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オーウェン x マクシス
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オーウェン x マクシス
隊員の人達の方へと歩いていくと。
一人が村の方を指差してなにか話していた。
見ると、物音を聞きつけた村人達が恐る恐る外に出てきてコチラを見ている。
その中から、一際年寄りの男性がこっちに歩いてきた。
「恐れ入ります騎士様、魔物の討伐をして頂きありがとうございました」
オーウェン隊長が近寄ってきたお爺さんを睨みながら質問する。
「お前がこの村の代表か?」
お爺さんは腰を低くしたまま、目を合わさないようにして答える。
「はい、この村の代表をしております。ゴンゾと申します」
「他の村の者はどうした?」
「はい、女と子供は奥の集会所に集まって逃げておりました。男手は数人で固まって森から出てくる魔物を監視していた所でございます」
オーウェン隊長はその言葉を聞いて頷くと。
「怪我人は居ないのか?」
「……っ、実は……私の倅が、今朝方魔物に馬小屋を襲われた時に腕を……」
怪我人がいると聞いて今度は私が慌てて質問する。
「腕!? 腕をどうしたの?!」
「馬を襲った魔物に立ち向かって、右腕を肘から先持っていかれました。今は熱を出して苦しんで寝ております」
「直ぐに見せて!!」
私は、お爺さんに案内されながら息子さんが寝かされていると言う小屋へと向かった。
魔物に襲われたのが今朝方だとしたら、もう十二時間近く経っている、どんな処置がされているか分からないけれど、まだ亡くなっていないと言う事は止血が上手くいっているのだろう。
小屋に到着して中へと入る。
「息子の具合は?」
中にいた女性にお爺さんが聞くと、女性は軽く首を振るだけ。
「ううっ……」
寝かされている男性は、寝ながら汗をかいてうなされている。
「患部を見せてもらいます」
私が布団をめくって男性の腕の部分を表に出すと、途端に肉の腐ったような臭いがキツくなった。真っ黒に染まった包帯、患部のすぐ上をキツく長時間縛っていたせいで傷口が壊死している。
包帯を解くと、血は固まっているものの患部は酷い状態だった。
「すぐに手術をします! 患部を切り取らないと、このままではこの男性の命が危険です!」
「えええっ!? そんな……」
「息子が!?」
お爺さんがオーウェン隊長に駆け寄り「お願いします! 息子を! 息子を助けて下さい」と懇願する。
オーウェン隊長は私の顔をジッと見つめて「出来るのか?」と聞いてきた。
「最善を尽くします」
私の顔を見て頷くオーウェン隊長。
「俺は何をすればいい?」
「腐った部分の腕を切り落とします! 隊長はコッチのテーブルの上に男性の右腕を乗せて固定して下さい。他の方は男性が動かないように体を支えて!」
「貴女はお湯を沸かして、清潔な布も用意して!」
横で狼狽えていた女性がお湯を用意しに小屋を出てゆく。
腕を切り落とすと聞いて驚くお爺さん。
「息子を助けてくれるんじゃ無いのですか!? あの娘は何を言っているんです!?」
しつこくオーウェン隊長に絡むお爺さんを。
「あの方は『剣聖様』だ! 俺たちの知らない何かでお前の息子を救って下さると言っているんだ、ボヤボヤせずに『剣聖様』の言う通りにしろ!!」
『剣聖』と聞いて腰を抜かしたお爺さんが、外にいた若い人を呼び入れて寝ている男性を押さえさせる。
患者には麻酔がわりに『スリープ』の魔法を掛けて深く眠らせてある。
「手術を始めます。
患部は右腕前腕部、ホーンベアーの爪で切り落とされ欠損。傷口は肘の近くまで壊死している為切除、念のため関節から上の部分まで切り落とします」
右腕は、上腕の付け根をしっかり縛って止血してある。これで切り落とし後の大量出血は防げるはず。
その後は、魔法の効果を信じるのみ!!
私が剣を構えると「そんなんで切るのか!?」とお爺さんの悲鳴が聞こえるけれど、大丈夫! さっきのイメージでコツは掴んでる。
オーウェン隊長や体を押さえている男性達の顔を見て頷く。
剣にはクリーンの魔法を掛けてある。
私は息を吐き、精神を集中……イメージするのはさっきの『何でも切れる刀』
「ふーっ……」
「ハッ!」
剣を振り下ろすと、殆ど手応え無しで患部を通り過ぎる。
「切除完了!」
切った腕はすぐさま外に運んで燃やして貰う。
「クリーン!」「キュア!」「ヒール!」
患部を清潔にするクリーン、病原菌を消すキュア、患部を治癒するヒールを続けて詠唱する。
「患部は塞がってる、まだ赤く腫れているけどほぼ成功よ」
さすが魔法、後は傷口が完治するまで清潔に保っていれば大丈夫。
「成功? 息子は? 息子は死なないで済むんですか?」
「大丈夫よお爺さん、息子さんは死なないわ。暫くは痛みを感じたり違和感があるでしょうけれど、死ぬ事はないから安心して」
それを聞いて、やっと強張った顔から安心した顔になったお爺さんが床へとへたり込む。
「大丈夫か? あかり」
側へきたオーウェン隊長が、私の体調を気遣ってくれる。
そう言えば、今度は切ったあとも何とも無かったな。
抱き合って喜ぶ村の人とお爺さん。患者の男性も顔色が落ち着いてスヤスヤと眠っていた。
私たちは小屋を移動して、広めの建物へ集まっていた。
小屋には女性、奥様が看病したいと言って残ると言ったので、念のため奥様にも『クリーン』とお疲れの様子だったので『ヒール』を掛けておいた。
・
・
・
「で、この後はどうするの?」
「アレが全部とは限らないのでな、数日掛けて森の調査に入る。まあ、アレだけの個体は珍しいから居たとしても小物だろうから、お前は帰っても良いぞ?」
「えっ?! 何それ?」
私だけ帰るだなんてつまん無いじゃん! もっと「隊長 x 副隊長」とか「ガッツ x メルド」も堪能したい!
私の妄想は放っとかれ、隊長達は村人から魔物が出た時の様子を聞き取ったり、明日の準備に追われていた。
翌朝、息子さんの熱が完全に下がったのを確認して、傷口にはヒールを再度掛けておく。
隊長達は班に別れて森の探索に出掛けた、私の隣には昨日活躍したメルドさんの班が護衛として付いてくれている。
隊の事務所として借りている大きな建物へと戻りながら。
メルドさんにちょっと気になった事を聞いてみた。
「メルドさんは、ガッツさんと長いのですか?」
急にガッツさんの名前が出て驚いたのか、メルドさんの慌てる顔がかわいい。
昨夜も、打ち合わせで顔を合わせる度に見つめ合い、ふとした瞬間に指を絡めてる姿を見て私の妄想が爆発したのは間違いありません。
「ガッ、ガルドとは田舎の幼馴染で……気心も知れているし、ちょっと仲がいいだけですよ……っ」
メルドさんのその言い訳に、後ろから付いてくる隊のメンバーの人たちが苦笑している。
あー、隊の人たちも公認なのね。
それは「ガッツ x メルド」なのかしら? それとも「メルド x ガッツ」?
そんな風に妄想を拗らせながらさらに三日が経過して、いよいよ明日この村を去る事が決まった。
その間に、小型の魔物を数匹発見して倒してある。
結構奥まで進んだりもしたけれど、これ以上の個体は見つからなかった事から、調査完了となった訳です。
・
・
・
「剣聖様! 騎士様! こんな所で大した持て成しも出来ませんが、先日のホーンベアーの肉が焼き上がりました。村の特産のワインも有りますので、どうぞ召し上がって下さい!」
村の広場に作られた宴会場に、次々と運び込まれる料理とワイン。
さすがにこの様子を見て、放ったまま仕事なんて出来ないわけで……。
「しゃーない! 折角の村の人の好意だ、遠慮なく頂くとしよう!」
オーウェン隊長の一言で宴会が始まりました。
ワイワイと繰り広げられる宴会。
ホーンベアーはあんなに大きな姿だったのに、お肉は意外にも美味しく、国産の牛肉より味が深くて柔らかさと歯応えも良くてビックリした。
香草焼きやタレ焼き、ステーキに串焼きなど色んなお肉料理が出される中で、自慢の特産ワインと言うのがまた特別に美味しいのなんの。
どんどん飲みが進んで、大きな樽があっと言う間に空になっていました。
「……剣聖様」
その時、女性に付き添われて立つ壮年の男性が私に声を掛けて来ました。
「あなたは」
上着を羽織っているけれど、右腕の袖が風に靡いているその姿は。
「はい『剣聖様』に命を救って頂いた、村長の息子のガルゾです。この度は本当にありがとうございました」
そう言って深々と頭を下げるガルゾさんと奥さん。
「いえいえ、私の腕が足りないばかりにガルゾさんの腕を切ってしまうしか無くて……」
「いえ、妻から聞きました。ホーンベアーからもぎ取られた傷口が腐っていて、あのままだと命も危なかったと。本当に『剣聖様』は命の恩人です」
その時、後ろから駆け寄って来た小さな子供が「けんせいさま、お父さんを助けてくれてありがとう」と小さなお花をくれた。
それを受け取った瞬間……涙が止まらなくなった。
「うん! うんうん、私……あなたのお父さんを助けられて良かった! こんな小さな子を泣かせる事にならなくて良かったよー」
突然泣き出してしまった私に、どう対処すれば良いのが分からずガルゾさん家族をアタフタさせてしまっていると。
「何だ? 何で泣いてるんだあかりは」
ワイン瓶を片手に、完全に酔っ払ったオーウェン隊長が歩いてきた。隣のマクシス副隊長はオーウェン隊長に腰を抱かれている……。
マクシス副隊長の目! 目が女になってる! メスの目してる――
「泣いてなんかいません! それより、オーウェン隊長とマクシス副隊長は楽しそうですねっ!」
突っ込まれて、隣のマクシス副隊長の顔を見るオーウェン隊長。
ニカッっと歯を出して笑顔を見せると。
「おう! 楽しいぞ! 遠征で、誰も怪我せず犠牲者も無し! 酒も美味くて料理も美味い! こんな楽しい遠征だったら毎日でもオッケーだ! なぁマクシス!」
釣られて笑顔を見せるマクシス副隊長。
「オーウェン……」
オーウェン隊長を見るマクシス副隊長の目は、蕩けて柔らかな優しさで溢れていました。
そのまま私達を通り過ぎて、建物の影へと消えていった二人……。
( 建物の壁に押し付けられるマクシス副隊長。
「マクシスも今日は頑張ったな」
グッと腰を抱かれて引き寄せられる。
「……んっ!」
絡み合う指先が……)
ーーーーッ!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ガッツ
ガッツ・オルデラン(32歳)
メルドと同期、剣が得意、力が強く
オーウェン隊長を見習って、部下の面倒見が良い。
気がつくとメルドを目で追っている。
メルド
メルド・オーティン(32歳)
ガッツと同期、剣も槍も弓も得意なオールラウンダー。
茶髪で癖っ毛、髪をイジるのが癖
ガッツとの関係は部下にバレていないと思っている。
隊員の人達の方へと歩いていくと。
一人が村の方を指差してなにか話していた。
見ると、物音を聞きつけた村人達が恐る恐る外に出てきてコチラを見ている。
その中から、一際年寄りの男性がこっちに歩いてきた。
「恐れ入ります騎士様、魔物の討伐をして頂きありがとうございました」
オーウェン隊長が近寄ってきたお爺さんを睨みながら質問する。
「お前がこの村の代表か?」
お爺さんは腰を低くしたまま、目を合わさないようにして答える。
「はい、この村の代表をしております。ゴンゾと申します」
「他の村の者はどうした?」
「はい、女と子供は奥の集会所に集まって逃げておりました。男手は数人で固まって森から出てくる魔物を監視していた所でございます」
オーウェン隊長はその言葉を聞いて頷くと。
「怪我人は居ないのか?」
「……っ、実は……私の倅が、今朝方魔物に馬小屋を襲われた時に腕を……」
怪我人がいると聞いて今度は私が慌てて質問する。
「腕!? 腕をどうしたの?!」
「馬を襲った魔物に立ち向かって、右腕を肘から先持っていかれました。今は熱を出して苦しんで寝ております」
「直ぐに見せて!!」
私は、お爺さんに案内されながら息子さんが寝かされていると言う小屋へと向かった。
魔物に襲われたのが今朝方だとしたら、もう十二時間近く経っている、どんな処置がされているか分からないけれど、まだ亡くなっていないと言う事は止血が上手くいっているのだろう。
小屋に到着して中へと入る。
「息子の具合は?」
中にいた女性にお爺さんが聞くと、女性は軽く首を振るだけ。
「ううっ……」
寝かされている男性は、寝ながら汗をかいてうなされている。
「患部を見せてもらいます」
私が布団をめくって男性の腕の部分を表に出すと、途端に肉の腐ったような臭いがキツくなった。真っ黒に染まった包帯、患部のすぐ上をキツく長時間縛っていたせいで傷口が壊死している。
包帯を解くと、血は固まっているものの患部は酷い状態だった。
「すぐに手術をします! 患部を切り取らないと、このままではこの男性の命が危険です!」
「えええっ!? そんな……」
「息子が!?」
お爺さんがオーウェン隊長に駆け寄り「お願いします! 息子を! 息子を助けて下さい」と懇願する。
オーウェン隊長は私の顔をジッと見つめて「出来るのか?」と聞いてきた。
「最善を尽くします」
私の顔を見て頷くオーウェン隊長。
「俺は何をすればいい?」
「腐った部分の腕を切り落とします! 隊長はコッチのテーブルの上に男性の右腕を乗せて固定して下さい。他の方は男性が動かないように体を支えて!」
「貴女はお湯を沸かして、清潔な布も用意して!」
横で狼狽えていた女性がお湯を用意しに小屋を出てゆく。
腕を切り落とすと聞いて驚くお爺さん。
「息子を助けてくれるんじゃ無いのですか!? あの娘は何を言っているんです!?」
しつこくオーウェン隊長に絡むお爺さんを。
「あの方は『剣聖様』だ! 俺たちの知らない何かでお前の息子を救って下さると言っているんだ、ボヤボヤせずに『剣聖様』の言う通りにしろ!!」
『剣聖』と聞いて腰を抜かしたお爺さんが、外にいた若い人を呼び入れて寝ている男性を押さえさせる。
患者には麻酔がわりに『スリープ』の魔法を掛けて深く眠らせてある。
「手術を始めます。
患部は右腕前腕部、ホーンベアーの爪で切り落とされ欠損。傷口は肘の近くまで壊死している為切除、念のため関節から上の部分まで切り落とします」
右腕は、上腕の付け根をしっかり縛って止血してある。これで切り落とし後の大量出血は防げるはず。
その後は、魔法の効果を信じるのみ!!
私が剣を構えると「そんなんで切るのか!?」とお爺さんの悲鳴が聞こえるけれど、大丈夫! さっきのイメージでコツは掴んでる。
オーウェン隊長や体を押さえている男性達の顔を見て頷く。
剣にはクリーンの魔法を掛けてある。
私は息を吐き、精神を集中……イメージするのはさっきの『何でも切れる刀』
「ふーっ……」
「ハッ!」
剣を振り下ろすと、殆ど手応え無しで患部を通り過ぎる。
「切除完了!」
切った腕はすぐさま外に運んで燃やして貰う。
「クリーン!」「キュア!」「ヒール!」
患部を清潔にするクリーン、病原菌を消すキュア、患部を治癒するヒールを続けて詠唱する。
「患部は塞がってる、まだ赤く腫れているけどほぼ成功よ」
さすが魔法、後は傷口が完治するまで清潔に保っていれば大丈夫。
「成功? 息子は? 息子は死なないで済むんですか?」
「大丈夫よお爺さん、息子さんは死なないわ。暫くは痛みを感じたり違和感があるでしょうけれど、死ぬ事はないから安心して」
それを聞いて、やっと強張った顔から安心した顔になったお爺さんが床へとへたり込む。
「大丈夫か? あかり」
側へきたオーウェン隊長が、私の体調を気遣ってくれる。
そう言えば、今度は切ったあとも何とも無かったな。
抱き合って喜ぶ村の人とお爺さん。患者の男性も顔色が落ち着いてスヤスヤと眠っていた。
私たちは小屋を移動して、広めの建物へ集まっていた。
小屋には女性、奥様が看病したいと言って残ると言ったので、念のため奥様にも『クリーン』とお疲れの様子だったので『ヒール』を掛けておいた。
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「で、この後はどうするの?」
「アレが全部とは限らないのでな、数日掛けて森の調査に入る。まあ、アレだけの個体は珍しいから居たとしても小物だろうから、お前は帰っても良いぞ?」
「えっ?! 何それ?」
私だけ帰るだなんてつまん無いじゃん! もっと「隊長 x 副隊長」とか「ガッツ x メルド」も堪能したい!
私の妄想は放っとかれ、隊長達は村人から魔物が出た時の様子を聞き取ったり、明日の準備に追われていた。
翌朝、息子さんの熱が完全に下がったのを確認して、傷口にはヒールを再度掛けておく。
隊長達は班に別れて森の探索に出掛けた、私の隣には昨日活躍したメルドさんの班が護衛として付いてくれている。
隊の事務所として借りている大きな建物へと戻りながら。
メルドさんにちょっと気になった事を聞いてみた。
「メルドさんは、ガッツさんと長いのですか?」
急にガッツさんの名前が出て驚いたのか、メルドさんの慌てる顔がかわいい。
昨夜も、打ち合わせで顔を合わせる度に見つめ合い、ふとした瞬間に指を絡めてる姿を見て私の妄想が爆発したのは間違いありません。
「ガッ、ガルドとは田舎の幼馴染で……気心も知れているし、ちょっと仲がいいだけですよ……っ」
メルドさんのその言い訳に、後ろから付いてくる隊のメンバーの人たちが苦笑している。
あー、隊の人たちも公認なのね。
それは「ガッツ x メルド」なのかしら? それとも「メルド x ガッツ」?
そんな風に妄想を拗らせながらさらに三日が経過して、いよいよ明日この村を去る事が決まった。
その間に、小型の魔物を数匹発見して倒してある。
結構奥まで進んだりもしたけれど、これ以上の個体は見つからなかった事から、調査完了となった訳です。
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「剣聖様! 騎士様! こんな所で大した持て成しも出来ませんが、先日のホーンベアーの肉が焼き上がりました。村の特産のワインも有りますので、どうぞ召し上がって下さい!」
村の広場に作られた宴会場に、次々と運び込まれる料理とワイン。
さすがにこの様子を見て、放ったまま仕事なんて出来ないわけで……。
「しゃーない! 折角の村の人の好意だ、遠慮なく頂くとしよう!」
オーウェン隊長の一言で宴会が始まりました。
ワイワイと繰り広げられる宴会。
ホーンベアーはあんなに大きな姿だったのに、お肉は意外にも美味しく、国産の牛肉より味が深くて柔らかさと歯応えも良くてビックリした。
香草焼きやタレ焼き、ステーキに串焼きなど色んなお肉料理が出される中で、自慢の特産ワインと言うのがまた特別に美味しいのなんの。
どんどん飲みが進んで、大きな樽があっと言う間に空になっていました。
「……剣聖様」
その時、女性に付き添われて立つ壮年の男性が私に声を掛けて来ました。
「あなたは」
上着を羽織っているけれど、右腕の袖が風に靡いているその姿は。
「はい『剣聖様』に命を救って頂いた、村長の息子のガルゾです。この度は本当にありがとうございました」
そう言って深々と頭を下げるガルゾさんと奥さん。
「いえいえ、私の腕が足りないばかりにガルゾさんの腕を切ってしまうしか無くて……」
「いえ、妻から聞きました。ホーンベアーからもぎ取られた傷口が腐っていて、あのままだと命も危なかったと。本当に『剣聖様』は命の恩人です」
その時、後ろから駆け寄って来た小さな子供が「けんせいさま、お父さんを助けてくれてありがとう」と小さなお花をくれた。
それを受け取った瞬間……涙が止まらなくなった。
「うん! うんうん、私……あなたのお父さんを助けられて良かった! こんな小さな子を泣かせる事にならなくて良かったよー」
突然泣き出してしまった私に、どう対処すれば良いのが分からずガルゾさん家族をアタフタさせてしまっていると。
「何だ? 何で泣いてるんだあかりは」
ワイン瓶を片手に、完全に酔っ払ったオーウェン隊長が歩いてきた。隣のマクシス副隊長はオーウェン隊長に腰を抱かれている……。
マクシス副隊長の目! 目が女になってる! メスの目してる――
「泣いてなんかいません! それより、オーウェン隊長とマクシス副隊長は楽しそうですねっ!」
突っ込まれて、隣のマクシス副隊長の顔を見るオーウェン隊長。
ニカッっと歯を出して笑顔を見せると。
「おう! 楽しいぞ! 遠征で、誰も怪我せず犠牲者も無し! 酒も美味くて料理も美味い! こんな楽しい遠征だったら毎日でもオッケーだ! なぁマクシス!」
釣られて笑顔を見せるマクシス副隊長。
「オーウェン……」
オーウェン隊長を見るマクシス副隊長の目は、蕩けて柔らかな優しさで溢れていました。
そのまま私達を通り過ぎて、建物の影へと消えていった二人……。
( 建物の壁に押し付けられるマクシス副隊長。
「マクシスも今日は頑張ったな」
グッと腰を抱かれて引き寄せられる。
「……んっ!」
絡み合う指先が……)
ーーーーッ!!
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ガッツ
ガッツ・オルデラン(32歳)
メルドと同期、剣が得意、力が強く
オーウェン隊長を見習って、部下の面倒見が良い。
気がつくとメルドを目で追っている。
メルド
メルド・オーティン(32歳)
ガッツと同期、剣も槍も弓も得意なオールラウンダー。
茶髪で癖っ毛、髪をイジるのが癖
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