具の開発販売
とか
 ○ その他機械類の販売
もちゃんと入れてあるので問題ない。

 この辺は俺が1~2年の頃、通販で汎用部品を購入しようとした際に『個人への販売はできません』と断られた経験から入れたのだ。
 そのうち魔法工学科全般への販売も計画しようかな。
 需要があるかはわからないが。

「そこ、怪しい相談をしない!」

「あれが社長、俺は平社員。でも開発関係と会計関係は俺の特権」

「どういう世界デスか」

「後でゆっくり話すさ。まずは……急ぎは発注かな」

 新たに購入した、会社用会計及び在庫整理件発注用ノートパソコンを起動する。
 ちなみにデータそのものは、魔技大のクラウド保存。
 だからマンションでも何処でも作業は可能だ。

 企業用HPを開くと、色々面白そうな商品が出てくる。
 そして往々にして、必要十分な物よりいい物にも目移りするのが、人ってものだ。

「ヤマハ400ccの横軸タイプ、これ押さえておいたほうがいいよな」

「一番使い易いタイプデス」

「よし2基押さえておくと、あとは大型行っとく」

「いいデスか、高いデス」

「ああこんな処にクボタの1600の在庫が……ぽちっとな」

「ああなんとテリブルデス」

「あとは小さいのはどうする」

「補機の大きさを考えると、あまり小さいの必要ないデス。基本400の横軸タイプ2つあればいいデス。空でも飛ばすか車でも作らない限り1600は……でもいいデスね」

「補機類はどうする」

「とりあえずはいいデス。インタークーラユニットは魔法で代用デス。ターボも魔法でスーパーチャージドした方が楽デス」

 香ちゃんがため息をついて、そして口を出してきた。

「あまり使わない物買ったら修兄に買い取って貰いますから」

「了解了解」

 問題ない。今の俺は、自力でそれくらい買える程度の収入がある。
 それに税金対策を考えると、この辺は会社管理にしておいた方がいい。

 ちなみに、俺が開発した機器類のライセンスその他についても、会社管理にしてある。
 香緒里ちゃんの刀についても、俺の杖やお守りについても同様。
 ひとえに税金対策だ。

 法人税と個人の税率の違いは結構大きい。
 勿論稼がなければ、個人でも税金は0だけど。

 なお詩織ちゃんは既に、指導教官兼オヤジの税金対策会社社員扱いとの事。
 あのオヤジもなかなかしっかりちゃっかりしていやがる。
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