神様転生~うどんを食べてスローライフをしつつ、領地を豊かにしようとする話、の筈だったのですけれど~

於田縫紀

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第8話 お土産と使い方

40 お土産の使い方⑴

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 猪肉でおいしい料理か。悩む。すごく悩む。
 猪肉は豚肉とほぼ同じレシピで大丈夫だろう。
 しかし今ある材料で、すぐに思いつく料理がない。

 たとえば肉うどん。関東の武蔵野うどんの肉汁うどんなら、豚肉でいいだろう。

 しかし讃岐うどんの場合、肉うどんは牛肉が多数派。
 肉じゃがとかカレーとかと同じで、関西は牛、関東は豚なのだ。

 香川に豚肉がない訳じゃない。
 香川でもオリーブとんとか讃岐もちぶたとか、銘柄豚はあった気がする。
 でも……

 トンカツだと、やっぱりソースが欲しい気がする。しかしソースを作るのに必要な香辛料がここには無い。
 ポークチャップもケチャップとソースが必要だ。

 でも煮豚は、醤油と砂糖があれば作れそうだ。
 あとは豚まんも、ネギっぽい野菜があるから何とか。
 トンカツはソースでは無く、塩や酢醤油、辛子で食べる人もいるから作ってみてもいいかも。

 あとは大勢用に、とん汁なんて作るのも悪くないかもしれない。
 モツは味噌煮込みにしようか。
 ガツ刺しなんてのもいいな。

 思いつきはじめると、色々出てきた。
 それにソースだって香りはともかく似せた味のものなら、イナゴマメ等を使って作れそうな気がしてきた。

 何なら猪、今のうちに私が回収して、解体すれば皆の手間がかからないかも。
 そう考えたけれど、よく考えたら獣の解体方法を教育するいい機会だ。
 だからここは手をださないのが、きっと正解。

 ◇◇◇

 ロシュ達とナルゼ達3人は、川から細い谷が別れる場所で車を降りた。
 ここから先は、谷が細く傾斜が急になり、車が入れる道をすぐには作れそうに無かったからだ。
 
 でも登山道は一応整備したし、ここから峠まではそう遠くない。
 2時間あれば行ける程度だから、きっと問題はない。
 
 ところでなんとなくこの辺、日本の香川県なら『道の駅ことなみ』の先、438線がトンネルに入る手前辺りに似ているなと感じる。
 ならこの場所の川は土器川じゃなくて明神川か。此処はケカハで香川県ではないから、気にする必要はないけれど。

 そう言えば『道の駅ことなみ』には温泉があった。
 美肌系のぬるんとしたお湯、木材をふんだんに使った気持ちいい室内。

 うん、個人的にそんな温泉施設、ぜひ欲しい。
 ならケカハに、掘ればお湯が湧くようなところは無いだろうか。

 なお香川県には高温の源泉は無かったと覚えている。
 天然いやだに温泉大師の湯が30度ちょいで、あとは温度で温泉と認められる25℃以下の筈だ。

 いや、思考が脱線してしまった。
 神だから並列思考であれこれ同時に考えられる。なのでつい、あれこれ余分な事を考えてしまうのだ。
 取り敢えず今のメインはロシュ達の件で、次が書籍の作成。

 本は、ひととおりの分野を作ってしまった気がする。
 あとは読んで貰って、要望を聞いた方がいい気がするのだ。

 なら本を読ませて感想を聞くために、アルトラ、イル、サレラに協力してもらえるよう、後でビブラムに話に行こう。
 車が着いた時でいいだろう。猪を運んだりするから時間はある筈だ。

 ならロシュ達が事故その他ないよう見守るのが今の最優先事項だ。そしてその次はブルージュが期待しているらしい、猪料理を考えること。

 そう思って、ふと気づく。こういう時に取れた猪は、狩った者の総取りとはならないよなと。

『基本的には村の全員でわける形になります。ただし精肉部分だけでも、この大きさなら1人1kg程度は分配出来るでしょう。また皮、皮下脂肪、内臓等も加工された上で、同様に分配されます。
 なお狩りに寄与した者、解体や加工に寄与した者、被害があった場合の被害者等は、他より優先的にこれらの分配を得る事が出来ます』

 狩った者の総取りにはならないようだ。
 それでもブルージュが狩ったのだから、優先的に分配してもらえるだろう。

 それに優先なんてなく単なる人数割りだとしても、肉だけで3kg以上は我が家に来る計算になる。
 部位にもよるけれど、豚肉フルコースが出来そうな量だ。

『ケカハでは猪の肉は一般に、野菜スープに入れて煮て食べるか、焼いて食べます。また1kg以上あれば、半分は塩漬けにした後乾燥させて、保存食とするのが普通です。通常は脂身が多めの部分を先に食べて、脂身が無い部分を保存食とします』

 一般的な使い方については理解した。なら私も半分は保存しておこう。
 保存食にする必要はない。私の収納なら、時間経過なしを選べるから。

 でも保存食と称してパンチェッタやベーコンを作るのも、悪くない気がする。
 あとはソーセージとかハムとかも。

 ◇◇◇

 1時間もしないうちに、ロシュ達は無事村へと到着。
 出迎えたビブラムとアルトラ他5人は、猪の大きさに驚きつつも、作業場へと車と魔法で搬送。

 なおこの作業場は、村人自身で新たに作った場所だ。
 倉庫に隣接している上、水を思い切り流して清掃出来るよう造られている。
 ここに何人か集めて、教えながら猪の解体をするそうだ。

 本の件だけ頼んだ後、ロシュとブルージュを置いて、私は車を運転して神社に戻った。
 神である私がじろじろ見ていては、解体側も勉強側も落ち着かないだろうから。

 帰る前に、ブルージュが聞いてきた。

「神様は猪の肉、どんな場所がいいですか?」

 間違いなくこれは料理への伏線だろう。
 確かここの人達は、脂身少な目の部分が好きだったよなと思い出す。

『脂身は新鮮なうちは美味しいのですが、酸化しやすく保存に向きません。ですからこういう場合は、脂身が少ないヒレ、次いでモモが人気で、以降ロース、肩ロース、腕肉という感じで、脂身が多いバラ肉はあまり人気がありません。 
 また内臓肉は、レバーやタンは保存食に使いますし、カシラ肉やハツ、ガツ等も食べます。また皮付の脂身は塩やハーブを塗って保存食にします。ですが小腸や大腸は一般的に使いません』

 よしよし、それならばだ。

「お肉は脂身多めのところでいいよ。脂身って料理すれば美味しいから。あと内臓でちょっと臭うかもしれないけれど、長い紐というか筒になった部分があると思う。そこを捨てるようなら貰っておいて。解体場にうちの寸動鍋を置いておくから、そこに入れれば私が回収して洗って料理する」

「脂身多めでいい。あと内臓の長いのを食べないなら貰って、樽に入れて冷やす。これでいいですか」

 脂身多めというのが意外だったようだけれど、覚えてくれたようだ。

「そう。お願いしていい?」

「はい!」

 それでは彼女の期待に応えられそうな料理の準備をするとしよう。
 私は神社というか家のリビングへと移動する。
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