兄の彼女/弟の彼女

逢波弦

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兄の彼女

1.兄の彼女②

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ベッドに腰掛け、じんじんと痛む右手で弟の頬を包む。
その頬は赤く腫れていて、力加減を間違えたことを示していた。
少しの罪悪感を胸に抱えたまま、弟を見ると、普段食事をする際に大きく開けられる彼の口には俺のペニスが収まっていた。
黒い前髪を微かに揺らし、一重と涙袋に囲われた大きな瞳を情欲で濡らした男は、まだ勃ちきってない状態のソレを必死に舌で舐め回している。童顔な彼の顔に似つかわしくない行為と、卑猥な水音に眩暈がした。

(なんでこんな事になったんだ)
「自分を抱いて欲しい」と血迷った事を言う弟に困惑し、何言ってんだと何度も跳ね除けたが中々引き下がらない奴を見て、俺の今の彼女は最初にフェラから入るからお前には無理だよと、御為おためごかしをして逃げようとした。

けど、俺もするからと弟が食い下がり、おぼつかない手で俺のベルトを外し始めたのだ。
やめさせようかと思ったが、彼の腫れた頬が目に入り罪悪感が胸を掠めた。
少し咥えたらこいつの気も済むだろう、と仕方なしにそのまま続行させたのだった。

「ん……ふぁ……む」
慣れない様子で実兄の陰茎を舐め回している様を見下ろす。
それもそうだ、男が男のブツを舐めるなんてこと今までにあってたまるか。
いつまで経っても俺の自身が大きくならない事に焦っているらしく、たまに弟の並びの悪い歯が当たる。

「…歯、立てないようにして、カリのところ舐めて」
実弟に何を指示してるんだと冷静に考えてる自分がいるが、頑固な弟のことだ。きっと俺のが勃ち上がるか、射精するまで満足しないだろう。
俺の指示を素直に聞いた弟は、口で柔らかくペニスを咥えながら舌で必死にカリ首を舐め始めた。生理的な快感が俺を襲い、つい息が漏れてしまう。
それに気を良くしたらしい弟は、更にカリ首をチロチロと舐め回す。
なるほど、男同士なのもあってどう舐めれば気持ちが良いか、力加減等も分かってるのか、と1人納得した。
ただやはり、目の前の咥えているやつは男で、俺の弟だ。下を見下ろすと現実が見えてくるので、視線を外し彼女のことや好きなAV女優のことを思い浮かべる。

下腹部から込み上がる快感に耐えていると、ふと奴の股下がゆっくりと持ち上がるのを見つけ、ついズボンの上から足先で押し付ける。
「ふ……!!んうぅぅ……!!!」
思ったよりも良い反応が返ってきて、何故かゾクゾクと背中に征服欲が走る。
実兄のペニスを咥えながら、更に自身のペニスを足で踏みつけられている状況に興奮しているのか、弟は更に頬を赤く染めへにゃりと眉を下げた。口元はしばらくフェラを続けていたのもあって、奴の涎でべとべとになっていた。

「……変態だな」
ついそう呟くと、濡れた弟の瞳と交わった。
その瞳は情欲と俺への思慕が混ざり合った色をしていた。

ああ、そうか。
こいつ俺のことが好きなのか。

シンプルで純粋な答えを導き出し、さっきまでの弟の奇行に納得がいった。
なんだか目の前の男がいじらしく見え、右手で孝行の髪をさらりと撫で付け、その後、後頭部を包むように触る。
そのまま孝行の頭を引き寄せ、自身のペニスを口の更に奥に突き入れた。

「んぅ!!!ふう、う、ん!!」
目を見開いた弟は喉奥で俺のペニスを受け止めたまま、苦しそうにえずいた。
「お…ぐ、うぅ…ふあ……」
「これは彼女にはやらないんだけど、孝行はどう?」
自分の意地の悪い部分が頭を出し、言葉で責める。
涙目になりながらトロトロに蕩けた弟の顔を見て、予想以上に興奮する自分がいる事に驚く。
彼の股下を見やるとさっきよりも勃ち上がっているソレを見つけ、ニヤリと口角を上げる。

「いじめられて興奮するなんて、やっぱり変態なんじゃないか?孝行」
「ふ……あう……んぐぅ…」
否定と喜びの色が混ざり合った瞳をしながら、弟は俺に訴えかけてきた。
「もっとして欲しいんだろ?」
口が俺のモノで塞がってるのを良い事に都合の良い解釈をする。
目を見開いた弟に構わず、腰を動かしペニスを出し入れする。じゅぽじゅぽと卑猥な音が部屋に響き、質の良い媚薬の役割をした。
「ん、ふうぅ!!う、う!!」

彼の唾液でぬるついた口内と、先端に触れる喉奥のひくつきに俺のペニスは素直に快感を受け取る。
弟の耳を両手で塞いでやると、口内の水音がダイレクトに響くらしく、彼は目を細めて情欲を滲ませた顔で俺の自身を必死に受け入れていた。
その間も興奮し、昂ぶりを見せる彼の屹立を布越しに足で踏んでやりながら、俺は腰を前後に動かした。

自身のペニスが昂りきり、下半身に熱が集まったと思った瞬間、弟の口内から早急に抜き出した。
彼の唾液が糸を紡ぐ中、俺の自身がびくりと膨張したかと思うと弟の眼前に精液を吐き出した。
顔に射精するつもりは無かったのだが、自分が思った以上に達するのが早く、彼の顔に白濁を散らしてしまう。
その間孝行はそれを恍惚とした顔で受け止めていて、そんな奴の様子に倒錯した感覚を得る。

ーー幼少期と変わらない、素朴で幼い顔立ちの弟が俺の精液を顔中に散らしている。
俺のことが好きというだけで、ここまで己を明け渡してしまう弟。
俺が彼を導いてしまえば、簡単にそちらへ転がされてしまうような危うさを持っている。
自分の中の知らなかった感情がゆっくりと呼び起こされ、自身の口角が上がっていくのが分かる。

「………ぁ………兄ちゃん………俺…」
そんな思考に背筋を焼かれ、欲にまみれた顔で俺を見つめる弟を自分のベッドに横たえた。
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