3年も帰ってこなかったのに今更「愛してる」なんて言われても

希猫 ゆうみ

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私は婚約を破棄された。
婚約者を待っている間、心が冷めたから。

でも、それって私のせいなの?
彼の言う通りに、私が待っている間も帰ってきてからも愛情深く彼を思わなかったから?

私が大切にされていないのに、私は彼を大切にしないといけない?

そんな関係は続けられない。
だから、私の気持ちを伝えて責められるような相手なら、結婚しないほうがいい。

ちょうど婚約を解消しようとしていたところだったのだから、これでよかった。すべてを私のせいにされて、それだけは悔しかったけれど。

「そんな奴の事は、もう忘れてしまいなよ」

幼馴染のデューイも伯爵令息で、母方の遠い親戚で幼馴染だった。
私が婚約破棄されたのを聞いて、駆けつけてくれたのだ。

「そんなこと言われても悔しくて忘れられないわよ」
「そうかもしれないけど、見ていて辛いよ」
「え?」

またそれ?
私は常に男をご機嫌にするために振舞わなきゃいけないの?

「せっかく来てくれて悪いけど、あなたの気分のために忘れたふりはできない。ごめんなさい」
「ああ、違うよハンナ。僕こそごめん」

デューイが私の手を包んだ。
無邪気に遊んでいた幼い頃のように。

だけどもう大人の男の手をしている。
温かい。

「君に辛い思いをしてほしくないんだ。君が大切だから」
「え……?」
「君は幸せになると思っていた。だから婚約をお祝いしたんだよ。あの時、君を止めればよかった」
「デューイ……?」

私はかつての幼馴染の顔をじっと見た。
彼は、酷い顔をしていた。酷く辛そうな顔。

「辛い思いをしたね。だけどハンナ、これは僕の我儘かもしれないけど、君には自棄になってほしくない」
「どうして?」
「言ったろ。僕はずっと君を大切に想っているし、大切な君には、絶対に幸せになってもらいたいんだ」

彼の言っている事は理解できる。
でも、気持ちが追いつかない。

「婚約を破棄されたのよ?」
「君には不釣り合いな男だったんだ。人を悪く言うのは嫌だけど、3年も君をほったらかして遊び歩いていた男が君との婚約を破棄したのは、よかったと思うよ」
「私が好きなの?デューイ」

聞いてしまった。
だけど、それでよかったのだ。

デューイが頬を染めて、笑ったから。

「そうだよ。気づいていると思っていたけど」
「知らないわ」
「そうかもね。言った事ないから」
「……今日は、それを言いに来たの?」

そんなはずない。
そんな都合のいい話があるわけないもの。

本当は心を許せる幼馴染が、ずっと前から私を想っているなんて。
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