兄の彼女/弟の彼女

逢波弦

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兄の彼女

1.兄の彼女③

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高校の頃とほとんど変わらない、肉厚でガタイのいい兄の裸を見上げる。
一方の俺も衣服を脱ぎ捨て、一糸まとわぬ姿で彼の下に横たわる。
予想以上に乗り気になっている兄に驚きつつ、彼に求められている事に純粋に嬉しくなる。

「相変わらず痩せてるな」
兄は手で俺の腹をゆっくりと撫で付け、俺の陰毛を指で触った。
くすぐったさから息が漏れ、それを見て彼はクスリと笑った。
次いで、俺の勃ち上がったペニスを通り過ぎ、その下の孔に手元を滑らせ彼の肉厚な指でゆっくりと撫でられる。
その仕草にこれから始まる行為を想起させ、期待と不安が胸をよぎる。
「確かここ使うんだよな」
「兄ちゃん……」
「孝行、使った事ある?」
兄の質問に顔を横に振って答える。

本当に兄は俺を抱くんだろうか。
女性と違って自然に濡れたりしないそこを、まだ未開通なその場所を手間をかけてまで挿入するのだろうか。
彼に抱かれたい気持ちと、面倒だからと辞めてしまうのではないかと不安に思う気持ちが綯い交ぜになる。
自分の予想外に弱気な姿勢に『惚れた弱み』という言葉が頭に浮かぶ。

兄は少し考えた後、ベッドの脇に置いてあったローションを手に取り、人差し指と中指で絡めて俺のソコを円でなぞる様に撫でた。
「んん……」
ローションのぬめりと、兄の指の体温が伝わり、自然と呼吸が漏れる。
兄は右手でアナルを撫で付けながら、もう片方の手で俺の屹立したペニスをしごいた。

「ふ……!!ん、やあ……!」
「先走りすごいな……」
先から出る先走りと一緒に、兄の親指で亀頭を撫で付けられる。敏感な部分をぬるついた先走りと一緒に擦られ、嬌声をあげる。

「うう!!んんあ……!!」
「まだイケてなかっただろ、イケよ」
「ん、ああ……!!兄ちゃん…!!」
彼の親指で縦横に亀頭を擦られ、掌で竿を扱かれた瞬間、俺は腰を震わせて白濁を吐き出した。
精液を吐き出している最中も、兄は親指で俺の鈴口を擦り続けた。

「ん、んあ!!はああ!!」
「はは……エッロい」
兄はニヤつきながら俺の痴態を眺め続ける。
先端に与え続けられてる快感と、兄にそのような目で見つめられてることに、脳内が掻き乱されるようだった。

ペニスから断続的に精液を吐き出し終わり、ぜえぜえと荒い呼吸を整えていると頭上の兄からぽつりと言葉を溢される。
「あ………入ったよ」
「…へ……え…?」
少し上体を起こし、下腹部を見ると兄の人差し指と中指が俺の孔に入っていた。
いつの間に中に入れられてたのだろう、全く気付かなかった。
ローションが纏わり付いた彼の指で俺の中をぐにぐにと押されると、快感というには程遠い違和感のようなものが、腹を圧迫する。

「もうちょっと解さないと、入んないかもな」
「そ、そうだね」
チラリと兄のそそり勃ったソレを見る。
ガタイの良さも相まってかなりのサイズ感のあるペニスを見て、本当に自分の中に入るのだろうかと不安を感じた。

兄はもう片方の掌で、俺の脇腹や胸を辿る。
熱を持った厚い皮膚に自分の身体を撫でさすられ、その感覚にびくびくと震えてしまう。
兄はそんな俺の様子も楽しんでいるようで、時折含み笑いが上から降ってくる。

彼の顔が近づいてきたと思ったら、唇と唇がぶつかった。
まさか彼から口付けられるとは思わず、蕩けた顔でそれを受け入れる。
口元に濡れた何かが触れたので、軽く開けると、俺の唇の間を割って熱い舌が侵入してきた。
俺も恐る恐る舌を絡ませる。脳内が甘く痺れるように麻痺して、数多の著名なアーティストが唄っている恋人とのディープキスは確かにこのような感覚だと、密かに納得した。

そうしている間も兄の指によって俺の中をぐちぐちと掻き回される。
口付けをしている事による興奮はあるが、やはり快感よりも違和感の方が強く感じる。
射精して萎えていた自分のペニスを空いてる右手で軽く扱いた。

暫くそうしていると、俺の孔から指が引き抜かれた。
兄は自身のペニスを何度か扱き、素早くコンドームを装着する。手慣れている様子に何度も行為を重ねてきている事を想起して、心が暗くなる。
同時にどうしたらいいか分からず、何も出来ないで固まったままの自分が情けなかった。
今まで自分が見たエロ本やAVの知識を手繰り寄せ、少しでも挿れやすい方がいいのかと、恥ずかしさを抑えながら恐る恐る脚を開く。
それを見た兄はニヤリと笑い、「よく出来ました」と俺を褒めた。
子供扱いされたことにムッとしつつ、合っていたことに安堵する。

兄はゴムを着た自分のソレを俺の孔にあてがった。これから行われる行為を否が応でも考えてしまい、ドクドクと胸の鼓動が早まる。
挿れるよ、と簡潔に伝えた兄は自身を俺の中に少しずつ挿れ進める。
指とは比べ物にならない圧迫感に息が詰まる。体の中の内臓を押し広げるかのような苦しさに、必死に呼吸をする。
兄の方も、俺の中がかなりキツいようで額に脂汗をかきながら慎重に腰を進めている。

お互いが交わる事を考えながら、必死に行動をしてる様は何だか滑稽だったし、それが実の兄弟二人なのだから尚更だった。

彼の自身が今どこまで自分の体内に収まっているのかも分からず、早く兄ちゃんが欲しいという気持ちばかり焦る。
暫く俺の中を進んでいた肉塊は、ぴたりと動きを止めてまるで俺の体内と一つになろうとするかのように息を潜めた。
ふう、と大きく息を吐いて、額から汗を流しながら兄が呟いた。

「ほら…孝行。全部入ったよ」
「う……ぅ、ああ……」
「聞いてる?」
彼の手で自分の腹をトントンと叩かれるが、正直それどころではなかった。

今まで受け入れた事のない物量を尻に挿し入れられ、未踏の感情が頭を巡り混乱する。
嬉しさと当惑と違和感が綯い交ぜになり、自分でもこれをどう処理して良いか分からなかった。

そんな俺の様子を察したのか、兄は俺の半勃ちのペニスをゆるく扱いた。
その刺激にむず痒さを感じ、腰をよじる。
「ふ……やああ……」
「こっちも刺激した方がいいだろ」
「う……うぁ…」
先程射精したばかりなのもあって、微かな快感を受け取りはするがこそばゆさの方が勝る。
くすぐったさから顔を捩り、枕にうずめる。
兄は俺のペニスを刺激する手を止めず、ゆっくりと腰を前後に動かし始めた。

自分の体内で肉塊が動く様を感じ取り、また律動に合わせてつい小さな声を漏らしてしまう。
兄も俺の中が気持ちいいようで、時折細く息を吐きながら腰を緩く動かしていた。

中からの動きと外からの刺激を緩く享受し、心地よい熱に浸っていた時、体内のある一点を兄のペニスが掠めると、脳内にびりびりと電流のようなものが走った。
「んっ、んう…!!」
思わず腰が跳ねてしまい、勝手に体が動く感覚に戸惑う。

「ここが良いのか?」
兄は俺の反応を見て、掠めた場所を更にペニスで律動させる。
「あっ、はあ…っ!!兄ちゃん、やだっ…」
断続的に与えられる刺激と、それに合わせて自分の足が勝手に痙攣する感覚に怖さを覚え、同時にそれを快感として享受している自分にも混乱する。
先走りがダラダラと垂れ始めた俺のペニスを見やり、兄はくすりと笑った。

「……すごいな。やっぱり良いんだ」
「はあぁ……うあ…っ」
「ケツで感じてるんだよ、孝行は」
恥ずかしさを煽るような言葉を掛けられて、更に顔に血が上るのを感じる。
体中が発火してしまいそうになるぐらい熱くなる。
頭上の兄を見やると、余裕そうな顔をしてはいるが顔は上気し息を吐く感覚が狭くなっている。
兄ちゃんも余裕がないんだと実感した。

腰の動きが速くなり、下腹部からの快感が強くなる。
ギシギシとベッドが軋む音と互いの荒い息が重なる。兄が自分の腰を掴む力がどんどん強くなり、そこから伝わる熱にも脳内を搔き乱された。

汗を額から流す兄の顔を、縋るように見つめると、俺の視線に気づいた兄が目を細めて見つめ返す。
「孝行……」

「すごい、気持ちいいよ」
そう呟かれ、腹側の内蔵を兄の自身で突きあげられた瞬間、頭が真っ白になり、何が起きたのか分からなかった。
確かに絶頂したはずなのに、俺の自身からは精液は漏れず、いつもよりも深く長い絶頂と腰から甘く痺れる快感に本能的な恐怖を感じた。

「あ……ああ……はああっ…」
「……は…中、すごいな」
自分の中でぎゅうぎゅうと兄のペニスを締め付けてることにも淫靡さを感じ、その感覚にも快感を得て、何が何だか分からなくなった。

気持ちいい、気持ちいい、俺、兄ちゃんのでイったんだ。
そんなことをぼんやりと考えていると、兄は深く鼻から息を吐いて、今まで我慢していた熱を解放したかのように腰を強く打ち付けた。
バツンと皮膚と皮膚がぶつかる音がしてそれと同時に下腹部から強い快感が襲ってくる。

「う、ああ!!!!」
イッたばかりなのに、更に絶頂を深める自分の体に恐怖心を抱く。
足場のない空間に放り出されたような感覚と、その空間が自分に快感をもたらしていることに酷く混乱した。
自分の体内で勢い良く肉塊が動き、腹の内側と奥を掠めるたびに鋭い快感が襲い掛かる。

あまりにも過ぎた快楽が恐ろしく、腕を兄の身体に回し縋るように抱きしめる。
「にい、兄ちゃん、」
彼の顔は見えなかったが、俺の耳元で熱い吐息が弾けるのが聞こえた瞬間、兄の腰の動きがより深くなる。

「ひ、ああ!!!うあ!!!」
「孝行……孝行…っ」
「う、あ、気持ちいい、気持ちいいから駄目だって……!!!」
中をぐちゃぐちゃに掻きまわされ、純粋な快楽を叩き込まれる。
何度達したかも分からず、汗と涙を散らしながら必死に兄にしがみついた。

気が遠くなりかけた頃に自分の後孔で熱い液体が爆ぜた感覚がする。
兄ちゃんもイケたんだ、と快楽で蕩けた頭でぼんやりと思い、彼を気持ちよくできたことに嬉しく感じる。
「う、ああ……兄ちゃん、好きだ…」
快楽でぐずぐずになり、自分の形が分からなくなった状態で己の口からぽつりと零された言葉に、
ああ、俺、兄ちゃんのことが好きなんだ、と漸く自分の気持ちを自覚した。

兄は孝行、と音を発さずに唇でその言葉を形作り、
「わかってたよ」
そう言葉を返した。

そんな彼の表情を見ることは叶わず、俺は意識を手放した。
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