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四章
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マルムフォーシュ伯爵に言い包められた父が、私を帰りの馬車からポイと下ろしたのには唖然とさせられた。
「お父様……」
「カタリーナ。パパは嬉しいよ。次の調査も、頑張りなさい」
そういうわけで、私はマルムフォーシュ伯爵の馬車でシュテルン城から帰ることとなったのだ。
更に納得がいかないのは、今回は四人掛けの馬車だったのにも関わらず、私の荷物をわざわざ座席に詰めさせてちゃっかり隣同士で着席したこと。
「……暑いです」
「大丈夫。もう日が暮れる」
上機嫌なマルムフォーシュ伯爵の、なんと憎たらしいこと。
とはいえ、私の暴挙を目の当りにして未だ甘やかす姿勢を変えないのは、寛大さに感謝するどころか一周回って不気味でさえある。
頭では理解できる。
どうもマルムフォーシュ伯爵は本当に、私が何をしても気に留めない。下々の者の戯れを相手にしないという態度でもない。いっそ認めてしまおう。
この人は、私が何をしても基本、喜ぶ。
「キティ。途中で宿に泊まるぞ。昨夜の疲れが抜けてないだろう。一度、上等な宿でゆっくり休むといい」
「両親と帰っていれば癒されました……」
「夜通し馬車に揺られて?無理するな。オペラは好きか?近くに劇場があるはずだ」
「遊びに行くのではないですから……」
「遠慮するなって」
馬車が動き出した。
私は小窓から顔を出し、笑顔で手を振る父に向かって溜息をついてから手を振り返してあげた。母は、緊張しすぎて疲れていたのか馬車から出てこなかったので、少し心配だ。でも、夫婦水入らずの馬車の旅でそのうち回復するだろう。
ちなみに、オペラは好き。
「演目は何でしょう」
「お。やっと笑った」
「伯爵は、贔屓の歌手などいらっしゃるのですか?」
「俺は──」
月日が経ち、共に濃密な時間を過ごすうち、私たちは次第に身分の差を越え徐々に打ち解けてしまっていたのは認めざるを得ない。
特に、下級貴族の私が調子に乗って、無礼ともとれる態度でいることは、実のところ由々しき問題だった。
かつての私が今のカタリーナを見たら、呆れる。
マルムフォーシュ伯爵がトランプで遊びたがったので、付き合った。更には珍しい組木細工を私に解けと言うので、善処した。更には画集の話や、新しく建設の予定されている大劇場の話など、尽きない話題の相手をした。
止め処ないお喋り。
気負わずに、そのままの私で居ることが許される空間。
居心地のいい場所は、かつて、此処ではなかった。
私はステファンを思い出さないようにしていた。思い出さないようにする為に、マルムフォーシュ伯爵の助手としての務めに邁進していた。
それがいつの間にか、努力ではなくなっている。
特に、半裸で一夜を明かした事実は大きい。
あのような経験は人生で初めて。ステファンと一緒に湖で泳いだ記憶もあるにはあるけれど、恐らく、四才か五才の頃だったはず。
もう昔の自分には戻れないところまで、私は、来てしまったのだ。
というか、この状態から再び真っ当な伯爵令嬢として誰かと結婚する未来なんて、最早考えられない。
そんな開き直りもあってか、マルムフォーシュ伯爵と一緒にいることは私自身の気晴らしにもなっていた。何より、一緒にいれば安心な相手であることは度々証明してくれている。
「着くぞ」
「はーい」
そんな間の抜けた返事もしてしまうというものよ。
シュテルン伯領を出てすぐの街道の宿場町とあって、近くに村はあるものの商人や貴族たちが過ごせる賑わいと発展を誇っている。
泊る場所も、貴族を相手にした上等な宿で、昨夜よりずっと過ごしやすい小さな部屋で私は深い安堵の溜息をついた。
マルムフォーシュ伯爵は壁一枚隔てた隣の部屋だ。
だから、今夜は安心してぐっすり眠れる。
「……」
自分が恐い。
すっかりマルムフォーシュ伯爵の御供として仕上がっている。
少し仮眠をとり、私たちは劇場へと足を運んだ。
実際、オペラは素晴らしかった。私はマルムフォーシュ伯爵と臆面もなく燥ぎ、居合わせた貴族に挨拶などもされながら、誰がどう見ても仲良くデートしている雰囲気を漂わせてしまっていたのだけれど……思わぬ人と再会してしまった。
「カタリーナ」
「!?」
突然、背後から腕を掴まれた。
聞き慣れた低い声に、一瞬、全身の毛穴が開いて汗が噴き出した。
ステファンだった。
マルムフォーシュ伯爵は今、傍に居ない。
共に行動している時、こうしてたまに各地に散らばる部下を発見し、私に機密や血生臭い内容を聞かせないよう、視界には収まっているものの少し離れた位置で緊急会議をするのだ。丁度その隙を突かれた。
「……どうして、此処に……?」
「シュテルン伯爵の誕生会には間に合わず、仕方なく一泊し、明日、挨拶と贈り物だけでもということになったんだ」
そんなこと、どうでもいい。
どうしてステファンがいるの?
どうして、今更になって私を呼び留め、当たり前のように名前を呼んだの?
どうして……
「離して」
もう二度と、懐かしい匂いも、体温も、声も、感じたくなかった。誰よりも愛した穏やかな表情で、私を見下ろして、少し困っているみたいに僅かに眉尻を下げている。
この顔で窘められたら、何でも言う事を聞いてしまう。
そんな、幸せだった頃の私にはもう戻れないのに。
「本当なのか?」
「え……何が……?」
「本当にマルムフォーシュ伯爵と関係を持っているのかと訊いている」
「はあ……?」
何故、そんなことを問い詰められなければいけないのだろう。
私を捨てて、私にさよならを言って、私から離れて行ったのはステファンの方なのに。
私だって自ら望んでマルムフォーシュ伯爵に取入ったわけではない。でも、言葉の端々や声音でステファンが私を責めているのがわかる。
現在、マルムフォーシュ伯爵の新しい恋人として噂されているのは承知の上だけれど、ステファンにだけは文句を付けられたくなかった。
「あなたのせいよ?」
酷い言葉が滑り出る。
言ってしまってから後悔しても遅い。
ステファンが顔を顰めた。
滅多にしない、本当に叱りつける時の顔だった。
「君を大切にしてきた。それなのに、こうなったからといってわざわざあんな悪い男に身を捧げるなんて」
「どの口で言うのよ。あなたには、もう関係ないでしょう?」
「オースルンド伯爵は納得しているのか?もし立場上どうしても逆らえないと言うなら──」
「やめて。何?あなたの婚約者に意見してもらうって言うの?」
「確かに、私の身一つではどうこうできない問題だが、君が毒牙にかかるのを黙って見ていられない」
「!」
瞬間、頭に来た。
私がマルムフォーシュ伯爵の軽薄さを揶揄するのは、自分の実感として事実だから、いい。
でも、よりによってステファンに侮辱されるなんて。
許せない。
「今日、偶然、再会できた。これも運命だろう。カタリーナ。悪い事は言わない。自棄になって自分を粗末にするな」
「ステファン……あなた、誰のことを言っているか自分でちゃんと理解してる?」
「ああ、マルムフォーシュ伯爵だ」
「いい方よ」
「君は騙されているんだ」
「違う」
「どれほど贅沢をさせて貰えても今の内だけだ。相手にとっては遊びなんだぞ。今の姿を鏡で見たか?まるで着せ替え人形だ」
「っ……!」
「その首飾りが愛の証か?カタリーナ。君にはまるで似合っていないよ」
つい最近、怒りが振り切れる経験をした。
今も同じ事が私の体に起きている。
でも……
私の腕を掴むステファンの手を引き剥がしたくても、悔しくて、悲しくて、全く力が入らない。
「やめて……っ」
「泣きそうじゃないか。自分でもわかっているから、そんな顔をするんだろう?」
どうしてだろう。
ステファンは、自分が私を傷つけているということが、わからないの?
ステファンが私を傷つけるなんて、あの日まで、なかったのに。
絶対に私を傷つけたりしない人だったのに……!
「離して!」
声をあげた時。
私の腕を掴んでいたステファンの手にマルムフォーシュ伯爵の手が重なった。
「お父様……」
「カタリーナ。パパは嬉しいよ。次の調査も、頑張りなさい」
そういうわけで、私はマルムフォーシュ伯爵の馬車でシュテルン城から帰ることとなったのだ。
更に納得がいかないのは、今回は四人掛けの馬車だったのにも関わらず、私の荷物をわざわざ座席に詰めさせてちゃっかり隣同士で着席したこと。
「……暑いです」
「大丈夫。もう日が暮れる」
上機嫌なマルムフォーシュ伯爵の、なんと憎たらしいこと。
とはいえ、私の暴挙を目の当りにして未だ甘やかす姿勢を変えないのは、寛大さに感謝するどころか一周回って不気味でさえある。
頭では理解できる。
どうもマルムフォーシュ伯爵は本当に、私が何をしても気に留めない。下々の者の戯れを相手にしないという態度でもない。いっそ認めてしまおう。
この人は、私が何をしても基本、喜ぶ。
「キティ。途中で宿に泊まるぞ。昨夜の疲れが抜けてないだろう。一度、上等な宿でゆっくり休むといい」
「両親と帰っていれば癒されました……」
「夜通し馬車に揺られて?無理するな。オペラは好きか?近くに劇場があるはずだ」
「遊びに行くのではないですから……」
「遠慮するなって」
馬車が動き出した。
私は小窓から顔を出し、笑顔で手を振る父に向かって溜息をついてから手を振り返してあげた。母は、緊張しすぎて疲れていたのか馬車から出てこなかったので、少し心配だ。でも、夫婦水入らずの馬車の旅でそのうち回復するだろう。
ちなみに、オペラは好き。
「演目は何でしょう」
「お。やっと笑った」
「伯爵は、贔屓の歌手などいらっしゃるのですか?」
「俺は──」
月日が経ち、共に濃密な時間を過ごすうち、私たちは次第に身分の差を越え徐々に打ち解けてしまっていたのは認めざるを得ない。
特に、下級貴族の私が調子に乗って、無礼ともとれる態度でいることは、実のところ由々しき問題だった。
かつての私が今のカタリーナを見たら、呆れる。
マルムフォーシュ伯爵がトランプで遊びたがったので、付き合った。更には珍しい組木細工を私に解けと言うので、善処した。更には画集の話や、新しく建設の予定されている大劇場の話など、尽きない話題の相手をした。
止め処ないお喋り。
気負わずに、そのままの私で居ることが許される空間。
居心地のいい場所は、かつて、此処ではなかった。
私はステファンを思い出さないようにしていた。思い出さないようにする為に、マルムフォーシュ伯爵の助手としての務めに邁進していた。
それがいつの間にか、努力ではなくなっている。
特に、半裸で一夜を明かした事実は大きい。
あのような経験は人生で初めて。ステファンと一緒に湖で泳いだ記憶もあるにはあるけれど、恐らく、四才か五才の頃だったはず。
もう昔の自分には戻れないところまで、私は、来てしまったのだ。
というか、この状態から再び真っ当な伯爵令嬢として誰かと結婚する未来なんて、最早考えられない。
そんな開き直りもあってか、マルムフォーシュ伯爵と一緒にいることは私自身の気晴らしにもなっていた。何より、一緒にいれば安心な相手であることは度々証明してくれている。
「着くぞ」
「はーい」
そんな間の抜けた返事もしてしまうというものよ。
シュテルン伯領を出てすぐの街道の宿場町とあって、近くに村はあるものの商人や貴族たちが過ごせる賑わいと発展を誇っている。
泊る場所も、貴族を相手にした上等な宿で、昨夜よりずっと過ごしやすい小さな部屋で私は深い安堵の溜息をついた。
マルムフォーシュ伯爵は壁一枚隔てた隣の部屋だ。
だから、今夜は安心してぐっすり眠れる。
「……」
自分が恐い。
すっかりマルムフォーシュ伯爵の御供として仕上がっている。
少し仮眠をとり、私たちは劇場へと足を運んだ。
実際、オペラは素晴らしかった。私はマルムフォーシュ伯爵と臆面もなく燥ぎ、居合わせた貴族に挨拶などもされながら、誰がどう見ても仲良くデートしている雰囲気を漂わせてしまっていたのだけれど……思わぬ人と再会してしまった。
「カタリーナ」
「!?」
突然、背後から腕を掴まれた。
聞き慣れた低い声に、一瞬、全身の毛穴が開いて汗が噴き出した。
ステファンだった。
マルムフォーシュ伯爵は今、傍に居ない。
共に行動している時、こうしてたまに各地に散らばる部下を発見し、私に機密や血生臭い内容を聞かせないよう、視界には収まっているものの少し離れた位置で緊急会議をするのだ。丁度その隙を突かれた。
「……どうして、此処に……?」
「シュテルン伯爵の誕生会には間に合わず、仕方なく一泊し、明日、挨拶と贈り物だけでもということになったんだ」
そんなこと、どうでもいい。
どうしてステファンがいるの?
どうして、今更になって私を呼び留め、当たり前のように名前を呼んだの?
どうして……
「離して」
もう二度と、懐かしい匂いも、体温も、声も、感じたくなかった。誰よりも愛した穏やかな表情で、私を見下ろして、少し困っているみたいに僅かに眉尻を下げている。
この顔で窘められたら、何でも言う事を聞いてしまう。
そんな、幸せだった頃の私にはもう戻れないのに。
「本当なのか?」
「え……何が……?」
「本当にマルムフォーシュ伯爵と関係を持っているのかと訊いている」
「はあ……?」
何故、そんなことを問い詰められなければいけないのだろう。
私を捨てて、私にさよならを言って、私から離れて行ったのはステファンの方なのに。
私だって自ら望んでマルムフォーシュ伯爵に取入ったわけではない。でも、言葉の端々や声音でステファンが私を責めているのがわかる。
現在、マルムフォーシュ伯爵の新しい恋人として噂されているのは承知の上だけれど、ステファンにだけは文句を付けられたくなかった。
「あなたのせいよ?」
酷い言葉が滑り出る。
言ってしまってから後悔しても遅い。
ステファンが顔を顰めた。
滅多にしない、本当に叱りつける時の顔だった。
「君を大切にしてきた。それなのに、こうなったからといってわざわざあんな悪い男に身を捧げるなんて」
「どの口で言うのよ。あなたには、もう関係ないでしょう?」
「オースルンド伯爵は納得しているのか?もし立場上どうしても逆らえないと言うなら──」
「やめて。何?あなたの婚約者に意見してもらうって言うの?」
「確かに、私の身一つではどうこうできない問題だが、君が毒牙にかかるのを黙って見ていられない」
「!」
瞬間、頭に来た。
私がマルムフォーシュ伯爵の軽薄さを揶揄するのは、自分の実感として事実だから、いい。
でも、よりによってステファンに侮辱されるなんて。
許せない。
「今日、偶然、再会できた。これも運命だろう。カタリーナ。悪い事は言わない。自棄になって自分を粗末にするな」
「ステファン……あなた、誰のことを言っているか自分でちゃんと理解してる?」
「ああ、マルムフォーシュ伯爵だ」
「いい方よ」
「君は騙されているんだ」
「違う」
「どれほど贅沢をさせて貰えても今の内だけだ。相手にとっては遊びなんだぞ。今の姿を鏡で見たか?まるで着せ替え人形だ」
「っ……!」
「その首飾りが愛の証か?カタリーナ。君にはまるで似合っていないよ」
つい最近、怒りが振り切れる経験をした。
今も同じ事が私の体に起きている。
でも……
私の腕を掴むステファンの手を引き剥がしたくても、悔しくて、悲しくて、全く力が入らない。
「やめて……っ」
「泣きそうじゃないか。自分でもわかっているから、そんな顔をするんだろう?」
どうしてだろう。
ステファンは、自分が私を傷つけているということが、わからないの?
ステファンが私を傷つけるなんて、あの日まで、なかったのに。
絶対に私を傷つけたりしない人だったのに……!
「離して!」
声をあげた時。
私の腕を掴んでいたステファンの手にマルムフォーシュ伯爵の手が重なった。
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