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第2部 母と娘の関係
5-9例え実力で劣っていても負けられない戦いがある
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いよいよ『サファイア・カップ』の決勝戦。ここまで勝ち残った六人で、雌雄が決する。私はウォーター・ドルフィンに乗り込み、スターティング・ゲートの前で、じっと待機していた。
私は六番機、キラリスは三番機、アンジェリカは一番機。私にとって、外枠はラッキーだった。他の機体の状況が見やすいし、コーナーに、思い切って突っ込んで行けるからだ。
私は、チラリと後方を確認すると、キラリスは不敵な笑みを浮かべ、アンジェリカは自信ありげな表情だった。
他の人たちも、流石に決勝まで上がって来ただけあって、みんな強そうな感じがする。私は、掌を閉じたり開いたりして、少しずつ集中力を高めていった。
静まり返る選手たちとは対照的に、観客たちからは、すでに応援の声が上がっていた。中には『六番がんばれ!』という声も聞こえてくる。
応援して貰えるのはありがたいけど、声が聞こえているうちは、まだダメだ。大事なのは、スタートの時に、最高の集中力を発揮すること。これは、中学時代の陸上競技で、散々経験してきたことだ。
それに、準決勝までは、六百メートルのコースを二周だったが、決勝だけは、三周になっている。だから、さらに強い集中力が必要だ。
また、想像以上に体力を消耗するため、無駄な力が入っていると、途中で体力も集中力も尽きてしまう。1レース目なんかは、力み過ぎたせいで、かなりグッタリしてたので、注意が必要だ。
私は、目を閉じると呼吸を整え、ハンドルに軽く手を置く。呼吸に集中していると、しだいに雑音が、気にならなくなって来た……。
集中力が高まったところで、空中モニターに視線を向ける。すでに、残りが一分を切っていた。集中状態を維持したまま、カウントダウンを冷静に眺める。第1レースの時に比べると、だいぶ落ち着いていて、いい感じに力が抜けていた。
やがて、残り十秒を切ると、上半身を前傾姿勢にし、アクセルを握る手に軽く力を入れる。カウントダウンの音だけに集中し、静かに開始の時を待った――。
『GO!』のサインと同時に、目の前のマナ・フィールドが消失し、一気に視界が開ける。
私は、ジャスト・タイミングでアクセルを開くと、ギリギリまで頭を下げ、撃ち出された弾丸のように一気に加速した。
スピードが乗ってきたところで、少しだけ頭を上げ、周囲を確認する。いい感じで他の機体を引き離し、先頭に躍り出ていた。問題は、第一コーナーだ。思い切り攻め込むか、それとも慎重に行くべきか?
今までとは違い、みんなレベルが高い上に、もう、これが最後のレースだ。考えている内に、すでにコーナーが迫ってきていた。
よし、全力で攻めよう! 例えミスっても、その時はその時。今までよりも、さらに突っ込んで行こう。
腹をくくって強気で攻め込み、先ほどよりも、さらに深く侵入した。
ここだっ!
私は息を止め、体重を乗せ右側に傾ける。機体が水面を滑りながら、方向を変えた瞬間、荷重を抜いて機体を立て直した。入れ過ぎると転倒し、早く抜いてしまうと外に流れてしまうので、繊細な力加減が必要になる。
だが、一つ目のコーナーは大成功。荷重移動のタイミングが、だいぶ掴めてきた。突っ込みも、申し分なかった。ただ、これ以上、踏み込むと、たぶん曲がれない。これ以上、突っ込むのは、止めておこう……。
チラリと後ろを見ると、アンジェリカとキラリスの二人は、後方について来ていたが、他の機体は、かなり後方にいる。このままトップを守り切れれば、十分に優勝は狙えるはずだ。
このコースは、直線は長いが、直線で抜くのは難しい。というのも、どの機体も同じ性能で、加速も最高速も同じだからだ。つまり、コーナーで抜かれない限り、順位はほぼ変わらない。なので、先頭を走っているのは、圧倒的に有利だった。
となると、あとはコーナーでミスらないように、気を付けるだけ。私は、直線コースを走りながら頭の中で、次のコーナーのコース取りを、詳細に思い描いていた。少し先を、仮想した私の機体が曲がって行くところを、リアルにイメージする。
私は、機体を少し外側に寄せつつ、海面を見ながら、分身が走ったルートをトレースした。ちょうど上手い具合に、同じラインに乗っかる。
よし、ここっ!!
イメージと、全く同じタイミングでハンドルを切り、機体をグッと右側に傾ける。
数メートル先には、分身の私が走ったラインが、まるで海面に描かれた、光の道のように見えた。私はしっかりとそのラインに合わせ、コーナーを走り抜ける。機体を立て直すと、スーッと滑らかに、真っ直ぐ加速していった。
今までは、いかに高速で曲がるかだけに集中し、かなり力技で曲がっていたが、今回はラインを意識していたら、思いのほかスムーズにターンできた。
もしかすると、単に高速で突っ込むよりも、綺麗にライン取りしたほうが、速く曲がれるんじゃないのかな? むしろ、あまり滑らないで曲がったほうが、いいのかも? ならば、もう一度試してみよう――。
私はもう一度、自分の分身が、コーナーを曲がるところをイメージする。アクセルを抜く位置、進入角度、荷重の掛け方、アクセルを入れるタイミング。ほんの一瞬の間に、細部までイメージする。
イメージ完了、これなら行けるはず……。
私は、再び外側に機体を動かすと、分身の通ったルートを、正確にトレースした。海面には、光の道筋が現れる。私は、ラインを正確に合わせることだけに集中した。
ピタリとラインに乗せ、スーッと滑らかに、コーナリングして行った。無理に曲がろうとせず、立ち上がりも、ワンテンポ遅らせてから、アクセルを開く。すると、水の抵抗も少なく、綺麗にコーナーを抜けきった。
今までで、一番、上手く曲がれたかも。いやー、すっごくいい感じじゃん!
しかし『もうラスト一周だし、これなら勝てるかも』と思った瞬間、背後から、物凄いプレッシャーを感じた。
チラリと後ろを振り返ると、アンジェリカとキラリスの機体が、かなり近くまで迫ってきている。しかも、ひしひしと、追い抜こうとする、強い気迫が伝わってきた。
しまった――。
ライン取りばかりに、気を取られて、スピードが落ちていたのかもしれない。やっぱり、付け焼刃じゃダメだ。
あの二人も、言うだけあって、かなりレベルが高いし、少しでも気を緩めれば、抜かれてしまう。こうなったら、最後の一周は、全力で走るしかない!
私は、深く考えるのを止め、全身全霊を込めて、突っ走って行く。元々私には、考えるやり方は、あまり向いていない。昔から、何事も当たって砕けろが基本だ。
ならば、ガーッと行って、ギューンと曲がる。これだけでOKだ。私は、最初のスタイルに戻し、ギリギリの地点まで、果敢に突っ込んで行く。
今だっ!!
私はアクセルを抜くと、思いっ切り体重をかけて、豪快に水面を滑って行った。激しい水しぶきを上げながら、コーナー出口に向かう。機体がかなり不安定になるが、力で強引に安定させた。
先ほどの滑らかなコーナーワークとは、真逆の走り方で、どちらが速いかは、分からなかった。でも、こっちのほうが断然、気持ちがいい。
コーナーを抜け出し、機体を安定させた瞬間、アクセルを全開にした。とりあえず、トップでコーナーを抜けたが、依然として、背後からは強烈な圧力を感じる。
おそらく、すぐ後ろの位置につけられていると思うが、今は背後を確認する余裕がなかった。心臓がバクバクと高鳴り、全身から汗が噴き出してきた。
やばい……やばい、やばい! 色々とやばいっ!!
限界ギリギリで突っ込む、高速コーナリング。すぐ後ろに張り付いている、強敵たち。何が何でも優勝しなければならない、強い想い。次の最終コーナーで、全てが決まる……。
あらゆるものが絡み合って、とてつもなく大きなプレッシャーとして、圧し掛かってきた。こんな気持ちは、久しぶりだ。
今までは平気だったのに、全力で突っ込むのが怖くなってきた。何か、機体のスピードが物凄く速く感じる。いくら落ち着こうとしても、心臓が高鳴るばかりで、呼吸も荒くなって来た。心なしか、視界も狭くなった気がする。
落ち着け、落ち着くんだ、私――。あと一つコーナーを抜ければ、優勝できるんだから。とにかく、今は落ち着いて、冷静に……。
気持ちを落ち着けている間にも、最終コーナーが、刻々と迫ってきていた。
ダメだ――心臓が全然、鳴りやまない……。でも、こうなったらもう、やるしかない。私の本気を見せてやる!
焦りと疲労のせいか、頭がボーッとしてきた。だが、私はアクセル全開のまま、限界ギリギリまで突っ込み続ける。
おりゃぁぁ、いっけーー!!
私は、機体を思いっ切り傾け、海面を滑りながらコーナリングを始めた。ちょっと突っ込み過ぎたかと思ったが、いい感じで曲がって行く。
今ままでの、全てのコーナーの動作を、ちゃんと体で覚えていたようだ。コーナー出口が見えると、私は素早く機体を立て直す。
だが、アクセルを開こうとした瞬間、
「うそっ?!」
機体が大きく跳ね上がった。もろに、波に乗り上げてしまったのだ。
激しいプレッシャーと焦り、突っ込むことだけに集中していたせいで、波をしっかり確認するのを忘れていた。
一瞬、背筋がぞくりとするが、私は宙に飛びあがった瞬間、咄嗟に腰を浮かせてバランスを取った。着水をミスれば、大幅な減速、最悪の場合は、転倒もあり得る。しかも、コーナーを抜けようとしていた時なので、機体が不安定だった。
着水と同時に、両手両足を使って踏ん張り、何とかバランスを取って、機体を安定させる。辛うじて持ちこたえたが、着水とほぼ同時に、内側から別の機体が、スーッと抜け出してきた。
「なっ、内側から?!」
ほんの一瞬のスキをついて、非常に狭い内側のコースから、針に糸を通すような操縦テクニックで、アンジェリカの機体が差し込んで来たのだ。さらに、外側からは、キラリスの機体が並んできた。
「ぐぬぬっ!」
私は姿勢を低くして、アクセル全開で最後の直線を突っ走った。
行けっ、行けっ、行っけぇぇぇぇーー!!
私は心の中で、祈りにも近い叫びをあげた。
三人が、横に並んだまま直進する。アクセルは全開にしているが、全く差がつかない。少しでも空気抵抗を減らすため、上半身を低くしているので、細かい状況は分からなかった。
速くっ、速くっ、もっと速くっ!!
全身全霊を懸けた想いを胸に、ゴールラインに突っ込んだ。
直後、観客たちから、大歓声が巻き起こる。
ゴールを抜けてしばらくすると、私は上半身を起こし、大きく息を吐きだした。最後の直線は、息をする間もなかった。全身から湯気が出そうなほど、体が熱くなっており、頭の中は真っ白になっていた。
結局……どうなったの――?
左右を見回すと、アンジェリカもキラリスも、険しい表情のまま、息を整えていた。最終コーナーを曲がったあたりから思い出そうとしたが、疲労で頭が回らない。完全に、ガス欠状態だ。
全ての機体が、ゴールを通過したあと、運営のアナウンスが入る。
『ただいまのレース、映像判定を行います。現在、確認作業中ですので、レース結果の確定は、しばらくお待ちください』
空中モニターには『審議中』の文字が表示されていた。
私は、ウォーター・ドルフィンの上で、波にゆらゆらと揺られながら、結果の発表を静かに待つ。普通なら、かなり緊張する場面だが、もはや、そんな気力すら残っていなかった。
でも、やるだけの事はやった。一滴残らず、力を出し切った感じだ。あとは、天命を待つのみ……。私は全身の力を抜き、ぼんやりとモニターを眺めた。
数分後、モニターにレースの映像が流れる。最後の直線の映像だ。改めて見るとよく分かるが、綺麗に横一線に並んでいた。
三機とも並んだまま、ゴールラインに突っ込んで行く。ゴールライン直前で、映像が拡大され、スロー再生になった。
最初の機体が、ゴールラインに触れたところで、一時停止する。さらに一コマ動くと、二番目の機体が、ゴールラインに接触した。さらに一コマ動くと、三番目の機体が、ゴールラインに到達する。
それぞれの差は、ほんの数センチ。機体の先端の、わずかの差だった。
映像を見た観客たちから『おぉー!』と、驚きの声が上がる。私も見てて身震いするほど、本当に凄い僅差だった。
映像が流し終わると、
『ただいまのレースは、一着一番、アンジェリカ・ヴァーズ。二着六番、如月風歌。三着三番、キラリス・ローランド。以上、映像判定により、結果が確定いたしました』
運営からのアナウンスが入る。
それと同時に、観客たちから、盛大な歓声と拍手が沸き上がった。
アンジェリカは機体を動かし、スーッとコーナーを曲がって行くと、手を振りながら、観客たちの待つビーチに向かう。こうして改めて見ると、本当に洗練された、綺麗な操縦なのが、よく分かった。おそらく、相当、乗り慣れているのだろう。
付け焼刃の私とは、安定感が違う。それに、大財閥のお嬢様だし、練習には事欠かなかったはずだ。ドルフィンの販売メーカーまで持ってるわけだし、負けてもしょうがない。
とはいえ、負けたのは凄く悔しかった。本気で勝つ気でいたし、立場の違いなんかを、負けた理由にはしたくない。単に、私の努力不足と、能力不足が原因だ……。
「はぁ――完敗だったなぁー」
私は青い空を見上げ、脱力しながら呟いた。
わずか数センチの差だけど、一緒に走った私ならよく分かる。限りなく遠い、数センチだった。
それに、最後の一周で、強烈なプレッシャーを与えてきたのは、間違いなくアンジェリカだった。何というか、彼女からは、物凄く強い力を感じる。圧倒的な自信が、体からにじみ出ており、悔しいことに、実力も伴っていた。
今回は、ただのイベントレースの勝敗だったけど。いずれ、シルフィードとして、大きなライバルになる予感がする。
「なぜだ……この我が負けるなど、あり得ぬ――。くっ、闇の力が足りなかったのか? いや、星の位置が悪かったのか?」
となりでは、キラリスが訳の分からないことを、ブツブツと呟いていた。
「キラリンちゃん、私たちも戻ろ」
他の選手たちは、すでにビーチのほうに、帰って行っている。
「キ・ラ・リ・ス! そんな、ゆるい呼び方しないで! っていうか、私より順位が上だったからって、いい気になるなよ!」
「いい気になんて、なる訳ないよ。勝ったのは、一着のアンジェリカだけ。二着以降は、負けだもん。入賞したぐらいで満足するほど、私は謙虚じゃないから」
「フッ、言うではないか。流石は我が認めし、魂のライバル」
キラリスは、再びカッコをつけて語るが、
「先にいくよー」
私はスルーして、さっさとビーチに戻る。
「あ、ちょっと、待ってー!」
キラリスは、慌てて追いかけて来た。
やるだけやって、スッキリした半面、色々と反省点や実力不足が、痛いほど分かったレースだった。
これから、もっともっと自分を磨いて、成長して行かないとね……。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次回――
『本物のお嬢様ってやっぱいるもんなんだねぇ』
口を慎みなさいブロンズ庶民! ゴールドお嬢様のお通りでしてよ!
私は六番機、キラリスは三番機、アンジェリカは一番機。私にとって、外枠はラッキーだった。他の機体の状況が見やすいし、コーナーに、思い切って突っ込んで行けるからだ。
私は、チラリと後方を確認すると、キラリスは不敵な笑みを浮かべ、アンジェリカは自信ありげな表情だった。
他の人たちも、流石に決勝まで上がって来ただけあって、みんな強そうな感じがする。私は、掌を閉じたり開いたりして、少しずつ集中力を高めていった。
静まり返る選手たちとは対照的に、観客たちからは、すでに応援の声が上がっていた。中には『六番がんばれ!』という声も聞こえてくる。
応援して貰えるのはありがたいけど、声が聞こえているうちは、まだダメだ。大事なのは、スタートの時に、最高の集中力を発揮すること。これは、中学時代の陸上競技で、散々経験してきたことだ。
それに、準決勝までは、六百メートルのコースを二周だったが、決勝だけは、三周になっている。だから、さらに強い集中力が必要だ。
また、想像以上に体力を消耗するため、無駄な力が入っていると、途中で体力も集中力も尽きてしまう。1レース目なんかは、力み過ぎたせいで、かなりグッタリしてたので、注意が必要だ。
私は、目を閉じると呼吸を整え、ハンドルに軽く手を置く。呼吸に集中していると、しだいに雑音が、気にならなくなって来た……。
集中力が高まったところで、空中モニターに視線を向ける。すでに、残りが一分を切っていた。集中状態を維持したまま、カウントダウンを冷静に眺める。第1レースの時に比べると、だいぶ落ち着いていて、いい感じに力が抜けていた。
やがて、残り十秒を切ると、上半身を前傾姿勢にし、アクセルを握る手に軽く力を入れる。カウントダウンの音だけに集中し、静かに開始の時を待った――。
『GO!』のサインと同時に、目の前のマナ・フィールドが消失し、一気に視界が開ける。
私は、ジャスト・タイミングでアクセルを開くと、ギリギリまで頭を下げ、撃ち出された弾丸のように一気に加速した。
スピードが乗ってきたところで、少しだけ頭を上げ、周囲を確認する。いい感じで他の機体を引き離し、先頭に躍り出ていた。問題は、第一コーナーだ。思い切り攻め込むか、それとも慎重に行くべきか?
今までとは違い、みんなレベルが高い上に、もう、これが最後のレースだ。考えている内に、すでにコーナーが迫ってきていた。
よし、全力で攻めよう! 例えミスっても、その時はその時。今までよりも、さらに突っ込んで行こう。
腹をくくって強気で攻め込み、先ほどよりも、さらに深く侵入した。
ここだっ!
私は息を止め、体重を乗せ右側に傾ける。機体が水面を滑りながら、方向を変えた瞬間、荷重を抜いて機体を立て直した。入れ過ぎると転倒し、早く抜いてしまうと外に流れてしまうので、繊細な力加減が必要になる。
だが、一つ目のコーナーは大成功。荷重移動のタイミングが、だいぶ掴めてきた。突っ込みも、申し分なかった。ただ、これ以上、踏み込むと、たぶん曲がれない。これ以上、突っ込むのは、止めておこう……。
チラリと後ろを見ると、アンジェリカとキラリスの二人は、後方について来ていたが、他の機体は、かなり後方にいる。このままトップを守り切れれば、十分に優勝は狙えるはずだ。
このコースは、直線は長いが、直線で抜くのは難しい。というのも、どの機体も同じ性能で、加速も最高速も同じだからだ。つまり、コーナーで抜かれない限り、順位はほぼ変わらない。なので、先頭を走っているのは、圧倒的に有利だった。
となると、あとはコーナーでミスらないように、気を付けるだけ。私は、直線コースを走りながら頭の中で、次のコーナーのコース取りを、詳細に思い描いていた。少し先を、仮想した私の機体が曲がって行くところを、リアルにイメージする。
私は、機体を少し外側に寄せつつ、海面を見ながら、分身が走ったルートをトレースした。ちょうど上手い具合に、同じラインに乗っかる。
よし、ここっ!!
イメージと、全く同じタイミングでハンドルを切り、機体をグッと右側に傾ける。
数メートル先には、分身の私が走ったラインが、まるで海面に描かれた、光の道のように見えた。私はしっかりとそのラインに合わせ、コーナーを走り抜ける。機体を立て直すと、スーッと滑らかに、真っ直ぐ加速していった。
今までは、いかに高速で曲がるかだけに集中し、かなり力技で曲がっていたが、今回はラインを意識していたら、思いのほかスムーズにターンできた。
もしかすると、単に高速で突っ込むよりも、綺麗にライン取りしたほうが、速く曲がれるんじゃないのかな? むしろ、あまり滑らないで曲がったほうが、いいのかも? ならば、もう一度試してみよう――。
私はもう一度、自分の分身が、コーナーを曲がるところをイメージする。アクセルを抜く位置、進入角度、荷重の掛け方、アクセルを入れるタイミング。ほんの一瞬の間に、細部までイメージする。
イメージ完了、これなら行けるはず……。
私は、再び外側に機体を動かすと、分身の通ったルートを、正確にトレースした。海面には、光の道筋が現れる。私は、ラインを正確に合わせることだけに集中した。
ピタリとラインに乗せ、スーッと滑らかに、コーナリングして行った。無理に曲がろうとせず、立ち上がりも、ワンテンポ遅らせてから、アクセルを開く。すると、水の抵抗も少なく、綺麗にコーナーを抜けきった。
今までで、一番、上手く曲がれたかも。いやー、すっごくいい感じじゃん!
しかし『もうラスト一周だし、これなら勝てるかも』と思った瞬間、背後から、物凄いプレッシャーを感じた。
チラリと後ろを振り返ると、アンジェリカとキラリスの機体が、かなり近くまで迫ってきている。しかも、ひしひしと、追い抜こうとする、強い気迫が伝わってきた。
しまった――。
ライン取りばかりに、気を取られて、スピードが落ちていたのかもしれない。やっぱり、付け焼刃じゃダメだ。
あの二人も、言うだけあって、かなりレベルが高いし、少しでも気を緩めれば、抜かれてしまう。こうなったら、最後の一周は、全力で走るしかない!
私は、深く考えるのを止め、全身全霊を込めて、突っ走って行く。元々私には、考えるやり方は、あまり向いていない。昔から、何事も当たって砕けろが基本だ。
ならば、ガーッと行って、ギューンと曲がる。これだけでOKだ。私は、最初のスタイルに戻し、ギリギリの地点まで、果敢に突っ込んで行く。
今だっ!!
私はアクセルを抜くと、思いっ切り体重をかけて、豪快に水面を滑って行った。激しい水しぶきを上げながら、コーナー出口に向かう。機体がかなり不安定になるが、力で強引に安定させた。
先ほどの滑らかなコーナーワークとは、真逆の走り方で、どちらが速いかは、分からなかった。でも、こっちのほうが断然、気持ちがいい。
コーナーを抜け出し、機体を安定させた瞬間、アクセルを全開にした。とりあえず、トップでコーナーを抜けたが、依然として、背後からは強烈な圧力を感じる。
おそらく、すぐ後ろの位置につけられていると思うが、今は背後を確認する余裕がなかった。心臓がバクバクと高鳴り、全身から汗が噴き出してきた。
やばい……やばい、やばい! 色々とやばいっ!!
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あらゆるものが絡み合って、とてつもなく大きなプレッシャーとして、圧し掛かってきた。こんな気持ちは、久しぶりだ。
今までは平気だったのに、全力で突っ込むのが怖くなってきた。何か、機体のスピードが物凄く速く感じる。いくら落ち着こうとしても、心臓が高鳴るばかりで、呼吸も荒くなって来た。心なしか、視界も狭くなった気がする。
落ち着け、落ち着くんだ、私――。あと一つコーナーを抜ければ、優勝できるんだから。とにかく、今は落ち着いて、冷静に……。
気持ちを落ち着けている間にも、最終コーナーが、刻々と迫ってきていた。
ダメだ――心臓が全然、鳴りやまない……。でも、こうなったらもう、やるしかない。私の本気を見せてやる!
焦りと疲労のせいか、頭がボーッとしてきた。だが、私はアクセル全開のまま、限界ギリギリまで突っ込み続ける。
おりゃぁぁ、いっけーー!!
私は、機体を思いっ切り傾け、海面を滑りながらコーナリングを始めた。ちょっと突っ込み過ぎたかと思ったが、いい感じで曲がって行く。
今ままでの、全てのコーナーの動作を、ちゃんと体で覚えていたようだ。コーナー出口が見えると、私は素早く機体を立て直す。
だが、アクセルを開こうとした瞬間、
「うそっ?!」
機体が大きく跳ね上がった。もろに、波に乗り上げてしまったのだ。
激しいプレッシャーと焦り、突っ込むことだけに集中していたせいで、波をしっかり確認するのを忘れていた。
一瞬、背筋がぞくりとするが、私は宙に飛びあがった瞬間、咄嗟に腰を浮かせてバランスを取った。着水をミスれば、大幅な減速、最悪の場合は、転倒もあり得る。しかも、コーナーを抜けようとしていた時なので、機体が不安定だった。
着水と同時に、両手両足を使って踏ん張り、何とかバランスを取って、機体を安定させる。辛うじて持ちこたえたが、着水とほぼ同時に、内側から別の機体が、スーッと抜け出してきた。
「なっ、内側から?!」
ほんの一瞬のスキをついて、非常に狭い内側のコースから、針に糸を通すような操縦テクニックで、アンジェリカの機体が差し込んで来たのだ。さらに、外側からは、キラリスの機体が並んできた。
「ぐぬぬっ!」
私は姿勢を低くして、アクセル全開で最後の直線を突っ走った。
行けっ、行けっ、行っけぇぇぇぇーー!!
私は心の中で、祈りにも近い叫びをあげた。
三人が、横に並んだまま直進する。アクセルは全開にしているが、全く差がつかない。少しでも空気抵抗を減らすため、上半身を低くしているので、細かい状況は分からなかった。
速くっ、速くっ、もっと速くっ!!
全身全霊を懸けた想いを胸に、ゴールラインに突っ込んだ。
直後、観客たちから、大歓声が巻き起こる。
ゴールを抜けてしばらくすると、私は上半身を起こし、大きく息を吐きだした。最後の直線は、息をする間もなかった。全身から湯気が出そうなほど、体が熱くなっており、頭の中は真っ白になっていた。
結局……どうなったの――?
左右を見回すと、アンジェリカもキラリスも、険しい表情のまま、息を整えていた。最終コーナーを曲がったあたりから思い出そうとしたが、疲労で頭が回らない。完全に、ガス欠状態だ。
全ての機体が、ゴールを通過したあと、運営のアナウンスが入る。
『ただいまのレース、映像判定を行います。現在、確認作業中ですので、レース結果の確定は、しばらくお待ちください』
空中モニターには『審議中』の文字が表示されていた。
私は、ウォーター・ドルフィンの上で、波にゆらゆらと揺られながら、結果の発表を静かに待つ。普通なら、かなり緊張する場面だが、もはや、そんな気力すら残っていなかった。
でも、やるだけの事はやった。一滴残らず、力を出し切った感じだ。あとは、天命を待つのみ……。私は全身の力を抜き、ぼんやりとモニターを眺めた。
数分後、モニターにレースの映像が流れる。最後の直線の映像だ。改めて見るとよく分かるが、綺麗に横一線に並んでいた。
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最初の機体が、ゴールラインに触れたところで、一時停止する。さらに一コマ動くと、二番目の機体が、ゴールラインに接触した。さらに一コマ動くと、三番目の機体が、ゴールラインに到達する。
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映像が流し終わると、
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それと同時に、観客たちから、盛大な歓声と拍手が沸き上がった。
アンジェリカは機体を動かし、スーッとコーナーを曲がって行くと、手を振りながら、観客たちの待つビーチに向かう。こうして改めて見ると、本当に洗練された、綺麗な操縦なのが、よく分かった。おそらく、相当、乗り慣れているのだろう。
付け焼刃の私とは、安定感が違う。それに、大財閥のお嬢様だし、練習には事欠かなかったはずだ。ドルフィンの販売メーカーまで持ってるわけだし、負けてもしょうがない。
とはいえ、負けたのは凄く悔しかった。本気で勝つ気でいたし、立場の違いなんかを、負けた理由にはしたくない。単に、私の努力不足と、能力不足が原因だ……。
「はぁ――完敗だったなぁー」
私は青い空を見上げ、脱力しながら呟いた。
わずか数センチの差だけど、一緒に走った私ならよく分かる。限りなく遠い、数センチだった。
それに、最後の一周で、強烈なプレッシャーを与えてきたのは、間違いなくアンジェリカだった。何というか、彼女からは、物凄く強い力を感じる。圧倒的な自信が、体からにじみ出ており、悔しいことに、実力も伴っていた。
今回は、ただのイベントレースの勝敗だったけど。いずれ、シルフィードとして、大きなライバルになる予感がする。
「なぜだ……この我が負けるなど、あり得ぬ――。くっ、闇の力が足りなかったのか? いや、星の位置が悪かったのか?」
となりでは、キラリスが訳の分からないことを、ブツブツと呟いていた。
「キラリンちゃん、私たちも戻ろ」
他の選手たちは、すでにビーチのほうに、帰って行っている。
「キ・ラ・リ・ス! そんな、ゆるい呼び方しないで! っていうか、私より順位が上だったからって、いい気になるなよ!」
「いい気になんて、なる訳ないよ。勝ったのは、一着のアンジェリカだけ。二着以降は、負けだもん。入賞したぐらいで満足するほど、私は謙虚じゃないから」
「フッ、言うではないか。流石は我が認めし、魂のライバル」
キラリスは、再びカッコをつけて語るが、
「先にいくよー」
私はスルーして、さっさとビーチに戻る。
「あ、ちょっと、待ってー!」
キラリスは、慌てて追いかけて来た。
やるだけやって、スッキリした半面、色々と反省点や実力不足が、痛いほど分かったレースだった。
これから、もっともっと自分を磨いて、成長して行かないとね……。
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次回――
『本物のお嬢様ってやっぱいるもんなんだねぇ』
口を慎みなさいブロンズ庶民! ゴールドお嬢様のお通りでしてよ!
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はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!
【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜
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「役立たずの荷物持ちはもういらない」
貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~
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ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。
木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。
そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。
もう一度言う。
手違いだったのだ。もしくは事故。
出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた!
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異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?
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よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ!
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俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ?
それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ!
よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・
え?俺様チート持ちだって?チートって何だ?
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話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
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俺は異世界転生者カドマツ。
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