apocalypsis

さくら

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quaecunque sunt vera

septem

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 視界がその正体を捉えた瞬間、斎の鼓動が大きく鳴り響き、身の毛がよだつと同時に頭の中で警鐘がなる。斎は無意識に後退り、玄関のドアへとぶつかり足を止めた。
 目の前には、ありえないものが存在していたのだ。
「あや……こ?」
 そこには、六年前と変わらぬ容姿で微笑を浮かべながら佇む、かつての恋人の姿があったのだ。
 音も気配も何もなく、絢子はゆっくりと近づいて来た。
「斎くん」
 懐かしい声が囁くように自分の名を呼ぶ。昔と声も呼び方も同じだが、今は本能的に恐怖や違和感があり、身体から嫌な汗があふれ出した。相変わらず、頭の中では警鐘が鳴り響き、状況を判断しようと辺りの様子を確認しだす。
「やっと会えた」
 嬉しそうに微笑み喜びを伝える目の前の存在は、確かに斎が知る絢子の姿そのものだった。四年以上も一緒にいた相手を、間違えるはずが無かった。
「私、神楽にも会ったのよ。相変わらず綺麗だったわ」
 楽しそうに語るその姿は、昔となんら変わるところがない。だが、自分の知る絢子とは何かが違うと違和感を覚えずにはいられない。姿も声も話し方も、何もかも昔と同じはずなのに、まるで別のものにしか思えないのだ。
「なんで、ここに……?」
 なんとか声を振り絞り疑問を投げかける。なぜ、死んだはずの絢子がここにいるのか、必死で理由を考え出す。
「なんでって、斎くんに会いに来たのよ」
 絢子は笑みを絶やさずに答えた。
「今まで、どこにいたんだ?」
 絢子は死んだと彼女の両親から聞かされただけで、実際には通夜も葬式も出ておらず、最後の姿も見てはいない。死んだというのは嘘で、本当は生きていたのだろうか。
「どこ……?」
 呟くと同時に、目の前の絢子の様子が変わりだす。恐怖を感じているかのように小刻みに身体が振るえ、風も無いのに長い髪がふわりと浮き上がった。
「違う……。違うの……」
 絢子が呟く言葉に合わせるかのように、冷たい風が辺りに渦巻きだす。先程、手に傷を付けたものと同じ気配を感じ、斎は頭を逸らした。その瞬間、何かが頬をかすり手の甲と同じ赤い筋を付けた。何が起きているのか判断できず、ただ絢子を見つめる。
「Stop!」
 背後から声が聞こえたとたん風が収まり、絢子は恐る恐る振り返る。
「I found you at last」
 震える絢子の視線の先、声のする方へ斎も視線を向けた。そこには、珍しいストロベリーブロンドの長髪を後ろで一つに束ねた、白人の少年が立っていた。
「いや……。嫌よ、あそこは嫌……。助けて……」
 叫ぶように言いながら、絢子は斎の腕を掴む。それは女の力とは思えないほど強いものであり、あまりの痛みに、思わず斎の顔が歪む。斎の腕を掴み怯えながらも絢子は、金髪の少年を見つめていた。
「She doesn't know the difference between right and wrong. Therefore, allow her, please」
 少年が、その翠の瞳で斎を見据えながら言った。
「Who are you?」
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