142 / 202
第28章 心なき身にもあはれは知られけり~秋・俺の学生会で最後の学園祭~
141 この方、誰のお客様?
しおりを挟む
学園祭は無事始まった。
学校行事って毎回学生会長の挨拶があるのだが、これは何とかならないものだろうか。
いい加減慣れたけど、事前準備が面倒だし疲れるのだ。
あと委託販売物品は昨日中に創造制作研究会に渡した。
ちなみに委託販売分の内訳は、
○ 香緒里ちゃん制作の刀 20口
○ 詩織ちゃん制作の刀 20口
○ 多属性用魔法杖 3個仕様7、4個仕様5、5個仕様3
○ 医療用特殊魔法杖 外科仕様7 内科仕様7
○ キーホルダー・ストラップ両用超小型杖 40
程である。
それ以外に、香緒里ちゃんも詩織ちゃんも、数口用意しているようだ。
俺自身も同じタイプの若干の予備と、違うタイプの別在庫を作ってある。
そして俺の集大成、ボールペン型も無事完成した。
元になった本物と外見は全く同じだが、少しだけ重くなってしまった。
筐体の裏側を少し削って魔法銀の導線を複数配置し、更に幾つもの超薄型強化魔法陣が丸まって収納されている。
なお全く同じ外見だが設定が異なるものも、1本作成した。
これは江田先輩への去年の礼だ。
わざと外見を奈津季さん仕様と同じにしたのだが、気づいてくれるだろうか。
まだどちらも渡していないけれど。
さて、学生会事務局の方は、基本は俺と香緒里ちゃんとルイスと詩織ちゃんの4人で回す予定だ。
ジェニーとソフィーは例年通り、迷子担当兼取材・広報班。
1年生3人は基本フリー。
何かあった際に、個々に連絡を取って対応をお願いする予定。
ただ昨年から開催されている滅多斬り大会はルイスが出場するし、居合斬模範演技の前後には俺、香緒里ちゃん、詩織ちゃんの3人が席を外す。
その際は1年3人にも応援してもらう事になるけれども。
それにロビーは修理魔法使用可能で審査魔法持ちなので、何か装備品等に故障や不具合がある場合は第一対応をお願いするかもしれない。
まあそんなところだ。
開会式が終了した後、俺はのんびり歩きながら学生会室に向かう。
今年も人員的な出だしは好調だ。
天気予報も概ね晴れが続くようだしな。
そんな事を思いながら歩いていた時だ。
「学園祭運営本部から学生会長宛て、EU魔法特区から学生会長宛てのお客さんと思われます。学園祭本部で対応中。なお日本語が話せない模様です」
「学生会長津田了解」
何だろう。
俺にEUの特区からの客が来る予定は無いぞ。
それに俺、外国語はまるで駄目だし。
EU特区というとルイスが適役なのだが、彼は今頃滅多斬り大会予選出場中だ。
とすると……フランス語なら向こうもわかるかな。
「学生会長津田から学生会取材班ジェニー又はソフィー、通訳依頼。学園祭本部までお願いします」
「学生会ジェニー了解」
EUの特区の共通語のひとつはフランス語だし、英語も多分通じるだろう。
なので完全に人頼みだけれど、通訳は北米組に投げる。
それでもまあ、俺も行かなきゃならないけれど。
俺が運営本部に着いた時にはもうジェニーとソフィーも到着していた。
わりと大柄で褐色の長い髪の、見慣れない白人女性が座っている。
年齢的には由香里姉か、もうちょっと上の感じ。
この人が例のお客さんだろうか。
さっそくジェニーに状況を聞いてみる。
「この方はEUの特区の大学生のエリカさんと言うそうれす。前にEUの特区で同じ学校にいた時の知り合いが、うちの学校にいるらしいと聞いて訪ねてみたそうれす。この学校で何か会長をしているという話を聞いたそうれすが、伝聞なので自信が無いそうれす」
少なくとも俺でない事は確かだ。
とすると、学生会長なら由香里姉か風遊美さんだろうか。
「学年は何年生か、聞いてみてくれ」
ジェニーが相手と英語でない言語でやりとりする。
「前と同じなら、今は大学3年とのことれす」
とすると由香里姉かと思って、考え直す。
EUと言うと、むしろ風遊美さんだ。
向こうとこっちは新学期の開始時期が違うから、学年がずれる可能性があるし。
しかし風遊美さんの今の名前は、日本に来てからの名前だ。
前の名前はちらっと聞いたけれど、残念ながら思い出せない。
「ジェニー、その人の前の名前を聞いてもらっていいか」
またジェニーがやりとり。
「向こうの学校でははテオドーラ・ローラ・カストナーという名前だったそうれすが、この名前は仮の名前だったそうです。こっちに来てから名前を変えたらしいそうれす」
そうだ、テオドーラだ。間違いない。
「わかった。でもジェニー、ひとつだけ確認。彼女に敵意とかそういうの無いよな」
風遊美さんは、前の学校ではボロボロ状態だったと自分で言っていた。
なので失礼ではあるけれど、念には念を入れてだ。
「全然大丈夫です。私が保証するれす」
「なら本人と連絡をつける。学生会室へ案内しよう」
あえて風遊美さんの今の名前は出さない。
用心し過ぎかもしれないけれど。
風遊美さんへ、SNSでエリカさんという方がEU特区から来ていること、これから学生会室に案内する事を連絡する。
直ぐに返事が返ってきた。
学生会室に向かうそうだ。
「ジェニー、悪いが案内して先に学生会室に向かってくれ。ちょっとお茶菓子を買ってくる」
「了解れすよ」
あと学生会室にも無線連絡。
「学生会長津田から学生会室あて。風遊美さんのお客さんがこれからそっちに向かう。ジェニーとソフィーが引率する」
「学生会室薊野了解」
今の番は香緒里ちゃんだった。
ならちょうどいい。
俺はお茶菓子を買うべく、お馴染み創造製作研究会へダッシュする。
学校行事って毎回学生会長の挨拶があるのだが、これは何とかならないものだろうか。
いい加減慣れたけど、事前準備が面倒だし疲れるのだ。
あと委託販売物品は昨日中に創造制作研究会に渡した。
ちなみに委託販売分の内訳は、
○ 香緒里ちゃん制作の刀 20口
○ 詩織ちゃん制作の刀 20口
○ 多属性用魔法杖 3個仕様7、4個仕様5、5個仕様3
○ 医療用特殊魔法杖 外科仕様7 内科仕様7
○ キーホルダー・ストラップ両用超小型杖 40
程である。
それ以外に、香緒里ちゃんも詩織ちゃんも、数口用意しているようだ。
俺自身も同じタイプの若干の予備と、違うタイプの別在庫を作ってある。
そして俺の集大成、ボールペン型も無事完成した。
元になった本物と外見は全く同じだが、少しだけ重くなってしまった。
筐体の裏側を少し削って魔法銀の導線を複数配置し、更に幾つもの超薄型強化魔法陣が丸まって収納されている。
なお全く同じ外見だが設定が異なるものも、1本作成した。
これは江田先輩への去年の礼だ。
わざと外見を奈津季さん仕様と同じにしたのだが、気づいてくれるだろうか。
まだどちらも渡していないけれど。
さて、学生会事務局の方は、基本は俺と香緒里ちゃんとルイスと詩織ちゃんの4人で回す予定だ。
ジェニーとソフィーは例年通り、迷子担当兼取材・広報班。
1年生3人は基本フリー。
何かあった際に、個々に連絡を取って対応をお願いする予定。
ただ昨年から開催されている滅多斬り大会はルイスが出場するし、居合斬模範演技の前後には俺、香緒里ちゃん、詩織ちゃんの3人が席を外す。
その際は1年3人にも応援してもらう事になるけれども。
それにロビーは修理魔法使用可能で審査魔法持ちなので、何か装備品等に故障や不具合がある場合は第一対応をお願いするかもしれない。
まあそんなところだ。
開会式が終了した後、俺はのんびり歩きながら学生会室に向かう。
今年も人員的な出だしは好調だ。
天気予報も概ね晴れが続くようだしな。
そんな事を思いながら歩いていた時だ。
「学園祭運営本部から学生会長宛て、EU魔法特区から学生会長宛てのお客さんと思われます。学園祭本部で対応中。なお日本語が話せない模様です」
「学生会長津田了解」
何だろう。
俺にEUの特区からの客が来る予定は無いぞ。
それに俺、外国語はまるで駄目だし。
EU特区というとルイスが適役なのだが、彼は今頃滅多斬り大会予選出場中だ。
とすると……フランス語なら向こうもわかるかな。
「学生会長津田から学生会取材班ジェニー又はソフィー、通訳依頼。学園祭本部までお願いします」
「学生会ジェニー了解」
EUの特区の共通語のひとつはフランス語だし、英語も多分通じるだろう。
なので完全に人頼みだけれど、通訳は北米組に投げる。
それでもまあ、俺も行かなきゃならないけれど。
俺が運営本部に着いた時にはもうジェニーとソフィーも到着していた。
わりと大柄で褐色の長い髪の、見慣れない白人女性が座っている。
年齢的には由香里姉か、もうちょっと上の感じ。
この人が例のお客さんだろうか。
さっそくジェニーに状況を聞いてみる。
「この方はEUの特区の大学生のエリカさんと言うそうれす。前にEUの特区で同じ学校にいた時の知り合いが、うちの学校にいるらしいと聞いて訪ねてみたそうれす。この学校で何か会長をしているという話を聞いたそうれすが、伝聞なので自信が無いそうれす」
少なくとも俺でない事は確かだ。
とすると、学生会長なら由香里姉か風遊美さんだろうか。
「学年は何年生か、聞いてみてくれ」
ジェニーが相手と英語でない言語でやりとりする。
「前と同じなら、今は大学3年とのことれす」
とすると由香里姉かと思って、考え直す。
EUと言うと、むしろ風遊美さんだ。
向こうとこっちは新学期の開始時期が違うから、学年がずれる可能性があるし。
しかし風遊美さんの今の名前は、日本に来てからの名前だ。
前の名前はちらっと聞いたけれど、残念ながら思い出せない。
「ジェニー、その人の前の名前を聞いてもらっていいか」
またジェニーがやりとり。
「向こうの学校でははテオドーラ・ローラ・カストナーという名前だったそうれすが、この名前は仮の名前だったそうです。こっちに来てから名前を変えたらしいそうれす」
そうだ、テオドーラだ。間違いない。
「わかった。でもジェニー、ひとつだけ確認。彼女に敵意とかそういうの無いよな」
風遊美さんは、前の学校ではボロボロ状態だったと自分で言っていた。
なので失礼ではあるけれど、念には念を入れてだ。
「全然大丈夫です。私が保証するれす」
「なら本人と連絡をつける。学生会室へ案内しよう」
あえて風遊美さんの今の名前は出さない。
用心し過ぎかもしれないけれど。
風遊美さんへ、SNSでエリカさんという方がEU特区から来ていること、これから学生会室に案内する事を連絡する。
直ぐに返事が返ってきた。
学生会室に向かうそうだ。
「ジェニー、悪いが案内して先に学生会室に向かってくれ。ちょっとお茶菓子を買ってくる」
「了解れすよ」
あと学生会室にも無線連絡。
「学生会長津田から学生会室あて。風遊美さんのお客さんがこれからそっちに向かう。ジェニーとソフィーが引率する」
「学生会室薊野了解」
今の番は香緒里ちゃんだった。
ならちょうどいい。
俺はお茶菓子を買うべく、お馴染み創造製作研究会へダッシュする。
40
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
宿敵の家の当主を妻に貰いました~妻は可憐で儚くて優しくて賢くて可愛くて最高です~
紗沙
恋愛
剣の名家にして、国の南側を支配する大貴族フォルス家。
そこの三男として生まれたノヴァは一族のみが扱える秘技が全く使えない、出来損ないというレッテルを貼られ、辛い子供時代を過ごした。
大人になったノヴァは小さな領地を与えられるものの、仕事も家族からの期待も、周りからの期待も0に等しい。
しかし、そんなノヴァに舞い込んだ一件の縁談話。相手は国の北側を支配する大貴族。
フォルス家とは長年の確執があり、今は栄華を極めているアークゲート家だった。
しかも縁談の相手は、まさかのアークゲート家当主・シアで・・・。
「あのときからずっと……お慕いしています」
かくして、何も持たないフォルス家の三男坊は性格良し、容姿良し、というか全てが良しの妻を迎え入れることになる。
ノヴァの運命を変える、全てを与えてこようとする妻を。
「人はアークゲート家の当主を恐ろしいとか、血も涙もないとか、冷酷とか散々に言うけど、
シアは可愛いし、優しいし、賢いし、完璧だよ」
あまり深く考えないノヴァと、彼にしか自分の素を見せないシア、二人の結婚生活が始まる。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
異世界へ行って帰って来た
バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。
そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。
才能は流星魔法
神無月 紅
ファンタジー
東北の田舎に住んでいる遠藤井尾は、事故によって気が付けばどこまでも広がる空間の中にいた。
そこには巨大な水晶があり、その水晶に触れると井尾の持つ流星魔法の才能が目覚めることになる。
流星魔法の才能が目覚めると、井尾は即座に異世界に転移させられてしまう。
ただし、そこは街中ではなく誰も人のいない山の中。
井尾はそこで生き延びるべく奮闘する。
山から降りるため、まずはゴブリンから逃げ回りながら人の住む街や道を探すべく頂上付近まで到達したとき、そこで見たのは地上を移動するゴブリンの軍勢。
井尾はそんなゴブリンの軍勢に向かって流星魔法を使うのだった。
二日に一度、18時に更新します。
カクヨムにも同時投稿しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
スキル【収納】が実は無限チートだった件 ~追放されたけど、俺だけのダンジョンで伝説のアイテムを作りまくります~
みぃた
ファンタジー
地味なスキル**【収納】**しか持たないと馬鹿にされ、勇者パーティーを追放された主人公。しかし、その【収納】スキルは、ただのアイテム保管庫ではなかった!
無限にアイテムを保管できるだけでなく、内部の時間操作、さらには指定した素材から自動でアイテムを生成する機能まで備わった、規格外の無限チートスキルだったのだ。
追放された主人公は、このチートスキルを駆使し、収納空間の中に自分だけの理想のダンジョンを創造。そこで伝説級のアイテムを量産し、いずれ世界を驚かせる存在となる。そして、かつて自分を蔑み、追放した者たちへの爽快なざまぁが始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる