異世界立志伝

小狐丸

文字の大きさ
52 / 163

王都で人集め

しおりを挟む
 取り敢えず、街道が完成したので、王都の商業ギルドと冒険者ギルドなどに人の手配をする為に出掛けた。

「先ずは、商業ギルドで大工や職人を手配して貰わないとな」

 王都の商業ギルド本部へ向かう。

 大きな石造りの四階建ての建物が見えて来た。
 商業ギルドの建物を入ると、中は清潔な感じの内装で、長いカウンターがある。そこが受付だろう。

「すいません」

 空いている窓口に声を掛ける。

「はい、こんにちは。今日はどのような要件で?」

 受付のベテラン職員っぽいお姉さんが対応してくれた。
 そこで、新領地で街を建設する大工や職人の手配をお願い出来ないか聞いてみた。

「えっ! ドラーク男爵様でしたか。
 それで、派遣する大工や職人の人数は、どの程度考えておられますか?
 ……はい、少々お待ち下さい」

 こちらの要望を伝えると、商業ギルドの受付の女性が、一旦退席して階段を登って行った。

 やがて階段を資料を抱えて、ギルドの女性職員が戻って来た。

「お待たせしました」

 受付の女性職員が、資料を広げて説明を始める。

「今、派遣出来る大工や木工職人、石工職人、鍛治職人は、最大で100人程ですね。申し訳ないのですが、ドラーク男爵領は未開地ですので、何もない現地で長期間仕事をする人材となると、中々集めるのに苦労するのです」

 それはそうだろうとカイトも思う。現地には何もないのだから、全て自分達で用意しないといけない。

「100人の職人達の仮宿舎の建設や、当座の食料も必要になってきます。
 あと、定期的に食料や日用品の販売をする商人を派遣する必要もあります。
 あと、一番最初に決めなければいけない事ですが、どの規模の町か村を造るのか設計図は必要です」

 町の規模か、先ずは村からスタートでも仕方ないよな。なんせ住民はゼロなんだから。

「取り敢えず、住居用の建物を100戸を造って貰えますか?」

 最初は、300人~400人位の人数から始める方が良いだろうな。農地を開墾して食料を自給自足出来る様になってからだな。

「そうですね一般的な住居用が100戸なら、3ヶ月程度で…………、資材費、人件費、初期の食料を含めますと……」

 商業ギルドの女性職員が資料を片手に、紙に費用を計算していく。
 この世界にも粗末な物だけど紙は存在する。いまだに正式な書類は羊皮紙の様な物らしいが。

「実際に掛かる日数で変動しますが、10億セル程度で収まると思います。
 ところで、ドラーク男爵様。このご依頼には領主館は含まれていませんが?」

「あゝ、それは気にしないで下さい。10億セルですね」

 俺は10億セルを白金貨100枚で払う。

 さすが王都の商業ギルドだけあって、白金貨100枚程度では驚きもしない。俺が前世で10億円なんて目の前に置かれたらビビったと思う。

 その後、建設する住居の大きさや建材の指定などを話し合う。
 職人達を領地へ送る護衛依頼も、商業ギルドが代行してくれるらしい。多少の手数料は掛かるが、今は、俺には他にやる事なら幾らでもあるので、任せられる所は任せる事にした。

「では、人数を集めるのに10日程掛かるので、出発は二週間後になると思います」

 まぁ、100人以上が移動するのだから、その位になるか。
 因みに、この世界でも一週間は7日で、一月は30日、一年360日で大の月も閏年もない。

「分かりました。じゃあ、お願いします」

 商業ギルドの女性職員に挨拶してギルドをあとにした。




「カイト、次は王都にある私の屋敷に行くわよ」

「兵士を融通してくれるんだよな」

「取り敢えず武官だけだけどね。文官も探してくれていると思うわ」

「出来れば、騎士よりも工兵部隊から何人か派遣してくれたら嬉しいかな」

 王都にあるエルの家、要するにバスターク辺境伯の屋敷なんだけど、そこへ皆んなと歩きながら、そんな事を話していた。
 ドラーク男爵家立ち上げに際して、バスターク辺境伯と王国から、武官と文官を用意してくれる約束だった。

 やがて王都の貴族街でも、上級貴族の屋敷が並ぶ区画にバスターク辺境伯の屋敷が見えて来た。

「相変わらずデカイ屋敷だな」

「それは王国の盾と言われているバスターク辺境伯だもの、法衣の伯爵とは違うわよ」

 俺達が屋敷の門に近付くと、門番の兵士と共にフレデリックさんが出迎えに来ていた。

「お久しぶりです。カイト様、エルレインお嬢様」

 隙のない所作で、出迎えてくれたフレデリックさんに、俺達も挨拶を返す。

「お久しぶりです、フレデリックさん」

「元気そうね、フレデリック」

「立ち話もなんですから、どうぞ皆様お屋敷の中に」

 フレデリックに案内され、カイト達が屋敷の中に入る。
 広い応接室へ通されたカイト達が、ソファーに座って待っていると、バスターク辺境伯夫人のレイラがフレデリックと共に現れた。

「お久しぶり、カイトさん」

「ご無沙汰しています。レイラさん」

「随分と早く街道が整備出来たのね。さすがカイトさんと言ったところかしら。
 それで、バスターク辺境伯家から派遣する人員に付いては、私からゴドウィンに手紙を出して置きますから、二週間もあれば現地に到着すると思うわ」

「わざわざありがとうございます」

「義息子の領地だもの、我が家が寄親になるのだし、この位の援助は当たり前よ。
 そうそう、王国からの人員も多分同じ位の時期になると思うわ」

 そうなると兵舎を用意して置かないといけないな。土魔法で俺が造るのが一番早いな。

「あと、移民の受け入れは、ある程度住居の目処が立った時点で募集します。移動には冒険者ギルドに護衛依頼をだしておきます」

 フレデリックさんが細かいフォローをしてくれるようだ。




 バスターク辺境伯の王都屋敷を辞去し、歩いていると、カイトと手を繋いでいるルキナが寄り道したいと言いだしたので、王都の市場マーケットをブラブラする事にした。

「わぁ~、いっぱいお店がある~」

 ルキナが嬉しそうにキョロキョロしている。

「何か欲しい物があったら買ってあげるよ」

「わ~~い!」

 ルキナがぴょんぴょん跳ねて喜んでいる。

「ランカス達も欲しい物があったら買うと良い」

 そう言ってランカスに金貨10枚を渡す。

「多過ぎませんか?」

「いいから、余ったら皆んなで分けると良いから」

 ランカスに無理矢理お金を渡すと、皆んなで市場を見て回った。

 その後、エルに皆んなを任せて、俺だけ先に戻る事にした。町になるか村になるか、まだ規模は分からないけど、区画整理と兵舎建設、自分達の拠点建設を始める為だ。
 エルに、車を収納したアイテムボックス機能付の袋を渡して、俺は一人転移魔法で戻った。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです

竹桜
ファンタジー
 無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。  だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。  その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

処理中です...