神様転生~うどんを食べてスローライフをしつつ、領地を豊かにしようとする話、の筈だったのですけれど~

於田縫紀

文字の大きさ
73 / 84
第17話 セート海域攻防戦

72 セート海域防衛戦 ⑷

しおりを挟む
 このままではキンビーラの勝ち目は薄い。
 本神もそれをわかっていて、私を逃がす時間を稼ぐつもりという可能性はある。
 しかし此処で負けると、一気に島に侵攻されそうだ。

 何か無いだろうか。
 例えば今回、埋め立てを防止するため大量に土地を収納した。
 その土地に生えていた樹木は、薪として魔法のエネルギーに出来ないだろうか。

『可能です。32,854本の樹木が追加で収納されています。合計で33,366本の樹木から乾燥で必要となるエネルギーを引くと、820程度の魔力となります』

 全然足りない。なら石炭とかは無いだろうか。

『低質なものなら9t程確保出来ています。45,000程度の魔力として使用可能です』

 少しだけ希望が見えた。なら石炭よりもっと熱量が高いものは……
 ビシューとは、日本で言えば大体岡山県相当だ。その辺りにありそうなカロリーが高めの資源は……

 私は思い出した。岡山県と鳥取県の県境にかなりヤバ目の、しかし間違いなく高い熱量を生み出すものがある事を。

『人形石等のウランを含む鉱石は、ウラン125t分を採取出来ています。うちウラン235は87.5kgです』

 思った以上にあった。
 何でこんなにあるんだ、思わずそう言いたくなる。

『コトーミが埋め立て防止で収納した土砂や岩が、この鉱石が大量に存在するビシューとハクシュー境の山から採取したものだった為です』

 日本でいうところの人形峠付近の、まさに人形石埋蔵地帯をモ・トーが埋め立ての為に採取し、それを私が回収したという事か。
 しかしそんなの収納したら、放射能汚染とか発生しないだろうか。

『収納内にある限り問題はありません。臨界量以上を集めて爆発させた場合でも、熱や放射能が外部の通常世界に漏れる事はありませんし。コトーミ自身を害する事もありません』

 ならその爆発のエネルギーを、魔力として使えないだろうか。

『可能です。ただし熱や圧力と言ったエネルギーを散逸させない形で収納する事は不可能です。爆発で得たエネルギーは、およそ3日で散逸し消滅します』

 散逸するという事は、漏れているという事だよな……

『こちらの世界やコトーミ自身、および他の収納物に影響することはありません』

 なら広島市民に怒られそうだが、原爆方式でエネルギーを取り出して、魔力として使用する事は可能だろうか。

『可能です。ウラン235の臨界量は金属状態で22.8kg程度です。ただし原爆方式では反応するのは全体の数パーセント程度です。広島型原爆では、使用されたウラン235は60kg程度ですが、実際に核分裂反応を起こしたのは1kg程度と言われています。
 ただし収納内で発生した爆発の場合、残存物質を回収して分離し、再び使用する事は可能です』

 なら、広島型原爆と同量の爆発を収納内で発生させた場合、どれくらいの魔力を得られるのだろう。

『神力換算で16,666,666.7程度の魔力として使用可能です。ただしこのエネルギーは3日程度で散逸します。魔力という形で蓄積は出来ません』

 蓄積出来ない、というのは仕方ない。
 神力一千万以上が使用可能なら、モ・トーを倒すには問題ないどころか多すぎる位だ。

 出来る限り少なめの量で爆発を起こし、直後にモ・トーを倒すというのがベストだろう。
 あとのエネルギーは、荒らされた海と山を戻した後、使い切れなければ散逸させる方針で。

『了解しました。ウラン235を金属状態で小分けし、臨界量より少し多め程度で核爆発させる方針で行きます』

 よし、方針は立った。なら攻撃といこう。
 私は全知で戦闘場所を確認する。先程と同じ場所だ。 
 まあ神の思考は本気になれば超高速。だから私が此処に避難してから、また数秒程度しか経っていないのだけれど。

 収納内で巨大な熱が発生したのを感じた。

『ウラン235が23kgで臨界に達しました。発生エネルギー量は神力換算200万程度』

 私は全在による瞬間移動を実施する。
 海霧が立ちこめる中へ移動。

「キンビーラ、海霧を解除してください。奥の手を使って一気にモ・トーを仕留めます」

「わかった、無茶はするなよ」

「大丈夫です」

 すっと海霧が消えた。
 今いるのは、最初に埋め立てを阻止した、タケヒカタ島の北岸にある崖の上。
 50m程先、同じ崖の上にモ・トーが、そして左側海上にキンビーラの姿が見える。

 キンビーラが立っている海が埋め立ての影響で赤く濁っている。
 これでは海産物に相当な影響が出てしまうだろう。
 ただ沿海神であるキンビーラが早い内に対処すれば、元の状態に戻せる可能性は高い。
 モ・トーをさっさと撤退させる理由が、更に増えた。

「逃げたネズミが戻ってきたか」

 もう話すつもりはない。
 そしてモ・トーがいるのは、私の領域だ。だからその気になれば、その場にエネルギーを送り込むことも簡単。

 次の瞬間、モ・トーがいた場所に輝く光の柱が出現した。
 神力にして100万相当の魔力を、私がエネルギーとしてモ・トーがいる地点に放出させたのだ。
 そのエネルギーが光、そして熱として見えている。

 これで少なくとも目の前の顕現は消滅しただろう。
 そう私が思った時だった。

『ビシューの土地神、モ・トーは消滅しました』

 おい待てモ・トー!
 自領に顕現を残していなかったのか、お前は!
 だったら怒りにまかせて他領へ侵攻してくるんじゃない!

 そう思っても、もう遅い。
 言う相手は消滅してしまった。 
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます(リメイク版)

犬社護
ファンタジー
10歳の咲耶(さや)は家族とのキャンプ旅行で就寝中、豪雨の影響で発生した土石流に巻き込まれてしまう。 意識が浮上して目覚めると、そこは森の中。 彼女は10歳の見知らぬ少女となっており、その子の記憶も喪失していたことで、自分が異世界に転生していることにも気づかず、何故深い森の中にいるのかもわからないまま途方に暮れてしまう。 そんな状況の中、森で知り合った冒険者ベイツと霊鳥ルウリと出会ったことで、彼女は徐々に自分の置かれている状況を把握していく。持ち前の明るくてのほほんとしたマイペースな性格もあって、咲耶は前世の知識を駆使して、徐々に異世界にも慣れていくのだが、そんな彼女に転機が訪れる。それ以降、これまで不明だった咲耶自身の力も解放され、様々な人々や精霊、魔物たちと出会い愛されていく。 これは、ちょっぴり天然な《咲耶》とチート従魔たちとのまったり異世界物語。 ○○○ 旧版を基に再編集しています。 第二章(16話付近)以降、完全オリジナルとなります。 旧版に関しては、8月1日に削除予定なのでご注意ください。 この作品は、ノベルアップ+にも投稿しています。

スローライフ 転生したら竜騎士に?

梨香
ファンタジー
『田舎でスローライフをしたい』バカップルの死神に前世の記憶を消去ミスされて赤ちゃんとして転生したユーリは竜を見て異世界だと知る。農家の娘としての生活に不満は無かったが、両親には秘密がありそうだ。魔法が存在する世界だが、普通の農民は狼と話したりしないし、農家の女将さんは植物に働きかけない。ユーリは両親から魔力を受け継いでいた。竜のイリスと絆を結んだユーリは竜騎士を目指す。竜騎士修行や前世の知識を生かして物を売り出したり、忙しいユーリは恋には奥手。スローライフとはかけ離れた人生をおくります。   

転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの? 人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

【完結】帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】  スペイゴール大陸最強の帝国、ユハ帝国。  帝国に仕え、最強の戦力を誇っていたチーム、『デイブレイク』は、突然議会から追放を言い渡される。  しかし帝国は気づいていなかった。彼らの力が帝国を拡大し、恐るべき戦力を誇示していたことに。  自由になった『デイブレイク』のメンバー、エルフのクリス、バランス型のアキラ、強大な魔力を宿すジャック、杖さばきの達人ランラン、絶世の美女シエナは、今まで抑えていた実力を完全開放し、ゼロからユハ帝国を超える国を建国していく。   ※この世界では、杖と魔法を使って戦闘を行います。しかし、あの稲妻型の傷を持つメガネの少年のように戦うわけではありません。どうやって戦うのかは、本文を読んでのお楽しみです。杖で戦う戦士のことを、本文では杖士(ブレイカー)と描写しています。 ※舞台の雰囲気は中世ヨーロッパ〜近世ヨーロッパに近いです。 〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜 ・クリス(男・エルフ・570歳)   チームのリーダー。もともとはエルフの貴族の家系だったため、上品で高潔。白く透明感のある肌に、整った顔立ちである。エルフ特有のとがった耳も特徴的。メンバーからも信頼されているが…… ・アキラ(男・人間・29歳)  杖術、身体能力、頭脳、魔力など、あらゆる面のバランスが取れたチームの主力。独特なユーモアのセンスがあり、ムードメーカーでもある。唯一の弱点が…… ・ジャック(男・人間・34歳)  怪物級の魔力を持つ杖士。その魔力が強大すぎるがゆえに、普段はその魔力を抑え込んでいるため、感情をあまり出さない。チームで唯一の黒人で、ドレッドヘアが特徴的。戦闘で右腕を失って以来義手を装着しているが…… ・ランラン(女・人間・25歳)  優れた杖の腕前を持ち、チームを支える杖士。陽気でチャレンジャーな一面もあり、可愛さも武器である。性格の共通点から、アキラと親しく、親友である。しかし実は…… ・シエナ(女・人間・28歳)  絶世の美女。とはいっても杖士としての実力も高く、アキラと同じくバランス型である。誰もが羨む美貌をもっているが、本人はあまり自信がないらしく、相手の反応を確認しながら静かに話す。あるメンバーのことが……

元勇者パーティーの雑用係だけど、実は最強だった〜無能と罵られ追放されたので、真の実力を隠してスローライフします〜

一ノ瀬 彩音
ファンタジー
元勇者パーティーで雑用係をしていたが、追放されてしまった。 しかし彼は本当は最強でしかも、真の実力を隠していた! 今は辺境の小さな村でひっそりと暮らしている。 そうしていると……? ※第3回HJ小説大賞一次通過作品です!

ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

処理中です...