機械オタクと魔女五人~魔法特区・婿島にて

於田縫紀

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第24章 新人さんを確保しよう!

123 そしていつもの金曜夜

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 ◇◇◇

 帰りの時点で既に賑やかだった。
 何せ9人で色々話しながらだ。
 しかもその途中、色々しょうもない事案を起こす。

「ロビーって強そうだな。攻撃魔法科にはいなかったけど」

「アイム魔法工学科デス。攻撃魔法使えません」

「でもその筋肉だろ、どう考えても強そうだ」

「マイ筋肉は農作業と工場仕事用デス」

「ロビーだったらは私の方がリトー強いです。イッシーキレ!」

 歩道に直径30cm高さ3mの氷柱が出現。

「おいおい、邪魔だろうこれ」

「しょうがない」

 ルイスが何かを唱えると、氷柱が渦巻く風に飲まれて姿を消す。

「おお、流石ルイス先輩」

「あれ、ルイス今の魔法、熱を感じなかったか」

「少しは風以外の魔法も使えるようになった」

「やるですね。では私も新魔法をば」

「詩織止めてくれ。お前の魔法見ると自信が無くなる」

 こんな感じでガヤガヤと歩いていく。
 それでも5分も歩けばマンションの前だ。

「何か高そうなマンションですねー。足元の敷石まで高級感を主張してますです」

「香緒里先輩達の家で、学生会の拠点みたいなものだ。本当に驚くのはまだ先だ」

 ルイスはそう言って先導して、エレベータに案内。
 最上階に上がって、掌紋認証で玄関ドアを開ける。

「おかえりなさい。今日は人数が多いから、お姉さん腕をふるっちゃったぞっ」

 今日の奈津希さんはお姉さんモードらしい。
 そして室内には予想より多い人数がいた。

 由香里姉、風遊美さん、奈津希さんは想定内。
 だが更に鈴懸台先輩と月見野先輩までいる。

「どうもどうも、専科だと今更研究会入るのも何だしね。またちょくちょく顔を出そうかと」

「大学3年からだとサークルも入りにくいですしね。授業も転入だとコマ数多くなるし、他で遊べない分、ここで一服するのもいいかなあと思いまして」

 オールスターキャスト揃ってしまった。
 人数的に大丈夫なのだろうか。

「人数が多いから、新旧問わず攻撃魔法科はソファーの方な。ソファー6人テーブル8人のセットにしておいたから」

「すみません奈津季さん」

「いいって事よ、じゃなかった。今日は『もうしょうがないわね、でもお姉ちゃん頑張ったから!』だったのに」

「もう諦めて下さい」

 何だかなあもう。
 微妙に固まっている新1年生女子2人を、ルイスがエスコート。
 既に溶け込んでいるロビーは、そのままテーブルの方へつく。

「今日は新人歓迎という事で、パーティっぽいメニューにしてみた。ご飯とドリンクはおかわり自由のセルフサービス。という事でまずは現会長、挨拶」

 いきなり振られた。
 しょうがないので俺は立ちあがる。

「本日は学生会の新人3人を迎えてという事で、奈津季前副会長ありがとうございました。またご臨席いただきました鈴懸台元副会長、月見野元監査、風遊美前会長も大変にありがとうございます。この後、色々お見苦しい事を多々見せることになると思いますが、どうぞその点は教授会には内緒でお願い致しますともに、見捨てずにお付き合いいただけるようよろしくお願い致します」

 途中から本音が入ってしまったのは、許して欲しい。
 この後に待ち受けている事案を考えると、どうしても……

 パーティが始まる。
 メニューはフライドチキン、ピザ、フライドポテト、ツナサラダ、ごぼうサラダ、ポテトサラダ、エビチリ、鶏照り焼きといった感じ。

 要はいかにもありそうなパーティ料理だ。
 どうぜ奈津季さんが適当に、冷凍食品やら何やらで作ったのだろうけれど。
 本当に器用だよなと思いながら食べつつ、周りの様子を観察する。

 古い連中やロビーは問題ない。
 というかロビー、完全にもう溶け込んでいやがる。
 今も香緒里ちゃんと詩織ちゃん相手に、何やら制作論を戦わせている。
 無口で朴訥だという触れ込みはどこへ消えたんだ。

 逆にちょっとぎこちない感じなのが、今日から参加の女子2名だ。
 理奈ちゃんの方はまだいいとして、愛希ちゃんの方はがちがちに見える。
 ならちょっと助力してくるかな、と思った時。

「大丈夫ですよ」

 風遊美さんに止められた。

「ルイス君も頑張っていますし、奈津季も他の人も色々考えているようです。少し様子を見るのが正解です」

「そうですね。翠以外はちゃんと気にしているようですよ。翠はあの性格だから、逆にそのままでもいいと思いますし」

 成程、風遊美さんも月見野先輩もそう見ているなら大丈夫だろう。

「それよりうちのロビー、何かこっちへ来て以来ずっとあんな状態で。ああいうロビー、アンティコスティでは見た事ナッシングです」

「あれこそ修のせいれすね」

 俺は北米出身女子2人に責められる。
 確かに微妙に否定できない。

「でも修君に対処させるのは無理でしょう。むしろ悪化させてしまうと思いますわ」

 月見野先輩が酷い事を言っているが、これも否定できない。

「温かい目でみてあげるしか無いと思います。そのうちちゃんと気づいてくれると思いますよ」

「修も大分変わったれすからね」

  風遊美さんのフォローはともかくジェニー、お前の台詞は余計だ。
 そして月見野先輩、頷かないでくれ。
 俺が傷つく。

 ◇◇◇ 

 飯が終われば、当然風呂の時間になる。
 で、俺とルイスは例によって樽湯に避難している。
 今日は特に人数が多いので大変に危険だ。

 なおロビーは全く気にしていない模様で、今はメインの浴槽に長々と伸びている。
 今日からの1年女子2人は、愛希ちゃんの方は最初ちょっと抵抗がある感じだったが、完全に今ではもう溶け込んでいる感じだ。
 今では愛希ちゃんも横で伸びているロビーを気にせず、奈津希さんと鈴懸台先輩と3人で何やら話をしている様子だし。

 ただロビー、少しは隠せ!
 今この場所では言えないけれど。

 俺の愛しのぬる湯は風遊美さん、ジェニー、ソフィーの北国出身者に占拠されているし、薊野姉妹と月見野先輩は歩ける風呂とサウナ2種をぐるぐる回って美容に余念が無いようだ。
 理奈ちゃんはジェットバスに浸かりながらにやにやと周りを観察中。
 ん、誰か抜けている気が……

「やっぱり修先輩の設定温度はぬるいですねえ」

 いきなり声がするとともに、目の前に何かが現れた。
 お湯が一気に出現した体積分、流れ出る。

「何なんだいきなり」

 いきなり詩織ちゃんが出現した。

「新魔法の披露なのですよ。ついにルート設定なしでも短距離なら自由に移動できるようになったのです」

 そう言うとともに姿が消え、がっとお湯が減った樽湯だけが残る。
 そして隣の樽湯に……

「やっぱりルイスの湯加減が一番ですね。ちょっとお邪魔するですよ」

 ルイスの声にはならない悲鳴を、俺は確かに聞いた。

 頑張れルイス、負けるなルイス。
 とりあえず陰ながら応援はしているぞ。
 俺も詩織ちゃんには勝てないから応援だけだけどな。
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