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第8章 熱闘・魔法武闘会
第55話 お好み焼きと浮気相手?
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「何か勿体ないよね」
「でもアシュらしいですわ」
優勝賞金等を放棄して帰ってきた俺に対するフィオナとテディの感想である。なおミランダはいつも通り外回り中で不在。サラは無言で笑っている。
「陛下からの面倒な依頼もこれで終わりって訳だ。そんな訳で今夜は厄払いも兼ねて好きな物焼きパーティだ」
「いいよね。好きな物焼きパーティ用のテーブルも準備したし、ミランダが帰ってきたら準備すればいいかな」
「材料は午前中に市場で購入済みです」
よしよし。
ソースは味見してほぼ想定通りの味になっている事を確認済み。メルカソースも準備済み。イカ天はないけれど油かす、紅ショウガもどき、焼きそば用の麺、かつお節代わりの魚粉も用意済み。青のりだけはちょうどいい代用品を含めどうしても手に入らなかったけれど。
鉄製の特製コテも予備を含めて人数分プラス3つ準備した。これでかなり本場に近いモノが作れる筈だ。専用テーブルは既に食堂に準備してある。
少し翻訳作業をして、一息ついて時計を見る。午後4時半、もう少しすればミランダも帰ってくるだろう。
「ちょっと夕食の仕込みをしてくる」
「手伝います」
サラと2人でキッチンと食堂へ。キャベツや薄切り肉のカットとか、鉄板を熱して油を馴染ませる作業等下準備。
なお本日作るお好み焼きは岡山の実家流だ。だから種にはみじん切りのキャベツが入っている。
種や具材も揃えて準備OKいつでもどうぞと思ったその時だ。フィオナが急ぎ気味に食堂にやって来た。
「アシュ、2人前追加で8人分準備お願い出来るかな」
何故だろう。
「出来るけれど何故?」
「ミランダが陛下と殿下を連れて来た」
何だと!
しかし今日の夕食は最初から好きな物焼きのつもりだった。陛下なら魔法で充分予測が可能だ。
幸い材料も専用カトラリーも余裕がある。会場となる鉄板も元々4人掛けのテーブル2つを連結して作ったものだから広さ的に問題ない。
あの陛下のことだ。その辺全部魔法で把握したうえで来ているだろう。でもだからと言って一般庶民の家にいきなり押しかけるか、普通。
まあ来てしまったものは仕方ない。厄介な友人としてもてなしてやろう。
「具材と種、2人分追加しますね」
「悪いサラ、頼む」
俺は端から椅子を2つ持ってきて、テーブルの周りに並べ直す。やはり8人でも大丈夫だ。カトラリーもセットし直して、まあこれでOK。
それじゃ最初の2枚、焼き始めるとしよう。今回は最初にカキオコとモダン焼きを2枚ずつ焼いて全員に配給。後は自分の手元にある材料で好き勝手に焼くという形式だ。
取り敢えず最初はモダン焼きから焼くとしよう。俺は生地を広げる。
「それじゃ焼き始めるからさ、全員呼んできて」
「わかった」
フィオナが食堂を出る。
焼きそばを炒め始めた段階で皆さんがやってきた。勿論陛下も殿下もしっかり一緒にやってきている。
「いや、悪いね。今日は夕食はいらないと言って出た段階で妹に捕まってさ」
「まさかお兄様がここまでご迷惑をお掛けしているとは思いませんでした。申し訳ありません」
「そう言ってついてくる時点で問題だろう」
「ここは私のお友達のお家ですわ」
「奇遇だな。僕もなんだ。今日来れば本格派の好きな物焼きを食べられそうな予感がしてさ」
なんだかなあ。そう思いつつ、俺はモダン焼きを焼くのに徹する。
横目で確認するとサラがひくっと固まっていた。どうやら本物の陛下と殿下という事に気づいたらしい。あとナディアさんも微妙に動きがぎこちない。
それ以外のメンツは平気な模様だ。元々殿下と知り合いだったから慣れているのだろうか。ミニサイズの龍2匹も通常通りナディアさんの両横で早く寄越せという表情。
熱魔法を使って時短させつつ表面をかりっ、中をふわっとさせるように注意。コテで押さえつけずに中をふんわり仕上げるのが実家流だ。
炒めたそばの上に焼いたお好み焼き上部分を載せ、魔法で表面をかりっとさせる。中はふんわり程度に熱を通すのも忘れない。
ソバの表面が固まりかけたら横で卵を割って溶いて、のっけてちょい焼いてひっくり返して。ソースを塗ってちょい魔法で熱せば実家風で魔法調理仕様のモダン焼きが完成。
ネギとショウガをのせてコテで切って皆さんの前へ。
「味はソースを更にかけてもいいですし、メルカソース追加でもいいです。唐辛子をさっとかけるのもおすすめです」
「なるほど、これが本場の好きな物焼きか」
「地方によって色々と違いがあるのでどれが本式とは言いにくいですけれどね」
「これって 大きな坂風と広い島風のどっちなのかな」
「どっちでもないかな。強いて言えば岡と山風か」
まあ岡山にも色々な焼き方があるけれどな。ホルモンうどん付きとか。
「なるほど、僕が訳したものと似ているけれど、ソースが大分違うね」
「こっちの方がより本場に近い味です。足りない香辛料もあるので完全では無いですけれど」
「この甘みのあるソースで食べるのも美味しいですわ」
陛下や殿下だけでは無い。龍2匹もテディやフィオナからお好み焼きをわけてもらっている。甘いソースがお好みのようで皿までなめているのが見えた。
さて、俺は自分のを食べながら第2弾を焼くとしよう。今度は牡蠣のお好み焼き、通称カキオコだ。
焼きながら陛下に気になっていた事を尋ねる。
「今日の大会、さっさと帰ってきてしまいましたけれど表彰式はどうしました?」
「アシュノール君が表彰式に出ないのも予想していたからね。本人辞退という事でレジーナさんを繰り上げ優勝にしたよ。レジーナさんは不本意だったようだけれどね。
そうそう、レジーナさんの使う魔法、あれは闇魔法という魔法でかつてスティヴァレの北部地方で伝えられていた魔法だそうだ。レジーナさんは古い文献からその魔法を復活させたんだとさ。インタビューで言っていたよ」
闇魔法か。聞いたことがない魔法だな。陛下に尋ねてみる。
「レジーナさんの他に闇魔法を使える人がいるんですか?」
「今は彼女だけらしい。レジーナさんがこの大会に出た理由は闇魔法の威力を確かめる為と、闇魔法を共に伝える人材を探すためだったそうだ。自分に勝つ相手がいたら、闇魔法を教えて一緒に伝えていこうと思っていたらしい。だからアシュノール君に逃げられて相当困っていたな。何としても探し出すと言っていたけれど」
おい、まさか教えていないよな。陛下にはナディアさんの件もあるので確認しておこう。
「俺の居場所とか実名を教えていませんよね」
「流石にそれは教えていない。ただ何としても探し出すと言っていたそうだからな。まあ気をつけてくれ」
うーむ。
「返す返すもお兄様が迷惑をおかけして申し訳ありません」
「便利な魔法を手に入れられましたから、それはそれでいいかなと思っています」
何せ移動自由な魔法だからな。今後とも色々便利に使えそうだ。
「でもその話を聞くとレジーナさんという人、アシュと結婚する気なんじゃないかな。一緒に伝えていこうっていうのはそういう意味だよね、きっと」
フィオナがとんでもない事をいう。おいおい冗談はやめてくれ。思わずお好み焼きをひっくり返すのを失敗するところだった。
「まさかそれは無いだろ」
「いや、多分レジーナさん、そのつもりだろう」
こらお兄様もとい陛下、なんという事を。
「モテるなアシュは。ところでレジーナってどんな娘だった?」
ミランダ、笑顔だが目が微妙に怖い。
「どんなって試合で戦っただけで、それ以上は知らないぞ」
「本当でしょうか?」
テディも何か怖い。
「本当だって。そうですよね、ナディアさん」
「それは確かです。準決勝の試合を見たのと決勝戦で戦ったのが全てです」
ありがとうナディアさん助かった。陛下に証言させたら何を言うかわかったものじゃないからな。
とりあえずヤバい意見は物理的に黙らせよう。俺は出来上がったカキオコ2枚をそれぞれ4分割して配る。
「これで俺が焼くのは終わり。あとは手元にあるので自由に焼いてくれ」
「このお好み焼きは以前訳したレシピと大分違うね。これも岡と山風かい」
「ええ、その代表みたいなものです」
どうせ日本の事を知っている人はこの中にいない。だからそう言ってもいいだろう。実際隣の町はカキオコで町おこしをしていたし。
「やっぱり美味しいよなこれ」
「この甘いソースがいいよね」
よしよしレジーナさんの話題は終わったな。そう思ってほっとした瞬間だった。
「陛下申し訳ありません。レジーナさんってどういう方でしたでしょうか」
テディがいきなり蒸し返す。
「だいたい身長体格はロッサーナと同じくらいだな。綺麗と可愛いで言えば4対6くらいで可愛いほうだと思う。少なくとも一般基準では綺麗だし可愛い方だ。年齢は20歳とデータシートにあったな。連絡先とかも知っているから何ならアシュノール君、教えようか」
こら待て陛下!
「それはいいですから」
テディとミランダ、フィオナの視線が怖い気がするのは気のせいだろうか。
俺は何もしていないのに。
「そう言えばアシュノール君、ナディアちゃんの事はどう思う? 何なら娶ってもいいよとは言っておいたけれどさ」
うわああっ! 陛下め! 追加で核爆弾を投下しやがった。
ああまずい、3人の目が怖い。プラスしてサラの視線までも怖い気がする。何でこうなるんだ!
「そんなナディアさんに申し訳ないですよ。本来の俺は特に取り柄の無い弱小貴族の5男でしかも勘当済みですから」
「アシュはそう言うけれどね」
おい待てフィオナ。その微妙に続きそうな台詞の意味は何なんだ。
あとナディアさん沈黙しないでくれ。頼むから否定してくれよ、お願いだから。
陛下とナディアさん以外の皆さんの視線がどんどん冷気を帯びていく。
何でこうなったんだ!
「でもアシュらしいですわ」
優勝賞金等を放棄して帰ってきた俺に対するフィオナとテディの感想である。なおミランダはいつも通り外回り中で不在。サラは無言で笑っている。
「陛下からの面倒な依頼もこれで終わりって訳だ。そんな訳で今夜は厄払いも兼ねて好きな物焼きパーティだ」
「いいよね。好きな物焼きパーティ用のテーブルも準備したし、ミランダが帰ってきたら準備すればいいかな」
「材料は午前中に市場で購入済みです」
よしよし。
ソースは味見してほぼ想定通りの味になっている事を確認済み。メルカソースも準備済み。イカ天はないけれど油かす、紅ショウガもどき、焼きそば用の麺、かつお節代わりの魚粉も用意済み。青のりだけはちょうどいい代用品を含めどうしても手に入らなかったけれど。
鉄製の特製コテも予備を含めて人数分プラス3つ準備した。これでかなり本場に近いモノが作れる筈だ。専用テーブルは既に食堂に準備してある。
少し翻訳作業をして、一息ついて時計を見る。午後4時半、もう少しすればミランダも帰ってくるだろう。
「ちょっと夕食の仕込みをしてくる」
「手伝います」
サラと2人でキッチンと食堂へ。キャベツや薄切り肉のカットとか、鉄板を熱して油を馴染ませる作業等下準備。
なお本日作るお好み焼きは岡山の実家流だ。だから種にはみじん切りのキャベツが入っている。
種や具材も揃えて準備OKいつでもどうぞと思ったその時だ。フィオナが急ぎ気味に食堂にやって来た。
「アシュ、2人前追加で8人分準備お願い出来るかな」
何故だろう。
「出来るけれど何故?」
「ミランダが陛下と殿下を連れて来た」
何だと!
しかし今日の夕食は最初から好きな物焼きのつもりだった。陛下なら魔法で充分予測が可能だ。
幸い材料も専用カトラリーも余裕がある。会場となる鉄板も元々4人掛けのテーブル2つを連結して作ったものだから広さ的に問題ない。
あの陛下のことだ。その辺全部魔法で把握したうえで来ているだろう。でもだからと言って一般庶民の家にいきなり押しかけるか、普通。
まあ来てしまったものは仕方ない。厄介な友人としてもてなしてやろう。
「具材と種、2人分追加しますね」
「悪いサラ、頼む」
俺は端から椅子を2つ持ってきて、テーブルの周りに並べ直す。やはり8人でも大丈夫だ。カトラリーもセットし直して、まあこれでOK。
それじゃ最初の2枚、焼き始めるとしよう。今回は最初にカキオコとモダン焼きを2枚ずつ焼いて全員に配給。後は自分の手元にある材料で好き勝手に焼くという形式だ。
取り敢えず最初はモダン焼きから焼くとしよう。俺は生地を広げる。
「それじゃ焼き始めるからさ、全員呼んできて」
「わかった」
フィオナが食堂を出る。
焼きそばを炒め始めた段階で皆さんがやってきた。勿論陛下も殿下もしっかり一緒にやってきている。
「いや、悪いね。今日は夕食はいらないと言って出た段階で妹に捕まってさ」
「まさかお兄様がここまでご迷惑をお掛けしているとは思いませんでした。申し訳ありません」
「そう言ってついてくる時点で問題だろう」
「ここは私のお友達のお家ですわ」
「奇遇だな。僕もなんだ。今日来れば本格派の好きな物焼きを食べられそうな予感がしてさ」
なんだかなあ。そう思いつつ、俺はモダン焼きを焼くのに徹する。
横目で確認するとサラがひくっと固まっていた。どうやら本物の陛下と殿下という事に気づいたらしい。あとナディアさんも微妙に動きがぎこちない。
それ以外のメンツは平気な模様だ。元々殿下と知り合いだったから慣れているのだろうか。ミニサイズの龍2匹も通常通りナディアさんの両横で早く寄越せという表情。
熱魔法を使って時短させつつ表面をかりっ、中をふわっとさせるように注意。コテで押さえつけずに中をふんわり仕上げるのが実家流だ。
炒めたそばの上に焼いたお好み焼き上部分を載せ、魔法で表面をかりっとさせる。中はふんわり程度に熱を通すのも忘れない。
ソバの表面が固まりかけたら横で卵を割って溶いて、のっけてちょい焼いてひっくり返して。ソースを塗ってちょい魔法で熱せば実家風で魔法調理仕様のモダン焼きが完成。
ネギとショウガをのせてコテで切って皆さんの前へ。
「味はソースを更にかけてもいいですし、メルカソース追加でもいいです。唐辛子をさっとかけるのもおすすめです」
「なるほど、これが本場の好きな物焼きか」
「地方によって色々と違いがあるのでどれが本式とは言いにくいですけれどね」
「これって 大きな坂風と広い島風のどっちなのかな」
「どっちでもないかな。強いて言えば岡と山風か」
まあ岡山にも色々な焼き方があるけれどな。ホルモンうどん付きとか。
「なるほど、僕が訳したものと似ているけれど、ソースが大分違うね」
「こっちの方がより本場に近い味です。足りない香辛料もあるので完全では無いですけれど」
「この甘みのあるソースで食べるのも美味しいですわ」
陛下や殿下だけでは無い。龍2匹もテディやフィオナからお好み焼きをわけてもらっている。甘いソースがお好みのようで皿までなめているのが見えた。
さて、俺は自分のを食べながら第2弾を焼くとしよう。今度は牡蠣のお好み焼き、通称カキオコだ。
焼きながら陛下に気になっていた事を尋ねる。
「今日の大会、さっさと帰ってきてしまいましたけれど表彰式はどうしました?」
「アシュノール君が表彰式に出ないのも予想していたからね。本人辞退という事でレジーナさんを繰り上げ優勝にしたよ。レジーナさんは不本意だったようだけれどね。
そうそう、レジーナさんの使う魔法、あれは闇魔法という魔法でかつてスティヴァレの北部地方で伝えられていた魔法だそうだ。レジーナさんは古い文献からその魔法を復活させたんだとさ。インタビューで言っていたよ」
闇魔法か。聞いたことがない魔法だな。陛下に尋ねてみる。
「レジーナさんの他に闇魔法を使える人がいるんですか?」
「今は彼女だけらしい。レジーナさんがこの大会に出た理由は闇魔法の威力を確かめる為と、闇魔法を共に伝える人材を探すためだったそうだ。自分に勝つ相手がいたら、闇魔法を教えて一緒に伝えていこうと思っていたらしい。だからアシュノール君に逃げられて相当困っていたな。何としても探し出すと言っていたけれど」
おい、まさか教えていないよな。陛下にはナディアさんの件もあるので確認しておこう。
「俺の居場所とか実名を教えていませんよね」
「流石にそれは教えていない。ただ何としても探し出すと言っていたそうだからな。まあ気をつけてくれ」
うーむ。
「返す返すもお兄様が迷惑をおかけして申し訳ありません」
「便利な魔法を手に入れられましたから、それはそれでいいかなと思っています」
何せ移動自由な魔法だからな。今後とも色々便利に使えそうだ。
「でもその話を聞くとレジーナさんという人、アシュと結婚する気なんじゃないかな。一緒に伝えていこうっていうのはそういう意味だよね、きっと」
フィオナがとんでもない事をいう。おいおい冗談はやめてくれ。思わずお好み焼きをひっくり返すのを失敗するところだった。
「まさかそれは無いだろ」
「いや、多分レジーナさん、そのつもりだろう」
こらお兄様もとい陛下、なんという事を。
「モテるなアシュは。ところでレジーナってどんな娘だった?」
ミランダ、笑顔だが目が微妙に怖い。
「どんなって試合で戦っただけで、それ以上は知らないぞ」
「本当でしょうか?」
テディも何か怖い。
「本当だって。そうですよね、ナディアさん」
「それは確かです。準決勝の試合を見たのと決勝戦で戦ったのが全てです」
ありがとうナディアさん助かった。陛下に証言させたら何を言うかわかったものじゃないからな。
とりあえずヤバい意見は物理的に黙らせよう。俺は出来上がったカキオコ2枚をそれぞれ4分割して配る。
「これで俺が焼くのは終わり。あとは手元にあるので自由に焼いてくれ」
「このお好み焼きは以前訳したレシピと大分違うね。これも岡と山風かい」
「ええ、その代表みたいなものです」
どうせ日本の事を知っている人はこの中にいない。だからそう言ってもいいだろう。実際隣の町はカキオコで町おこしをしていたし。
「やっぱり美味しいよなこれ」
「この甘いソースがいいよね」
よしよしレジーナさんの話題は終わったな。そう思ってほっとした瞬間だった。
「陛下申し訳ありません。レジーナさんってどういう方でしたでしょうか」
テディがいきなり蒸し返す。
「だいたい身長体格はロッサーナと同じくらいだな。綺麗と可愛いで言えば4対6くらいで可愛いほうだと思う。少なくとも一般基準では綺麗だし可愛い方だ。年齢は20歳とデータシートにあったな。連絡先とかも知っているから何ならアシュノール君、教えようか」
こら待て陛下!
「それはいいですから」
テディとミランダ、フィオナの視線が怖い気がするのは気のせいだろうか。
俺は何もしていないのに。
「そう言えばアシュノール君、ナディアちゃんの事はどう思う? 何なら娶ってもいいよとは言っておいたけれどさ」
うわああっ! 陛下め! 追加で核爆弾を投下しやがった。
ああまずい、3人の目が怖い。プラスしてサラの視線までも怖い気がする。何でこうなるんだ!
「そんなナディアさんに申し訳ないですよ。本来の俺は特に取り柄の無い弱小貴族の5男でしかも勘当済みですから」
「アシュはそう言うけれどね」
おい待てフィオナ。その微妙に続きそうな台詞の意味は何なんだ。
あとナディアさん沈黙しないでくれ。頼むから否定してくれよ、お願いだから。
陛下とナディアさん以外の皆さんの視線がどんどん冷気を帯びていく。
何でこうなったんだ!
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