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第7話 雨期に来るもの⑴
32 話を聞くためうどん会
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外にいる方の私から、害獣に対する情報が入った。
なら村での対処を確認した方がいいだろう。
なので村に居る方の私は、話を聞ける相手を探す。
全知で村内を確認した結果、昼食を食べに畑から家へと帰る途中のビブラムとクエルチェ、アルトラの3人を発見した。
『今日のビブラム達の昼食は、薄焼きパンと野菜ペースト、肉ペーストです。どれも保存が効く食品で、今日食べなくても数日は保存が可能です』
なら昼食がてら話を聞くのがいいだろう。
そう考えて、ロシュとブルージュに聞いてみる。
「ちょっと村の事で話を聞きたいことがあるから、ビブラムさんとケルチェさん、アルトラ君を昼食に誘おうと思うんだけれど、いいかな?」
「わかりました。なら何か、準備をしましょうか」
2人とも、わかりやすく喜んでいる感じだ。
元々ロシュやブルージュと、あそこの一家は仲が良かった。
仲が良かったというか、お世話になったというか。
「食べ物の準備はするから、2人はビブラムさん達を呼んできて。畑から家に戻ってきている途中だから。
拝殿の1番の部屋でお昼を食べるから、そこまで案内して」
1番の部屋とは、拝殿にある8人掛け大机がある小会議室だ。
大きさがちょうどいいので、ビブラム達を呼んで話をする時は、大抵この部屋を使う。
「わかりました。それでは行ってきます」
「行ってきます」
2人が出たところで、私は1番の部屋を思い浮かべて移動。
部屋が綺麗であると意識して掃除した後、収納した中から何を出そうか考える。
一応パンや此処風のスープ等といったケカハ風のメニューも用意はしてある。
しかしロシュやブルージュは、そういったメニューよりうどんの方が好きだ。
私におもねている訳ではないのは、全知で確認済み。
ならビブラム達に、うどんを食べてみて貰ってもいいだろう。
いざという時にはパンも出せるようにして。
喉ごしがいいうどんは、仕事をして疲れた時にちょうどいい食べ物だ。
食べた後の腹持ちもいいし、そのくせ消化がいい。だから昼食にうどんは正義だ。
動いて汗をかいているかもしれないし、気温もまだ温かいから、冷たいぶっかけでいいだろう。
というか私が、つめたいぶっかけうどんが好きなのだ。
しっかりうどんの腰を感じられる、この食べ方が。
醤油を開発して以来、釜揚げも捨てがたくなった。
しかしやはり、讃岐うどんはしっかりした腰があってこそだと思うのだ。
だから今日は、ぶっかけうどん。
せっかくビブラム達を呼ぶのだから、いつもより少しだけ豪華にしよう。
という事でエビ天、野草天、ちくわ天、更におでん風に煮た長天風揚げ蒲鉾を追加。
長天風揚げ蒲鉾には辛子味噌をつけるのが、私風というか香川風。
なお辛子は、ストックを作る為に祝福を繰り返して木々や草等を生やした際、菜の花っぽい種から採取して製造。
白味噌は私が全在を使って、収納内で製造したものだ。
豪華と言っても昼食だから、この程度でいいだろう。
あと箸は使えないだろうから、私が造ったフォークも用意しておく。
イメージして、いつでも6人分出せるようにしたところで、ロシュ達がビブラム達を連れて戻ってきた。
「失礼します。食事に呼んで頂き、ありがとうございます」
「いえ、食事がてら聞きたい事がありましたので。どうぞ座って下さい」
全員が座ったところで、うどんと天ぷら各種、長天風揚げ蒲鉾、冷水入りコップ、フォークを出す。
「今回は私の故郷の食事を模したメニューです。味が苦手でしたらパンとスープも出せますから、遠慮せず言って下さい。それではまず食べてから、話をしましょう」
うどんは万能食だけれど、話をしながら食べるのには向いていない。
話に夢中になると、のびてしまうから。
「これはこの食器で突き刺して、食べればいいのでしょうか」
「ええ。特に礼儀とか方法とかは気にしなくて大丈夫です。この白い長い食べ物、うどんはあまり時間をかけると美味しくなくなるので、食べやすい方法で食べて下さい」
「わかりました」
「あとこちらは塩をつけてもいいですし、この中のつゆにつけた食べてもいいです。こちらは味がついているので、そのままで」
以上、天ぷらと揚げ蒲鉾についての説明。
ビブラムは麺を3本くらい突き刺してもぐもぐ食べた後、頷いてこっちを見る。
「美味しいです。味や食べ応えが独特ですけれど、いつものスープよりずっと美味しい気がします」
『嘘ではありません。ただ太い麺という未知の食物なので、食べる事に慣れてないというのはあるようです。あとクエルチェもアルトラも、味を気に入っているようです』
なら今はいいだろう。
ただ、一応他でまだ出せない旨は話しておこう。
「まだこの村では、この料理に使う調味料は一般的ではありません。ロシュやブルージュと試しに作りはじめたのですが、出来上がるのは早くても今年の冬頃になると思います。ですからそれまでは、ここ限定の料理です」
クエルチェはうどんを何本か食べた後、天ぷらを塩とうどんつゆ、両方で試している。
アルトラ君はうどんに集中して、ガシガシと夢中で食べている状態。
天ぷらをひととおり試したクエルチェが、私の方を見て口を開いた。
「こういった長い食べ物は初めてですけれど、美味しいです。あとこのお皿に入っているものも、美味しいです。この葉っぱ以外は、コトーミ様の世界の食べ物なのでしょうか」
「全て材料は、ケカハとその近くの海から採れるものを使っています。こちらは海で採れる生き物で、こちらはこの煮たものと同じく魚を使って……」
エビは一般的な食べ物ではないのだろうか。
天ぷらの形にすると、原型とかなり異なるからわからないだけだろうか。
ちくわはまあ、わからなくて当然だけれど。
なんて思いながらクエルチェに説明している途中で、アルトラ君の丼が空になった。
『まだ食べ足りないようです。腹具合からして、あと2玉は欲しいところでしょう』
全知が報告してくる。ならおかわりを出してやるとしよう。
「それじゃアルトラ君は、次をどうぞ。麺を多めに入れておいたから」
在庫は大量に作ったし、念じれば一瞬で完璧な具合にゆであがって洗ったものが丼に入って、つゆをかけられた状態になる。
だから全く問題は無い。
「いいのでしょうか」
「もちろんです。ビブラムもクエルチェも、足りなければ幾らでもありますから」
現在は神様との昼食用だけでなく、ロシュやブルージュと食べる御飯も半分以上がうどんだ。
だからいつでも茹でられる状態のうどんを、時間停止状態で大量に用意している。
意識すれば完璧な茹で加減で、何ならきっちり冷水でしめて出せる状態だ。
そして醤油も出汁も、しっかり在庫はある。
ここで働き盛り&食べ盛りが何玉食べようと、全くもって問題無い。
「アルトラ、この食べ物は、これをつゆに入れると、うどんも美味しくなる」
ロシュがアルトラに、小声で教える。
「でもロシュ、これだけでも充分以上に美味いぜ。でもこれを入れるか……うお、確かに旨い!」
そうそう、天ぷらうどんは、天玉がつゆに浸ったところからが本番だったりするのだ。
アルトラの食べる速度、更に一段とアップ。
結果、アルトラが5玉分、ビブラムが4玉分、クエルチェが3玉分のうどんをたいらげた。
女子3人暮らしだと、1.5玉のうどん1杯ずつでそれぞれ充分だったから、ちょっと予定外というか予想外。
けれど美味しそうに食べてくれるのは、嬉しいし楽しい。
これならまた昼食会をやってもいいかな、そう思える。
本当はビブラム達と会うのも、10日に1度の報告だけで充分な筈だった。
しかしこの世界を知らない新米の神としては、この先も割と相談事が出来てしまいそうだ。
その辺はまあ、この昼食会のように臨機応変にやらせて貰おうと思う。
ビブラム達には少しばかり申し訳ないけれど。
なら村での対処を確認した方がいいだろう。
なので村に居る方の私は、話を聞ける相手を探す。
全知で村内を確認した結果、昼食を食べに畑から家へと帰る途中のビブラムとクエルチェ、アルトラの3人を発見した。
『今日のビブラム達の昼食は、薄焼きパンと野菜ペースト、肉ペーストです。どれも保存が効く食品で、今日食べなくても数日は保存が可能です』
なら昼食がてら話を聞くのがいいだろう。
そう考えて、ロシュとブルージュに聞いてみる。
「ちょっと村の事で話を聞きたいことがあるから、ビブラムさんとケルチェさん、アルトラ君を昼食に誘おうと思うんだけれど、いいかな?」
「わかりました。なら何か、準備をしましょうか」
2人とも、わかりやすく喜んでいる感じだ。
元々ロシュやブルージュと、あそこの一家は仲が良かった。
仲が良かったというか、お世話になったというか。
「食べ物の準備はするから、2人はビブラムさん達を呼んできて。畑から家に戻ってきている途中だから。
拝殿の1番の部屋でお昼を食べるから、そこまで案内して」
1番の部屋とは、拝殿にある8人掛け大机がある小会議室だ。
大きさがちょうどいいので、ビブラム達を呼んで話をする時は、大抵この部屋を使う。
「わかりました。それでは行ってきます」
「行ってきます」
2人が出たところで、私は1番の部屋を思い浮かべて移動。
部屋が綺麗であると意識して掃除した後、収納した中から何を出そうか考える。
一応パンや此処風のスープ等といったケカハ風のメニューも用意はしてある。
しかしロシュやブルージュは、そういったメニューよりうどんの方が好きだ。
私におもねている訳ではないのは、全知で確認済み。
ならビブラム達に、うどんを食べてみて貰ってもいいだろう。
いざという時にはパンも出せるようにして。
喉ごしがいいうどんは、仕事をして疲れた時にちょうどいい食べ物だ。
食べた後の腹持ちもいいし、そのくせ消化がいい。だから昼食にうどんは正義だ。
動いて汗をかいているかもしれないし、気温もまだ温かいから、冷たいぶっかけでいいだろう。
というか私が、つめたいぶっかけうどんが好きなのだ。
しっかりうどんの腰を感じられる、この食べ方が。
醤油を開発して以来、釜揚げも捨てがたくなった。
しかしやはり、讃岐うどんはしっかりした腰があってこそだと思うのだ。
だから今日は、ぶっかけうどん。
せっかくビブラム達を呼ぶのだから、いつもより少しだけ豪華にしよう。
という事でエビ天、野草天、ちくわ天、更におでん風に煮た長天風揚げ蒲鉾を追加。
長天風揚げ蒲鉾には辛子味噌をつけるのが、私風というか香川風。
なお辛子は、ストックを作る為に祝福を繰り返して木々や草等を生やした際、菜の花っぽい種から採取して製造。
白味噌は私が全在を使って、収納内で製造したものだ。
豪華と言っても昼食だから、この程度でいいだろう。
あと箸は使えないだろうから、私が造ったフォークも用意しておく。
イメージして、いつでも6人分出せるようにしたところで、ロシュ達がビブラム達を連れて戻ってきた。
「失礼します。食事に呼んで頂き、ありがとうございます」
「いえ、食事がてら聞きたい事がありましたので。どうぞ座って下さい」
全員が座ったところで、うどんと天ぷら各種、長天風揚げ蒲鉾、冷水入りコップ、フォークを出す。
「今回は私の故郷の食事を模したメニューです。味が苦手でしたらパンとスープも出せますから、遠慮せず言って下さい。それではまず食べてから、話をしましょう」
うどんは万能食だけれど、話をしながら食べるのには向いていない。
話に夢中になると、のびてしまうから。
「これはこの食器で突き刺して、食べればいいのでしょうか」
「ええ。特に礼儀とか方法とかは気にしなくて大丈夫です。この白い長い食べ物、うどんはあまり時間をかけると美味しくなくなるので、食べやすい方法で食べて下さい」
「わかりました」
「あとこちらは塩をつけてもいいですし、この中のつゆにつけた食べてもいいです。こちらは味がついているので、そのままで」
以上、天ぷらと揚げ蒲鉾についての説明。
ビブラムは麺を3本くらい突き刺してもぐもぐ食べた後、頷いてこっちを見る。
「美味しいです。味や食べ応えが独特ですけれど、いつものスープよりずっと美味しい気がします」
『嘘ではありません。ただ太い麺という未知の食物なので、食べる事に慣れてないというのはあるようです。あとクエルチェもアルトラも、味を気に入っているようです』
なら今はいいだろう。
ただ、一応他でまだ出せない旨は話しておこう。
「まだこの村では、この料理に使う調味料は一般的ではありません。ロシュやブルージュと試しに作りはじめたのですが、出来上がるのは早くても今年の冬頃になると思います。ですからそれまでは、ここ限定の料理です」
クエルチェはうどんを何本か食べた後、天ぷらを塩とうどんつゆ、両方で試している。
アルトラ君はうどんに集中して、ガシガシと夢中で食べている状態。
天ぷらをひととおり試したクエルチェが、私の方を見て口を開いた。
「こういった長い食べ物は初めてですけれど、美味しいです。あとこのお皿に入っているものも、美味しいです。この葉っぱ以外は、コトーミ様の世界の食べ物なのでしょうか」
「全て材料は、ケカハとその近くの海から採れるものを使っています。こちらは海で採れる生き物で、こちらはこの煮たものと同じく魚を使って……」
エビは一般的な食べ物ではないのだろうか。
天ぷらの形にすると、原型とかなり異なるからわからないだけだろうか。
ちくわはまあ、わからなくて当然だけれど。
なんて思いながらクエルチェに説明している途中で、アルトラ君の丼が空になった。
『まだ食べ足りないようです。腹具合からして、あと2玉は欲しいところでしょう』
全知が報告してくる。ならおかわりを出してやるとしよう。
「それじゃアルトラ君は、次をどうぞ。麺を多めに入れておいたから」
在庫は大量に作ったし、念じれば一瞬で完璧な具合にゆであがって洗ったものが丼に入って、つゆをかけられた状態になる。
だから全く問題は無い。
「いいのでしょうか」
「もちろんです。ビブラムもクエルチェも、足りなければ幾らでもありますから」
現在は神様との昼食用だけでなく、ロシュやブルージュと食べる御飯も半分以上がうどんだ。
だからいつでも茹でられる状態のうどんを、時間停止状態で大量に用意している。
意識すれば完璧な茹で加減で、何ならきっちり冷水でしめて出せる状態だ。
そして醤油も出汁も、しっかり在庫はある。
ここで働き盛り&食べ盛りが何玉食べようと、全くもって問題無い。
「アルトラ、この食べ物は、これをつゆに入れると、うどんも美味しくなる」
ロシュがアルトラに、小声で教える。
「でもロシュ、これだけでも充分以上に美味いぜ。でもこれを入れるか……うお、確かに旨い!」
そうそう、天ぷらうどんは、天玉がつゆに浸ったところからが本番だったりするのだ。
アルトラの食べる速度、更に一段とアップ。
結果、アルトラが5玉分、ビブラムが4玉分、クエルチェが3玉分のうどんをたいらげた。
女子3人暮らしだと、1.5玉のうどん1杯ずつでそれぞれ充分だったから、ちょっと予定外というか予想外。
けれど美味しそうに食べてくれるのは、嬉しいし楽しい。
これならまた昼食会をやってもいいかな、そう思える。
本当はビブラム達と会うのも、10日に1度の報告だけで充分な筈だった。
しかしこの世界を知らない新米の神としては、この先も割と相談事が出来てしまいそうだ。
その辺はまあ、この昼食会のように臨機応変にやらせて貰おうと思う。
ビブラム達には少しばかり申し訳ないけれど。
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