異世界立志伝

小狐丸

文字の大きさ
101 / 163

カイト造船ドックを造る

しおりを挟む
 新たに領地となった旧チラーノス辺境伯領の開発と統治も順調に進んでいるので、前から考えていた船関係に手を出そうと思っていた。

 それはこの間、こちらを監視していた奴らに関係がある。フーガの話だと認識阻害の魔法は、闇属性で魔族が得意とする魔法らしい。

 魔族は、海を越えた先にある大陸に住んで、幾つかの国を持っているらしい。
 その中の一勢力が偵察によこしたのだろうと推測された。

「でもフーガ、あの海を普通の船じゃあ越えられないよな」

 そう、海には海竜シーサーペントなどの大型の魔物が棲息する為、この世界の木造船では、どんなに強化のエンチャントをかけても、被害なしでは海を渡るのは難しい。魔物避けの魔導具も少しは効くのだが、あまりにもリスクが多過ぎるのだ。

「カイト様、魔族の中には翼をもち、飛行魔法に長けた種族もいるのです。偵察に来たのはそういった種族でしょう」

「ふ~ん、例えば魔族がこの大陸に侵攻するとして、どういう手段をとると思う?」

「……おそらく転送陣を使うのではないでしょうか」

 フーガによると、全ての魔族が翼を持っているわけではないらしく、こちらの大陸に転送陣を設置して侵攻の足掛かりとする、と言うのがフーガの予測らしい。

 このドラーク領は、人が住むことが出来なかった未開地だったので、魔族が侵攻の足掛かりにするには格好の場所だったかもしれない。

 転送陣と言っても、一度に大量に兵士を転送する事は出来ないらしく、軍勢を送る為には人の住まない広い土地が必要で、魔物の領域に囲まれて人の居なかったこの地を偵察する理由もわかった。

「でも、今までもここに来る機会はあったと思うけど?」

「カイト様、毒蛇王の森は魔族にとっても脅威以外のなにものでもありません。魔族とは言っても、人族や獣人族程度の差しかない、一つの種族ですから」

 なるほど、小説やゲームみたいに魔族が悪で強大な力を持つわけじゃないんだね。

「やっぱり船を開発した方が良いな」

「海竜などの大型の魔物をどうにか出来るなら、抑止力の意味を含めて大きな力となるでしょうな」

 フーガは俺が侵略戦争をしない事が分かっているので、わざわざ抑止力と言っている。

「じゃあスーラにも手伝って貰わないとな」

「では私から連絡を入れておきます」

「頼むよ、俺は造船ドックを造る場所の選定に向かうから」



 フーガにスーラへの言伝を頼んで、海岸を調査する為に、ブリッツに跨り南を目指す。

 領内では護衛は必要ないが、新兵が二人馬に乗って後を追いかける。



 海岸を調査して、漁業や製塩に影響がない場所を探す。

「ここら辺なら大丈夫かな」

 漁業や製塩に影響が無く、そこそこ水深の深い場所を見つけた俺は、そこに造船ドックを建設する事に決めた。

 そこで必要になる鋼材や木材、石材などを集める様に指示を出す。
 鋼材に関しては、領内の錬金術師も育って来たので、俺だけが一人で錬成しなければならない事もない。

「では、資材の発注をして来ます」

「うん、頼んだ。
 鋼材は多めに頼むよ」

 俺は早速、周辺の整地を土魔法で進めて行く。

 資材の発注はしたけど、人員も回して貰わないと困るな。
 俺は通信の魔導具でエルに連絡をとる。

「うん、そうなんだ。船を造る施設を建設するんだけど、人員を少し回してくれないかな」

『分かったわ。鍛治師、土魔法使い、錬金術師を少し回せすように手配するわ』

「ありがとう」

『晩ご飯は屋敷で食べるのよね』

「うん、夜までには帰るよ」

 エルとの通話を終えると、整地と道の整備を続ける。
 想定している船のサイズが大きいので、余裕を持ってドック部分を土魔法で掘削して成形して行く。
 ドックの壁面を固めて強化して行く。

「後はスーラと相談しながら船の設計もしないといけないな」

 資材が揃うまで暫く時間がかかるだろう。今日の所はこの位にして帰るとするか。
 今、屋敷では妊婦が3人も居るのだがら、出来るだけ側に居てあげたい。
 でもアンナさんには邪魔になるから、早く仕事に行けって追い出されるんだけどな。

 お供していた新兵を海沿いの街へ送ってから、屋敷へ転移した。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります

竹桜
ファンタジー
 武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。  転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。  

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです

竹桜
ファンタジー
 無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。  だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。  その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。 - - - - - - - - - - - - - ただいま後日談の加筆を計画中です。 2025/06/22

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

処理中です...