神様転生~うどんを食べてスローライフをしつつ、領地を豊かにしようとする話、の筈だったのですけれど~

於田縫紀

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第13話 海向こうからの侵略⑵

55 更なる手段

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 ハヤシマでキンビーラともども、住民に状況を説明。
 移動を希望したので、家や倉庫を家財道具ごと収納し、人々は船に乗せて、沿海神キンビーラの全在でタケヒカタ島の反対側へと移動させる。

 更にはタケヒカタの住民にもハヤシマからの移民の件やモ・トーとの件等を説明した後、島民全員に魔法を付与。

 並列思考と更なる顕現でこれらの事を処理しつつ、島の奪回をした私とキンビーラの顕現は元の場所のまま、海上の様子を見ている。

「これでモ・トーは、どう出てくるでしょうか」

 いきなり攻めてくるという可能性は低い。そう私は判断している。
 今回の件でモ・トーはハヤシマ部分を損しているだけ。
 ビシューはそれなりに大きな領域だから、それくらいで問題が出るとは考えにくい。

「タケヒカタ島は島としては大きいが、土地神としてはたいした広さではない。だから領地を増やすことによる国力増加が目的では無いだろう。セートの島々やフタナジマへと侵攻する拠点を得ようとしたのか、新たな東西の海路をおさえようとしたのか、どちらかだ」

 海路? そう思ったところで、いつも通り全知が解説を入れてきた。

『セート海域のアキヅシマ側の海路は、以前はムコーヤマ島とハヤシマの間を通っていました。ですが年々浅くなり通れる場所が狭まった為、大型の交易船はカケヒカタ島の南側を通る様になっています。この大型船の拠点であるシワク本島と交易航路をおさえようとしたのではないかというのが、キンビーラの意見です』

 なるほど。しかしこの世界、そこまで海運が発達しているのだろうか。

『アキヅシマには人口1,000人を超える大きな街が点在しており、大量輸送可能な海運による交易は一定の需要があります。また波が穏やかで風向きが夏は南風、冬は北風となるセート海域は、縦帆の帆船にとって航行しやすい場所です。ですので長さ30m程度の大型船がそれなりの数、行き来しています。ただしフタナジマでは、セキテツのドーゴ、コクブヤマ、ミョウドーのイノツくらいしか寄港する港はありません』

 つまりケカハは交易船から見放されている訳か。
 悲しいけれど、今までの状況を考えれば納得だ。
 とりあえず海運を押さえる事で得られる利益は大きいと、理解だけはしておこう。

 では、侵攻拠点と言っていたのは、私やアルツァーヤに対するいいわけだろうか。

『フタナジマに侵攻する拠点というのも事実でしょう。
 ただ第一義は、交易路と交易船をおさえる事と思われます。
 現在、セート海域の東西の交易は、キンビーラの信徒であるシワク本島の住民がほぼ独占しています。この交易の利権を手に入れるための行動という面が大きいと思われます』

 まずは島嶼部への侵攻拠点という意味合いが大きいようだ。
 シワク本島とはケカハの村から10kmほど北、新たに私の領地になっ島の一つ。
 別に私は海運をおさえようという訳ではないし、基本的には島の住民はキンビーラの信徒のままなのだろうけれど。
 
 つまりどちらにせよ、侵攻は海運目的と見ている訳か。
 確かにありうる事だ。なら……

「ならば、またタケヒカタ島を狙ってくる可能性は高いとみているのですね」

「ああ。目視できる範囲を別として、自分の島や領域に渡る時以外は、土地神は海を渡れない。船を使うのは、沿海神を相手にしている以上自殺行為だ。なら陸路を作るしか無いだろう。タケヒカタまで押さえれば、セート海域の中央付近まで陸路が出来る。そこまで来れば海路を押さえることも難しくない」

 それならば確かに、まだまだ攻めてくるだろう。

「こちらは防戦一方になるのでしょうか」

「セート海域で交易を行っている者のほとんどは、シワク本島の住民で私の信徒だ。だから今後当分の間、ビシューへの運送を停止するよう神勅を出す。自分たちの島を侵略しようとしているのだ。素直に言うことを聞いてくれるだろう。
 これで態度を改めれば無事解決だ。もし態度を改めない場合は……ビシューの中心都市であるヒルマウンツを含む海沿い地域のすべてに対し、海神の怒りに触れる事になるという神勅を出す。人に対してまで攻撃をしたくはないのだが」

 流石にそうなったら、モ・トーもこれ以上の事は出来ないだろう。

『ビシューの人口の3割程度は、海岸線から5km以内に住んでいます。よほどの事が無ければ、モ・トーも沿海神との全面戦争をする事はないでしょう』

 ならば、私がやるべき事は簡単だ。

「それまで私はハヤシマ沖までで、モ・トーが陸地をつなげようとするのを阻止していればいいですね」

「ああ。ハヤシマの住民は元々は私の信徒だ。だから基本的には私が面倒をみるつもりだ」

 方針はこれで決定か。

「わかりました。それでは……」

 そう思ったところで、全知から情報が入る。

『ハヤシマの北側の海に、陸地が出現しました。山を稜線から300mほどの高さまで切り取り、出現させたものとみられます』

 自分の領地以外の部分は、遠方から全知で調べても詳しい状況はわからない。しかし目視出来れば、全知でかなりの状況は把握出来る。
 接続部を除去する為にも、目視して確認した方がいいだろう。 

「行って除去してきましょう」

「いや、私も行こう」

 キンビーラも行く気のようだ。

「モ・トーに対して、そしてビシューの住民のうち、海から近い者に対して警告しておく必要がある。
 モ・トーはおそらく出した山を監視しているだろう。なら話をつけるのにはちょうどいい」

 確かにモ・トーに会うにはいい機会だろう。
 自分の領地では無い場所に陸地を出したのなら、当然それを目視出来る場所にモ・トーはいる。
 先程高波に土地を削られた事に気づいているだろうから、今度はどうなるか、そのまま監視している可能性は高い。
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