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第15章 便利なゴーレム
第121話 学園祭終了
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学園祭最終日の休養日。
サラ達が帰ってきたのは外がもう真っ暗な午後6時過ぎだった。
「ただいま」
「疲れた」
家の方の玄関から入ってずるずるという感じで階段を登ってくる。
「もう夕食出来ているぞ。食べるか」
「いただきます」
「食べる」
2人とも自分の部屋に行かずそのまま食堂へやってくる。本当に疲れているようだ。
本日の夕食はナディアさん担当。鶏肉がこれでもかと入ったクリームシチュー、俺がカーモリで買ってきた適当な地魚のカルパッチョ、茹でホウレンソウとアスパラガス、茹で豚肉のサラダというメニュー。
ナディアさんのメニューらしく肉が多いのはお約束だ。
食べながらサラ達に話を聞く。
「この時間まで片付け?」
「片付けそのものはすぐ終わりました。自在袋を使えたのでごみだけまとめて、あとは整理するだけです」
「ゴーレムも便利。力作業は全部任せた」
なら何故遅くなったのだろう。
「儲けの計算が大変だった。小銭が多くて皆で数えた」
「売り上げが正銀貨で120枚近くまでなりました。かかったお金を差し引いても正銀貨80枚相当です」
「全員で検算してきっちり分けてきた」
なるほど。ジュリアの作戦は成功したという訳か。
表情を見ると本人も満足している事がなんとなくわかる。おめでとうとは今は言えないけれどさ。
「それでどうでした、高級学校の学園祭は」
「お客さんがいっぱい来て楽しかったです。疲れましたけれど」
「他の展示や模擬店も回った。うちが一番繁盛していた」
だろうな。初日からあんなに並んでいたし。
俺が正規に行った3日目なんて前に50人くらい並んでいた。4半時間位くらいで中に入れたけれど。
「やっぱりサラが作ると美味しいしな。他にない料理だし」
「焼きそばは少しずつ広まっているようだけれどね。ラーメンやつけ麺はまだ他にはないよね」
「3回行きましたけれど美味しかったですわ」
「並んでいたけれどわりと回転が速かったよね」
皆さんしっかり行ってきたようだ。一気に感想だの何だのの話が始まる。
「あれって1日どれくらいお客さんが入ったのでしょうか」
「400人くらい。ただし今日は600超え」
「そんなに入ったのか。なら実際に店を出しても儲かりそうだよな」
「ゴーレム3体いないと麺が足りなくなる訳だよね」
「今日は購入した小麦粉全てを麺にして余ったら皆で持ち帰る予定だったんです。だからいつも440食用意するところを660食分用意したんです。でも結局それでも足りなくて麺切れで閉店してしまいました」
660食もか。
学園祭は朝10時から午後4時までの6時間だから1時間あたり客が110人。実際は麺切れ閉店というからもっと時間は短いのだろう。
客席は確か増やした状態で40席だから、本日だけで16回転以上か。模擬店のレベルじゃないなそれは。
「でも皆喜んでいました。いい臨時収入になったって」
「目新しくて美味しかったのが勝因。家でもつくってみたいという子が結構いた」
「またレシピにして出そうと思っています。焼きそば用の生麺も市場に出回りはじめました。あれを使えば近いものが作れます」
「今回は麺も特製。ラーメン用とつけ麺用で太さも加水率も変えている」
その辺はまあサラのこだわりなのだろう。ご家庭で真似が出来ない部分だが仕方ない。
「ただ常に列が出来ていて不満な方もいたようです。こんな手紙が今日郵便受けに入っていました」
ナディアさんがそう言って開封済みの封筒を皆に見せる。しかし何故模擬店への不満がうちの郵便受けに入っているのだろう。
「それ、通信局の消印が押していないよね」
確かにフィオナの言う通りだ。宛名こそ書いてあるが消印が無い。つまり通信局が届けてくれたものでは無い訳だ。
ナディアさんは封筒の中身を取り出して広げる。
「ええ、魔法を使用したか直接投函かした模様です。要点だけを読みますね。
『サラちゃん達が学園祭でお店を出すと聞いたから是非とも食べに行こうと思ったんだけれどね。ずっと列が出来ていたから残念ながら食べられなかったよ。並んでいる最中に顔バレしたらまずいからね。
そんな訳で来週の休養日の昼頃、妹《ロッサーナ》と食べられなかった味を確認しに行くからさ。用意をしておいてくれるとありがたいな』。
差出人は陛下です」
まあ最後の台詞が無くても途中で陛下からだとわかったけれど。
それにしても学園祭まで確認していやがったのか。お前そこまで暇じゃない筈だろう。何をやっているんだまったく。
「来週のお昼はラーメンとつけ麺ですね。種類も全部揃えた方がいいでしょうか」
「そこまでやる必要も無いだろ。何なら逃げるか、ゴーレム車に乗って全員で」
俺も個人的にはミランダの台詞に賛同したいところだ。しかし一応注意だけしておこう。
「陛下は俺と同じ魔法が使えるというか、向こうがオリジナルだからさ。だから逃げられないぞ、何処まで行っても。場所もわかるし移動魔法も使える」
まあ皆さんその辺は既にご存じだけれど念のため。
「仕方ないよね。作るとすればつけ麺黒とラーメン白かな」
「全部作るのも手間は同じです。出汁は共通で混ぜる割合が違うだけですから」
「トッピングも必要」
「まあゴーレム3体動かしておけば1時間程度で準備は出来るよねきっと」
「麺とタレと味玉は前日に作って寝かせる必要」
まったくもって面倒くさい、なんて台詞本来なら現国王陛下に対して言ってはいけないのだろうけれど。
そんな訳でせっかくの学園祭での模擬店での成功も、妙な宿題を残してしまう結果となってしまったのだった。
サラ達が帰ってきたのは外がもう真っ暗な午後6時過ぎだった。
「ただいま」
「疲れた」
家の方の玄関から入ってずるずるという感じで階段を登ってくる。
「もう夕食出来ているぞ。食べるか」
「いただきます」
「食べる」
2人とも自分の部屋に行かずそのまま食堂へやってくる。本当に疲れているようだ。
本日の夕食はナディアさん担当。鶏肉がこれでもかと入ったクリームシチュー、俺がカーモリで買ってきた適当な地魚のカルパッチョ、茹でホウレンソウとアスパラガス、茹で豚肉のサラダというメニュー。
ナディアさんのメニューらしく肉が多いのはお約束だ。
食べながらサラ達に話を聞く。
「この時間まで片付け?」
「片付けそのものはすぐ終わりました。自在袋を使えたのでごみだけまとめて、あとは整理するだけです」
「ゴーレムも便利。力作業は全部任せた」
なら何故遅くなったのだろう。
「儲けの計算が大変だった。小銭が多くて皆で数えた」
「売り上げが正銀貨で120枚近くまでなりました。かかったお金を差し引いても正銀貨80枚相当です」
「全員で検算してきっちり分けてきた」
なるほど。ジュリアの作戦は成功したという訳か。
表情を見ると本人も満足している事がなんとなくわかる。おめでとうとは今は言えないけれどさ。
「それでどうでした、高級学校の学園祭は」
「お客さんがいっぱい来て楽しかったです。疲れましたけれど」
「他の展示や模擬店も回った。うちが一番繁盛していた」
だろうな。初日からあんなに並んでいたし。
俺が正規に行った3日目なんて前に50人くらい並んでいた。4半時間位くらいで中に入れたけれど。
「やっぱりサラが作ると美味しいしな。他にない料理だし」
「焼きそばは少しずつ広まっているようだけれどね。ラーメンやつけ麺はまだ他にはないよね」
「3回行きましたけれど美味しかったですわ」
「並んでいたけれどわりと回転が速かったよね」
皆さんしっかり行ってきたようだ。一気に感想だの何だのの話が始まる。
「あれって1日どれくらいお客さんが入ったのでしょうか」
「400人くらい。ただし今日は600超え」
「そんなに入ったのか。なら実際に店を出しても儲かりそうだよな」
「ゴーレム3体いないと麺が足りなくなる訳だよね」
「今日は購入した小麦粉全てを麺にして余ったら皆で持ち帰る予定だったんです。だからいつも440食用意するところを660食分用意したんです。でも結局それでも足りなくて麺切れで閉店してしまいました」
660食もか。
学園祭は朝10時から午後4時までの6時間だから1時間あたり客が110人。実際は麺切れ閉店というからもっと時間は短いのだろう。
客席は確か増やした状態で40席だから、本日だけで16回転以上か。模擬店のレベルじゃないなそれは。
「でも皆喜んでいました。いい臨時収入になったって」
「目新しくて美味しかったのが勝因。家でもつくってみたいという子が結構いた」
「またレシピにして出そうと思っています。焼きそば用の生麺も市場に出回りはじめました。あれを使えば近いものが作れます」
「今回は麺も特製。ラーメン用とつけ麺用で太さも加水率も変えている」
その辺はまあサラのこだわりなのだろう。ご家庭で真似が出来ない部分だが仕方ない。
「ただ常に列が出来ていて不満な方もいたようです。こんな手紙が今日郵便受けに入っていました」
ナディアさんがそう言って開封済みの封筒を皆に見せる。しかし何故模擬店への不満がうちの郵便受けに入っているのだろう。
「それ、通信局の消印が押していないよね」
確かにフィオナの言う通りだ。宛名こそ書いてあるが消印が無い。つまり通信局が届けてくれたものでは無い訳だ。
ナディアさんは封筒の中身を取り出して広げる。
「ええ、魔法を使用したか直接投函かした模様です。要点だけを読みますね。
『サラちゃん達が学園祭でお店を出すと聞いたから是非とも食べに行こうと思ったんだけれどね。ずっと列が出来ていたから残念ながら食べられなかったよ。並んでいる最中に顔バレしたらまずいからね。
そんな訳で来週の休養日の昼頃、妹《ロッサーナ》と食べられなかった味を確認しに行くからさ。用意をしておいてくれるとありがたいな』。
差出人は陛下です」
まあ最後の台詞が無くても途中で陛下からだとわかったけれど。
それにしても学園祭まで確認していやがったのか。お前そこまで暇じゃない筈だろう。何をやっているんだまったく。
「来週のお昼はラーメンとつけ麺ですね。種類も全部揃えた方がいいでしょうか」
「そこまでやる必要も無いだろ。何なら逃げるか、ゴーレム車に乗って全員で」
俺も個人的にはミランダの台詞に賛同したいところだ。しかし一応注意だけしておこう。
「陛下は俺と同じ魔法が使えるというか、向こうがオリジナルだからさ。だから逃げられないぞ、何処まで行っても。場所もわかるし移動魔法も使える」
まあ皆さんその辺は既にご存じだけれど念のため。
「仕方ないよね。作るとすればつけ麺黒とラーメン白かな」
「全部作るのも手間は同じです。出汁は共通で混ぜる割合が違うだけですから」
「トッピングも必要」
「まあゴーレム3体動かしておけば1時間程度で準備は出来るよねきっと」
「麺とタレと味玉は前日に作って寝かせる必要」
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そんな訳でせっかくの学園祭での模擬店での成功も、妙な宿題を残してしまう結果となってしまったのだった。
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