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「大丈夫ですか? しっかりしてください!」
寒い冬の日、言いつけられた用事を済ませるために隣国国境である森へ入る。リリム王国の辺境伯であるエインズワース伯爵家の領地は、自然豊かな場所。端的に言えば王都と比べるとド田舎である。
そんなエインズワース伯爵家の長女、ユーニス・エインズワースが私なのだが。伯爵である父は、私の母が亡くなると愛人だった女性を後妻に迎え、そこで私には義妹ができた。
継母と義妹はとにかく派手な生活をしており、伯爵はそんな二人を諫めることもせずに笑顔。私は、この伯爵領はそのうち、なくなるだろうなぁ、なんて他人事で見ている。
なぜ他人事なのか、それはもちろん、私がこの伯爵家でまともに育ててもらえなかったからだ。父は私よりも義妹のカミラを可愛がっているし、継母はそもそも私のことが嫌い、カミラも家で嫌われている私を下に見ている。使用人にも軽んじられているので、食事だって使用人の後。
私は伯爵令嬢としての教養も最低限しかさせてもらえなかったし、社交界デビューもしていない。カミラはすでに社交界デビューしており、まあ、なかなかに激しい火遊びを繰り返しているようだ。
そんな、家庭環境が劣悪な私も、よく自分がここまで捻くれずに育ったものだとは思う。それはひとえに、幼いころの母の教えのおかげだとは思うが。
さて、森の中をしばらく歩いていると、うめき声がかすかに聞こえ、この付近では普通じゃないその事態に、私はそちらへ向かった。この森は隣国との国境である前に、魔物が出没する大変危険な森だ。そんな森でうめき声、ということは普通ではない状況ということになる。
「う……」
「すごい怪我……こっちの人も、意識がない……このままでは、死んでしまう」
声のする方へ向かうと、二人の重傷を負った男性がいる。大きな木にもたれるようにして一人が座り込んでおり、もう一人は完全に意識が無いようで、倒れこんでいた。
血だらけになっていても、その二人の顔立ちはとても整っていることがわかる。この二人を伯爵家へ連れて帰るのは危険だ。カミラはイケメンに目がないので。
「とりあえず、あそこに運ぼう」
森には奥へ入る前に管理用の小屋がある。その小屋へ入るのは私くらいなので、そこならきっと二人を匿えるはずだ。そう思い、風魔法を使って二人の身体を小屋へ慎重に運ぶ。小屋は定期的に掃除をしているので、汚くないし怪我の手当てもできるようになっている。
この時ばかりは、いつも管理のために掃除をしたり救急箱の中身を補充したりしておいてよかったと思った。まずは二人の男性をそれぞれ、敷物を敷いた床に寝かせて状態を確認する。
「二人とも、酷い怪我……止血はできているみたいね。それなら後は……」
どうやら止血はしていたようなので、傷をまずは水魔法で出した水で洗い流し、さっさと消毒する。伯爵家の図書室で、薬の作り方の本を読み、それらを参考に傷薬などは作っておいたので、作り置きの薬をふんだんに使った。
痛み止めも含まれているので、だんだんと二人の顔は穏やかになっていく。その様子を見て、一安心した。重傷だったけど、一刻を争う状態ではなかったようだ。
「あ、後でご飯も用意しないと……ちょこっともらおう」
寒い冬だから、少しでも身体を冷やさないように、と小屋の備蓄である毛布などをかけ、暖炉に火をつける。薪も多めに補充し、私はひとまずこの場を離れることにした。
用事を言いつけられていると言っても、あまり遅く戻ると嫌味を言われる。避けられる面倒なことは避けるに限るのだ。
寒い冬の日、言いつけられた用事を済ませるために隣国国境である森へ入る。リリム王国の辺境伯であるエインズワース伯爵家の領地は、自然豊かな場所。端的に言えば王都と比べるとド田舎である。
そんなエインズワース伯爵家の長女、ユーニス・エインズワースが私なのだが。伯爵である父は、私の母が亡くなると愛人だった女性を後妻に迎え、そこで私には義妹ができた。
継母と義妹はとにかく派手な生活をしており、伯爵はそんな二人を諫めることもせずに笑顔。私は、この伯爵領はそのうち、なくなるだろうなぁ、なんて他人事で見ている。
なぜ他人事なのか、それはもちろん、私がこの伯爵家でまともに育ててもらえなかったからだ。父は私よりも義妹のカミラを可愛がっているし、継母はそもそも私のことが嫌い、カミラも家で嫌われている私を下に見ている。使用人にも軽んじられているので、食事だって使用人の後。
私は伯爵令嬢としての教養も最低限しかさせてもらえなかったし、社交界デビューもしていない。カミラはすでに社交界デビューしており、まあ、なかなかに激しい火遊びを繰り返しているようだ。
そんな、家庭環境が劣悪な私も、よく自分がここまで捻くれずに育ったものだとは思う。それはひとえに、幼いころの母の教えのおかげだとは思うが。
さて、森の中をしばらく歩いていると、うめき声がかすかに聞こえ、この付近では普通じゃないその事態に、私はそちらへ向かった。この森は隣国との国境である前に、魔物が出没する大変危険な森だ。そんな森でうめき声、ということは普通ではない状況ということになる。
「う……」
「すごい怪我……こっちの人も、意識がない……このままでは、死んでしまう」
声のする方へ向かうと、二人の重傷を負った男性がいる。大きな木にもたれるようにして一人が座り込んでおり、もう一人は完全に意識が無いようで、倒れこんでいた。
血だらけになっていても、その二人の顔立ちはとても整っていることがわかる。この二人を伯爵家へ連れて帰るのは危険だ。カミラはイケメンに目がないので。
「とりあえず、あそこに運ぼう」
森には奥へ入る前に管理用の小屋がある。その小屋へ入るのは私くらいなので、そこならきっと二人を匿えるはずだ。そう思い、風魔法を使って二人の身体を小屋へ慎重に運ぶ。小屋は定期的に掃除をしているので、汚くないし怪我の手当てもできるようになっている。
この時ばかりは、いつも管理のために掃除をしたり救急箱の中身を補充したりしておいてよかったと思った。まずは二人の男性をそれぞれ、敷物を敷いた床に寝かせて状態を確認する。
「二人とも、酷い怪我……止血はできているみたいね。それなら後は……」
どうやら止血はしていたようなので、傷をまずは水魔法で出した水で洗い流し、さっさと消毒する。伯爵家の図書室で、薬の作り方の本を読み、それらを参考に傷薬などは作っておいたので、作り置きの薬をふんだんに使った。
痛み止めも含まれているので、だんだんと二人の顔は穏やかになっていく。その様子を見て、一安心した。重傷だったけど、一刻を争う状態ではなかったようだ。
「あ、後でご飯も用意しないと……ちょこっともらおう」
寒い冬だから、少しでも身体を冷やさないように、と小屋の備蓄である毛布などをかけ、暖炉に火をつける。薪も多めに補充し、私はひとまずこの場を離れることにした。
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