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兄の彼女
1.兄の彼女④
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目が覚めると、暗い室内の中だった。
外を見るともうとっくに日は沈んでいて、軽く視線を動かすと、どうやらここは俺の部屋だ。
先程の兄との情事を思い出し、もしかしたらあれは夢だったのでは?と空想するが、
身体を起こしたときに腰への痛みを感じ、確かに現実のものだと理解する。
冷静になって考えると、俺はなんてことをしてしまったのだろう。
明日からどんな顔で兄と顔を合わせればいいのか。
暗闇の中でそんな風に思考を巡らしていると、階下から俺の名前が呼ばれる。
母の声だ。恐らく夕ご飯が出来たのだろう。急いで飛び起きて自室のドアを開けた。
食卓に座る兄の姿を見て、ぎくりと顔を固くする。
兄はそんな俺の様子を気にも留めず、「早く座れよ、冷めるだろ」なんていつもの調子で言葉を発した。
いつも通り兄の席の横に座り、向かいの席に座る両親と夕食を囲む。
並ぶハンバーグと白米、味噌汁とサラダをそれぞれ三角食べしながら、家族と何ともない会話をする。
そろそろ食べ終わるといったところで、孝行、と横から声を掛けられる。
「食い終わったら、俺の部屋来いよ」
一瞬手を硬直させる。
横目でちらりと兄を見やると、そう伝える彼の表情はいつもと変わらなくて、何を考えているのか読み取れなかった。
詰られるのか、それともお互い無かったことにしようと言われるのか。
自分が普段見ているAVは、このようにふいに性行為に及んでしまっても、その後のことは描かれていない。
改めて俺はとんでもないことをしでかしてしまったのかもしれないと思い、分かった、とだけ返した。
夕食後の片付けを終わらせ、兄の背中についていき階段を上る。
昼間、足を踏み入れた彼の部屋に兄に続いて入った。
部屋の電気が点けられたと思った瞬間、視界が塞がれる。
眼前に兄の顔が見え、口元はむしゃぶりつくされるようなキスをされていた。
それを自覚した途端、数刻前の痺れるような情事が思い出され兄の厚い身体に縋りつき、必死に口づけを受け止めた。
暫くして、口元が離されると電灯で逆光になった兄の顔が歪んだ。
「は……その顔好きだよ」
「……なにそれ」
自分はどんな顔をしてるというのだろうか。
全然想像がつかなかったが、兄がニヤニヤと笑っているので、余程だらしない顔をしているのだろうと恥ずかしくなった。
「孝行、良かった?」
え?と聞き返すより早く、兄は続きの言葉を紡いだ。
「俺とのセックス」
直接的な言葉を掛けられ、決まりの悪さを感じる。返答するのも腹立たしく何も言わずにいると、兄は笑いながら俺の頭を撫でた。
なんだか何もかも手籠めにされているみたいで不服だが、そもそも俺から兄を誘ったのだから兄を上手く丸め込んだのは俺の方かもしれない。
兄は自分の恋心を利用して、性欲を消化するつもりなのかもしれなかったが、もうそれでも良かった。兄が女性以外を、男で弟である俺を抱いて吐精したのが純粋に嬉しかった。
つくづく『惚れた弱み』というものは恐ろしいなと思った。
「またしような」
そんな兄の言葉に、認識できるか分からないぐらいに小さく頷くと、兄はそれを目を細めて眺め、俺に口づけをした。
外を見るともうとっくに日は沈んでいて、軽く視線を動かすと、どうやらここは俺の部屋だ。
先程の兄との情事を思い出し、もしかしたらあれは夢だったのでは?と空想するが、
身体を起こしたときに腰への痛みを感じ、確かに現実のものだと理解する。
冷静になって考えると、俺はなんてことをしてしまったのだろう。
明日からどんな顔で兄と顔を合わせればいいのか。
暗闇の中でそんな風に思考を巡らしていると、階下から俺の名前が呼ばれる。
母の声だ。恐らく夕ご飯が出来たのだろう。急いで飛び起きて自室のドアを開けた。
食卓に座る兄の姿を見て、ぎくりと顔を固くする。
兄はそんな俺の様子を気にも留めず、「早く座れよ、冷めるだろ」なんていつもの調子で言葉を発した。
いつも通り兄の席の横に座り、向かいの席に座る両親と夕食を囲む。
並ぶハンバーグと白米、味噌汁とサラダをそれぞれ三角食べしながら、家族と何ともない会話をする。
そろそろ食べ終わるといったところで、孝行、と横から声を掛けられる。
「食い終わったら、俺の部屋来いよ」
一瞬手を硬直させる。
横目でちらりと兄を見やると、そう伝える彼の表情はいつもと変わらなくて、何を考えているのか読み取れなかった。
詰られるのか、それともお互い無かったことにしようと言われるのか。
自分が普段見ているAVは、このようにふいに性行為に及んでしまっても、その後のことは描かれていない。
改めて俺はとんでもないことをしでかしてしまったのかもしれないと思い、分かった、とだけ返した。
夕食後の片付けを終わらせ、兄の背中についていき階段を上る。
昼間、足を踏み入れた彼の部屋に兄に続いて入った。
部屋の電気が点けられたと思った瞬間、視界が塞がれる。
眼前に兄の顔が見え、口元はむしゃぶりつくされるようなキスをされていた。
それを自覚した途端、数刻前の痺れるような情事が思い出され兄の厚い身体に縋りつき、必死に口づけを受け止めた。
暫くして、口元が離されると電灯で逆光になった兄の顔が歪んだ。
「は……その顔好きだよ」
「……なにそれ」
自分はどんな顔をしてるというのだろうか。
全然想像がつかなかったが、兄がニヤニヤと笑っているので、余程だらしない顔をしているのだろうと恥ずかしくなった。
「孝行、良かった?」
え?と聞き返すより早く、兄は続きの言葉を紡いだ。
「俺とのセックス」
直接的な言葉を掛けられ、決まりの悪さを感じる。返答するのも腹立たしく何も言わずにいると、兄は笑いながら俺の頭を撫でた。
なんだか何もかも手籠めにされているみたいで不服だが、そもそも俺から兄を誘ったのだから兄を上手く丸め込んだのは俺の方かもしれない。
兄は自分の恋心を利用して、性欲を消化するつもりなのかもしれなかったが、もうそれでも良かった。兄が女性以外を、男で弟である俺を抱いて吐精したのが純粋に嬉しかった。
つくづく『惚れた弱み』というものは恐ろしいなと思った。
「またしような」
そんな兄の言葉に、認識できるか分からないぐらいに小さく頷くと、兄はそれを目を細めて眺め、俺に口づけをした。
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