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帰って来た日常と、やって来た非日常
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バスターク辺境伯領から帰って、カイト達は数日の間はゆっくりとして過ごした。
お金はたくさん有るので、無理してギルドの依頼を受ける必要もない。
カイトはルキナといっぱい遊ぶことに専念していた。
エルはアンナさんに料理の特訓を受けている。将来自分の子供が出来た時のためと言われれば、エルも嫌とは言えなかったようだ。
ルキナは虎型ゴーレムのルフトに乗って、庭を走り回り遊んでいる。
今回の戦争でエルとルキナもレベルが大分上がった。アンナさんもかなり上がったらしい。
俺はと言うと、あれだけの人数を相手にしたが、武神と賢者のレベルはたいして上がらなかった。
ゴンドワナ帝国の兵士達が弱かったのと、武神と賢者のジョブが、成長し辛いのだと結論付けた。
でも俺はここで二つの間違いに気づいていなかった。
ゴンドワナ帝国の騎士団を含む兵士達は、長年バスターク辺境伯軍と戦って来た、チラーノス辺境伯軍が主体だった為、決して弱くない兵士だったこと。もう一つは、成長が遅いと感じていた俺だが、俺の成長速度は十分異常な程速いという事を。
他人のステータスを鑑定しないと、ドルファレス師匠との修行中の約束事だったので、鑑定しても名前程度しかしない。
もし、普段から他人のステータスを鑑定していれば、一般の兵士がどれ程か分かったと思う。そして自分のステータスが飛び抜けているのを自覚しただろう。
穏やかな日々が続いていたある日、カイトの家の前に豪華な馬車が止まる。
コンコン コンコン
ドアのノッカーの音が聞こえた。
朝食を済ませた後、リビングのソファーでまったりしていたカイト達の耳に、ノッカーの音が聞こえた。
「こんな時間に誰かしら?」
アンナさんが出掛けて居ない為、エルが玄関へ向かう。
俺も一応、気配察知と魔力感知を使うと、何故か知っている気配を だった。
えっ?どうして?混乱していると、玄関でもエルの叫ぶ声が聞こえた。
「どうしたの?」
膝の上に座るルキナが、俺を見上げて聞いてきた。
「エルお姉ちゃんのお母さんと弟が来たみたい」
「前に見た人?」
「そうだね。前に一度会ったね」
そこにエルと帰って来たアンナさん、その後ろにエルのお母さんのレイラさんと弟のクリストフ君、さらに家宰のフレデリックさんまで現れた。
「お久しぶりね」
「……お久しぶりです」
「ご無沙汰しております」
とりあえず座ってもらい、アンナさんがお茶を淹れるのを待つ。
それぞれの前にお茶が行きとどいたタイミングで、一番疑問に思った事を聞いてみた。
「それで今日は、どういった要件で?」
「暫くご厄介になります」
「「えっ!」」
レイラさんがとんでもない事を言いだした。
「バスターク辺境伯夫人が、こんな小さな家に無理ですよ」
「そうよお母様、侍女も護衛も置けないわよ!」
俺とエルが無理だと言っても、レイラさんは顔色ひとつ変えない。
「大丈夫ですよ。護衛と侍女は王都の屋敷に戻しました。侍女もアンナで足りなければ、この街で雇えば良いと思っていますよ」
「この屋敷には何部屋ございますか?」
「えっと、空いている部屋は四部屋ですが」
フレデリックさんが部屋数を聞いて来たので、思わず正直に答えてしまう。
「あら、それなら十分ね。ねえアンナお買い物に付き合ってくれない?家具を買わないと」
「今日の所は構いませんが、私はお嬢様の専属メイドです。お忘れなきよう」
そのままレイラさんは、クリストフ君とアンナさんと連れだって、買い物に出掛けてしまった。
「「…………」」
「私は奥様とクリストフ様の荷物を運んで参ります」
フレデリックさんが出て行った。
「……なあ、エル」
「ごめんなさい。本当にごめんなさい」
どうしてレイラさん達がノトスに来たのか、俺にはまったく分からなかった。
「きっと何か思惑があるよね」
「あるでしょうね。お母様は天然だけど、アレでもバスターク辺境伯夫人だからね。
お父様は軍の統率者としては優秀なのでしょうけど、バスターク辺境伯領を支えて来たのはお母様だもの」
「……そうなんだ」
「そうよ、お母様だったら、私が家を飛び出したくなる婚姻なんて許さないもの。いくら中央の伯爵でも辺境伯の方が地位は上だもの」
辺境伯は他国の脅威と接している為、広大な領地と強い権限が与えられているらしい。
貴族なんて、俺には馴染みがないから、よく分からない。
「カイトおにいちゃん、おばちゃん達このルキナのお家で住むの?」
「そうだね、ずっと一緒じゃないけど、暫くは一緒かな。ルキナは平気かい?」
「うん!ルキナ平気だよ!」
「ありがとうルキナ。でもお母様の事はおばちゃんって呼んじゃダメよ」
エルにそう言われてもルキナは、どうして?と首をコテッとかしげる。
「エル、ルキナには何がダメなのか分からないよ」
「そうよね、じゃあなんて呼ぶの?て聞かれたら私も悩むもの」
そうだよな。お姉ちゃんはおかしいし、レイラさんもルキナが呼ぶには違和感がある。おばちゃんが一番しっくりくるけど、ダメだよなぁ。
そうこうするうちに、レイラさんとアンナさんが帰って来た。
「とりあえずベッドを三つ、直ぐに配達して貰うように手配して来ました」
アンナさんはそう言うと、お昼の準備をする為にキッチンへ向かった。
エルはレイラさんとクリストフ君達に、トイレやお風呂を案内してまわる。
暫くすると、レイラさんが凄い勢いでリビングに入って来た。
「カイト君!なに!何あのトイレ!」
あゝ、家のトイレはこの世界では別格だからな。ここまで清潔でキレイなトイレは、貴族の屋敷にも無いと思う。貴族のトイレでも臭ったりするものだけど、家のトイレは臭いすら浄化してしまう。
これも浄化の魔法を使える魔導具職人が少ないせいだと思う。
興奮するレイラさんは、エルに連れられて行った。
お昼の時間になったので、皆んなで食事をとる事になった。家では、貴族じゃないのでメイドのアンナさんも同じテーブルで一緒に食事をする。
その食事の席で、レイラさんはルキナに懐いて貰おうと積極的に話し掛けてくる。
「ルキナちゃんは何が好き?」
「う~ん、お肉!」
「そう、何のお肉が好きなの?」
「え~とね、わいばーん!」
「ワイバーン!?」
うん、確かにワイバーンは美味しかった。コクのある鶏肉みたいで、唐揚げを作ったらルキナが凄く喜んだよな。
「そうねワイバーンは美味しかったわね」
「そうですね、あの唐揚げは絶品でした」
エルとアンナさんが頷いている。
「大っきいブタさんもおいしかったよ」
「ギガントロックボアねあれも美味しかったわ」
「お嬢様、ギガントロックボアのカツはもう一度食べたいですね」
「ルキナ、ウシさんのお肉も好き」
「あら、ルキナちゃん気が合いますね。お姉ちゃんもトライホーンバッファローのステーキは最高ですもの」
「でもステーキなら地竜が一番じゃない?」
「「「…………」」」
レイラさん達が静かだ。
「あの、少しよろしいでしょうか」
フレデリックさんが俺に何か聞きたいみたいだ。
「ええ、何でしょう」
「ワイバーンや地竜の肉は、オークションで購われるのですか?」
「オークション?オークションなんて開かれているんですか?」
「カイト、オークションも知らないの。王都で時々開催されているのよ」
さすがエルは貴族出身だけあって、良く知っている。
「エル、そこじゃないの!ワイバーンや地竜の肉を、どこで手に入れたかを聞いているのよ!」
「なんだ、それならそうと言ってよ」
「奥様、ワイバーンや地竜はカイト様が直接手に入れたものです」
「だからアンナ、私は直接どこで買ったのか聞いているのよ!」
レイラさんがぷりぷり怒りだした。
「ですから奥様、買ったのではなく、狩ったのです。プッ」
「いや、アンナさん。上手くないですからね」
本当にこの駄メイドは、黙っていれば美人のエルフなのに。
「……狩った?狩ったの?何を?」
「奥様、落ち着いて下さい」
何故か混乱するレイラさんをフレデリックさんが落ち着ける。
「あの、カイトさん。どこで狩れるのですか?」
クリストフ君が聞いて来たけど、オススメはしないよ。
「深淵の森って名前らしいけど、余りオススメはしないよ。かなり奥に行かないとワイバーンや地竜は居ないから。何日もお風呂に入れないから、俺は余り行きたくないかな」
いくら浄化があっても、何日もお風呂に入れないのは辛いよね。
エルとアンナさんも、「お風呂に入れないのはパスだわ」なんて話している。
「間違ってたら御免なさいね。あのもしかして、カイトさんが深淵の森の奥まで行って、ワイバーンや地竜を狩ったと言ってるの?」
「いや~、違いますよ~」
「そうよね、びっくりしたわ」
「そうですよ、わざわざあんな森の奥に、何日も掛けて行くわけないじゃないですか。森の奥から出るとき、ついでに狩っただけですよ」
「「「…………」」」
「それをお聞きになられたお嬢様は、どう思われます?」
「どうって、ワイバーンや地竜が食べれてラッキーよね」
うんうんとアンナさんとルキナまで頷いている。
「そうでしたお嬢様はそういう方でしたね」
「何よ!お母様達には、私が助けられた時の事を話したでしょう。ちゃんと場所も言ったわよ」
「知らないわよー」
あっ、レイラさんが逆ギレした。
「つまりカイト様は、深淵の森の奥から出て来る過程でお嬢様を救われたと?」
「そう言ってるじゃない。もう」
こうして見てると、エルはレイラさんに良く似てるよな。そんなこと考えながらエルとレイラさんを見ていると、ルキナがアクビをしている。
「ルキナおねむかい?」「うん」
「じゃあお昼寝しようね」
ルキナを抱いて部屋に連れて行き、お昼寝させるとダイニングに戻ると、まだエルとレイラさんが言い合っていた。
「ルキナ様はお昼寝ですか?」
「ええ、眠くなったみたいで」
テーブルに座るとフレデリックさんが話し掛けて来た。アンナさんがお茶を淹れに席を立つ。
「結局、カイト様が深淵の森の奥地を行く事が出来て、この家ではワイバーンや地竜の肉が普通にテーブルにあがるという認識でよろしいですか?」
「まぁそうだね」
「それは楽しみが増えましたな」
エルとレイラさんが色々言い合っているけど、フレデリックさんは、そのうち珍しい食材が食べれるから、いいんじゃねぇという風に納得したようだ。
何とも賑やかになったものだな。
お金はたくさん有るので、無理してギルドの依頼を受ける必要もない。
カイトはルキナといっぱい遊ぶことに専念していた。
エルはアンナさんに料理の特訓を受けている。将来自分の子供が出来た時のためと言われれば、エルも嫌とは言えなかったようだ。
ルキナは虎型ゴーレムのルフトに乗って、庭を走り回り遊んでいる。
今回の戦争でエルとルキナもレベルが大分上がった。アンナさんもかなり上がったらしい。
俺はと言うと、あれだけの人数を相手にしたが、武神と賢者のレベルはたいして上がらなかった。
ゴンドワナ帝国の兵士達が弱かったのと、武神と賢者のジョブが、成長し辛いのだと結論付けた。
でも俺はここで二つの間違いに気づいていなかった。
ゴンドワナ帝国の騎士団を含む兵士達は、長年バスターク辺境伯軍と戦って来た、チラーノス辺境伯軍が主体だった為、決して弱くない兵士だったこと。もう一つは、成長が遅いと感じていた俺だが、俺の成長速度は十分異常な程速いという事を。
他人のステータスを鑑定しないと、ドルファレス師匠との修行中の約束事だったので、鑑定しても名前程度しかしない。
もし、普段から他人のステータスを鑑定していれば、一般の兵士がどれ程か分かったと思う。そして自分のステータスが飛び抜けているのを自覚しただろう。
穏やかな日々が続いていたある日、カイトの家の前に豪華な馬車が止まる。
コンコン コンコン
ドアのノッカーの音が聞こえた。
朝食を済ませた後、リビングのソファーでまったりしていたカイト達の耳に、ノッカーの音が聞こえた。
「こんな時間に誰かしら?」
アンナさんが出掛けて居ない為、エルが玄関へ向かう。
俺も一応、気配察知と魔力感知を使うと、何故か知っている気配を だった。
えっ?どうして?混乱していると、玄関でもエルの叫ぶ声が聞こえた。
「どうしたの?」
膝の上に座るルキナが、俺を見上げて聞いてきた。
「エルお姉ちゃんのお母さんと弟が来たみたい」
「前に見た人?」
「そうだね。前に一度会ったね」
そこにエルと帰って来たアンナさん、その後ろにエルのお母さんのレイラさんと弟のクリストフ君、さらに家宰のフレデリックさんまで現れた。
「お久しぶりね」
「……お久しぶりです」
「ご無沙汰しております」
とりあえず座ってもらい、アンナさんがお茶を淹れるのを待つ。
それぞれの前にお茶が行きとどいたタイミングで、一番疑問に思った事を聞いてみた。
「それで今日は、どういった要件で?」
「暫くご厄介になります」
「「えっ!」」
レイラさんがとんでもない事を言いだした。
「バスターク辺境伯夫人が、こんな小さな家に無理ですよ」
「そうよお母様、侍女も護衛も置けないわよ!」
俺とエルが無理だと言っても、レイラさんは顔色ひとつ変えない。
「大丈夫ですよ。護衛と侍女は王都の屋敷に戻しました。侍女もアンナで足りなければ、この街で雇えば良いと思っていますよ」
「この屋敷には何部屋ございますか?」
「えっと、空いている部屋は四部屋ですが」
フレデリックさんが部屋数を聞いて来たので、思わず正直に答えてしまう。
「あら、それなら十分ね。ねえアンナお買い物に付き合ってくれない?家具を買わないと」
「今日の所は構いませんが、私はお嬢様の専属メイドです。お忘れなきよう」
そのままレイラさんは、クリストフ君とアンナさんと連れだって、買い物に出掛けてしまった。
「「…………」」
「私は奥様とクリストフ様の荷物を運んで参ります」
フレデリックさんが出て行った。
「……なあ、エル」
「ごめんなさい。本当にごめんなさい」
どうしてレイラさん達がノトスに来たのか、俺にはまったく分からなかった。
「きっと何か思惑があるよね」
「あるでしょうね。お母様は天然だけど、アレでもバスターク辺境伯夫人だからね。
お父様は軍の統率者としては優秀なのでしょうけど、バスターク辺境伯領を支えて来たのはお母様だもの」
「……そうなんだ」
「そうよ、お母様だったら、私が家を飛び出したくなる婚姻なんて許さないもの。いくら中央の伯爵でも辺境伯の方が地位は上だもの」
辺境伯は他国の脅威と接している為、広大な領地と強い権限が与えられているらしい。
貴族なんて、俺には馴染みがないから、よく分からない。
「カイトおにいちゃん、おばちゃん達このルキナのお家で住むの?」
「そうだね、ずっと一緒じゃないけど、暫くは一緒かな。ルキナは平気かい?」
「うん!ルキナ平気だよ!」
「ありがとうルキナ。でもお母様の事はおばちゃんって呼んじゃダメよ」
エルにそう言われてもルキナは、どうして?と首をコテッとかしげる。
「エル、ルキナには何がダメなのか分からないよ」
「そうよね、じゃあなんて呼ぶの?て聞かれたら私も悩むもの」
そうだよな。お姉ちゃんはおかしいし、レイラさんもルキナが呼ぶには違和感がある。おばちゃんが一番しっくりくるけど、ダメだよなぁ。
そうこうするうちに、レイラさんとアンナさんが帰って来た。
「とりあえずベッドを三つ、直ぐに配達して貰うように手配して来ました」
アンナさんはそう言うと、お昼の準備をする為にキッチンへ向かった。
エルはレイラさんとクリストフ君達に、トイレやお風呂を案内してまわる。
暫くすると、レイラさんが凄い勢いでリビングに入って来た。
「カイト君!なに!何あのトイレ!」
あゝ、家のトイレはこの世界では別格だからな。ここまで清潔でキレイなトイレは、貴族の屋敷にも無いと思う。貴族のトイレでも臭ったりするものだけど、家のトイレは臭いすら浄化してしまう。
これも浄化の魔法を使える魔導具職人が少ないせいだと思う。
興奮するレイラさんは、エルに連れられて行った。
お昼の時間になったので、皆んなで食事をとる事になった。家では、貴族じゃないのでメイドのアンナさんも同じテーブルで一緒に食事をする。
その食事の席で、レイラさんはルキナに懐いて貰おうと積極的に話し掛けてくる。
「ルキナちゃんは何が好き?」
「う~ん、お肉!」
「そう、何のお肉が好きなの?」
「え~とね、わいばーん!」
「ワイバーン!?」
うん、確かにワイバーンは美味しかった。コクのある鶏肉みたいで、唐揚げを作ったらルキナが凄く喜んだよな。
「そうねワイバーンは美味しかったわね」
「そうですね、あの唐揚げは絶品でした」
エルとアンナさんが頷いている。
「大っきいブタさんもおいしかったよ」
「ギガントロックボアねあれも美味しかったわ」
「お嬢様、ギガントロックボアのカツはもう一度食べたいですね」
「ルキナ、ウシさんのお肉も好き」
「あら、ルキナちゃん気が合いますね。お姉ちゃんもトライホーンバッファローのステーキは最高ですもの」
「でもステーキなら地竜が一番じゃない?」
「「「…………」」」
レイラさん達が静かだ。
「あの、少しよろしいでしょうか」
フレデリックさんが俺に何か聞きたいみたいだ。
「ええ、何でしょう」
「ワイバーンや地竜の肉は、オークションで購われるのですか?」
「オークション?オークションなんて開かれているんですか?」
「カイト、オークションも知らないの。王都で時々開催されているのよ」
さすがエルは貴族出身だけあって、良く知っている。
「エル、そこじゃないの!ワイバーンや地竜の肉を、どこで手に入れたかを聞いているのよ!」
「なんだ、それならそうと言ってよ」
「奥様、ワイバーンや地竜はカイト様が直接手に入れたものです」
「だからアンナ、私は直接どこで買ったのか聞いているのよ!」
レイラさんがぷりぷり怒りだした。
「ですから奥様、買ったのではなく、狩ったのです。プッ」
「いや、アンナさん。上手くないですからね」
本当にこの駄メイドは、黙っていれば美人のエルフなのに。
「……狩った?狩ったの?何を?」
「奥様、落ち着いて下さい」
何故か混乱するレイラさんをフレデリックさんが落ち着ける。
「あの、カイトさん。どこで狩れるのですか?」
クリストフ君が聞いて来たけど、オススメはしないよ。
「深淵の森って名前らしいけど、余りオススメはしないよ。かなり奥に行かないとワイバーンや地竜は居ないから。何日もお風呂に入れないから、俺は余り行きたくないかな」
いくら浄化があっても、何日もお風呂に入れないのは辛いよね。
エルとアンナさんも、「お風呂に入れないのはパスだわ」なんて話している。
「間違ってたら御免なさいね。あのもしかして、カイトさんが深淵の森の奥まで行って、ワイバーンや地竜を狩ったと言ってるの?」
「いや~、違いますよ~」
「そうよね、びっくりしたわ」
「そうですよ、わざわざあんな森の奥に、何日も掛けて行くわけないじゃないですか。森の奥から出るとき、ついでに狩っただけですよ」
「「「…………」」」
「それをお聞きになられたお嬢様は、どう思われます?」
「どうって、ワイバーンや地竜が食べれてラッキーよね」
うんうんとアンナさんとルキナまで頷いている。
「そうでしたお嬢様はそういう方でしたね」
「何よ!お母様達には、私が助けられた時の事を話したでしょう。ちゃんと場所も言ったわよ」
「知らないわよー」
あっ、レイラさんが逆ギレした。
「つまりカイト様は、深淵の森の奥から出て来る過程でお嬢様を救われたと?」
「そう言ってるじゃない。もう」
こうして見てると、エルはレイラさんに良く似てるよな。そんなこと考えながらエルとレイラさんを見ていると、ルキナがアクビをしている。
「ルキナおねむかい?」「うん」
「じゃあお昼寝しようね」
ルキナを抱いて部屋に連れて行き、お昼寝させるとダイニングに戻ると、まだエルとレイラさんが言い合っていた。
「ルキナ様はお昼寝ですか?」
「ええ、眠くなったみたいで」
テーブルに座るとフレデリックさんが話し掛けて来た。アンナさんがお茶を淹れに席を立つ。
「結局、カイト様が深淵の森の奥地を行く事が出来て、この家ではワイバーンや地竜の肉が普通にテーブルにあがるという認識でよろしいですか?」
「まぁそうだね」
「それは楽しみが増えましたな」
エルとレイラさんが色々言い合っているけど、フレデリックさんは、そのうち珍しい食材が食べれるから、いいんじゃねぇという風に納得したようだ。
何とも賑やかになったものだな。
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