60 / 84
第14話 予定外の産物
59 主食うどん化計画、の筈が……
しおりを挟む
私が授与したからだけれど、ケカハの住民は全員が魔法が使える。
魔法で水を出して、魔法で沸騰させるなんて簡単。
その気になれば、すぐうどんを茹でる事が出来る。
茹でたてのうどんは、むちゃくちゃ美味しい。
面倒な時は、あれこれおかずを用意する必要もない。
湯を切って、うどん用の醤油をちょっと垂らして、かき混ぜるだけで充分以上。
この手早さは、他の主食ではありえないだろう。
更にケカハで採れる小麦は、成分がうどんに最適だ。
これはもう、神が主食にしろと言っているようなもの。
少なくともケカハの土地神である私は、そう思っている。
ただ、うどんを自分で美味しく打つのは難しい。
手間だってそれなりにかかる。
だからまずは初心者でも簡単に食べられる、既製品のうどんを作ろうと思う。
そんな話を夕食時、カモシカ肉で作った三徳風甘辛肉うどんを食べながらロシュとブルージュにした。
そうしたら、翌日昼にクエルチェがやってきた。
「あのうどんが、茹でるだけで食べられる状態で手に入るというのは、いつからでしょうか」
クエルチェは週に1回以上は、神社で食事を食べている。
村の幹部会議、読書会兼、本の希望調査、村からの要望とりまとめ等、割と何でも対応してもらっているから。
「どんな形で作るかは、これから考えようと思っているところだけれどね。3月1日の貨幣制度実施には、あの醸造のお店で売り出そうと思っているのだけれど」
「作るための人数が足りないなら集めましょう。幹部会を開かなくても持ち回りで話していけば、すぐに5人くらいの増員は出来ます」
クエルチェ、反応が早すぎる。
「その前に、どういう形のものを流通させようかと思って。長持ちする方を優先するか、手軽さを優先するか、その中間を狙うか」
日本で販売しているうどんは冷凍、ゆで、生、半生、乾麺の5種類有った。
このうち冷凍はタピオカでんぷんを使った特殊なものなので、今回の検討からは除外。
ゆでうどんはどうしても腰が弱くなるから、やっぱり除外。
だからケカハで作って売り出すうどんは、生、半生、乾麺のどれか。
それぞれ一長一短があるので、どれにしようか考えている最中だったのだ。
「具体的には乾燥具合の違いなんだけれどね。作ってすぐに近い状態だと、ゆで時間は短いし一番美味しいけれど、5日間持つかどうか。
しっかり乾かしたものだと1年以上持つけれど、ゆで時間がちょっとかかるし、少し堅めになる。それがいいという人もいるけれどね。
そこそこ程度に乾かしたものは、この中間。持ちは2ヶ月程度で、ゆで時間や堅さは乾燥と生の中間」
「一度食べてみないと、味の違いはわかりません。しかし1年持つものは、村全体の非常備蓄として有用です。小麦の形で備蓄すると、いざという時に食べるまでが面倒ですから。薄焼きパンで貯蔵可能なものは、堅くて美味しくありません。だから調理が比較的簡単で美味しいうどんは、間違いなく需要があります」
なるほど、非常備蓄というのがある訳か。
私の収納は時間停止が可能なので、気を抜くとそういった常識が抜けてしまうのだ。
「だから私は3種類とも作るという意見です。ただ実際の味を確かめないと、確かなことは言えません。あと作って販売する要員も確保が必要です。
ですから明日の昼、ロシュちゃん達とうちの3人で食べ比べをしましょう。それで味や作る手間に問題が無ければ、全部を作ることにしたいと思います」
あっという間にそこまで決まって、そして翌日の昼食。
今回は生、半生、乾麺を最高の茹で具合にして、 食べたいときに収納から出すという神の権限ありきの方法で確認だ。
「どれも美味しいと思う」
「私もそう思います」
アルトラ君とビブラムの感想は、食べ比べには役に立たない。
「好みでいえば生。他は少しだけ硬め。でもどれも美味しい」
「ものにもよると思います。茹でた後に冷水でしめないで、そのままショーユをかけて食べるなら、半生の固さが一番美味しいと思いますから。ちょっと煮込むなら乾麺でしょうし、茹でて締めてが出来るならやっぱり生という気がします」
ブルージュの意見が、きっと普通なのだろう。
クエルチェの意見は何というか……食べ過ぎ。
クエルチェ、割と味にこだわりがあるタイプなのかもしれない。
料理本なんてのもよく読んでいるし、家でもいろいろ作っているらしいから。
そして乾麺を1束、半生を1玉、生麺を2玉食べて、やっと村のリーダーらしい思考が戻ってきたビブラムが、やっとまともな意見を出した。
「貨幣制度が実施になっても、当分はその日の金を貰って、そのまま食事を買うという者がほとんどだろうと思います。なら売るのは調理時間が少しでも短い生麺を中心にして、その上で村の保存食用の乾麺を時々作る。こんな形でいいのではないでしょうか」
確かにそれが正しいだろう。
半生を茹でて釜玉にするのは最高なのだけれど、この村ではまだ卵は流通していないから仕方ない。
そう思った時だった。
魔法で水を出して、魔法で沸騰させるなんて簡単。
その気になれば、すぐうどんを茹でる事が出来る。
茹でたてのうどんは、むちゃくちゃ美味しい。
面倒な時は、あれこれおかずを用意する必要もない。
湯を切って、うどん用の醤油をちょっと垂らして、かき混ぜるだけで充分以上。
この手早さは、他の主食ではありえないだろう。
更にケカハで採れる小麦は、成分がうどんに最適だ。
これはもう、神が主食にしろと言っているようなもの。
少なくともケカハの土地神である私は、そう思っている。
ただ、うどんを自分で美味しく打つのは難しい。
手間だってそれなりにかかる。
だからまずは初心者でも簡単に食べられる、既製品のうどんを作ろうと思う。
そんな話を夕食時、カモシカ肉で作った三徳風甘辛肉うどんを食べながらロシュとブルージュにした。
そうしたら、翌日昼にクエルチェがやってきた。
「あのうどんが、茹でるだけで食べられる状態で手に入るというのは、いつからでしょうか」
クエルチェは週に1回以上は、神社で食事を食べている。
村の幹部会議、読書会兼、本の希望調査、村からの要望とりまとめ等、割と何でも対応してもらっているから。
「どんな形で作るかは、これから考えようと思っているところだけれどね。3月1日の貨幣制度実施には、あの醸造のお店で売り出そうと思っているのだけれど」
「作るための人数が足りないなら集めましょう。幹部会を開かなくても持ち回りで話していけば、すぐに5人くらいの増員は出来ます」
クエルチェ、反応が早すぎる。
「その前に、どういう形のものを流通させようかと思って。長持ちする方を優先するか、手軽さを優先するか、その中間を狙うか」
日本で販売しているうどんは冷凍、ゆで、生、半生、乾麺の5種類有った。
このうち冷凍はタピオカでんぷんを使った特殊なものなので、今回の検討からは除外。
ゆでうどんはどうしても腰が弱くなるから、やっぱり除外。
だからケカハで作って売り出すうどんは、生、半生、乾麺のどれか。
それぞれ一長一短があるので、どれにしようか考えている最中だったのだ。
「具体的には乾燥具合の違いなんだけれどね。作ってすぐに近い状態だと、ゆで時間は短いし一番美味しいけれど、5日間持つかどうか。
しっかり乾かしたものだと1年以上持つけれど、ゆで時間がちょっとかかるし、少し堅めになる。それがいいという人もいるけれどね。
そこそこ程度に乾かしたものは、この中間。持ちは2ヶ月程度で、ゆで時間や堅さは乾燥と生の中間」
「一度食べてみないと、味の違いはわかりません。しかし1年持つものは、村全体の非常備蓄として有用です。小麦の形で備蓄すると、いざという時に食べるまでが面倒ですから。薄焼きパンで貯蔵可能なものは、堅くて美味しくありません。だから調理が比較的簡単で美味しいうどんは、間違いなく需要があります」
なるほど、非常備蓄というのがある訳か。
私の収納は時間停止が可能なので、気を抜くとそういった常識が抜けてしまうのだ。
「だから私は3種類とも作るという意見です。ただ実際の味を確かめないと、確かなことは言えません。あと作って販売する要員も確保が必要です。
ですから明日の昼、ロシュちゃん達とうちの3人で食べ比べをしましょう。それで味や作る手間に問題が無ければ、全部を作ることにしたいと思います」
あっという間にそこまで決まって、そして翌日の昼食。
今回は生、半生、乾麺を最高の茹で具合にして、 食べたいときに収納から出すという神の権限ありきの方法で確認だ。
「どれも美味しいと思う」
「私もそう思います」
アルトラ君とビブラムの感想は、食べ比べには役に立たない。
「好みでいえば生。他は少しだけ硬め。でもどれも美味しい」
「ものにもよると思います。茹でた後に冷水でしめないで、そのままショーユをかけて食べるなら、半生の固さが一番美味しいと思いますから。ちょっと煮込むなら乾麺でしょうし、茹でて締めてが出来るならやっぱり生という気がします」
ブルージュの意見が、きっと普通なのだろう。
クエルチェの意見は何というか……食べ過ぎ。
クエルチェ、割と味にこだわりがあるタイプなのかもしれない。
料理本なんてのもよく読んでいるし、家でもいろいろ作っているらしいから。
そして乾麺を1束、半生を1玉、生麺を2玉食べて、やっと村のリーダーらしい思考が戻ってきたビブラムが、やっとまともな意見を出した。
「貨幣制度が実施になっても、当分はその日の金を貰って、そのまま食事を買うという者がほとんどだろうと思います。なら売るのは調理時間が少しでも短い生麺を中心にして、その上で村の保存食用の乾麺を時々作る。こんな形でいいのではないでしょうか」
確かにそれが正しいだろう。
半生を茹でて釜玉にするのは最高なのだけれど、この村ではまだ卵は流通していないから仕方ない。
そう思った時だった。
65
あなたにおすすめの小説
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)
犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。
意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。
彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。
そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。
これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。
○○○
旧版を基に再編集しています。
第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。
旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。
この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。
スローライフ 転生したら竜騎士に?
梨香
ファンタジー
『田舎でスローライフをしたい』バカップルの死神に前世の記憶を消去ミスされて赤ちゃんとして転生したユーリは竜を見て異世界だと知る。農家の娘としての生活に不満は無かったが、両親には秘密がありそうだ。魔法が存在する世界だが、普通の農民は狼と話したりしないし、農家の女将さんは植物に働きかけない。ユーリは両親から魔力を受け継いでいた。竜のイリスと絆を結んだユーリは竜騎士を目指す。竜騎士修行や前世の知識を生かして物を売り出したり、忙しいユーリは恋には奥手。スローライフとはかけ離れた人生をおくります。
転生したら神だった。どうすんの?
埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの?
人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
【完結】帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
スペイゴール大陸最強の帝国、ユハ帝国。
帝国に仕え、最強の戦力を誇っていたチーム、『デイブレイク』は、突然議会から追放を言い渡される。
しかし帝国は気づいていなかった。彼らの力が帝国を拡大し、恐るべき戦力を誇示していたことに。
自由になった『デイブレイク』のメンバー、エルフのクリス、バランス型のアキラ、強大な魔力を宿すジャック、杖さばきの達人ランラン、絶世の美女シエナは、今まで抑えていた実力を完全開放し、ゼロからユハ帝国を超える国を建国していく。
※この世界では、杖と魔法を使って戦闘を行います。しかし、あの稲妻型の傷を持つメガネの少年のように戦うわけではありません。どうやって戦うのかは、本文を読んでのお楽しみです。杖で戦う戦士のことを、本文では杖士(ブレイカー)と描写しています。
※舞台の雰囲気は中世ヨーロッパ〜近世ヨーロッパに近いです。
〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜
・クリス(男・エルフ・570歳)
チームのリーダー。もともとはエルフの貴族の家系だったため、上品で高潔。白く透明感のある肌に、整った顔立ちである。エルフ特有のとがった耳も特徴的。メンバーからも信頼されているが……
・アキラ(男・人間・29歳)
杖術、身体能力、頭脳、魔力など、あらゆる面のバランスが取れたチームの主力。独特なユーモアのセンスがあり、ムードメーカーでもある。唯一の弱点が……
・ジャック(男・人間・34歳)
怪物級の魔力を持つ杖士。その魔力が強大すぎるがゆえに、普段はその魔力を抑え込んでいるため、感情をあまり出さない。チームで唯一の黒人で、ドレッドヘアが特徴的。戦闘で右腕を失って以来義手を装着しているが……
・ランラン(女・人間・25歳)
優れた杖の腕前を持ち、チームを支える杖士。陽気でチャレンジャーな一面もあり、可愛さも武器である。性格の共通点から、アキラと親しく、親友である。しかし実は……
・シエナ(女・人間・28歳)
絶世の美女。とはいっても杖士としての実力も高く、アキラと同じくバランス型である。誰もが羨む美貌をもっているが、本人はあまり自信がないらしく、相手の反応を確認しながら静かに話す。あるメンバーのことが……
元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜
一ノ瀬 彩音
ファンタジー
元勇者パーティーで雑用係をしていたが、追放されてしまった。
しかし彼は本当は最強でしかも、真の実力を隠していた!
今は辺境の小さな村でひっそりと暮らしている。
そうしていると……?
※第3回HJ小説大賞一次通過作品です!
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる