157 / 236
date et dabitur vobis
viginti
しおりを挟む
ガラスケースの中を見つめていく天弥の視線が、一箇所に釘付けになった。欲しいものでも決まったのかと思い、天弥の背後からガラスケースの中を覗き込む。そこに並べられていたのはペアのリングであり、それで良いのか確認を取った。
短くなった煙草を灰皿に押し付けると立ち上がり、ベッドへと向かった。そこで眠っている天弥に視線を落とし、ベッドの端に腰を下ろす。
指輪の一つや二つで、更に天弥を縛り付ける事が出来るのなら安いものだと思い、すぐに購入をした。指輪は内側に誕生石が入り、時間はかかるが言葉を入れることも出来るというので、せっかくなのでそれも頼む事にした。
自分の指輪を見つめ、天弥がどんな言葉を頼んだのか気になりそれを外した。今日の午前中に出来上がり、確認しようとしたら物凄い勢いで止められてしまったため、知ることが出来なかったのだ。
外した指輪の内側に彫られた文字を読むと顔が赤く染まり、思わず指輪を握り締めた。指輪の内側には、You're the only one for me.とあり、嬉しさがこみ上げてくる。
上昇した心拍数を戻すため、軽く深呼吸をし平常心を取り戻そうとした。何度か深呼吸を繰り返すと指輪をはめ、時刻を確認する。天弥を家に帰す時間を考えると、そろそろ起こさなければならない時刻になっていた。
「天弥」
名前を呼びながら、天弥の頭に手を置いた。だが反応は無く、規則的な寝息が聞こえるだけだった。
「天弥、起きろ」
斎の手が天弥の頭から肩へと移動し、軽くその身体を揺さぶった。何度かその行為が繰り返された後、天弥の目がゆっくりと開いた。
「起きたか?」
耳に届いた声に、天弥は寝ぼけた視線と表情を斎へと向けた。自分を見下ろす斎の姿が視界に入り、天弥は腕を伸ばしその首に絡めた。
「時間だ」
斎の言葉に、天弥はゆっくりと口を開いた。
「僕……、今日は友達の家に泊まるって言ってきました……」
まだ半分以上は夢の中にいるとすぐに分かる声音でそう告げると、再び目を閉じた。
「そういう事は先に言ってくれ……」
天弥の腕がベッドへと落ち、力なく発せられた斎の言葉が空しく室内に響いた。嘘を吐いて外泊させる事に罪悪感はあるが、天弥と一緒に居られる喜びが上回り、すぐにその事について考えるのを止めた。
「とりあえず、何か食いに行くか?」
天弥は勢い良く目を開けるとその顔を見つめた。
「ご飯?」
嬉しそうに自分を見つめるその表情に、思わず何か食べるものを与えておけば、簡単に天弥を縛り付けておく事が出来るのではないかと本気で考える。
「そうだ」
笑みを浮かべ、天弥は上半身を起こすと目の前に居る愛しい相手に抱きついた。
「先生」
天弥の自分を呼ぶ声に、斎はその細く華奢な裸身に腕を回す。
「ありがとうございます」
天弥からいきなり述べられた礼に、斎は少し戸惑う。
「どうした?」
問いかけられ、天弥は斎の身体に回した腕に少し力を込めた。
「指輪を買ってくれましたし、花乃へのプレゼントを選ぶのも付き合ってくれましたし、ご飯も食べさせてくれるし……」
短くなった煙草を灰皿に押し付けると立ち上がり、ベッドへと向かった。そこで眠っている天弥に視線を落とし、ベッドの端に腰を下ろす。
指輪の一つや二つで、更に天弥を縛り付ける事が出来るのなら安いものだと思い、すぐに購入をした。指輪は内側に誕生石が入り、時間はかかるが言葉を入れることも出来るというので、せっかくなのでそれも頼む事にした。
自分の指輪を見つめ、天弥がどんな言葉を頼んだのか気になりそれを外した。今日の午前中に出来上がり、確認しようとしたら物凄い勢いで止められてしまったため、知ることが出来なかったのだ。
外した指輪の内側に彫られた文字を読むと顔が赤く染まり、思わず指輪を握り締めた。指輪の内側には、You're the only one for me.とあり、嬉しさがこみ上げてくる。
上昇した心拍数を戻すため、軽く深呼吸をし平常心を取り戻そうとした。何度か深呼吸を繰り返すと指輪をはめ、時刻を確認する。天弥を家に帰す時間を考えると、そろそろ起こさなければならない時刻になっていた。
「天弥」
名前を呼びながら、天弥の頭に手を置いた。だが反応は無く、規則的な寝息が聞こえるだけだった。
「天弥、起きろ」
斎の手が天弥の頭から肩へと移動し、軽くその身体を揺さぶった。何度かその行為が繰り返された後、天弥の目がゆっくりと開いた。
「起きたか?」
耳に届いた声に、天弥は寝ぼけた視線と表情を斎へと向けた。自分を見下ろす斎の姿が視界に入り、天弥は腕を伸ばしその首に絡めた。
「時間だ」
斎の言葉に、天弥はゆっくりと口を開いた。
「僕……、今日は友達の家に泊まるって言ってきました……」
まだ半分以上は夢の中にいるとすぐに分かる声音でそう告げると、再び目を閉じた。
「そういう事は先に言ってくれ……」
天弥の腕がベッドへと落ち、力なく発せられた斎の言葉が空しく室内に響いた。嘘を吐いて外泊させる事に罪悪感はあるが、天弥と一緒に居られる喜びが上回り、すぐにその事について考えるのを止めた。
「とりあえず、何か食いに行くか?」
天弥は勢い良く目を開けるとその顔を見つめた。
「ご飯?」
嬉しそうに自分を見つめるその表情に、思わず何か食べるものを与えておけば、簡単に天弥を縛り付けておく事が出来るのではないかと本気で考える。
「そうだ」
笑みを浮かべ、天弥は上半身を起こすと目の前に居る愛しい相手に抱きついた。
「先生」
天弥の自分を呼ぶ声に、斎はその細く華奢な裸身に腕を回す。
「ありがとうございます」
天弥からいきなり述べられた礼に、斎は少し戸惑う。
「どうした?」
問いかけられ、天弥は斎の身体に回した腕に少し力を込めた。
「指輪を買ってくれましたし、花乃へのプレゼントを選ぶのも付き合ってくれましたし、ご飯も食べさせてくれるし……」
0
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
女子切腹同好会
しんいち
ホラー
どこにでもいるような平凡な女の子である新瀬有香は、学校説明会で出会った超絶美人生徒会長に憧れて私立の女子高に入学した。そこで彼女を待っていたのは、オゾマシイ運命。彼女も決して正常とは言えない思考に染まってゆき、流されていってしまう…。
はたして、彼女の行き着く先は・・・。
この話は、切腹場面等、流血を含む残酷シーンがあります。御注意ください。
また・・・。登場人物は、だれもかれも皆、イカレテいます。イカレタ者どものイカレタ話です。決して、マネしてはいけません。
マネしてはいけないのですが……。案外、あなたの近くにも、似たような話があるのかも。
世の中には、知らなくて良いコト…知ってはいけないコト…が、存在するのですよ。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる