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エドワード王の憂鬱
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ローラシア王国の国王エドワード・ヴァン・ローラシアは眉間に皺を寄せ、サーリット王国とサーメイヤ王国との関係に苦々しく思っていた。
エルフの治める国、サーリット王国は、国を覆う強力な結界で他国からの侵略を防ぎ、他国からの干渉を受けずにいた。
ローラシア王国やゴンドワナ帝国が人族至上主義である様に、サーリット王国は、エルフ以外を下等種族と見下す傾向が強かった。
今までは、引きこもりのエルフ国家だけあり、周りの国との交流はほとんど無かったのだが……。
ドワーフの国、ガウン王国はどの国とも交易での交流がある。それは武器や防具の輸入をガウン王国から行なっているからだ。
この大陸で、種族融和政策を勧めるサーメイヤ王国が、サーリット王国やガウン王国と今以上に近付くのは面白くないのだ。
対帝国との戦いも当初の勢いを失い、膠着状態に陥っている。
ゴンドワナ帝国は、サーメイヤ王国との、いや厄災との戦いで領土を削られる程の敗戦をしたが、サーメイヤ王国と和平条約を結んだ事で、ローラシア王国との戦いに注力出来る様になった。
以前のように、ローラシア王国を警戒しながらサーメイヤ王国へ侵攻していたモノを、サーメイヤ王国に対しては最低限の兵力を残して、あとは全て対ローラシア王国へ集中出来ている。
「どこまでも祟ってくれるわ、厄災とはよく言ったものよ」
ローラシア王国としては国境を接するゴンドワナ帝国との戦いと、もう一つの勢力との戦いがある。
ローラシア王国とゴンドワナ帝国両国共通の敵として、獣人族がまとまって国境付近を中心に暴れまわっている。国内の貴族や豪商を中心にゲリラ的に襲われる事が多く、騎士団の対応も後手に回っている状態だった。
「陛下、例の獣人族達の被害状況ですが、奴隷狩の部隊が襲われました。何とか全滅は免れましたが、捕らえた獣人族の奴隷は奪われてしまいました」
「…………部隊への損害は?」
エドワード王の眉間の皺が深くなる。
「半数を失い、その他負傷者も多数です。他から人員をまわす予定ですが、奴隷商への襲撃も散発的に行われていますので、一時部隊の解散も視野に入れてはいかがかと」
ローラシア王国やゴンドワナ帝国では、獣人族の奴隷は、人権を考慮せず使い潰せる便利な道具だった。それは戦争時でも当てはまり、実際に以前は獣人族の奴隷部隊が存在していた。何故、以前かと言うと、何者かによって奴隷獣人族部隊が丸ごと拐われるという事件があったからだ。
それ以来、獣人族の奴隷部隊は実現していない。
「獣人族については、帝国でも同じ被害が出ているのだろう?これでは肉の壁を両国とも使えない戦争になるな」
「はい、騎士団の損害が大きくなると、国内の貴族が騒ぎ出します」
騎士団の中には、貴族の子息が多く在籍している。騎士団の人員が損耗すると、国内の貴族が王に反発する事が想像出来た。
「ガルフレアに厄災ほどの個の武か、帝国の毒蛇ほどの智謀があればのう」
「陛下、ガルフレア将軍はよく騎士団を引っ張っていると思われますが」
「分かっておる…………、無い物ねだりじゃ」
どちらにせよ、ローラシア王国には、今すぐゴンドワナ帝国と決着をつけれる戦力はない。暫く小競り合いが続くだろう。その間に何とか戦力を増強する必要があった。
「一年や二年では無理であろうな」
「それは帝国も同じだと思われます」
「まだ戦後補償の無い我が国の方がましか」
ゴンドワナ帝国は、サーメイヤ王国との戦争で大敗し、多額の賠償金や捕虜返還の補償金で、経済状況は悪化している。
それが無いだけローラシア王国はマシだという事だ。
「しかし…………、サーメイヤ王国との差が広がってしまうのう」
「陛下…………」
サーメイヤ王国は、ゴンドワナ帝国との戦争を経て、バスターク辺境伯領、ドラーク伯爵領ともに躍進めまぐるしく急速に発展し続けている。
人口の増加も続いている。
憎らしい事に、種族間差別を禁じる国だけあって、ドラーク伯爵領では亜人が半数以上の割合を占めると言う。
エドワード王にすれば、信じられない事である。
特にドラーク伯爵は、その妻の全員が人族以外だと言う。
「外面だけでも亜人を認めるか……」
エドワード王は直ぐに首を横に振る。
それを国内の貴族が許す筈がないのだから。
エドワード王の悩みは尽きない。
エルフの治める国、サーリット王国は、国を覆う強力な結界で他国からの侵略を防ぎ、他国からの干渉を受けずにいた。
ローラシア王国やゴンドワナ帝国が人族至上主義である様に、サーリット王国は、エルフ以外を下等種族と見下す傾向が強かった。
今までは、引きこもりのエルフ国家だけあり、周りの国との交流はほとんど無かったのだが……。
ドワーフの国、ガウン王国はどの国とも交易での交流がある。それは武器や防具の輸入をガウン王国から行なっているからだ。
この大陸で、種族融和政策を勧めるサーメイヤ王国が、サーリット王国やガウン王国と今以上に近付くのは面白くないのだ。
対帝国との戦いも当初の勢いを失い、膠着状態に陥っている。
ゴンドワナ帝国は、サーメイヤ王国との、いや厄災との戦いで領土を削られる程の敗戦をしたが、サーメイヤ王国と和平条約を結んだ事で、ローラシア王国との戦いに注力出来る様になった。
以前のように、ローラシア王国を警戒しながらサーメイヤ王国へ侵攻していたモノを、サーメイヤ王国に対しては最低限の兵力を残して、あとは全て対ローラシア王国へ集中出来ている。
「どこまでも祟ってくれるわ、厄災とはよく言ったものよ」
ローラシア王国としては国境を接するゴンドワナ帝国との戦いと、もう一つの勢力との戦いがある。
ローラシア王国とゴンドワナ帝国両国共通の敵として、獣人族がまとまって国境付近を中心に暴れまわっている。国内の貴族や豪商を中心にゲリラ的に襲われる事が多く、騎士団の対応も後手に回っている状態だった。
「陛下、例の獣人族達の被害状況ですが、奴隷狩の部隊が襲われました。何とか全滅は免れましたが、捕らえた獣人族の奴隷は奪われてしまいました」
「…………部隊への損害は?」
エドワード王の眉間の皺が深くなる。
「半数を失い、その他負傷者も多数です。他から人員をまわす予定ですが、奴隷商への襲撃も散発的に行われていますので、一時部隊の解散も視野に入れてはいかがかと」
ローラシア王国やゴンドワナ帝国では、獣人族の奴隷は、人権を考慮せず使い潰せる便利な道具だった。それは戦争時でも当てはまり、実際に以前は獣人族の奴隷部隊が存在していた。何故、以前かと言うと、何者かによって奴隷獣人族部隊が丸ごと拐われるという事件があったからだ。
それ以来、獣人族の奴隷部隊は実現していない。
「獣人族については、帝国でも同じ被害が出ているのだろう?これでは肉の壁を両国とも使えない戦争になるな」
「はい、騎士団の損害が大きくなると、国内の貴族が騒ぎ出します」
騎士団の中には、貴族の子息が多く在籍している。騎士団の人員が損耗すると、国内の貴族が王に反発する事が想像出来た。
「ガルフレアに厄災ほどの個の武か、帝国の毒蛇ほどの智謀があればのう」
「陛下、ガルフレア将軍はよく騎士団を引っ張っていると思われますが」
「分かっておる…………、無い物ねだりじゃ」
どちらにせよ、ローラシア王国には、今すぐゴンドワナ帝国と決着をつけれる戦力はない。暫く小競り合いが続くだろう。その間に何とか戦力を増強する必要があった。
「一年や二年では無理であろうな」
「それは帝国も同じだと思われます」
「まだ戦後補償の無い我が国の方がましか」
ゴンドワナ帝国は、サーメイヤ王国との戦争で大敗し、多額の賠償金や捕虜返還の補償金で、経済状況は悪化している。
それが無いだけローラシア王国はマシだという事だ。
「しかし…………、サーメイヤ王国との差が広がってしまうのう」
「陛下…………」
サーメイヤ王国は、ゴンドワナ帝国との戦争を経て、バスターク辺境伯領、ドラーク伯爵領ともに躍進めまぐるしく急速に発展し続けている。
人口の増加も続いている。
憎らしい事に、種族間差別を禁じる国だけあって、ドラーク伯爵領では亜人が半数以上の割合を占めると言う。
エドワード王にすれば、信じられない事である。
特にドラーク伯爵は、その妻の全員が人族以外だと言う。
「外面だけでも亜人を認めるか……」
エドワード王は直ぐに首を横に振る。
それを国内の貴族が許す筈がないのだから。
エドワード王の悩みは尽きない。
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